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風呂もトイレも完全室内だし、いざとなれば篭ればいい
ただ、2人部屋の室内は鍵があるところはトイレのみなのが不安だが
念の為、首輪とパンツを装着し鍵をかける
「首輪はともかく、パンツの鍵は洗面台に置いとくか…面倒くせぇし。問題は首輪だな…どこにしようかな…」
ふと目についた絵画の裏にセロテープで貼り付ける
「これでよし。抑制剤は冷蔵庫、ま、抑制剤ぜんぜんいらないんだけどね。ヘアバンドを首輪に上から被せて…」
本当に薄っぺらいヒートなので、抑制剤はいらないくらいだ。何なら副作用のがひどいので、休める時は垂れ流しにしていた。βでもわかるひどい匂いだと何回か怒られて、αが近所をうろうろしていたみたいなので、外には絶対出なかったけど
だから、ヒートには気づきにくいんだよな
αの匂いもわかりにくいし
流石に神宮寺の匂いはわかりやすいけど
でも、いい匂いだな…くらいの感想だ
番のΩを渡り歩くんだろうなと、とても自由で、羨ましくもなる
Ωのためか、希望者には食事BOXまでついていて、そこまで気が回るなら何故αと別室にしないのか問いただしたいくらいだが、まだ番がいないαよりは余裕もありそうなので良いのかもしれない
荷物も少ないので、片付けはすぐ済んだのでパッドを机に置いて、お気に入りのチャンネルをスクロールしていく
なかなかΩは授業についていけないので、有名塾の先生の授業なんかを見ていると、解りやすくて何とか勉強についていけたりする
将来の夢、俺は警察官になりたかった
第二成長の検査で脆くもくずれたけれど
Ωの警察官なんていない。現実無理だって解るけれど。でも、勉強はやめられなかった。諦めきれず、身体を鍛えたりしている俺に、児童一時預かりの先生は努力は解るが正しい方向に向けなさいと言った
正しい方向って夢は諦めて、良いαに取り入る努力だろうか?今もわからない
全て手に入るαが憎い
αが憎いから俺のヒートは薄っぺらいのかもしれない
手帳に忌々しい丸がつけられた2ヶ月後を見る
考えてもしょうがないのかもしれない。うとうと眠気がくるーー
どかっという音と背中にきた痛みに目を開くと、仁王立ちした美貌の男が立っていた
怒り狂った顔に、刺激しないようにゆっくりと起き上がる
見覚えのあるグレージュの髪に、確か同室の神宮寺戮だと思い出した
今はΩ達も連れていない
「片付けろって言っただろ。何サボってやがる!おら、来い!」
首根っこを掴まれて神宮寺の部屋に行くと、全然綺麗で片付けられた部屋だった
不思議に思い、神宮寺を見ると深い色の瞳に首を傾げる
「あのベッド、におい消ししろ!わかるだろ!くせぇんだよ!この部屋!」
すんと鼻を動かすと、仄かにベッドから、あの奈津と呼ばれたΩの匂いがする
別に不快でもない匂いに神宮寺は、匂いを消すためか手に消臭スプレーを握らせてくる
「仮にも番なんだろ?何だよくせぇって…」
プシューとスプレーを色々振りまきながら、部屋に未だ入ろうとしない神宮寺を見ると、臭いが消えるまで一歩も部屋に入らないという態度だ
俺の呆れた顔に気づいたのか、あっちも!と言いたげに浴室やトイレを指さす
「αなのに、Ωのにおいが嫌とか番だろ?変じゃね?」
「ヒート中は大丈夫なんだが、終わるとこの臭いダメなんだよ…」
「ふーん。発情期合わなかったらどうしてんだ?」
プシューと部屋にまかれる消臭に、神宮寺はダッシュで空気清浄機にスイッチを入れて行く
7台はありそうな空気清浄機がフル稼働していくのを見て、本当に呆れてしまった
「………まあ、スタメンは3ヶ月だから」
稼働する空気清浄機に、神宮寺は安心したような顔になる
「…?スタメン?3ヶ月て?」
「俺の番は3ヶ月までなんだよ。3ヶ月経つと臭くて無理になる」
「……え?それじゃ…何で噛んだんだ?噛む必要ないじゃないか!?おい、Ω達は一生縛られるんだぞ?わかってんのか?」
神宮寺は根性まで腐ってる。最悪な話を聞いてしまった
馬鹿にするような目で神宮寺はそのお綺麗な顔を歪めた
Ωは項を噛まれたら、そのαにしかフェロモンを出せないし、違うαと番う事も出来ない
「…みんな知ってるよ?それでもいいって、ただ同時に3人までだから4年先まで予約埋まってるよ」
「………いいわけ、ないだろ?」
マジクソやろうだわ
ぽいっとスプレーを投げて部屋を出て行くも、神宮寺は何も言わなかった
ただ、よくわからない色の双眸で気持ち悪い何かがどろりと瞳の中で溶けた眼で見ていた
