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イヴの嫉妬
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お嬢様らしき人は眠っていた。
僕は興味ないがイヴは落ち着かなさそうだ。
「すごく綺麗な顔の人……。私みたいなのとは大違いだ」
「そうかな?僕はイヴが世界一可愛いと思うけど」
と言うとイヴは照れる。
「そんな……私なんてルイスさん褒めるとこないのに褒めないでください」
とやはり謙遜する。褒めるところはたくさんあるのに。
するとパチリと目を覚ますお嬢様。ドレスは少し破けている。
「こ、ここは……。私、馬車が!魔物に!アーネスト?御者さんも……」
とパニックになり出したから僕は
「落ち着いてください!森で貴方方を見つけましたが他の二人は既に息絶えておりました。
僕たちは貴方だけでもと家にお連れしたのです。ここはエルフの村で村の者に見つかると厄介ですからお静かに」
と言うとお嬢様は
「し、死んだ……。うっ、そ、そんな」
としくしく泣き始めてイヴがトントンと背中をさする。
しばらく泣き腫らし目を赤くしたお嬢様は
「私はシルヴィア・ファン・ダーヒィト。侯爵家の娘です。領地からの帰り魔物に襲われて森まで逃げましたが別の魔物に襲われたのです……」
と語る。
「どんな魔物ですか?一応僕は魔法省に勤めております」
と言うと
「まあ!魔法省の方でしたの?」
「はい……ルイス・パワー・ホーソーンと言います。
こっちは……恋人のイヴリンです」
頭に布を巻き、尻尾を隠したイヴは頭を下げた。
「その子は平民なのかしら?」
「え、ええと……そのお……は、はい」
とイヴはおどおどした。まさかサキュバスとは言えない。
「とにかく助けていただきありがとうございました……」
「いいえ、お辛いでしょうが、侯爵家まで送りましょうか?」
と言うと首を振り
「不躾ですが今夜泊めていただけますか?明日、アーネスト達の遺体を持ち帰らないといけませんから」
と言う。
「そうですね。わかりました。今夜はお泊りください」
と言うとお嬢様は顔上げ僕の顔をジィーと見た。そして少し顔を赤くした。
「あの……ルイスさんはまだこちらの方とは結婚されて無いのですか?」
「は、はあ。まだですけど」
「そ、そうですの……。失礼しましたわ」
ともじもじする。
なんだろう?いつもの事だけど女性は僕を見てこんな態度になる。やはり苦手だ。イヴ以外の女性は。
イヴは少しムッとしていた。
寝室を開け渡して毛布を持ち僕とイヴは一階のソファーを使うことにした。
来客用に長いソファーが二つほどありそれぞれ足を伸ばせる。
でもイヴがこっちに来てむくれて抱きつく。
「イヴ?」
と聞くと
「……ルイスさん……。あのお嬢様絶対にルイスさんに気がある。どれだけモテるんですか!?」
「はあ?僕はイヴにもてさえすれば他はどうでもいいよ」
と言うと
「で、でも!貴族のお嬢様だし、綺麗だし……。わ、私を見てチラッと笑ったり……」
え?そんな事密かにしてたの?イヴの事平民目線で見てたしな。貴族の女ってくだらないプライド持ってるんだな。
「大丈夫だ。あんな女よりイヴの方が魅力あるし」
「ええっ?やはりルイスさんて趣味変かも」
と言われるがイヴも充分に変なところあるからお互い様だろう。
「とにかく眠ろう……。ちょっと狭いけど」
と肩を抱き軽くキスをして眠りについた。
*
翌朝……。
「起きなさいよ!!」
と怒鳴り声がして目を開けるとイヴもかなり怒りの形相で仁王立ちしているお嬢様にビクッとした。
「おはようございます!!」
とイヴはささっと僕から離れた。するとその代わりに僕の横に来て座る。
「うふふ、おはようございます!ルイスさん!今日は案内よろしくお願いしますね!
あ、貴方はついてこなくてもいいわ。家事とかやる事あるんでしょ?」
とイヴに冷たい目を向けた。
イヴは少しムッとした。
「い、いえ、私も行きます!ご遺体を運ぶの手伝います!」
遺体は布に包み、魔法ゲートで侯爵家まで運ぶつもりだ。確かに僕一人では大変だし、エルフにも頼めないけど。流石に女の子二人でもキツいし、なんとかマイルドを説得しようと思っていた。
「マイルドにも一応声をかけようかと思う。重いだろうし二人には辛い作業だろう」
と言うとお嬢様は
「マイルドさん?」
「はい。エルフ族の男でまあ顔見知りなのですが」
「大丈夫ですか?人間に対して警戒されてしまうのでは?」
と言う。
「確かにそうだけど、一応他のエルフ族よりは話は通じると思うよ?」
た、たぶん。
*
と言う事でファイリス達の家にやってきて戸を叩いた。他のエルフ達に見られない様にしながら来るの大変だった。
中に入り事情を説明するとファイリスは
「ふうん、わかった。なら手伝ってきたら?マイルド」
と言う。マイルドは……めっちゃくちゃ不機嫌全開だった。怖っ!!
