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エピローグ
19 未来に向けて
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「まぁいい。とりあえず、なぜかわからんが二人ともビショビショだし、一旦俺の家に来いよ。これから一緒に旅立つならフェイルにも話を通さないといけないからな。」
「もちろんそのつもりだ。それに俺は……もう城には戻らない。今この瞬間をもって俺は王子をやめる。ここから私はただの一人の男になる。」
ローズは、カリーに付いて行くために、身分も名前も捨てようとしていた。
それならば、当然自分もそうしなければならない。
そう決意していたシルクだが、次の言葉に思わず突っ込んでしまう。
「そうか。じゃあもうお前に気を遣わないでもよさそうだな。」
「はっ? お前のどこが私に……いや俺っちに気を遣ったいうんだよ。」
「ぷはっ!! なんだよ、その言葉。お前誰だよ。おかしすぎるだろ。」
「うるさい。これからはただの人になるんだ。少しづつ言葉遣いを変えなければ旅に支障がでるだろが。勇者様が国の王子を連れていくなんてできるはずがない。名前だってこのままじゃまずいだろう……そうだな、ローズの未来も連れていくなら……ソレイユにするか。」
いきなりこの場で自分の名前を決めるシルク。
ローズですら、自分の名前をどうするか決めかけていたのだが、シルクの決断は早かった。
しかし、その名前に疑問を呈するカリー。
ソレイユという名前では全く変わっていないと思ったのだ。
「ソレイユって家名じゃないか。意味なくないか、それ?」
「いや、家名としてその名は使えない。だが、子供にソレイユと名付ける親は結構多いみたいだぞ。私……いや、俺っちが昔に見た演劇では、農家の息子が同じ名前だった……でがす。」
「ふ~ん、そういうもんなのか。俺にはよくわからんが……って、ぷぷっ!! 本当に何なんだよその言葉は。俺っちに、ガスだって? どこの田舎もんだよ。あははは! 笑わせ過ぎだぞ、お前。」
「笑いたければ笑え! と、とにかく早く勇者様に会いに行くでがす!!」
「あははは! そうだな。んじゃ行こうぜ! シルク……いやソレイユ!」
その言葉を最後に、二人は肩を組んで笑い合いながらカリーの家に向かうのであった。
その時、ふと二人はなぜか懐かしい視線を感じて同時に振り返る。
そこには、二人が守りたかった笑顔を浮かべて、二人を笑いながら見守るローズがいる気がした。
しかし、二人の目にローズは映らない。
不思議に感じた二人は、お互いを見つめ合う。
確かに二人は感じていた。
ローズの存在を。
だがそれを二人が口にする事はない。
そして視線を前に戻した二人は、再び歩み始める。
三人の夢と未来に向けて……。
そんな二人の新たな決意と旅立ちを、ローズもまたどこからか見守っていたのかもしれない。
おしまい
このお話は
最弱装備でサクセス 第四部
で話がつながります。
「もちろんそのつもりだ。それに俺は……もう城には戻らない。今この瞬間をもって俺は王子をやめる。ここから私はただの一人の男になる。」
ローズは、カリーに付いて行くために、身分も名前も捨てようとしていた。
それならば、当然自分もそうしなければならない。
そう決意していたシルクだが、次の言葉に思わず突っ込んでしまう。
「そうか。じゃあもうお前に気を遣わないでもよさそうだな。」
「はっ? お前のどこが私に……いや俺っちに気を遣ったいうんだよ。」
「ぷはっ!! なんだよ、その言葉。お前誰だよ。おかしすぎるだろ。」
「うるさい。これからはただの人になるんだ。少しづつ言葉遣いを変えなければ旅に支障がでるだろが。勇者様が国の王子を連れていくなんてできるはずがない。名前だってこのままじゃまずいだろう……そうだな、ローズの未来も連れていくなら……ソレイユにするか。」
いきなりこの場で自分の名前を決めるシルク。
ローズですら、自分の名前をどうするか決めかけていたのだが、シルクの決断は早かった。
しかし、その名前に疑問を呈するカリー。
ソレイユという名前では全く変わっていないと思ったのだ。
「ソレイユって家名じゃないか。意味なくないか、それ?」
「いや、家名としてその名は使えない。だが、子供にソレイユと名付ける親は結構多いみたいだぞ。私……いや、俺っちが昔に見た演劇では、農家の息子が同じ名前だった……でがす。」
「ふ~ん、そういうもんなのか。俺にはよくわからんが……って、ぷぷっ!! 本当に何なんだよその言葉は。俺っちに、ガスだって? どこの田舎もんだよ。あははは! 笑わせ過ぎだぞ、お前。」
「笑いたければ笑え! と、とにかく早く勇者様に会いに行くでがす!!」
「あははは! そうだな。んじゃ行こうぜ! シルク……いやソレイユ!」
その言葉を最後に、二人は肩を組んで笑い合いながらカリーの家に向かうのであった。
その時、ふと二人はなぜか懐かしい視線を感じて同時に振り返る。
そこには、二人が守りたかった笑顔を浮かべて、二人を笑いながら見守るローズがいる気がした。
しかし、二人の目にローズは映らない。
不思議に感じた二人は、お互いを見つめ合う。
確かに二人は感じていた。
ローズの存在を。
だがそれを二人が口にする事はない。
そして視線を前に戻した二人は、再び歩み始める。
三人の夢と未来に向けて……。
そんな二人の新たな決意と旅立ちを、ローズもまたどこからか見守っていたのかもしれない。
おしまい
このお話は
最弱装備でサクセス 第四部
で話がつながります。
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