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第三部 オーブを求めて
第五話 剥がされた身ぐるみ
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ペポシに続いて2階に上がっていくと、そこには人が50人位は入れそうな大部屋になっていた。
四角く大きなテーブルが6卓置かれ、一つのテーブルに着つき、8個の椅子が置かれている。
どうやら、ここが会議場兼食卓のようだ。
「おう、じゃあ嫁が帰って来るまで、適当に座ってくれや。それと、この酒は、全部貰っていいんだな?」
「え、ええ。一晩お世話になるので、それくらいはさせてください。」
「がっはっは。やっぱりおめぇは中々分かってる奴だな。まぁ少し待っててくれや、嫁が飯と酒を持ってくるからよ。おい、おめぇ達も椅子に座って待ってろや。」
ペポシはそう言うと、子供達にも椅子に座るように命令し、そしてペポシは俺が座った椅子の真向かいに座る。
「あの? 一つ聞いてもいいですか?」
「お? なんだ? 一つと言わず、何でも聞いてくれや。」
「はい、ではお言葉に甘えて。昨日も誰かこの町に来たんですか?」
俺がそう聞くと、ペポシは眉間にしわを寄せる。
「あぁ、そうだ。そいつもお前さんと同じ様に、山を越えようとして、この町に気付いて来たんだが……あいつは、俺の言う事も聞かずに山を越えようと、今朝、町を出て行った。」
「ん? 山を越えるのに、何か問題でも?」
「あぁ、まだお前さんには言ってなかったな。この山の向こうの山には恐ろしいドラゴンが住んでいる。そいつは、昔からずっとそこにいるんだ。だから、お前さんが来た方と逆側には行っちゃいけねぇ。」
ドラゴン?
確かに普通に考えるなら、ドラゴンは強敵だ。
それが現れるならば、行かない方がいいだろう。
だが、この間ドラゴンは全部倒したはず。
ならば、今はいないのでは?
「あの……。この間、人と魔物の大きな争いがマーダ神殿近郊であったんです。そのドラゴンも、その時倒されたのではないでしょうか?」
「それは俺も知っている。だが、やつはその戦いには行っていねぇ。どういうわけか、奴は向こうの山から一切出ようとしないんだ……。そして今までに、何度も討伐隊を向けたが、帰ってきた奴はいねぇ。俺の息子も……。」
なるほど。
だから、さっき子供の事を聞いた時、悲しそうな顔をしていたのか。
うーん、しかし困ったな。
これだと、俺がそこに行こうとしたら止められるかもしれないな。
「そうですか……。すいません、悪い事を聞いてしまいました。」
「いや、いいんだ。あれは、あいつが勝手に、っと、それよりもお前さんの装備をちょっと見せてくれねぇか?」
ちょっと嫌な雰囲気が流れ始めたところで、ペポシは俺の装備を見つめながら聞いて来る。
「はい、どうぞ。剣だけでいいですか?」
「あぁ、とりあえずはそれだけでいい。後で全部見せてくれ。ほほぉ……これは初めて見る武器だな。だが、手入れがなっちゃいねぇ、ダメだ。こんなのを付けてたんじゃダメだ!!」
そこで突然、ペポシが切れた。
「おとん! 落ち着いて! まずいよ、みんな。オトンがまた例の発作を!」
「パパ! 待って! せめて酒を飲んでからにして!!」
「ダメだダメだ! 酒は後だ!! おい! サクセス! 今すぐ服を全部脱げ!」
「えぇ!! ちょっといきなりどうしたんですか!?」
「サクセスさん、オトンは、装備に手入れが行き届いてないと、直さずにはいられない発作が起きるんです! すいませんが、脱いでください!」
なんじゃ、その発作は!!
先に言ってくれって、ちょ、おい!
脱がすな!
脱ぐから、ちょっとおおおお!
