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家の完成

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 夢の中で目を覚ますと一面花畑だった。色とりどりの花の中にベッドが不自然だけどあって中にやっぱりイヴが待っていた。

 でも、

「イヴ……さっきぶり……」
 と言うとやはり照れた。
 無理もない。さっきまであんな乱れたイヴを見ていたから。

「は、はい……。ルイスさん……」

「えと、僕あまり甘い言葉が出てこなかった気がするんだけどごめんね……」
 と言うとイヴは首を振り

「そ、そんなっ!と、とっても甘かったです!!私ずっと嬉しくてたまらなかった!!

 ルイスさんにこんなに愛されて大事にしてもらえて!私……凄く幸せです!!」
 と言ってくれたから抱きしめてよしよしと頭を撫でる。

「どうする?夢の中でも続きする?」
 と言うと首を振るイヴ。

「ごめんなさい。今しちゃうと……ルイスさんの生気全部吸いそうで幸せだけど怖くて……ごめんなさい」
 と少し申し訳なさそうに言う。
 アクセサリーも付けてないしね。いや付けてやっても怖い事になりそうだ。

「わかった。このまま眠ろうか。僕も凄く幸せだから大丈夫だよ」

「ありがとうございます。ルイスさん」

「うん……残りのアクセサリーは一つだけど……本当イヴには申し訳ないと思ってるよ」

「仕方ないです。サキュバス対策だから……。効果を試せるのは私ぐらいしかいないし……」

「イヴが毎回辛い目に遭うの嫌だけどね。変わってあげられたらな……」
 と頭を撫でる。

「ルイスさんが辛い目に遭わなくて良かったと私は思っていますが」
 と言うから

「こらこら。そんな事を思っていたの?イヴの方が負担が強いのに」

「ルイスさん……。私……。

 もし私がサキュバスじゃなくて普通の人間だったら……たぶんルイスさんは私なんか無視していたと思いますよ……じ、地味だし……」

「……それはわからないけどもしイヴに人間として出会っていても恋に落ちたかもしれないよ?」

「え?……で、でもそんなこと……」

「だってさ、ほとんどの女の人は僕の顔とかにしか興味ないと思うよ?

