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「お一人ですか?他に誰かが、ご一緒だったのでは……?」

常に誰か女性がくっついているイメージしかないものだから、シェリナは思わずそう言ってしまった。
するとウォーレンは

「いや、ちょっと外の空気を吸いに来たんですよ」

と言いかけたが、

「いや、嘘は良くないな。正直に言います」

ふっと肩の力を抜くと、座り直してシェリナに向き合った。

「実は、あなたの言う通りなんです。
マルティーヌ嬢が庭を散歩をしたいと言うものですから、それに付き合っていたんです」
「ああ、そうでしたか」
「その途中で、あなたがモーリスとマデリン嬢と話しているのを見かけまして。
何を言っているかは分からなかったが、その後すぐにあなたが走り去っていったから、気になって追いかけて来たんです」

あの修羅場を見られていたと思うと、顔から火が出るほど恥ずかしかった。
どうにかして話を誤魔化そうと

「で、では……マルティーヌ様は置いてけぼりにされて、今頃怒っていらっしゃるのでは?
すぐにお戻りになったほうが……」

と見当違いなことを言って、無理矢理に笑顔を浮かべたのだったが、ふとあることに気がついた。

「確かに怒っているかもしれないですね。でも大丈夫でしょう。
今度上手く言い訳をしますし、埋め合わせはするつもりですから。それに……」

その急な思いつきのせいで、ウォーレンの言葉など、彼女の耳には入ってきていなかった。
一刻も早く事実を確認したい。
その一心で、

「すみません、さっき何とおっしゃいました?」

シェリナは唐突に彼の話を遮った。
それが失礼なことだ、と普段ならば分かるはずのことが、この時には分からないほど動揺していたのである。

「さっき……と言いますと?」

ウォーレンは怪訝そうな顔をしたものの、気を悪くした様子もなく、訊ねた。

「私がさっきモーリスと一緒にいたのを見た、とお話して下さった時のことです。
私が、モーリスとマデリン様と話しているのを見た……とおっしゃいませんでしたか?」

じっとウォーレンを見つめると、彼は一瞬目を逸らした。
しかし、すぐに向き直ると

「ええ、言いました」
「やっぱりそうでしたか。あなたは、私が言っていないのに、一緒にいた女性がマデリン様だと分かっていた……。
つまりマデリン様をご存知なのですね?」

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