首輪のわ

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「もう臭くて無理なんだろ?捨てておいて、今更何言ってんだ!」

叫んだ瞬間、微かだった怖気が強烈に強くなり身体に痺れが走る

見下ろす神宮寺の目は、笑っていなかった

目の奥にどろりとした嫉妬や憎しみが見えた

αの番に対する執着なのだろうか?怯んだ俺のジャージを手際よく脱がせていく神宮寺に、体を捩って暴れるが、神宮寺の方が力が強い

「誰が元スタメンの話をしている。お前の事だ。紫苑……」

ぞぞぞと鳥肌が立った。嫉妬と執着と、奈津が神宮寺を見るときのような眼だ

「………はぁ?きもいんだよ、離せ!」

じたばたしてみるも、神宮寺の力は強い

しかもしつこい

「暴れるな、どうせ自分から強請るようになる…」

さらりと髪を撫でられ、猛然とムカつく

勝手に人の体をベタベタベタベタと触りやがって!

「も、やめろよ。何がしたいんだよ…」

体の力を抜くと、神宮寺も腕にこめてた力を抜く

なんか妙な空気が流れ出した瞬間、ガチャリと扉が開いた

「しっおーん!パンツ脱げなくて困ってんじゃなぁ…?い?」

明るく室内に入ってきた奈津に時間が止まる

「えー……なに?速攻浮気……?」

眉尻を下げる奈津に、上に覆い被さっている神宮寺を蹴りどかす

「ちがっ!違うぞ奈津!こいつがいきなり訳のわからない事言ってきただけで!!!」

鍵を口元に唇を尖らせて拗ねる奈津に縋り付く

「えー…でもどうみてもぉ……」

「違うから!俺が好きなのは奈津だけだよ!!!」

必死になって言い募ると、機嫌を直したのか奈津はよしよししてくれる

「ちょっと、待て……お前らオメガ同士だろ?」

噛みつきそうな獰猛な表情の神宮寺に慌てて奈津の背中に隠れる

「死ね、年中盛りのゴミが!」

「もー、紫苑口が悪いよ?戮様?紫苑は僕の恋人なんで、手出ししないでもらえますぅ?」

奈津の言葉に目を輝かせる

今、恋人って言ってくれた!

奈津にすりすりしていると、ゆらりと神宮寺がでかい体を起こす

「へぇ、お前、もうヒートの相手はそいつだけでいいんだな?」

脅すような神宮寺の言葉に息を呑む。奈津をちらりとみれば、奈津はちょっとグラっときている表情だった。これはマズイ

「べんべろべー!お前なんかお呼びじゃないんだよ!はよ死ね!火急速やかに死ね!」

後ろから慌てて叫べば、奈津が仄暗い笑みを浮かべている

奈津さんーーー?

「僕のヒートの問題もあるね。戮様、取引しませんか?」

「おれはヒート中ならば問題ないぞ?チビ2を下げて、お前を繰り上げてもいい。その他の時間はダメだが」

「奈津!ダメ!!何言ってんだてめぇ!」

涙目になりながら奈津に縋ると、奈津はよしよしと頭を撫でてくれる

考え直してくれたかな?

「条件は話し合いましょう」

涙がぶわっと溢れる。わかっていたけど、今一応、恋人なんだよね?

「奈津っっ、俺というものがありながらっ」

「僕のこと好き?」

泣いている俺に、表情も変えずに奈津に聞かれて、こくりと頷く

「じゃあ、何だって耐えれるね?」

ピシリと固まる。騙された……

「奈津っ!」

「嘘なんだ?僕のこと好きじゃないんだ?」

奈津の言葉に答えずに、無言で抗議する。好きという感情を利用しようとしているのは明らかだ

「やっぱり好きじゃないんだ…?」

涙目になった奈津に俺は根負けした。これからどんな仕返しを考えているのか知らないが、本当に恐ろしい

「………好きだよ」

振り絞った答えに、奈津が満足気に笑い、神宮寺は只ひたすら感情の読めない眼で俺をガン見していたーーー
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