ただ、2人部屋の室内は鍵があるところはトイレのみなのが不安だが
念の為、首輪とパンツを装着し鍵をかける
「首輪はともかく、パンツの鍵は洗面台に置いとくか…面倒くせぇし。問題は首輪だな…どこにしようかな…」
ふと目についた絵画の裏にセロテープで貼り付ける
「これでよし。抑制剤は冷蔵庫、ま、抑制剤ぜんぜんいらないんだけどね。ヘアバンドを首輪に上から被せて…」
本当に薄っぺらいヒートなので、抑制剤はいらないくらいだ。何なら副作用のがひどいので、休める時は垂れ流しにしていた。βでもわかるひどい匂いだと何回か怒られて、αが近所をうろうろしていたみたいなので、外には絶対出なかったけど
だから、ヒートには気づきにくいんだよな
αの匂いもわかりにくいし
流石に神宮寺の匂いはわかりやすいけど
でも、いい匂いだな…くらいの感想だ
番のΩを渡り歩くんだろうなと、とても自由で、羨ましくもなる
Ωのためか、希望者には食事BOXまでついていて、そこまで気が回るなら何故αと別室にしないのか問いただしたいくらいだが、まだ番がいないαよりは余裕もありそうなので良いのかもしれない
荷物も少ないので、片付けはすぐ済んだのでパッドを机に置いて、お気に入りのチャンネルをスクロールしていく
なかなかΩは授業についていけないので、有名塾の先生の授業なんかを見ていると、解りやすくて何とか勉強についていけたりする
将来の夢、俺は警察官になりたかった
第二成長の検査で脆くもくずれたけれど
Ωの警察官なんていない。現実無理だって解るけれど。でも、勉強はやめられなかった。諦めきれず、身体を鍛えたりしている俺に、児童一時預かりの先生は努力は解るが正しい方向に向けなさいと言った
正しい方向って夢は諦めて、良いαに取り入る努力だろうか?今もわからない
全て手に入るαが憎い
αが憎いから俺のヒートは薄っぺらいのかもしれない
手帳に忌々しい丸がつけられた2ヶ月後を見る
考えてもしょうがないのかもしれない。うとうと眠気がくるーー
どかっという音と背中にきた痛みに目を開くと、仁王立ちした美貌の男が立っていた
怒り狂った顔に、刺激しないようにゆっくりと起き上がる
見覚えのあるグレージュの髪に、確か同室の神宮寺戮だと思い出した
今はΩ達も連れていない
「片付けろって言っただろ。何サボってやがる!おら、来い!」
首根っこを掴まれて神宮寺の部屋に行くと、全然綺麗で片付けられた部屋だった
不思議に思い、神宮寺を見ると深い色の瞳に首を傾げる
「あのベッド、におい消ししろ!わかるだろ!くせぇんだよ!この部屋!」
すんと鼻を動かすと、仄かにベッドから、あの奈津と呼ばれたΩの匂いがする
別に不快でもない匂いに神宮寺は、匂いを消すためか手に消臭スプレーを握らせてくる
「仮にも番なんだろ?何だよくせぇって…」
プシューとスプレーを色々振りまきながら、部屋に未だ入ろうとしない神宮寺を見ると、臭いが消えるまで一歩も部屋に入らないという態度だ
俺の呆れた顔に気づいたのか、あっちも!と言いたげに浴室やトイレを指さす
「αなのに、Ωのにおいが嫌とか番だろ?変じゃね?」
「ヒート中は大丈夫なんだが、終わるとこの臭いダメなんだよ…」
「ふーん。発情期合わなかったらどうしてんだ?」
プシューと部屋にまかれる消臭に、神宮寺はダッシュで空気清浄機にスイッチを入れて行く
7台はありそうな空気清浄機がフル稼働していくのを見て、本当に呆れてしまった
「………まあ、スタメンは3ヶ月だから」
稼働する空気清浄機に、神宮寺は安心したような顔になる
「…?スタメン?3ヶ月て?」
「俺の番は3ヶ月までなんだよ。3ヶ月経つと臭くて無理になる」
「……え?それじゃ…何で噛んだんだ?噛む必要ないじゃないか!?おい、Ω達は一生縛られるんだぞ?わかってんのか?」
神宮寺は根性まで腐ってる。最悪な話を聞いてしまった
馬鹿にするような目で神宮寺はそのお綺麗な顔を歪めた
Ωは項を噛まれたら、そのαにしかフェロモンを出せないし、違うαと番う事も出来ない
「…みんな知ってるよ?それでもいいって、ただ同時に3人までだから4年先まで予約埋まってるよ」
「………いいわけ、ないだろ?」
マジクソやろうだわ
ぽいっとスプレーを投げて部屋を出て行くも、神宮寺は何も言わなかった
ただ、よくわからない色の双眸で気持ち悪い何かがどろりと瞳の中で溶けた眼で見ていた
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