首輪のわ

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なんかすーすーする

目が覚めたら全裸だった

「な、奈津!?ちょっ…!いきなりは!俺も心の準備がいるっつーか…!」

奈津が顔を紅潮させてのしかかっていた

Ωのフェロモンが部屋に充満していて、昨日手に入れた神宮寺のシャツやトレーナーはぐしゃぐしゃになっていた

奈津が腰に乗ったまま自分の服を脱ぎ始める

ほどよくついた筋肉に、白い肌に目が奪われる。吸い寄せられるように腹を撫でれば、面白いくらいにびくんと体を揺らした

「……色っぽい、奈津…。俺が相手で、本当にいいの…?」

「嫌だけど、妥協してやってんだよ」

起きあがって、ぐるんと体制を入れ替える

奈津の細い手首を掴んでも、全然焦った様子もない

「ひどくない?俺の気持ち知ってるのに」

妥協はひどい。ちょっと傷ついた

「本当のことだよ」

「………キスしていい?いでっ!なにすんだよ!」

キスをしていいか聞いたら頭突きがきた

「黙ってやれ、童貞」

奈津の白い頬が赤くなってる。逸らした目が茶色で可愛い

その後もダメ出しと手解きを受けながらも、なんとか

なんとか奈津のヒートを乗り切ったのだった

「まさか挿れさせてもらえないとは思わかったけど…」

だいぶんフェロモンが薄くなった奈津は神宮寺のトレーナーに顔を埋めて、まだ寝ていた

一週間、頑なにいれさせてもらえなかった

それ以外は全部させてもらえたけど、ヒート中なのに信じられない悲しい…

「よし、僕のヒートは何とかなったから、あとは紫苑のヒートを待つばかりだね」

あっさりと奈津は、神宮寺のトレーナーやシャツをダストボックスに捨てる

「えー…奈津がいれる側…?」

ちょっと嫌だなあ

「なんか不満なの?」

「いや、俺がいれる側のがよくない?」

じゃないとαに浮気されそう。付き合ってもないけど

それにヒートまでに好きになってもらえなかったら神宮寺に差し出されそう

差し出されても神宮寺も迷惑だと思うが

あれだけ囲いのΩがいてわざわざ俺に手を出すとも思えない

「あー…着替えて登校しよ?今日までだよな?ヒート休暇申請」

「そうだね。シャワー浴びて着替えたら後で迎えにいくよ、紫苑は一回帰るんだよね?」

奈津の言葉に頷いて、のろのろと起き上がる

俺も自分の部屋でシャワー浴びて着替えよ

欠伸をしながら、一週間前に脱ぎ散らかしたままのジャージを拾い袖を通す

「またあとでね」

軽く頬にキスをされて、やにさがる

「あとでね」

少しずつ、好きになってもらえればいいのかな?でも、あそこまでして好きじゃないとかあるのかな?挿れさせてもらえなかったけど…

うだうだ考えながら部屋に帰ると、物凄い勢いで扉の開く音が聞こえた

息を切らせて、神宮寺が飛び込んでくる

朝から、いや物凄い美形だけど神宮寺は怒りまくっているようだった

「今まで何処にいたんだっ!!?まさかヒート中、αに抱かれてたんじゃないだろうなっ!?」

つかつかと躊躇いなく室内に入ってくるが、許可を得て他人の室内に入るという常識はないのだろうか

早朝なので髪は少し乱れているものの、物凄い美形な顔を歪めながら、ジャージを掴まれ、首筋をくんくん嗅がれる

「くっ…これは、まえのスタメンの臭いじゃないか!お前はヒートじゃなかったようだな…」

鼻を押さえながら後退る神宮寺に、ふふんとせせら笑う

「介護でもしてたのか?それより、今日から寮の寮則変わったからな。夜9時以降は自分の部屋以外の出入り禁止だ。ヒート中のカップルは届出をすればいいが。それ以外は見つけ次第、停学にする」

神宮寺の言葉に顔を上げると、顎を掴まれたので、ぶるぶると顔を振って逃げる

「はあ!?ちょ…」

「Ωの性被害を防ぐためだ。嬉しいだろう?」

見下ろす神宮寺の筋肉量は俺の倍ありそうで、恐ろしくなる

部屋にいる方が危ない気がするが

「仲良くしようじゃないか、紫苑」

名前を知っていたのかと驚いたが、不敵に笑う神宮寺に怖気が走った

多分、αのフェロモンだと思う

周りを従わせるαのフェロモンは、甘く頭の中が痺れるような匂いがする

頭を振って、神宮寺の背中を押して部屋から追い出す

「わかった、わかった、ちゃんと帰ってくるから!」

ぐるんと身を翻して神宮寺が、俺の肩を両手で押さえる

「この一週間、何処で何してたんだ?」

見下ろす神宮寺は少し怖い。αの眼でみられると身体が震える

「…神宮寺には、関係ないだろ!」

両手を振り払うと、ドンと肩を押されて後ろに倒れる

のそりと神宮寺が上に乗っかってきて顔の横に拳を思いっきり叩きつける

「俺は自分のオメガが他人に触られるのが嫌いでね」

頬を長い指ですりすりしながら、耳元で囁かれて、腹の中がかっと熱くなった

奈津を捨てたくせに、今更所有を主張してくるなんて
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