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第一章:アナザーニューワールド

22 致命的ミス

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 悲劇は起きてしまった。
 原因は明確。俺がブライアンの行動を制限した結果だ。

 この世界は弱肉強食。
 それを理解しているブライアンと、理解できない俺では、そもそもの思考回路から違う。
 無能な者ほど、有能な者の行動を理解できない。
 そして、認めることもできない。
 この世界で生きるには、俺はあまりに無能過ぎた。

 許せねぇ……。
 何が許せないって自分がだ!
 俺はバカか! いや大バカだ。

 なんでブライアンの好きにさせなかったんだ!
 うまくいってたじゃないか!
 何度も……何度も命を助けてもらっておいて……
 守られるのが当たり前に思っていて……。
 俺はなんて無能なんだ! なんで俺はこんなに弱いんだよ!!


「ブライアン……お前だけは何とか助けて見せる! 俺に何ができるかはわからないが、俺の命を全てベットしてでも助けてやる!」


 俺は力強くそう叫ぶと、草の茂みに向かって走り出した。


「逃げても無駄だ、この森から出ることは叶わぬ!!」


 シロクマはそういうと、数歩で追いつき、俺が逃げた場所を草ごと踏みつぶした。
 しかし、俺は持ち前の動体視力で、シロクマの動きを観察し、その踏みつぶしの範囲から避ける。

 結果、シロクマの視界からは俺の姿は見えない。
 俺は時間を稼ぎつつ、見つからないようにブライアンが吹き飛んだ方に向かおうと考えていた。


「ふん、潰した感触がないな、どこにいる? 出てこい!」


 シロクマは怒声をあげながら血眼になって探すが、俺はその足の直ぐ横の茂みにいるため、死角となっていて見つからない。

 よしバレていないぞ、ここからが正念場だな。
 ブライアン……頼むから生きててくれ。

 俺は恐怖から来る激しい心拍を押さえつけ、呼吸を乱さないように息を潜める。
 しかしシロクマはその場から一向に動く気配がない   
 その場でじーっと耳を澄ませ、聴覚と嗅覚で俺を探していた。


「臭うな、人臭いぞ。まだ近くにいるのだろう、出てこい。」


 くそ、こいつが動かなければ俺も動けない。
 何か手はないのか?
 早くしないとブライアンが……。

 その時突然、シロクマの後ろから…


「臭うってのは俺っちの事か? さっきニンニクニンジン食ったからなバーロー。」


 あいつの声が聞こえるのであった。
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