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第三部 オーブを求めて
第八十五話 災禍の渦潮
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ガン! ガン! ガン! ガン!
突如船内に鳴り響く、激しい鐘の音。
まだ日も明けぬ早朝であったのもあり、爆睡していた俺も、流石にその音に飛び起きた。
「うおっ! なんだなんだ?」
俺は直ぐに装備を着用し、甲板に向かって走っていく。
「緊急! 緊急! 航路上に多数の敵影発見!」
「繰り返す! 緊急! 緊急! 航路上に多数の敵影発見! 船員達は直ぐに戦闘準備を開始せよ!」
外に行く間に、船内に響いたアナウンスで状況を理解する。
ここまで一度も魔物との戦闘が無かったわけだが、どうやら遂に現れたらしい。
甲板まで出ると、既にイモコは周りにいる船員達に指示を飛ばしていた。
「魔力砲台の配置につけ! そして状態の確認の後、指示があるまで待機! 緊急舵場にも、半分の呪術師を充てろ! 物見台! 現在見える範囲で敵の数と種類を随時報告せよ!」
鬼気迫る勢いで、船員達に指示するイモコ。
言葉遣いも、ゴザル語ではなく普通に変わっていた。
そして、俺に気付いたイモコはすぐに駆け寄ってくる。
「師匠!! 起きてくれたでござるか! 朝からうるさくして申し訳ないでござるよ。」
俺の前まで来ると、イモコは普段通りに戻った。
だが、顔にはまだ焦りが見える。
そんなにやばい状況なのだろうか?
「そんな事は気にしないでいい。それより、状況を教えてくれ。」
「御意! 現在この船の航路上に【ギガロドン】と呼ばれる超大型のサメモンスターが迫っているでござる。物見台からの報告だと、それに引きつられて【バラバラクーダ】や「ギガントマーマン】等も向かってきているようでござる。」
ふむふむ。
名前を聞くと凄く強そうであるが、正直、どの程度危険なのか全くわからないな。
だけど、イモコがこれだけ焦るってことは、かなりやばいってことだ。
「それで、それはどの位危険な状態なんだ? イモコ」
「カリー殿!? 援軍、忝い(かたじけない)でござる。」
俺とイモコが話していると、いつの間にかカリーが俺の横に来て、イモコに質問した。
すぐ横を見ると、ゲロゲロもカリーと一緒に来たみたいである。
俺が飛び起きたのを知って、ゲロゲロも急いで俺のところまできたのだろう。
「それはいいから、説明してくれ。俺もサクセスも敵の情報がわからないと戦いづらい。」
「ゲロロン?(敵? 戦闘?)
「ギガロドンは体長30メートルはある化け物でござるよ。小さい船なら丸呑みされるほど、危険な魔物でござる。正直、この船の魔力砲では傷一つつけられない程の厄災級でござる。そして、それに引きつられた魔物達も、一体で船を沈める程の力をもった魔物達にござるよ。どうやら、まだ視認はできていないでござるが、航路上に災禍の渦潮が現れていたようでござるな。」
「災禍の渦潮?」
「そうでござる。それは、古より強大な水棲モンスターが溢れ出てくる渦潮であり、付近全てを破壊する凶悪なものにござるよ。100年に一度現れると、云い伝えでは聞いていたでござるが、まさか生きている内に遭遇することになるとは思わなかったでござる。」
俺の疑問にイモコは答えた。
災禍の渦潮ねぇ。
なんで、そんなヤバイのと遭遇しちまったんだろうか。
まぁ、今はそんな事を考えてもしょうがない。
「なぁ……サクセス。」
「あぁ、腕がなるなカリー。」
しかし、俺とカリーは、その絶望的な状況になぜかワクワクしていた。
だってそうだろ?
ここまで散々厳しい訓練をしてきた。
その成果を発揮する場所が向こうから訪れてくれたんだ。
ワクワクしないわけがないだろ?
