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第31章 ジャスミンのノート(その4)
31-3 わたしたちは 王宮の見えるカフェで
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わたしたちは 王宮の見えるカフェで ナシゴレンとチキンのスープのランチを食べた。
ちょっと油が多いけど 美味しい。そんなに辛くもない。
お店は ちょっと昔の おしゃれなオープンカフェの感じで 洋楽が流れてて 意外な感じだった。
「実はマリさん あの女王様の時代と マリさんのこと 関係があるんですよ。」
食後にココナッツアイスを食べているときに アイシャさんが言った。
「そうなんですね。」と わたしは答えた。
もっと びっくりしたほうがよかったかな。
「マリさん 今から ダラム地方のヌグリグデの村に行きますよ。わたしの父のふるさとです。わたしのおじいさんは ずっと前に亡くなりましたが 名前はキジャンといいます。ヌグリグデの村長でした。村長 ちょっとちがいますね。村の 小さい王様みたいな。日本語で『オヤカタ様』と言いますか? 『ショーヤ様』ですか?」
「えーと なんて言うのかな……大体 分かりますけど。」
「わたし おじいさんから 小さいころよく言われましたよ。『50年あとで 日本からマリという女の子が来る。マリは女王様の娘さんだから 何でも願いをきいてあげなさい。』わたし 意味が分かりませんでした。おじいさんは ネイティブのダラム族ですから 不思議なこと 多く言いました。私は それで日本に興味もって 日本語勉強しましたよ。」
「それが わたしだっていうことですか?」
「県の役所から だれか日本人案内してあげて と言われました。どんなひと? 聞いたら ミナミ・マリさんですよ。それで びっくりしました。ああ おじいちゃんの話 本当でしたね! わたし 案内しますよ!」
と アイシャさんは 胸に手を当てて 感激したようすで 言った。
「でも わたし お姫様じゃないですよ。」
「わたしはマリさんを お姫様に 思いますよ。うふふふ。わたしはイスラム教徒ですけど 4分の1 ダラム族ですから 不思議のこともちょっと信じます。神様が 秘密 こっそり ちょっとだけ教えてくださったと思っていますよ。」
それからアイシャさんは「ちょっと待ってくださいね。礼拝してきますね。」と言って しばらく戻ってこなかった。
わたしはコーヒーを飲みながら 広場をながめた。
初めて見るのに なつかしいみたいな景色。
ふしきだ。
白いシャツに 赤いズボンやスカートの制服の たぶん小学生たちが おしゃべりしながらよこぎっていく。
ひとりの女の子が 外人のわたしに気づいて「ハロー!」と手をふった。
わたしがちょっと手をふったら 他の子たちも 口々に「ハロー」「ハロー」って さわぎはじめた。
いちばん太った男の子が わたしの前に進み出てきて 「ユー・アー・ビューティフル!」と叫んだので みんなが わーっと笑った。
わたしも笑った。
ちょっと油が多いけど 美味しい。そんなに辛くもない。
お店は ちょっと昔の おしゃれなオープンカフェの感じで 洋楽が流れてて 意外な感じだった。
「実はマリさん あの女王様の時代と マリさんのこと 関係があるんですよ。」
食後にココナッツアイスを食べているときに アイシャさんが言った。
「そうなんですね。」と わたしは答えた。
もっと びっくりしたほうがよかったかな。
「マリさん 今から ダラム地方のヌグリグデの村に行きますよ。わたしの父のふるさとです。わたしのおじいさんは ずっと前に亡くなりましたが 名前はキジャンといいます。ヌグリグデの村長でした。村長 ちょっとちがいますね。村の 小さい王様みたいな。日本語で『オヤカタ様』と言いますか? 『ショーヤ様』ですか?」
「えーと なんて言うのかな……大体 分かりますけど。」
「わたし おじいさんから 小さいころよく言われましたよ。『50年あとで 日本からマリという女の子が来る。マリは女王様の娘さんだから 何でも願いをきいてあげなさい。』わたし 意味が分かりませんでした。おじいさんは ネイティブのダラム族ですから 不思議なこと 多く言いました。私は それで日本に興味もって 日本語勉強しましたよ。」
「それが わたしだっていうことですか?」
「県の役所から だれか日本人案内してあげて と言われました。どんなひと? 聞いたら ミナミ・マリさんですよ。それで びっくりしました。ああ おじいちゃんの話 本当でしたね! わたし 案内しますよ!」
と アイシャさんは 胸に手を当てて 感激したようすで 言った。
「でも わたし お姫様じゃないですよ。」
「わたしはマリさんを お姫様に 思いますよ。うふふふ。わたしはイスラム教徒ですけど 4分の1 ダラム族ですから 不思議のこともちょっと信じます。神様が 秘密 こっそり ちょっとだけ教えてくださったと思っていますよ。」
それからアイシャさんは「ちょっと待ってくださいね。礼拝してきますね。」と言って しばらく戻ってこなかった。
わたしはコーヒーを飲みながら 広場をながめた。
初めて見るのに なつかしいみたいな景色。
ふしきだ。
白いシャツに 赤いズボンやスカートの制服の たぶん小学生たちが おしゃべりしながらよこぎっていく。
ひとりの女の子が 外人のわたしに気づいて「ハロー!」と手をふった。
わたしがちょっと手をふったら 他の子たちも 口々に「ハロー」「ハロー」って さわぎはじめた。
いちばん太った男の子が わたしの前に進み出てきて 「ユー・アー・ビューティフル!」と叫んだので みんなが わーっと笑った。
わたしも笑った。
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