チート装備のヤンデレ女勇者〜追放された幼馴染を探すのは、魔王を倒すより難しい〜

 幼馴染の男の子サクセス

 ビビアンにとって、彼こそが全てだった。

ーーしかし
 
「どうして? どうして行っちゃうの!?」

 サクセスは16歳の成人を迎えると、冒険者になる為、ビビアンを村に残して旅に出ていってしまう。

 サクセスの家が貧乏農家なのは知ってる。
 彼を両親が養えないのもわかってる。
 でもそんなのあんまりよ!!

 だって……だってサクセスは弱いのよ。
 一人で外の世界に出たら絶対死んじゃうわ。
 
「サクセスを……サクセスを探しに行かなきゃ!」

 ビビアンはサクセスを心配するあまり、村を飛び出そうとした。
 だが、それを見た父親に止められると、口論の末、ビビアンは一ヵ月だけ待つ事を父親に約束する。

 しかし、なぜあれだけ不安になっていたビビアンが待つ事を許容したのか?

 それは父親の話を聞いて、ビビアンは自身が勇者である事を知り、そして、その力がサクセスを苦しめていた事に気付いたからだ。

 とはいえ、ビビアンの感じる不安は余りに大きすぎる。
 気が気でない日々が続く毎日。
 ビビアンにとって、1ヶ月はあまりに長すぎたのだ。

 しかし、遂にその日は来た。

 その日はビビアンの16回目の誕生日。

 ビビアンは直ぐにでもサクセスを探しに飛び出そうとするが、家を出た先には立派な馬車が停まっていた。

 そして、その馬車から一人の魔術師が降りてくる。

「お迎えにあがりました、勇者ビビアン様。さぁ、王様が待っています。この馬車にお乗りください。」

 その者の名はシャナク。

 ビビアンのいる国で最も王に信頼されている賢者である。

 この者との出会いが、ビビアンの旅の始まりだった。


 
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