「師匠? カリー殿?」
「イモコ。災禍の渦潮は俺達に任せておけ。それよりも戦闘の余波を受けないように退避してて欲しい。」
「サクセス。船の守りはどうする?」
「大丈夫だ。ここには、ゲロゲロとシロマがいる。それにイモコとこの船の武装があれば、漏れた敵くらいはどうにかしてくれるだろ? なぁイモコ? できるか?」
「で、できるでござる! やるでござるよ! どういうわけか、これだけの絶望的な状況なのに、二人を見てたら全く不安が無くなったでござる。」
「それはいい事だ。焦りは危険を呼ぶ。ある程度リラックスしていた方が、いい結果は生まれるっだったよな? カリー。」
「あぁ、そうだ。こんな時程、冷静に、そして情熱的に行動しろ。だが、油断だけはするなよ。本当の敵は、自分の中にある。まぁ今まで散々俺が言ってきた言葉だ。もう二人は十分理解しているだろ?」
「そ、そのとおりでござる。では、某は準備をするでござる!」
そういうと、イモコは俺達を置いて、直ぐに船員達に新しい指示を飛ばし始めた。
すると、そこにシロマも遅れてやってくる。
「すみません、少し遅くなりました。」
「あぁ、大丈夫だ。もうわかっていると思うが、間もなくモンスターと戦闘になる。シロマとゲロゲロはこの船に残って、俺達が討ち漏らした敵から船を守って欲しい。」
「わかりました。ですが……無理はしないで下さい。傷ついたらすぐに戻ってきて下さいね。回復しますので。」
「ゲロロ!(お留守番……嫌!)」
シロマは直ぐに俺の指示に従ってくれるみたいだが、ゲロゲロは不服のようだ。
正直、空を飛べるゲロゲロと一緒なら戦いやすいのは事実。
しかしそうすると、この船の防衛が危うくなる。
それに万が一の事があった時、ゲロゲロが残っていれば、何とかなる可能性も高い。
故に、連れて行くわけにはいかない。
「わかってくれゲロゲロ。お前が最後の防衛線なんだ。もしも、俺達が本当に危険なら知らせる。その時は、必ず俺達を助けてくれ。お前が残ってくれるからこそ、俺達は全力で戦えるんだ。」
諭すようにゲロゲロに伝える俺。
そして、俺の話を聞いて、なんとか納得してくれたようだ。
「ゲロ! ゲロロオン!(わかった! でも終わったら、絶対マグロ食べさせて!)
「あぁ、カリーにどでかいの釣ってもらうように俺からお願いしておくよ。ありがとう、ゲロゲロ。」
「あぁ? 俺に何を頼む気だよ?」
「ゲロゲロがお留守番をする代わりに、戦いが終わったら、たらふくマグロを食わせてほしいってさ。ということで、頼んだぞ、釣り仙人!」
「はぁぁ? 誰が仙人だよ!? まぁいいぜ、釣ってやるよ! あそこにいる化け物クラスのマグロをな!」
俺達の作戦会議が終わると、丁度船が停まった。
イモコの指示で、俺達が殲滅するまで一時停船して、防衛体制を築くようだ。
これより、サムスピジャポン前のラストバトルが始まる。
突如船内に鳴り響く、激しい鐘の音。
まだ日も明けぬ早朝であったのもあり、爆睡していた俺も、流石にその音に飛び起きた。
「うおっ! なんだなんだ?」
俺は直ぐに装備を着用し、甲板に向かって走っていく。
「緊急! 緊急! 航路上に多数の敵影発見!」
「繰り返す! 緊急! 緊急! 航路上に多数の敵影発見! 船員達は直ぐに戦闘準備を開始せよ!」
外に行く間に、船内に響いたアナウンスで状況を理解する。
ここまで一度も魔物との戦闘が無かったわけだが、どうやら遂に現れたらしい。
甲板まで出ると、既にイモコは周りにいる船員達に指示を飛ばしていた。
「魔力砲台の配置につけ! そして状態の確認の後、指示があるまで待機! 緊急舵場にも、半分の呪術師を充てろ! 物見台! 現在見える範囲で敵の数と種類を随時報告せよ!」
鬼気迫る勢いで、船員達に指示するイモコ。
言葉遣いも、ゴザル語ではなく普通に変わっていた。
そして、俺に気付いたイモコはすぐに駆け寄ってくる。
「師匠!! 起きてくれたでござるか! 朝からうるさくして申し訳ないでござるよ。」
俺の前まで来ると、イモコは普段通りに戻った。
だが、顔にはまだ焦りが見える。
そんなにやばい状況なのだろうか?
「そんな事は気にしないでいい。それより、状況を教えてくれ。」
「御意! 現在この船の航路上に【ギガロドン】と呼ばれる超大型のサメモンスターが迫っているでござる。物見台からの報告だと、それに引きつられて【バラバラクーダ】や「ギガントマーマン】等も向かってきているようでござる。」
ふむふむ。
名前を聞くと凄く強そうであるが、正直、どの程度危険なのか全くわからないな。
だけど、イモコがこれだけ焦るってことは、かなりやばいってことだ。
「それで、それはどの位危険な状態なんだ? イモコ」
「カリー殿!? 援軍、忝い(かたじけない)でござる。」
俺とイモコが話していると、いつの間にかカリーが俺の横に来て、イモコに質問した。
すぐ横を見ると、ゲロゲロもカリーと一緒に来たみたいである。
俺が飛び起きたのを知って、ゲロゲロも急いで俺のところまできたのだろう。
「それはいいから、説明してくれ。俺もサクセスも敵の情報がわからないと戦いづらい。」
「ゲロロン?(敵? 戦闘?)
