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第15章 僕はここの人たちと一緒に行くから大丈夫だ
15-2 偽王
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「まあ、奴が偽王になれば、あんたは婿殿だから、港務長官の後釜にでも座れるだろうけどな。もともとが外国人の役職だから」
「やめてくれ。僕はそんなこと考えてない。ファジャルもそんなことは望んでないはずだ」
「ファジャルは、身を飾ることと色恋にしか興味が無いよ。宮中に仕えてた時も、王族やら料理番やらを相手に、惚れた腫れたで何度も騒ぎを起こしてた」
「そんな言い方するなよ。人を好きになるのは悪いことじゃない」
「やれやれ。目を覚ませよ」アディはため息をついた。「あの四人姉妹は、結局父親の言いなりのお人形だぜ? あんな女にほだされて、あんたのために心を砕いてくださった姫様を裏切るつもりか? だったら俺は絶対に許さないぞ。国がこんなことになっても、姫様はまだあんたのことを気にかけてらっしゃるんだ。そうでなきゃ俺がこんな所に来るもんか」
ムラティ王女の力強い真っ直ぐな眼差しや、生き生きした声や、しなやかな身のこなしや、時折見せる子供らしい表情を、僕は思い出さずにはいられなかった。
内陸に同行することを断った僕に「あなたはぜんぜん間違ってない」と言って、あのお香をくれたことも。
もし仮に、アディの話が本当だったら。
港務長官の野望が本当で、それが成功し、彼が英国の保護下で新たな王になったとしたら。
今の王家はどうなるのか。
あの美しい、病弱なアングレック王は?
快活なムラティ王女は?
悲劇的な前例は、世界の歴史上に数知れない。
アディの言うとおりだ。あの子を、王女を裏切るようなことは、絶対に許されない。そしてもちろん、命を張って暴漢から守ろうとしてくれたアディの敵になることも、あの美しい王都を滅ぼすような策謀に加担することも。
だとしても……
「だとしても、僕はファジャルに確かめてみたい。もし、僕が港務長官に協力することを全て断っても、それでも彼女が僕と……」
アディは首を振った。
「あの女は父親から離れられないよ」
「そうかもしれない。でも確かめたいんだ」
「それでどうするんだ? そりゃあんたはファジャルの乳を枕に寝てりゃ幸せだろうさ。でもあんたの妹はどうなる?」
「やめてくれ。僕はそんなこと考えてない。ファジャルもそんなことは望んでないはずだ」
「ファジャルは、身を飾ることと色恋にしか興味が無いよ。宮中に仕えてた時も、王族やら料理番やらを相手に、惚れた腫れたで何度も騒ぎを起こしてた」
「そんな言い方するなよ。人を好きになるのは悪いことじゃない」
「やれやれ。目を覚ませよ」アディはため息をついた。「あの四人姉妹は、結局父親の言いなりのお人形だぜ? あんな女にほだされて、あんたのために心を砕いてくださった姫様を裏切るつもりか? だったら俺は絶対に許さないぞ。国がこんなことになっても、姫様はまだあんたのことを気にかけてらっしゃるんだ。そうでなきゃ俺がこんな所に来るもんか」
ムラティ王女の力強い真っ直ぐな眼差しや、生き生きした声や、しなやかな身のこなしや、時折見せる子供らしい表情を、僕は思い出さずにはいられなかった。
内陸に同行することを断った僕に「あなたはぜんぜん間違ってない」と言って、あのお香をくれたことも。
もし仮に、アディの話が本当だったら。
港務長官の野望が本当で、それが成功し、彼が英国の保護下で新たな王になったとしたら。
今の王家はどうなるのか。
あの美しい、病弱なアングレック王は?
快活なムラティ王女は?
悲劇的な前例は、世界の歴史上に数知れない。
アディの言うとおりだ。あの子を、王女を裏切るようなことは、絶対に許されない。そしてもちろん、命を張って暴漢から守ろうとしてくれたアディの敵になることも、あの美しい王都を滅ぼすような策謀に加担することも。
だとしても……
「だとしても、僕はファジャルに確かめてみたい。もし、僕が港務長官に協力することを全て断っても、それでも彼女が僕と……」
アディは首を振った。
「あの女は父親から離れられないよ」
「そうかもしれない。でも確かめたいんだ」
「それでどうするんだ? そりゃあんたはファジャルの乳を枕に寝てりゃ幸せだろうさ。でもあんたの妹はどうなる?」
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