そのまま俺は身ぐるみを剥がされてしまい、全ての装備をペポシに奪われた。
「おし、おめぇら! この装備を全部、修繕するぞ!! 酒は後だ!!」
「えぇーーー! そんなぁ……」
「ダディ!! 勘弁してくれよぉ!」
そして、ぬののふく一枚のサクセスをその場に残し、ペポシ達は1階の鍛冶場に向かってしまうのであった。
四角く大きなテーブルが6卓置かれ、一つのテーブルに着つき、8個の椅子が置かれている。
どうやら、ここが会議場兼食卓のようだ。
「おう、じゃあ嫁が帰って来るまで、適当に座ってくれや。それと、この酒は、全部貰っていいんだな?」
「え、ええ。一晩お世話になるので、それくらいはさせてください。」
「がっはっは。やっぱりおめぇは中々分かってる奴だな。まぁ少し待っててくれや、嫁が飯と酒を持ってくるからよ。おい、おめぇ達も椅子に座って待ってろや。」
ペポシはそう言うと、子供達にも椅子に座るように命令し、そしてペポシは俺が座った椅子の真向かいに座る。
「あの? 一つ聞いてもいいですか?」
「お? なんだ? 一つと言わず、何でも聞いてくれや。」
「はい、ではお言葉に甘えて。昨日も誰かこの町に来たんですか?」
俺がそう聞くと、ペポシは眉間にしわを寄せる。
「あぁ、そうだ。そいつもお前さんと同じ様に、山を越えようとして、この町に気付いて来たんだが……あいつは、俺の言う事も聞かずに山を越えようと、今朝、町を出て行った。」
「ん? 山を越えるのに、何か問題でも?」
「あぁ、まだお前さんには言ってなかったな。この山の向こうの山には恐ろしいドラゴンが住んでいる。そいつは、昔からずっとそこにいるんだ。だから、お前さんが来た方と逆側には行っちゃいけねぇ。」
ドラゴン?
確かに普通に考えるなら、ドラゴンは強敵だ。
それが現れるならば、行かない方がいいだろう。
だが、この間ドラゴンは全部倒したはず。
ならば、今はいないのでは?
「あの……。この間、人と魔物の大きな争いがマーダ神殿近郊であったんです。そのドラゴンも、その時倒されたのではないでしょうか?」
「それは俺も知っている。だが、やつはその戦いには行っていねぇ。どういうわけか、奴は向こうの山から一切出ようとしないんだ……。そして今までに、何度も討伐隊を向けたが、帰ってきた奴はいねぇ。俺の息子も……。」
なるほど。
だから、さっき子供の事を聞いた時、悲しそうな顔をしていたのか。
うーん、しかし困ったな。
これだと、俺がそこに行こうとしたら止められるかもしれないな。
「そうですか……。すいません、悪い事を聞いてしまいました。」
「いや、いいんだ。あれは、あいつが勝手に、っと、それよりもお前さんの装備をちょっと見せてくれねぇか?」
ちょっと嫌な雰囲気が流れ始めたところで、ペポシは俺の装備を見つめながら聞いて来る。
「はい、どうぞ。剣だけでいいですか?」
「あぁ、とりあえずはそれだけでいい。後で全部見せてくれ。ほほぉ……これは初めて見る武器だな。だが、手入れがなっちゃいねぇ、ダメだ。こんなのを付けてたんじゃダメだ!!」
そこで突然、ペポシが切れた。
「おとん! 落ち着いて! まずいよ、みんな。オトンがまた例の発作を!」
「パパ! 待って! せめて酒を飲んでからにして!!」
「ダメだダメだ! 酒は後だ!! おい! サクセス! 今すぐ服を全部脱げ!」
「えぇ!! ちょっといきなりどうしたんですか!?」
「サクセスさん、オトンは、装備に手入れが行き届いてないと、直さずにはいられない発作が起きるんです! すいませんが、脱いでください!」
なんじゃ、その発作は!!
先に言ってくれって、ちょ、おい!
脱がすな!
脱ぐから、ちょっとおおおお!
そのまま俺は身ぐるみを剥がされてしまい、全ての装備をペポシに奪われた。
「おし、おめぇら! この装備を全部、修繕するぞ!! 酒は後だ!!」
「えぇーーー! そんなぁ……」
「ダディ!! 勘弁してくれよぉ!」
そして、ぬののふく一枚のサクセスをその場に残し、ペポシ達は1階の鍛冶場に向かってしまうのであった。
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