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特別編

Episode of Siroma 10

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「ありがとうございます。それでは、天空職になれるのですね?」


「もちろんじゃ。だが、その前に褒美を与えよう。ほれ、その宝箱を開けるがいい。」


 気が付くと、シロマの前に宝箱が現れている。
 

「これが……褒美ですか?」

「そうじゃ。中に入っている物を、ぬしに授けよう。」

 
 シロマは言われた通り、その宝箱を開けてみる。
 中には、綺麗な髪飾りとローブが入っていた。


【時空のローブ】 レアリティ5

 防御力 65
 スキル 亜空間バリア 時の調律 知力+50

【時空の髪飾り】 レアリティ5

 防御力 25
 スキル 次元認識 時の秒針 全ステータス+20  


「凄い……と思うのですが、まだスキルがよくわかりません。」

「ふむ、そうじゃろうて。それとぬしが持っている杖があるじゃろう? 今渡した装備は、それのセット装備じゃ。全部つける事で、時空の杖のスキルが解放されるんじゃ。どれ、そこの部屋で装備してみるがいい。」


 時空神がそう言うと、いつの間にか、人が二人くらい入れそうな着替室ができていた。
 どうやら、これも時空神の力らしい。
 シロマはためらうことなく、その着替室に入り、今貰った装備を着用する。


「着替え終わりました。ありがとうございます。」


 今回貰った装備は、シロマのサイズとピッタリであり、白を基調としたデザインがシロマには、とてもよく似合っていた。


「ふむ。よく似合っておるぞ。では、その杖の能力を見るがいい。」


【時空の杖】 レアリティ5

 攻撃力 55
 スキル 時空 時空神の加護(セット時解放)


「あ、時空神の加護というのが増えています。」


「ふむ。そうじゃろう。そのスキルについては、今は説明はできぬ。代わりにといってはなんじゃが、他のスキルについて、少し説明するかのう。」


「はい、よろしくお願いします。」


「まずは【時空】というスキルについてじゃが、これは言葉の通り、時と空間を、少しだけじゃが操れることができる魔法じゃ。活用方法はいくらでもあるが、その力は無限に使えるわけではないので、注意が必要じゃぞ。」


「具体的には、どのような事までなら可能でしょうか?」


「そうじゃなぁ、傷ついた体を傷つく前に戻したり、空にある小さな星であれば、引き寄せて落とす事もできるじゃろう。又は、風魔法に次元を付与すれば、次元を切り裂く風にもなるじゃろうな。」


 ダンブルドが、当たり前の様に説明するスキル能力。
 しかしそれは、聞いているだけで、恐ろしくなるほど強力な能力であった。
 シロマは、少し想像しただけで、震えてしまう。


「安心せぇ。そんな最初からポンポン使えんわい。まぁ慣れじゃな、慣れ。それに、使う精神力も半端ない故、当然簡単には使えん。」


「そう……でしたか。そうですよね、そんな力が自由に使えるなら、大変な事になります。」


「うむ、間違っても悪い事に使うでないぞ。次に亜空間バリアじゃが、これは、目の前に違う次元を呼び出して、攻撃をその世界に反らすスキルじゃ。今までならば絶対防げない攻撃も、これがあれば防げるじゃろう。とはいっても、これも大きな精神力を消費する故に、簡単には使えんがな。」


「はい。小さい物から使って試してみます。」


「ふむ、流石じゃな。少しづつ試すといい。後、空間認識と時の調律についてじゃが、これは時空魔法を使う為のサポートスキルであって、それ単体で何かできるものではない。簡単に言うと、ずらした時間軸を調整したり、他の次元を認識できるようになるって事じゃな。これがないと、時空魔法は使えんのじゃ。」


「なるほどです。だから時空魔法が解放されていたのに使えなかったのですね、私は、職業的なものだと思っていました。」


「いや、それであっておる。ぬしは、先ほどの問いに正解した瞬間、既に天空職【時空僧】に転職しておるのじゃ。渡した装備は、時空僧で無ければ、装備できない代物じゃて。」


 既に転職をしていると言われて、慌てて冒険者カードを確認するシロマ。


 シロマ 職業 時空僧 レベル1

 ちから   40
 体力    60
 すばやさ  20
 知力    130
 うん    30


「ほんとです! それにレベルが1になってるのに……強いです。」


「ふむそうじゃろう、これからはレベルが一つ上がる度に、今までの3倍能力が増えるから、どんどん鍛えると良いぞ。レベルは上がりづらくなるがな。」


 シロマは、それをすんなり受け入れて、3倍については質問しない。
 そのかわりに……


「わかりました。それとまだ一つだけ、説明を受けていないスキルがあります。【時の秒針】とは何でしょうか?」


「おっと、ワシとしたことがすっかり忘れとった。それも他のスキルと同じじゃ、時を進めたり、戻したりする力じゃて。だがのう、秒針でわかるように、変えられるのは数秒だけじゃ。それを間違えるでないぞ。」


 時空神の加護以外の説明を受けたシロマは、概ね、新しい職業とそのスキルを理解した。
 

(皆さんのお蔭でやり遂げました! これで……帰れます!!)


「それでは、これから元に世界に戻れるのでしょうか?」


「そうじゃ。して、いつの時に戻りたいのじゃ? わしならば、転移直後の時間軸まで戻すことができるぞ?」


 その言葉に驚くシロマ。
 しかし、少しだけ期待はしていた。
 時空を操れる神ならば、それも可能であることを。

 だが、シロマはその誘いを断る。


「いいえ、それでは他のみんなにフェアではありません。ですから……そうですね、三か月後にお願いできませんか?」


 といいつつも、最短で攻略できると言われた期間の半分を提示するシロマ。
 これこそが、転移する前に、時空と聞いて考えていた、サクセスを独占する作戦であった。


「ふぉっふぉっふぉ。強欲なのか謙虚なのかわからんのう。だが、ワシはあまのじゃくでのう。そう言われると、三か月にはしたくなくなったぞい。」


「えぇーー! そんなぁ。酷いです。」


「ふぉっふぉっふぉ。なんでもうまくいくと思ったら間違いじゃて。まぁよかろう、それでは4か月後の世界に戻してやるかのう。では、行くがよい。時を駆けよ!」


 その言葉と同時に、再びシロマは元の世界に転移させられた。
 ダンブルドが言っていたとおり、転移から四か月後の世界へ。

 こうして、イーゼ、リーチュン、シロマの三人全員が、無事に試練を乗り越え、元の世界に戻っていくのであった。 



※三人が戻った、元の世界の時間軸

 シロマ   4か月後
 リーチュン 5か月後
 イーゼ   6か月後

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