「人間の手伝いか……。しかも人間の死体の」
と不満声。
「頼むよ。このお嬢様も従者を殺されて困っているし、他のエルフ族にも干渉しないと約束するし」
「まあ!私の気遣いをありがとうございます!ルイスさん!!」
となんかくっ付かれる。
反対側にはイヴが
「ルイスさんは優しいので放って置けないのです!それに魔法省の仕事での報告もありますし!」
とこっちも怒っている。
「……くくく。面白いね。ほらマイルド力仕事だよ!行っておいで!」
とファイリスが言うとマイルドは剥れながらも
「ファイリス様の命なら手伝ってやりますが……今夜は寝かせませんからね!」
と言うとファイリスは青ざめる。
「やはりあたしの手伝いの方が……」
「おいファイリス!!実験に協力しないぞ!!」
と言うと泣く泣く折れた。
ファイリスには可哀想だが仕方ない。
それからも板挟みになりつつ、後ろからは凄い睨まれつつ馬車の辺りに行った。
横転した馬車を魔法で起こしておく。
マイルドと持ってきた布にご遺体を一人ずつ慎重に運び丁寧に包んだ。
「うっ……ごめんなさいね。二人とも!!私だけ生き残って!!」
とお嬢様は泣き始める。
「ちっ……鬱陶しい」
とマイルドは舌打ちする。
「そう言うなよ。流石に身近な人が亡くなったのだから」
「そういえば一体どんな魔物に襲われたのですか?」
とイヴが聞くとお嬢様はふんと顔を背け僕の方に近寄り
「巨大蛇の魔物で……馬車で逃げていた時に尻尾を車輪で引いてしまい追いかけられましたの。
必死になって逃げて振り切ると別の魔物サキュバスが現れたのです!私は蹴られて気絶してしまったのです……。
二人はたぶん夢の中で生気を吸い取られて……」
と言うお嬢様。
マイルドは額に手を当てて
「またサキュバスか。やはりこの森を狙っているな。商人や旅行者も近道として使うことが多いから……」
「はい……その通りですわ」
イヴは少し目を逸らした。
イヴのせいじゃないのに。
「マイルドありがとう。それじゃお嬢様とご遺体を侯爵邸まで運び、魔法省にも報告しに行くから少し遅くなるよ」
とイヴに言うと
「は、はい。お気をつけて下さいね…」
流石にイヴは心配そうに僕にくっ付くお嬢様を見ていた。
僕は興味ないがイヴは落ち着かなさそうだ。
「すごく綺麗な顔の人……。私みたいなのとは大違いだ」
「そうかな?僕はイヴが世界一可愛いと思うけど」
と言うとイヴは照れる。
「そんな……私なんてルイスさん褒めるとこないのに褒めないでください」
とやはり謙遜する。褒めるところはたくさんあるのに。
するとパチリと目を覚ますお嬢様。ドレスは少し破けている。
「こ、ここは……。私、馬車が!魔物に!アーネスト?御者さんも……」
とパニックになり出したから僕は
「落ち着いてください!森で貴方方を見つけましたが他の二人は既に息絶えておりました。
僕たちは貴方だけでもと家にお連れしたのです。ここはエルフの村で村の者に見つかると厄介ですからお静かに」
と言うとお嬢様は
「し、死んだ……。うっ、そ、そんな」
としくしく泣き始めてイヴがトントンと背中をさする。
しばらく泣き腫らし目を赤くしたお嬢様は
「私はシルヴィア・ファン・ダーヒィト。侯爵家の娘です。領地からの帰り魔物に襲われて森まで逃げましたが別の魔物に襲われたのです……」
と語る。
「どんな魔物ですか?一応僕は魔法省に勤めております」
と言うと
「まあ!魔法省の方でしたの?」
「はい……ルイス・パワー・ホーソーンと言います。
こっちは……恋人のイヴリンです」
頭に布を巻き、尻尾を隠したイヴは頭を下げた。
「その子は平民なのかしら?」
「え、ええと……そのお……は、はい」
とイヴはおどおどした。まさかサキュバスとは言えない。
「とにかく助けていただきありがとうございました……」
「いいえ、お辛いでしょうが、侯爵家まで送りましょうか?」
と言うと首を振り
「不躾ですが今夜泊めていただけますか?明日、アーネスト達の遺体を持ち帰らないといけませんから」
と言う。
「そうですね。わかりました。今夜はお泊りください」
と言うとお嬢様は顔上げ僕の顔をジィーと見た。そして少し顔を赤くした。
「あの……ルイスさんはまだこちらの方とは結婚されて無いのですか?」
「は、はあ。まだですけど」
「そ、そうですの……。失礼しましたわ」
ともじもじする。
なんだろう?いつもの事だけど女性は僕を見てこんな態度になる。やはり苦手だ。イヴ以外の女性は。
イヴは少しムッとしていた。
寝室を開け渡して毛布を持ち僕とイヴは一階のソファーを使うことにした。
来客用に長いソファーが二つほどありそれぞれ足を伸ばせる。
でもイヴがこっちに来てむくれて抱きつく。
「イヴ?」
と聞くと
「……ルイスさん……。あのお嬢様絶対にルイスさんに気がある。どれだけモテるんですか!?」
「はあ?僕はイヴにもてさえすれば他はどうでもいいよ」
と言うと
「で、でも!貴族のお嬢様だし、綺麗だし……。わ、私を見てチラッと笑ったり……」
え?そんな事密かにしてたの?イヴの事平民目線で見てたしな。貴族の女ってくだらないプライド持ってるんだな。
「大丈夫だ。あんな女よりイヴの方が魅力あるし」
「ええっ?やはりルイスさんて趣味変かも」
と言われるがイヴも充分に変なところあるからお互い様だろう。
「とにかく眠ろう……。ちょっと狭いけど」
と肩を抱き軽くキスをして眠りについた。
*
翌朝……。
「起きなさいよ!!」
と怒鳴り声がして目を開けるとイヴもかなり怒りの形相で仁王立ちしているお嬢様にビクッとした。
「おはようございます!!」
とイヴはささっと僕から離れた。するとその代わりに僕の横に来て座る。
「うふふ、おはようございます!ルイスさん!今日は案内よろしくお願いしますね!
