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第三部 オーブを求めて
第六話 ドワーフの嫁
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カンカンカンカンっ!!
キーーンッ! キーーンッ!
「おらぁぁ! もっと強く! 気合だ! 気合だ! 気合だ!」
「パパ! これ仕上がったよ!」
「馬鹿野郎!! どこがだ! 装備が泣いてるじゃねぇか! 最初からやり直せ!」
「はい! パパ!」
「ん? そっちはどうしたぁ? そんなんじゃだめだ! やり直し! 甘えてんじゃねぇぞ! 魂を込めてやんだよ!!」
さっきから下の階より聞こえる、ペポシの怒号が凄い。
槌で打つ金属音も凄いが、それよりもペポシの声の方がでかかった。
その声はデカいだけではなく、鬼気迫るような気迫すら感じられる。
さっきまでのペポシとは、まるで別人だ。
いったい今、下はどうなっているのだろうか?
というか、俺の装備は大丈夫なのか?
壊されたりしてないよね?
俺は、あまりに激しい声と音に不安になり、気になって下の階へ降りて見に行ったら……
「部外者は来るんじゃねぇ! 邪魔だ! 上で大人しくまっとれ!」
と怒鳴られてしまった。
元々、ペポシの顔は強面ではあったが、あれは完全に別人である。
正に鬼の形相。
ドワーフの鍛冶姿、はんぱねぇ。
怒られてしまった俺は、そのままダッシュで踵を返すが、なんだか嫌な気持ちにはならなかった。
なんでだろうか、多分、あの本気の姿が格好いいと思ったからかもしれないな。
なんにせよ、邪魔するのはよそう。
「ふぅ~。まぁしかし、確かに今まで、武器の手入れとかしてこなかったからなぁ……。今頃、トンズラは……ぷぷぷっ」
なんとなく、トンズラが熱いハンマーで叩かれているのを想像すると笑えてくる。
一体、どんな感触なんだろうなぁ……。
意外に気持ちよくなっていたりして。
とそんな事を考えながら、ぼ~っと一人でいると、階段から誰かが上がってくる音が聞こえた。
タンタンタンッ……
「あら、お客さんかしら? もしかして、ダーリンが仕事しているのはあなたの依頼?」
その女性?は俺を見るなり尋ねてくる。
小柄でずんぐりむっくりした体形に、髭がないだけで、眉毛がめちゃ太い人。
声と話し方から、何となく女性なのはわかるけど……うん、きっと女性だ。
「初めまして、私は旅の冒険者でサクセスと言います。ペポシさんのご厚意に甘えて、今晩泊めてもらう事になりました。それと、ペポシさんが鍛えている装備は、確かに私の物ですね。依頼はしてませんけど……。」
最後の一言だけは小声で、そう告げると、その女性?は口に手を当ててお上品に話し始める。
「あらあらあら、そうなの。ダーリンのお客さんで間違いなかったのね。それじゃあ、今日はうんと美味しい物作らないとねぇ。私はペポシの妻、ガチャッコよ。よろしくね、サクセスさん。」
あぁ、やっぱ奥さんだったか。
余計な事を言わなくてよかった!
まぁ、大量の食料品を抱えているんだから、奥さんだとは思ったよ。
「それは楽しみです。もしよろしければ、そこにあるお酒を使ってください。料理にも使えるお酒ですので。」
「え? お酒! あらあらあら! ほんとだわ! おいしそうだわぁ。じゃあ早速夕飯の準備するから、そこで待っててくださいね。」
俺が持ってきたお酒を見て、目を輝かせたガチャッコは、すぐさまそれを手に取って奥に消えていく。
どうやら、この奥はキッチンのようだ。
ドワーフの料理は初めてだが、なんとなくだが、味が濃そう。
でも、ちょっと楽しみでもある。
しかし、今日はラッキーだったな。
まともな飯は食えそうだし、装備は強化してくれているっぽいし……。
うん、幸先がいい。
だけど、隣の山のドラゴンってのと、そこに向かった他の冒険者が気になるな……。
キーーンッ! キーーンッ!
