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「シェリナ……ごめんよ。
僕が悪かったんだ。
君を傷つけてしまったこと、後悔しているんだよ」
モーリスは笑顔を浮かべていたが、シェリナには、その表情が不気味にしか見えなかった。
ほんの少し前までは、いつまでも見ていたいほどに愛しい顔だったはずなのに。
今はもう、目を合わせていることさえ、苦痛でしかない。
「モーリス、やめてちょうだい。
今さら、もう遅いわ」
と、かすれた声を絞り出すようにして言ったが、彼には届いていないようだ。
「きちんともう一度、話をしよう。
そうすれば、全部元通りになるよ。
マデリンのことは、悪い夢みたいなものだったんだ。
間違いだったんだよ」
まるで独り言のようにブツブツと言いながら、モーリスはゆっくりとシェリナに手を差し出した。
その手に握られていた箱を静かに開くと、中から現れたのは指輪だった。
「これを結婚式の前に渡すって、ずっと前から約束していたよね」
シェリナは呆気に取られてしまった。
モーリスは本気で、やり直すつもりなのだろうか。
あんなにひどい裏切り方をしたというのに。
謝罪の言葉を口にすれば、全て許されるとでも、本気で思っているのだろうか。
「……モーリス。悪いけれど、もうあなたとやり直すつもりはないわ」
強い口調で言うと、モーリスは悲しそうに眉を下げた。
「もう、許してはもらえないのかな……。
今でも君を、愛してるんだ。
シェリナ、君じゃないとダメなんだ。
やっとその事に気がついたんだよ!」
ずっと、ずっと、愛してきた人だ。
潤んだ瞳で訴えかけられれば、シェリナの心はどうしようもなく揺らいでしまう。
……ということは、全くなかった。
シェリナは、チラリとウォーレンに目をやった。
彼も黙ったまま、こちらを見ている。
フラフラと視線を彷徨わせているモーリスとは対照的に、ウォーレンの目は少しも動じている様子はない。
決して揺らぐことのない視線を受け止めているだけで、安心できるような気がした。
大きく1つ息を吸って。
真っ直ぐモーリスを見上げながら、シェリナは言った。
「婚約は破棄したはずよ。あなたの希望通りね。
それに私はもう……ウォーレン様と婚約することにしたの」
すると途端にモーリスの顔が歪んだ。
「まさか……冗談だろう?」
「いいえ、本当のことよ」
ぐっと下唇を噛む。
今はもう、モーリスに何を言われても平気だった。
驚いたように目を見開いているウォーレンの視線が、少し恥ずかしかったけれど。
すぐに彼が、嬉しそうに頬を緩ませているのに気がつくと、シェリナは力が湧いて来るのを感じた。
僕が悪かったんだ。
君を傷つけてしまったこと、後悔しているんだよ」
モーリスは笑顔を浮かべていたが、シェリナには、その表情が不気味にしか見えなかった。
ほんの少し前までは、いつまでも見ていたいほどに愛しい顔だったはずなのに。
今はもう、目を合わせていることさえ、苦痛でしかない。
「モーリス、やめてちょうだい。
今さら、もう遅いわ」
と、かすれた声を絞り出すようにして言ったが、彼には届いていないようだ。
「きちんともう一度、話をしよう。
そうすれば、全部元通りになるよ。
マデリンのことは、悪い夢みたいなものだったんだ。
間違いだったんだよ」
まるで独り言のようにブツブツと言いながら、モーリスはゆっくりとシェリナに手を差し出した。
その手に握られていた箱を静かに開くと、中から現れたのは指輪だった。
「これを結婚式の前に渡すって、ずっと前から約束していたよね」
シェリナは呆気に取られてしまった。
モーリスは本気で、やり直すつもりなのだろうか。
あんなにひどい裏切り方をしたというのに。
謝罪の言葉を口にすれば、全て許されるとでも、本気で思っているのだろうか。
「……モーリス。悪いけれど、もうあなたとやり直すつもりはないわ」
強い口調で言うと、モーリスは悲しそうに眉を下げた。
「もう、許してはもらえないのかな……。
今でも君を、愛してるんだ。
シェリナ、君じゃないとダメなんだ。
やっとその事に気がついたんだよ!」
ずっと、ずっと、愛してきた人だ。
潤んだ瞳で訴えかけられれば、シェリナの心はどうしようもなく揺らいでしまう。
……ということは、全くなかった。
シェリナは、チラリとウォーレンに目をやった。
彼も黙ったまま、こちらを見ている。
フラフラと視線を彷徨わせているモーリスとは対照的に、ウォーレンの目は少しも動じている様子はない。
決して揺らぐことのない視線を受け止めているだけで、安心できるような気がした。
大きく1つ息を吸って。
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「婚約は破棄したはずよ。あなたの希望通りね。
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「まさか……冗談だろう?」
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今はもう、モーリスに何を言われても平気だった。
驚いたように目を見開いているウォーレンの視線が、少し恥ずかしかったけれど。
すぐに彼が、嬉しそうに頬を緩ませているのに気がつくと、シェリナは力が湧いて来るのを感じた。
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