あ、貴方はついてこなくてもいいわ。家事とかやる事あるんでしょ?」
とイヴに冷たい目を向けた。
イヴは少しムッとした。
「い、いえ、私も行きます!ご遺体を運ぶの手伝います!」
遺体は布に包み、魔法ゲートで侯爵家まで運ぶつもりだ。確かに僕一人では大変だし、エルフにも頼めないけど。流石に女の子二人でもキツいし、なんとかマイルドを説得しようと思っていた。
「マイルドにも一応声をかけようかと思う。重いだろうし二人には辛い作業だろう」
と言うとお嬢様は
「マイルドさん?」
「はい。エルフ族の男でまあ顔見知りなのですが」
「大丈夫ですか?人間に対して警戒されてしまうのでは?」
と言う。
「確かにそうだけど、一応他のエルフ族よりは話は通じると思うよ?」
た、たぶん。
*
と言う事でファイリス達の家にやってきて戸を叩いた。他のエルフ達に見られない様にしながら来るの大変だった。
中に入り事情を説明するとファイリスは
「ふうん、わかった。なら手伝ってきたら?マイルド」
と言う。マイルドは……めっちゃくちゃ不機嫌全開だった。怖っ!!
「人間の手伝いか……。しかも人間の死体の」
と不満声。
「頼むよ。このお嬢様も従者を殺されて困っているし、他のエルフ族にも干渉しないと約束するし」
「まあ!私の気遣いをありがとうございます!ルイスさん!!」
となんかくっ付かれる。
反対側にはイヴが
「ルイスさんは優しいので放って置けないのです!それに魔法省の仕事での報告もありますし!」
とこっちも怒っている。
「……くくく。面白いね。ほらマイルド力仕事だよ!行っておいで!」
とファイリスが言うとマイルドは剥れながらも
「ファイリス様の命なら手伝ってやりますが……今夜は寝かせませんからね!」
と言うとファイリスは青ざめる。
「やはりあたしの手伝いの方が……」
「おいファイリス!!実験に協力しないぞ!!」
と言うと泣く泣く折れた。
ファイリスには可哀想だが仕方ない。
それからも板挟みになりつつ、後ろからは凄い睨まれつつ馬車の辺りに行った。
横転した馬車を魔法で起こしておく。
マイルドと持ってきた布にご遺体を一人ずつ慎重に運び丁寧に包んだ。
「うっ……ごめんなさいね。二人とも!!私だけ生き残って!!」
とお嬢様は泣き始める。
「ちっ……鬱陶しい」
とマイルドは舌打ちする。
「そう言うなよ。流石に身近な人が亡くなったのだから」
「そういえば一体どんな魔物に襲われたのですか?」
とイヴが聞くとお嬢様はふんと顔を背け僕の方に近寄り
「巨大蛇の魔物で……馬車で逃げていた時に尻尾を車輪で引いてしまい追いかけられましたの。
必死になって逃げて振り切ると別の魔物サキュバスが現れたのです!私は蹴られて気絶してしまったのです……。
二人はたぶん夢の中で生気を吸い取られて……」
と言うお嬢様。
マイルドは額に手を当てて
「またサキュバスか。やはりこの森を狙っているな。商人や旅行者も近道として使うことが多いから……」
「はい……その通りですわ」
イヴは少し目を逸らした。
イヴのせいじゃないのに。
「マイルドありがとう。それじゃお嬢様とご遺体を侯爵邸まで運び、魔法省にも報告しに行くから少し遅くなるよ」
とイヴに言うと
「は、はい。お気をつけて下さいね…」
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