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第一部 サクセス編(改稿版)

39 ラッキースケベ

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 強制的に深い眠りにつかされた俺は、魔法の効果が切れてもまだ眠っていた。 


「そろそろ時間ですね、イーゼさん。サクセスさんを起こしてあげてください。」 

「嫌です。こんなに気持ちよさそうに寝ている殿方を起こすなんて私にはできません。」


 イーゼはうっとりした顔で俺を見ながらそれを拒否すると、意外にシロマも簡単に折れた。 


「確かにそうですね。もう少し休ませてあげてもいいかもしれません。こうして眠っているところを見ると、サクセスさんもやっぱり普通の人なんですね。なんだか可愛いです。」

「ほんとに可愛いですわ。こんな無防備な顔を見せられたらウズウズしますわ。」 

「アンタねぇ、サクセスに変な事したら絶対許さないからね!」


 寝ている俺を囲んで三人の美女が姦しくも話し合っている。
 当然、そこにはゲロゲロもいますよ?
 忘れてませんよ?

 そうこうしていると、俺の意識は戻り始めた。
 俺はうっすらと目を開けると、目の前には

 【三人の女神】

が俺の顔を微笑んで見つめている。 


「あ! 起こしちゃいました。すいません、サクセスさん。」 

「あらぁ、残念ですわ。もう少し見ていたかったですわ……。」 

「サクセス! もう体は平気なの?」 

 そして俺は、寝起きでボケていたのか、変な事を口走った。


「目の前に女神が見えるな……あぁ……ここが天国か……。」 

「め、女神だなんて言いすぎです……。」 

「違うわ、今のはアタイに言ったのよ!」 

「ふふふ、皆さん勘違いしてますわ。どう考えても今のはわたくしですわね。」

 その声に現実に戻された俺は、覚醒して飛び起きた。

 俺は今、何を口走った!?

 一気に目が覚める。


「は! ごめん、なんか夢を見ていたようだ。すまなかった! でもお蔭で大分体が軽くなったよ。頭痛も消えた、これなら直ぐに出発できる。」


 俺の言葉に三人は残念そうな顔をした。
 そして俺は誤魔化すようにゲロゲロを抱きかかえ、顔をくっつけてもふもふする。 


「ゲロゲロにも心配かけたな。もう大丈夫だ。」

「ゲロ!(よかった!)」 

「よし、じゃあ出発しよう。リーチュン、よろしく頼むな!」 

「まっかせなさぁい! 休んだ分飛ばすわよ!」


 リーチュンは自分の胸をドン叩く。 


「やめてください、そんなに急がなくても大丈夫です。早く着きすぎてもまずいですし。」 

「そうですわ、なんならサクセス様は私の後ろに乗ってくださればよろしいかと。私なら優しく馬を走らせられますわ。それに、馬の上でなら、普段できないプレイも……。」


 イーゼの言葉にピクリと反応する俺の息子。

 普段できないプレイだと?
 いやいや、そもそも俺は普通のプレイも未経験の童貞だ。
 だがしかし……気になるな。
 イーゼの後ろに変えてもいいかな? 


「ダメ! あたいがサクセスに頼まれたんだから! さっきと同じ速度で行けばいいんでしょ、わかったわよ。」 

 俺が迷っていたのを感じたのか、リーチュンは急いで馬に騎乗した。
 イーゼと変更しようか等と言えない雰囲気になった今、素直に俺はリーチュンの後ろに跨る。

 そう言えば、後ろに乗ったのは初めてだな……。
 どこを掴めばいいのだろう?
 一番掴みやすいのは、大きな二つのマシュマロだけど、流石にそれをしたら殴られるな……。 


「ほら、サクセスも早く掴まって! いくわよ!」


 俺が掴む場所を迷っていると、いきなりリーチュンが馬を走らせる。 


「うわ!! ちょ、まっ!」 


 突然走り始めたものだから、俺はその勢いで掴んでしまう……。

 マシュマロを……。

 しかも二つ同時にだ。


 むにゅ!
 もみもみもみもみ……。


 や、やめろ! 俺の手!
 やめるんだ! バイキ〇マン!

 しかし、俺の意思に反してその手は動きをやめない。
 その柔らかさは、俺の理性を暴走させるには十分過ぎた。


「あ、あん……。」


 そしてリーチュンが艶めかしい声を漏らす。
 その声で、俺の息子は更にレベルアップした。


 ムクムクムクムクっ!
 シャッキーーン!


 皮を破って限界突破だ!
 するとリーチュンが振り向いた。

 ヤバっ! 殴られる!