「ギガロドンは体長30メートルはある化け物でござるよ。小さい船なら丸呑みされるほど、危険な魔物でござる。正直、この船の魔力砲では傷一つつけられない程の厄災級でござる。そして、それに引きつられた魔物達も、一体で船を沈める程の力をもった魔物達にござるよ。どうやら、まだ視認はできていないでござるが、航路上に災禍の渦潮が現れていたようでござるな。」
「災禍の渦潮?」
「そうでござる。それは、古より強大な水棲モンスターが溢れ出てくる渦潮であり、付近全てを破壊する凶悪なものにござるよ。100年に一度現れると、云い伝えでは聞いていたでござるが、まさか生きている内に遭遇することになるとは思わなかったでござる。」
俺の疑問にイモコは答えた。
災禍の渦潮ねぇ。
なんで、そんなヤバイのと遭遇しちまったんだろうか。
まぁ、今はそんな事を考えてもしょうがない。
「なぁ……サクセス。」
「あぁ、腕がなるなカリー。」
しかし、俺とカリーは、その絶望的な状況になぜかワクワクしていた。
だってそうだろ?
ここまで散々厳しい訓練をしてきた。
その成果を発揮する場所が向こうから訪れてくれたんだ。
ワクワクしないわけがないだろ?
「師匠? カリー殿?」
「イモコ。災禍の渦潮は俺達に任せておけ。それよりも戦闘の余波を受けないように退避してて欲しい。」
「サクセス。船の守りはどうする?」
「大丈夫だ。ここには、ゲロゲロとシロマがいる。それにイモコとこの船の武装があれば、漏れた敵くらいはどうにかしてくれるだろ? なぁイモコ? できるか?」
「で、できるでござる! やるでござるよ! どういうわけか、これだけの絶望的な状況なのに、二人を見てたら全く不安が無くなったでござる。」
「それはいい事だ。焦りは危険を呼ぶ。ある程度リラックスしていた方が、いい結果は生まれるっだったよな? カリー。」
「あぁ、そうだ。こんな時程、冷静に、そして情熱的に行動しろ。だが、油断だけはするなよ。本当の敵は、自分の中にある。まぁ今まで散々俺が言ってきた言葉だ。もう二人は十分理解しているだろ?」
「そ、そのとおりでござる。では、某は準備をするでござる!」
そういうと、イモコは俺達を置いて、直ぐに船員達に新しい指示を飛ばし始めた。
すると、そこにシロマも遅れてやってくる。
「すみません、少し遅くなりました。」
「あぁ、大丈夫だ。もうわかっていると思うが、間もなくモンスターと戦闘になる。シロマとゲロゲロはこの船に残って、俺達が討ち漏らした敵から船を守って欲しい。」
「わかりました。ですが……無理はしないで下さい。傷ついたらすぐに戻ってきて下さいね。回復しますので。」
「ゲロロ!(お留守番……嫌!)」
シロマは直ぐに俺の指示に従ってくれるみたいだが、ゲロゲロは不服のようだ。
正直、空を飛べるゲロゲロと一緒なら戦いやすいのは事実。
しかしそうすると、この船の防衛が危うくなる。
それに万が一の事があった時、ゲロゲロが残っていれば、何とかなる可能性も高い。
故に、連れて行くわけにはいかない。
「わかってくれゲロゲロ。お前が最後の防衛線なんだ。もしも、俺達が本当に危険なら知らせる。その時は、必ず俺達を助けてくれ。お前が残ってくれるからこそ、俺達は全力で戦えるんだ。」
諭すようにゲロゲロに伝える俺。
そして、俺の話を聞いて、なんとか納得してくれたようだ。
「ゲロ! ゲロロオン!(わかった! でも終わったら、絶対マグロ食べさせて!)
「あぁ、カリーにどでかいの釣ってもらうように俺からお願いしておくよ。ありがとう、ゲロゲロ。」
「あぁ? 俺に何を頼む気だよ?」
「ゲロゲロがお留守番をする代わりに、戦いが終わったら、たらふくマグロを食わせてほしいってさ。ということで、頼んだぞ、釣り仙人!」
「はぁぁ? 誰が仙人だよ!? まぁいいぜ、釣ってやるよ! あそこにいる化け物クラスのマグロをな!」
俺達の作戦会議が終わると、丁度船が停まった。
イモコの指示で、俺達が殲滅するまで一時停船して、防衛体制を築くようだ。
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