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エピローグ
18 同じ人を愛した男達
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ーーそして
「ありがとうシルク。全て思い出したよ。あいつの想いも、あいつが何を願っていたのかも。そうだな、確かにローズは生きている、俺の夢が続く限り、あいつはいつまでも俺の傍にいる。そうだろ? ローズ……。」
カリーは手に残る温もりに向けて尋ねた。
しかし既にそこにはない温もりは、何も答えてはくれない。
だが、代わりにシルクがそれに答えた。
「あぁ……。お前と……そして私の夢が続く限りはな。だから共に行こう、そして夢の続きを俺達がローズに見せてやるんだ」
シルクは強い決意を込めてそう答える。
しかし、その言葉にカリーは違和感をおぼえた。
「それ、どういう意味だ? なんでお前の夢が関係するんだ?」
「私は決めた。妹の夢を果たす事を俺の夢にするとな。つまり、お前の夢はもうお前だけの夢じゃない。それは俺の夢であり、ローズの夢だ。だから俺は、今の身分と名前を捨てる。そしてこれからは、俺がローズに代わってお前に付いて行くつもりだ。例え勇者様に拒否されようとも、必ずな。お前の夢の続きを、私とローズにも見せてくれ。いや、一緒に見るんだよ、カリー!」
シルクの熱い瞳がカリーを見据えると、カリーはその瞳に愛していたローズの面影を見る。
そこにカリーは、確かにローズを感じた。
「わかった。俺は忘れない、絶対に忘れない。俺の夢も、ローズの夢も……そしてローズを愛した記憶も!! だから、俺は進むぞシルク。お前がついて来るというなら、ついてくればいい。そして見届けてくれ、俺達の夢の先を!」
その言葉を聞き、シルクはカリーの手を取って力強く握る。
「これは同じ者を愛した男同士の約束だ、カリー。二人でローズに誓おう。今度こそ必ず約束を守ると。そして弱者が守られる世界にすると!」
「あぁ、男の約束だ。ってお前、まさかローズの事を女性として愛していたわけじゃないだろうな?」
「そんなわけないだろ。だが、ローズよりいい女に出会った事がないのは事実だがな。ははっ。」
意味深に乾いた笑みを浮かべるシルク。
そんなシルクに若干引きつつも、カリーは話を続けた。
「ありがとうシルク。全て思い出したよ。あいつの想いも、あいつが何を願っていたのかも。そうだな、確かにローズは生きている、俺の夢が続く限り、あいつはいつまでも俺の傍にいる。そうだろ? ローズ……。」
カリーは手に残る温もりに向けて尋ねた。
しかし既にそこにはない温もりは、何も答えてはくれない。
だが、代わりにシルクがそれに答えた。
「あぁ……。お前と……そして私の夢が続く限りはな。だから共に行こう、そして夢の続きを俺達がローズに見せてやるんだ」
シルクは強い決意を込めてそう答える。
しかし、その言葉にカリーは違和感をおぼえた。
「それ、どういう意味だ? なんでお前の夢が関係するんだ?」
「私は決めた。妹の夢を果たす事を俺の夢にするとな。つまり、お前の夢はもうお前だけの夢じゃない。それは俺の夢であり、ローズの夢だ。だから俺は、今の身分と名前を捨てる。そしてこれからは、俺がローズに代わってお前に付いて行くつもりだ。例え勇者様に拒否されようとも、必ずな。お前の夢の続きを、私とローズにも見せてくれ。いや、一緒に見るんだよ、カリー!」
シルクの熱い瞳がカリーを見据えると、カリーはその瞳に愛していたローズの面影を見る。
そこにカリーは、確かにローズを感じた。
「わかった。俺は忘れない、絶対に忘れない。俺の夢も、ローズの夢も……そしてローズを愛した記憶も!! だから、俺は進むぞシルク。お前がついて来るというなら、ついてくればいい。そして見届けてくれ、俺達の夢の先を!」
その言葉を聞き、シルクはカリーの手を取って力強く握る。
「これは同じ者を愛した男同士の約束だ、カリー。二人でローズに誓おう。今度こそ必ず約束を守ると。そして弱者が守られる世界にすると!」
「あぁ、男の約束だ。ってお前、まさかローズの事を女性として愛していたわけじゃないだろうな?」
「そんなわけないだろ。だが、ローズよりいい女に出会った事がないのは事実だがな。ははっ。」
意味深に乾いた笑みを浮かべるシルク。
そんなシルクに若干引きつつも、カリーは話を続けた。
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