 そう思った俺は、すぐに手を腰に落とすと反射的に目を瞑った。
 しかしいつまで経っても俺の顔面に衝撃は来ない。

 どういうことなんだ!? 


「こ、今回だけは許すわ。でも、もっと優しくして……ね。」


 リーチュンは恥ずかしそうに小さく呟く。
 俺はその声を聞いてゆっくり目を開くと、恥ずかしそうに顔を赤くする天使がいる。

 その表情が普段とギャップが凄くて、一瞬でときめく俺。


 ズッキューーン!


 やばい、可愛すぎる。
 リーチュン、マジで天使!

 どうやらリーチュンは、許してくれたらしい。
 いきなり走りだしたから事故だと思ってくれたのだろう。
 もみもみしたのは事故じゃないんだけどね、テヘ。

 スキル【ラッキースケベ】

 はここでも健在だ。

 そうこうしながらも俺達は順調に進んで行く。
 途中、見た事がないモンスターとも遭遇したが、普通に馬で駆け抜けたら簡単に逃げることができた。
 それは、あの時リーチュンに買ってあげた髪留めのスキル【逃走確率UP】の効果かもしれない。

 でも助かるな。
 今は魔物と戦っている場合じゃない。

 戦うべきは時間……それと性欲だ。

 リーチュンの腰に回している俺の手の上には、巨大で柔らかい下乳がのしかっている。
 それが乗馬によって揺れ動くのだ。

 我慢できるわけがないだろ!

 思わず俺は、下腹部をリーチュンの桃にこすり付けてしまいそうになるのをグッと堪え続けた。

 我慢だ! 今は我慢だ!

 俺はそう言い聞かせて、必死に戦い続けている。

 だが、やはり少し負傷したみたいだ。
 その快感と呼ばれる苦しみにより、息子の目から少しだけ粘っこい涙が零れ落ちる。


 ごめん、負けちゃった……。


 そして気付けば、夜も静まる深夜に差し掛かると、目の前に高く聳え立つ塔が見えた。
 俺は馬から降りて、周囲を見渡す。 


「ようやく着いたか。灯りはあるが見張りはいなそうだ。」 

「そういえば、塔の中には結構なモンスターがいると聞きましたわ。あまり派手に暴れるとガンダッダ一味に気付かれるかもしれません。気を付けて戦いましょうサクセス様。」 

「そうだな、でも流石に音をたてずに戦うのは無理だ。でも最小限にはできる。その為に、今回は俺とゲロゲロとリーチュンで戦う。音が響くような魔法は控えてくれ。」


 イーゼは、俺の言葉に頷く。
 ワイフマンが吐いた情報だと、ガンダッダ一味は、塔の最上階を根城としているらしい。
 基本的に下の階に降りることはないようだが、外に出るときだけは塔限定で効果があるアイテムを使って降りるとのこと。
 それは結界を解く札と似ていて、その札を持っていると、塔のモンスターに襲われることが無くなるらしい。

 できればそれも欲しいところだったが、残念な事にワイフマンは持っていなかった。
 だがそれでも結界を通ることができる、十分だろう。
 あとは逃げられないように、王様の援軍を願うだけだな。

 ワイフマンから奪った札は、持つだけで結界を普通に通過できるようになるらしい。
 実際に試さない事には、それが事実かわからないが、ここまで来たら信じるしかない。
 ワイフマンではなく、俺の運と仲間との絆をだ!

 俺達はゆっくりと歩いて塔に近づいていく。
 結界は塔の前に建っているごつい石像の間から発生している。

 なんかドキドキしてきたな。

 俺は、その今にも動きそうな石像の前にくると立ち止まって再度全員に確認をする。 


「みんな覚悟はいいか?」 

「はい、大丈夫です。」 
「いつでもオッケーよ!」 
「サクセス様がいるなら、例え火の中でも迷わず飛び込みますわ。」 
「ゲロオ(早く行こう!)」


 どうやらみんなの覚悟は既に決まっているようだ。
 ならばやる事は一つだけ。
 必ずガンダッダを捕らえてみせる!

 俺は札を強く握りしめながら、先頭に立って石像の間を歩き出す。


 ほっ! よし、何もない。
 通れるぞ!


 振り返ると、札を持っていない他のメンバーも無事だった。
 どうやら成功したらしい。
 だが、これも罠かもしれない。
 油断するにはまだ早いだろう。

 慎重に進むぞ。
 作戦は……そう、いつもどおり


 【いのちだいじに】


 こうして俺達は、ガンダッタ一味が根城にしている、いにしえの塔に入るのだった。
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