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エピローグ
10 葬儀
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現在王都では、ローズを含む多くの戦死者の魂を弔う為、盛大な葬儀が執り行われていた。
今回の事件で特に多くの死者を出したのは貧民街の住人であり、その多くが悲しみにくれ、亡くなった者達が天国に行く事を願っている。
だが、そんな彼らはその葬儀には参列できない。
今回の葬儀はあくまでローズの為のものであり、貧民街で亡くなった者を弔うものではなかった。
それでもシルクの強い嘆願により、亡くなったロイヤルガードの葬儀も合わせて行う事にはなったのだが……あくまでそれはおまけのようなもの。
ロイヤルガードですらその扱いなのだから、亡くなった一般の兵士や冒険者、そして貧民街に住む住人がそこで弔われる事などありえるはずもない。
結果、葬儀の参列者は死者が出なかった富裕層に住む者や貴族達で占めており、貧民街どころか商業区に住む者すら葬儀に参加することはできなかった。
そういった理由から、貧民街で亡くなった者達は、午前中にギルド主導で商業区画の大広場で簡略的な葬儀を行うこととなる。
ギルド職員達は、街の中央の広場で遺体を燃やすと、残った骨を遺族が引き取り、燃えた骨を各自持ち帰る……そんな簡素な葬式であるが、残された遺族にとってはせめてもの救いとなった事は言うまでもないだろう。
今回の事件により、働き手が亡くなってしまった家族や寝る場所が無くなった家族も多い。
深い悲しみと共に様々な不安を胸にする貧民街の住人達であったが、今日だけはその全てを忘れ、亡くなった者達の冥福を祈った。
そして、自分達の葬儀が全て終わった後、誰に言われるでもなく、貧民街の住人や商業区画に住む住人達は、揃ってローズの葬儀場に足を運ぶ。
当然入れないという事を誰もがわかってはいたが、それでも誰にでも優しく、差別なく接してくれたローズの冥福を祈りたかったのだ。そんな思いが貧民街や商業区の者達をここに集めさせ、ローズの葬儀場の周囲は多くの住人でごった返していた。
それだけローズという存在は、身分分け隔てなく全ての者に広く愛されていたということである。
今回の事件で特に多くの死者を出したのは貧民街の住人であり、その多くが悲しみにくれ、亡くなった者達が天国に行く事を願っている。
だが、そんな彼らはその葬儀には参列できない。
今回の葬儀はあくまでローズの為のものであり、貧民街で亡くなった者を弔うものではなかった。
それでもシルクの強い嘆願により、亡くなったロイヤルガードの葬儀も合わせて行う事にはなったのだが……あくまでそれはおまけのようなもの。
ロイヤルガードですらその扱いなのだから、亡くなった一般の兵士や冒険者、そして貧民街に住む住人がそこで弔われる事などありえるはずもない。
結果、葬儀の参列者は死者が出なかった富裕層に住む者や貴族達で占めており、貧民街どころか商業区に住む者すら葬儀に参加することはできなかった。
そういった理由から、貧民街で亡くなった者達は、午前中にギルド主導で商業区画の大広場で簡略的な葬儀を行うこととなる。
ギルド職員達は、街の中央の広場で遺体を燃やすと、残った骨を遺族が引き取り、燃えた骨を各自持ち帰る……そんな簡素な葬式であるが、残された遺族にとってはせめてもの救いとなった事は言うまでもないだろう。
今回の事件により、働き手が亡くなってしまった家族や寝る場所が無くなった家族も多い。
深い悲しみと共に様々な不安を胸にする貧民街の住人達であったが、今日だけはその全てを忘れ、亡くなった者達の冥福を祈った。
そして、自分達の葬儀が全て終わった後、誰に言われるでもなく、貧民街の住人や商業区画に住む住人達は、揃ってローズの葬儀場に足を運ぶ。
当然入れないという事を誰もがわかってはいたが、それでも誰にでも優しく、差別なく接してくれたローズの冥福を祈りたかったのだ。そんな思いが貧民街や商業区の者達をここに集めさせ、ローズの葬儀場の周囲は多くの住人でごった返していた。
それだけローズという存在は、身分分け隔てなく全ての者に広く愛されていたということである。
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