「おらぁぁ! もっと強く! 気合だ! 気合だ! 気合だ!」
「パパ! これ仕上がったよ!」
「馬鹿野郎!! どこがだ! 装備が泣いてるじゃねぇか! 最初からやり直せ!」
「はい! パパ!」
「ん? そっちはどうしたぁ? そんなんじゃだめだ! やり直し! 甘えてんじゃねぇぞ! 魂を込めてやんだよ!!」
さっきから下の階より聞こえる、ペポシの怒号が凄い。
槌で打つ金属音も凄いが、それよりもペポシの声の方がでかかった。
その声はデカいだけではなく、鬼気迫るような気迫すら感じられる。
さっきまでのペポシとは、まるで別人だ。
いったい今、下はどうなっているのだろうか?
というか、俺の装備は大丈夫なのか?
壊されたりしてないよね?
俺は、あまりに激しい声と音に不安になり、気になって下の階へ降りて見に行ったら……
「部外者は来るんじゃねぇ! 邪魔だ! 上で大人しくまっとれ!」
と怒鳴られてしまった。
元々、ペポシの顔は強面ではあったが、あれは完全に別人である。
正に鬼の形相。
ドワーフの鍛冶姿、はんぱねぇ。
怒られてしまった俺は、そのままダッシュで踵を返すが、なんだか嫌な気持ちにはならなかった。
なんでだろうか、多分、あの本気の姿が格好いいと思ったからかもしれないな。
なんにせよ、邪魔するのはよそう。
「ふぅ~。まぁしかし、確かに今まで、武器の手入れとかしてこなかったからなぁ……。今頃、トンズラは……ぷぷぷっ」
なんとなく、トンズラが熱いハンマーで叩かれているのを想像すると笑えてくる。
一体、どんな感触なんだろうなぁ……。
意外に気持ちよくなっていたりして。
とそんな事を考えながら、ぼ~っと一人でいると、階段から誰かが上がってくる音が聞こえた。
タンタンタンッ……
「あら、お客さんかしら? もしかして、ダーリンが仕事しているのはあなたの依頼?」
その女性?は俺を見るなり尋ねてくる。
小柄でずんぐりむっくりした体形に、髭がないだけで、眉毛がめちゃ太い人。
声と話し方から、何となく女性なのはわかるけど……うん、きっと女性だ。
「初めまして、私は旅の冒険者でサクセスと言います。ペポシさんのご厚意に甘えて、今晩泊めてもらう事になりました。それと、ペポシさんが鍛えている装備は、確かに私の物ですね。依頼はしてませんけど……。」
最後の一言だけは小声で、そう告げると、その女性?は口に手を当ててお上品に話し始める。
「あらあらあら、そうなの。ダーリンのお客さんで間違いなかったのね。それじゃあ、今日はうんと美味しい物作らないとねぇ。私はペポシの妻、ガチャッコよ。よろしくね、サクセスさん。」
あぁ、やっぱ奥さんだったか。
余計な事を言わなくてよかった!
まぁ、大量の食料品を抱えているんだから、奥さんだとは思ったよ。
「それは楽しみです。もしよろしければ、そこにあるお酒を使ってください。料理にも使えるお酒ですので。」
「え? お酒! あらあらあら! ほんとだわ! おいしそうだわぁ。じゃあ早速夕飯の準備するから、そこで待っててくださいね。」
俺が持ってきたお酒を見て、目を輝かせたガチャッコは、すぐさまそれを手に取って奥に消えていく。
どうやら、この奥はキッチンのようだ。
ドワーフの料理は初めてだが、なんとなくだが、味が濃そう。
でも、ちょっと楽しみでもある。
しかし、今日はラッキーだったな。
まともな飯は食えそうだし、装備は強化してくれているっぽいし……。
うん、幸先がいい。
だけど、隣の山のドラゴンってのと、そこに向かった他の冒険者が気になるな……。
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