206 / 397
第三部 オーブを求めて
第四十九話 イモコ果てる
しおりを挟む
「シロマ!!」
「はい! エクスヒーリング」
リングに駆け寄ったシロマが、穴に向かって回復魔法を唱えた。
しばらくすると、穴からイモコがよじ登ってくる。
「今のは流石に死んだと思ったでござる。流石師匠でござる……よ。」
「おい、大丈夫かイモコ? すまない、つい、本気で振り落としちまった。」
「いえ、むしろありがたいでござるよ。素晴らしい稽古でござった。」
「サクセスさん、大丈夫です。多分、全身の骨が砕けて瀕死だったようですが、かなり回復しています。」
それって大丈夫なの?
つか、普通に死んでない?
「ありがたいでござる。素晴らしい回復魔法でござるよ。」
「あ、あぁ……。まぁ、大丈夫ならいいんだけど。ところで、イモコ! お前強いな!! 思っていたよりも何倍も強いぞ!」
「いえ、某はまだまだでござるよ。師匠がかなり手加減していたのはわかっていたでござる。全く歯が立たなかったでござる。」
「いやいや、十分だよ。というか、最後の技なんだ? あれはまじでビビったぞ。」
「あれは、某の最終奥義でござる。天封剣で鞘にエネルギーを溜めて爆発させ、それと同時に同じく溜めた力で相手を斬るスキルでござる。」
「なるほど、でも俺はイモコの場所がわからなかった。あれはなんだ?」
「それは、某の隠しアイテムで1秒だけ姿を消す【消人丸薬】を飲んだからでござる。流石に師匠相手に隙を作るにはそれしかないと思ったにござるよ。」
すっげぇぇぇ!
イモコすっげぇぇぇ!
俺はステータスが高いだけで、こんな戦闘技術はない。
これだけステータスに差があるにも関わらず、一瞬とは言え、イモコは俺に本気を出させた。
こいつは、まじで半端ねぇな。
「なるほどな。イモコ、一つ言っていいか?」
「なんなりと。」
「お前の戦闘技術は完成されている。俺が言う事はない。」
「そ、そんな……某はまだまだにござる!」
「あぁ、そうだ。お前の戦闘技術は一級品だが、レベルが絶対的に足りていない。だから、これから俺と一緒に戦って経験値を稼ぐんだ。まずは土台のステータスを底上げしろ。」
「そうでござるか……。確かに某の戦闘は対人が多かったでござる。モンスターもそれなりに倒してきたでござるが、ある程度レベルが上がると、中々伸びないでござるよ。」
「そうだな、だが安心しろ。俺がお前と一緒に強いモンスターと戦って、レベルを上げてやる。」
「まことでござるか!? それはありがたいでござる。」
「あぁ、だから次はゲロゲロだ。」
「え?」
「だから、モンスター戦をもう少し経験しろって言ってるんだよ。というわけで、ゲロゲロ、戦闘形態になっていいぞ。」
ゲロロ!!(ヤッターー! 僕の出番!!)
ゲロゲロはそう叫ぶと、直ぐに古龍狼の姿に変わる。
突如その場に現れた凶悪な存在。
禍々しいオーラを放ちながら、リングの上に巨大なモンスターが現れた。
突然ラスボス級のモンスターの出現に固まるイモコ。
そして、その姿を初めてみたシロマも驚いた。
「え? あれがゲロちゃん? どういうことですか? サクセスさん。」
「あれが、ゲロゲロの真の姿だ。俺とほぼ同じくらいのステータスになってる。」
「し、師匠……。流石に、ちょっと……あれは無理でござる。」
ゲロゲロの真の姿とオーラを感じて、イモコは冷や汗をかいてビビりだす。
まぁ、無理もないわな。
今のゲロゲロは普通に魔王より強い。
見ただけで敗北宣言というか、逃げたくなる気持ちもわかる。
だが、これは稽古だ!
甘い事は言わないぞ!
べ、べつにさっき、一瞬ピンチになって、シロマに格好悪いところ見せたことの仕返しじゃないからね!
「弱音を吐くな、イモコ! 俺とこれから共にするなら、ゲロゲロクラスの相手とだって戦うかもしれない。その時、お前は仲間を置いて逃げるのか?」
俺は弱気になっているイモコに活を入れた。
すると、イモコの顔に闘志が宿り始める。
「に、逃げないでござる! 立ち向かうでござる!」
「そうだ! その意気だ! 安心しろ! 死んでもシロマが何とかする。何度か死んで来い!!」
いつのまにか俺は、スパルタ教官も真っ青の鬼教官と化する。
当然、死んでもらうつもりはないが、イモコの真剣さにあてられたのだ。
それならば、それに向き合うってのが師匠ってもんだろ?
「わかったでござる!! 死ぬつもりでやるでござるよ! シロマ殿! 骨は拾ってくだされ!!」
どうやらイモコも恐慌状態から解除されたようだ。
とりあえず、本当にやばそうだったら、俺が助ける。
まぁ、頑張ってくれイモコ!
だけど、殺すつもりはないから骨は拾わないぞ!
ゲロォ!(殺るぞ!)
俺の言葉を聞いて、ゲロゲロは先ほどよりも殺気が増している。
おいおい、ゲロちゃん?
冗談だからね?
まじで殺さないでね!!
だ、大丈夫だよね?