 イヴは初めて僕と会った時、全然動じなかったし。ちょっと変わっているなとは思ったけど……。

 あんな反応されたの初めてだから。少し面白かった」

「おもしろ?もうわ、私だってサキュバスとは言え女の子だし!」

「だからきっと人間として出逢ったとしても……イヴの事好きになっていたかもしれない……」

「ルイスさん……。
 わ、私は……とっても自分に自信ないから……落ちこぼれだしきっと人間だったとしても誰も見向きもされないと思ってるから。

 ルイスさんにあの日告白されて凄くびっくりしました。本の中の王子様みたいに綺麗な人だし、私の事警戒していると思ってたから」

「告白して良かった。イヴが僕の恋人になってくれて良かった」

「私こそ……お礼をたくさん言いたいです。こんなに幸せにしてくれてありがとうございます!」

「ふふふ……2人で褒めあっていると変な感じだね」

「あ……だって……」

「イヴ……家ができたら結婚してください……」

「えっ!?」
 と驚き赤くなるイヴ。

「もちろん現実でもちゃんと言うし、婚約指輪も用意するけど。もうずっと言ってるけど僕にはもうイヴしかいない。予行演習だと思って……」

 するとイヴは花で作った指輪をポンポンと用意した。

「れ、練習です……」
 と真っ赤になる。僕は手を取り指や手にキスをして花の指輪をはめていく。

 イヴは赤くなり胸を押さえ嬉しそうだ。

「僕と結婚してくれますか?」
 クスクスと少し笑い

「はい、もちろんです。私……ルイスさんの良き妻になりたいです!」
 と抱きついた。

 僕はイヴの顔中にキスをして最後に唇にキスをして横になる。

「ふふっ、幸せな夢だなあ。イヴが夢の中で僕の奥さん……」

「まだ夢ですよ?ルイスさん……」

「うん……まだ夢……。現実で家ができたら結婚だね……」
 と手を繋ぐ。

「はい……。で、でも結婚って人を招待するのですよね?料理もたくさん作らないと……」

「それは……。あまり僕は友人も少ないしまだエルフ達には嫌われているだろうしそんなにたくさんは必要ないと思うよ。小さなパーティになるかもね」
 と言うと

「それでも嬉しいですよ?ルイスさんと結婚できるなんてとっても幸せですから!」
 と言うのにグサっと可愛いが心臓に突き刺さった。

「あああ……!イヴったら。本当に可愛いっ」

 と抱きしめてキスをした。
 興奮する息子をなんとか抑えて僕とイヴは笑い手を繋ぎ眠りにつく。
 とても幸せな夢だ。

 *
 朝になり朝食を取っているとトントンと戸口から音がして戸を開けると
 そこにフーリさんが立っていた。

「久しぶりだな」

「ど、どうも」

「実は後10日程で家が完成する予定なんだ」

「結構早いですね!?」

「ああ。まあね。それで一応村で完成の祝賀会を開こうと思っている。それの相談に来たんだ」
 と言う。

「祝賀会!?そんな……。僕達のために?反対なエルフもいるのでは?」

「ああ確かにいるだろうが、前にも言った通り、わしはハーフエルフを見下さないそんな時代になって欲しいと思っている。

 賛同者も少しずつだが増えている。どうか先駆けとなってくれないか?」

「僕は構いませんが……。イヴの事は……」

「うむ……。確かにサキュバスと言う魔物である事も皆が知るが、イヴリンさんが何もしない善良なサキュバスである事はこの村ではもう広まっている」

「でも相変わらず嫌がらせに野菜とか古いのを売りつけられますがね」
 と言うとフーリさんはため息を吐き

「ああ。すまない。それも知っている。お詫びにこれを」
 とコトリと綺麗な青い石を置いた。
 中は売ると相当高価な値で売れる宝石の原石らしい。

「ブルーサファイアの原石だ。採取場所は秘密だが人間の市場で売ればかなりの額となるだろう」

「……しかし……」
 これをもらってもエルフ達の態度は変わらないかもしれない……。

「案ずるな。此度の祝賀会では君達のイメージを変えて見せよう!だから協力して欲しい!」
 と真剣なフーリさんは頭を下げた。

「ルイスさん……」

「はあ、わかりました。やるだけやってみますよ。何をしたらいいのでしょうか?」

「祝賀会では催しとして聖なる木の精霊様に認めてもらえば村の連中の意識も変わるだろう」

「精霊様?」

「ああ……エルフ族を守ってくださっているお方だ。あのお方から実を貰い、食せば友愛の証となろう」

「聖なる木って村の中心に立つ木ですよね?神聖で私はあまり近づけないのですが……」

「そうだろうね。魔を寄せ付けないからな」
 と言うのに心配になる。

「イヴになにか無いでしょうね?」

「それはわからない。精霊様がお決めになることだ」

「ええ!?」

「もし認められなかったら……?」
 とイヴがおずおずと聞くとフーリさんは

「わからん…。あの方はあまり怒ったところを見た事がないから大丈夫だとは思う」
 となんかフワッとした回答をされどうにも本当に大丈夫なのか?と心配になる。

「村で悪さをしていない者に起こるとは思えないから大丈夫だよ。きっと」
 と言うフーリさん。

「まあ精霊様に嫌われたらどの道この村には近寄らなければいいだけだ。

 逆に気に入られたらいつでも村に出入り可能。村人の印象も良くなる」

「ううん、難しそうだな。気に入られるってどうやったらいいのか……」

「おもちゃを作るのだ」
 とフーリさんが言う。

「はあ?」
 何を言ってるんだ?と思ったがフーリさんは

「精霊様はまだ若い子供みたいな姿をしていて、私たちの作るおもちゃを毎年楽しみにいていらっしゃるんだ。

 だからおもちゃの出来が良くて気に入ったら受け入れてもらえるだろう」
 と言う。

 ええええええーーーーー!?

「お、おもちゃですか。わ、私作った事ないですけど……」

「僕だってそんなもの作った事ないよ!?」
 と言うとフーリさんは

「まだ10日あまりあるので大丈夫だ」
 と適当に言って健闘を祈るとか言いながら帰って行った!!
 いや適当すぎる!子供が喜ぶ様なおもちゃなんて案外難しいぞ!?おいっ!!

 僕とイヴはおもちゃについて早急に話し合うことになった。






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