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komomo

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‪意図せず漏れた溜息に、
傍らのその人が顔を上げた

「行きたくないなあ…」
思わずまた漏れた溜息とともに
今度は言葉も漏れた。

今日は午後から雨の予報のせいか、
長い付き合いの片頭痛が疼いた。
おまけに中身がないであろう
時間の無駄な会議もある。
これでは出社する前から
憂鬱になるのも仕方がないというものだ。

「はい、教えてもらったとおり、ピッピって2回押して焼いてみたよ。元気だして?
お利口さんに待ってるから、ね?」

さっきまで傍らにいたその人が
小さな小さな手で
慣れない手つきで持ってきたのは
焦げたトースト

ピッって1回で良かったのに…
思わず今度は笑いが漏れた

さあ、ママは君のために
また気合い入れて頑張らなくっちゃ!

「ありがとう!これ食べたら元気になっちゃうね!遅刻しないようにいっそげ~」

急いで口にほおばった
焦げたトーストは
苦いのにやたら美味しかった

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