こうしてイモコとゲロゲロによる地獄の特訓が始まった。
「はい! エクスヒーリング」
リングに駆け寄ったシロマが、穴に向かって回復魔法を唱えた。
しばらくすると、穴からイモコがよじ登ってくる。
「今のは流石に死んだと思ったでござる。流石師匠でござる……よ。」
「おい、大丈夫かイモコ? すまない、つい、本気で振り落としちまった。」
「いえ、むしろありがたいでござるよ。素晴らしい稽古でござった。」
「サクセスさん、大丈夫です。多分、全身の骨が砕けて瀕死だったようですが、かなり回復しています。」
それって大丈夫なの?
つか、普通に死んでない?
「ありがたいでござる。素晴らしい回復魔法でござるよ。」
「あ、あぁ……。まぁ、大丈夫ならいいんだけど。ところで、イモコ! お前強いな!! 思っていたよりも何倍も強いぞ!」
「いえ、某はまだまだでござるよ。師匠がかなり手加減していたのはわかっていたでござる。全く歯が立たなかったでござる。」
「いやいや、十分だよ。というか、最後の技なんだ? あれはまじでビビったぞ。」
「あれは、某の最終奥義でござる。天封剣で鞘にエネルギーを溜めて爆発させ、それと同時に同じく溜めた力で相手を斬るスキルでござる。」
「なるほど、でも俺はイモコの場所がわからなかった。あれはなんだ?」
「それは、某の隠しアイテムで1秒だけ姿を消す【消人丸薬】を飲んだからでござる。流石に師匠相手に隙を作るにはそれしかないと思ったにござるよ。」
すっげぇぇぇ!
イモコすっげぇぇぇ!
俺はステータスが高いだけで、こんな戦闘技術はない。
これだけステータスに差があるにも関わらず、一瞬とは言え、イモコは俺に本気を出させた。
こいつは、まじで半端ねぇな。
「なるほどな。イモコ、一つ言っていいか?」
「なんなりと。」
「お前の戦闘技術は完成されている。俺が言う事はない。」
「そ、そんな……某はまだまだにござる!」
「あぁ、そうだ。お前の戦闘技術は一級品だが、レベルが絶対的に足りていない。だから、これから俺と一緒に戦って経験値を稼ぐんだ。まずは土台のステータスを底上げしろ。」
「そうでござるか……。確かに某の戦闘は対人が多かったでござる。モンスターもそれなりに倒してきたでござるが、ある程度レベルが上がると、中々伸びないでござるよ。」
「そうだな、だが安心しろ。俺がお前と一緒に強いモンスターと戦って、レベルを上げてやる。」
「まことでござるか!? それはありがたいでござる。」
「あぁ、だから次はゲロゲロだ。」
「え?」
「だから、モンスター戦をもう少し経験しろって言ってるんだよ。というわけで、ゲロゲロ、戦闘形態になっていいぞ。」
ゲロロ!!(ヤッターー! 僕の出番!!)
ゲロゲロはそう叫ぶと、直ぐに古龍狼の姿に変わる。
突如その場に現れた凶悪な存在。
禍々しいオーラを放ちながら、リングの上に巨大なモンスターが現れた。
突然ラスボス級のモンスターの出現に固まるイモコ。
そして、その姿を初めてみたシロマも驚いた。
「え? あれがゲロちゃん? どういうことですか? サクセスさん。」
「あれが、ゲロゲロの真の姿だ。俺とほぼ同じくらいのステータスになってる。」
「し、師匠……。流石に、ちょっと……あれは無理でござる。」
ゲロゲロの真の姿とオーラを感じて、イモコは冷や汗をかいてビビりだす。
まぁ、無理もないわな。
今のゲロゲロは普通に魔王より強い。
見ただけで敗北宣言というか、逃げたくなる気持ちもわかる。
だが、これは稽古だ!
甘い事は言わないぞ!
べ、べつにさっき、一瞬ピンチになって、シロマに格好悪いところ見せたことの仕返しじゃないからね!
「弱音を吐くな、イモコ! 俺とこれから共にするなら、ゲロゲロクラスの相手とだって戦うかもしれない。その時、お前は仲間を置いて逃げるのか?」
俺は弱気になっているイモコに活を入れた。
すると、イモコの顔に闘志が宿り始める。
「に、逃げないでござる! 立ち向かうでござる!」
「そうだ! その意気だ! 安心しろ! 死んでもシロマが何とかする。何度か死んで来い!!」
いつのまにか俺は、スパルタ教官も真っ青の鬼教官と化する。
当然、死んでもらうつもりはないが、イモコの真剣さにあてられたのだ。
それならば、それに向き合うってのが師匠ってもんだろ?
「わかったでござる!! 死ぬつもりでやるでござるよ! シロマ殿! 骨は拾ってくだされ!!」
どうやらイモコも恐慌状態から解除されたようだ。
とりあえず、本当にやばそうだったら、俺が助ける。
まぁ、頑張ってくれイモコ!
だけど、殺すつもりはないから骨は拾わないぞ!
ゲロォ!(殺るぞ!)
俺の言葉を聞いて、ゲロゲロは先ほどよりも殺気が増している。
おいおい、ゲロちゃん?
冗談だからね?
まじで殺さないでね!!
だ、大丈夫だよね?
こうしてイモコとゲロゲロによる地獄の特訓が始まった。
0
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる