首輪のわ

66

文字の大きさ
上 下
10 / 41

10

しおりを挟む
そんな神宮寺に吐き気を覚えながら、睨むと神宮寺は首を傾げる

「おい、まさかお前、俺のことが好きじゃないのか?」

今度はこちらが首を傾げる番だった

「お前のどこを好きになるんだ?」

神宮寺と奈津は暫く考えて2人とも神宮寺の下半身を見る

こいつら本当に情緒ってもんがないわ。情操教育やりなおしてもらったほうがいい

「あ、それより、シャワー一緒に浴びよう?その為に来たんだった」

奈津がくるんと振り返ってバスルームにスタスタ歩いていく

俺もいそいそとついて行ったら神宮寺までついてきた

「おい、さっさと自分の部屋帰れよ」

「いや、俺も一緒にシャワー浴びる」

「狭いだろ!自分の部屋で浴びろよ!」

神宮寺に後ろから腕を引かれ、倒れそうな所を抱きとめられる

「俺のこと、意識してるから恐いんだろ…」

耳元で囁き、耳たぶをあむっと噛まれて、俺は神宮寺を突き飛ばした

耳を押さえて、心臓がばくばく鳴る。何か変だ

「しおーん?早く来なよー」

奈津の声に我に帰り、足早にバスルームに向かう

心臓が高鳴るのが抑えられない。何か、本当に何かが変だ

振り返ると神宮寺は俺の状態を見透かすように笑っていた

なんか怖っ






「何だよ?ジロジロ見てきちゃってさ…。さっきじゅうぶん沢山見たでしょ?」

「いや、奈津は神宮寺のどこが好きなの?」

あんな最低なやつ

登校中、奈津は首を傾げた

「どこってわからないけど、フェロモンのせいじゃない?オメガは相性の良いアルファに惹かれるものでしょう?」

さっきの神宮寺に変に心臓が高鳴ったのが思い浮かんで慌てて打ち消す

「僕は、どうして紫苑が僕を好きになったのか解るよ」

奈津に襟首を掴まれて唇が触れそうでふにゃんとなる

間近にある奈津の猫みたいな瞳にきゅんきゅんする

「案外、紫苑もしっかりオメガだよね」

「そうかな?発情期もいまいちなんだよね。薄いっていうか、そんなに我を忘れたりみたいな事がないから自信ないや…」

「ちゃんと発情期になってないんじゃないの?何でかな?でも匂いはいい匂いたまにするけど」

すんすんと首筋の匂いを嗅いでくる奈津にドキとする

「まあ、次の発情期は一緒に楽しもう?」

「2人だよね?奈津とだけだよね?今誓ってよ、2人だけだって」

「何?今更仕返し手伝いたくないとかなしだよ?」

奈津は涼しい顔をしているが、あれから奈津と神宮寺にどんなやりとりがあったのかは知らない

知らないが、奈津と何か話をした後、神宮寺が熱っぽい目でお前の発情期を楽しみにしていると言ってきた

「あ、なんで鍵パンツやめたの?」

「よくよく考えてみれば、何で俺があんな蒸れるパンツを日常的に履かなきゃいけないかわかんないからやめた」

そう、トイレや風呂や奈津に構われるのは嬉しいが、トイレに関しては面倒臭そうに鍵を開けたり、我慢させてきたり、これはこれで良いのかもしれないが、やっぱり体に良くないから早々にやめることにした

無料でもらったものってつい使ってしまうけど、現実使い勝手が悪くて仕方がない

「あ、でも発情期に使うから捨てないでよ」

鍵を指で弄びながら言う奈津は、それは自分が楽しむ為なのか神宮寺絡みなのか怪しいから怖い

教室に着くと、窓際にオメガ達が集まっていて口々に何か叫んでいて、かなり煩かった

奈津はそのまま自分の席に着いたので、後ろから抱きついてすりすりする

「あれなんだろうね?」

訳がわからず聞くと、奈津は顎をこしょこしょ擽る

「戮様達が登校中なんだよ。あ、そか、紫苑は外部から来てるから知らないよね?ここ幼稚舎からスタートの良家の子息の鳥籠だからね。だから人気が高いαなんかがいると、ああなるんだよ」

「へぇ……」

気がしれんわ

騒ぐオメガ達の叫び声がどんどん大きくなったかと思うと、神宮寺がこちらに向かって歩いてきていた

つんざくような悲鳴に奈津の肩口に顔を埋める

「今後、オメガ同士の不純同性交遊は取り締まるべきだな。生産性がない事この上ない。そこのオメガ達、離れなさい」

聞き覚えのある神宮寺の声にうんざりする

知らん顔して聞こえないふりを決め込む

「紫苑、今は離れときな?後で沢山ひっついていいから」

奈津に言われて渋々離れると、窓の外の神宮寺と目があった

舐めるような視線に吐き気がする

罵倒的な何かを言おうとすれば、奈津が首を振る

「ダメだよ、紫苑、此処では彼は王様なんだから」

「ちぇ、自分の席に帰るね」

まだ煩いオメガ達を一瞥して、神宮寺も離れていく

間近で見て触っちゃったとはしゃぐオメガ達を見ながら、いずれ自分もこうなるのだろうかと疑問に思う
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・話の流れが遅い ・作者が話の進行悩み過ぎてる

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

処理中です...