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第一章

12話 <ラルの実力>

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「クエストにいこう。」
内心、焦りながら言う。

「急にどうしたの~?」
呑気にラルが朝食を食べながら聞いてくる。
僕はなぜか込み上げてくる怒りを抑えるため、肩が震える。

どうしたもこうしたもないよ!
僕ら全然冒険者っぽくないじゃないか!
仲間が増えるのはいいけど、
クエストもしないし、戦いもしない。
冒険者なのか!?僕らは!!
ただギルドを作っただけの旅行者じゃないか!

「クエストにいこう。」
僕は震えた声でいった。
すると、クレナはどこからか紙を取り出す

「クエストなら、ここはどうでしょうか」
2つの紙には
"冒険者求む"という文字があった。

「いいんじゃない?ここにしようか」
僕は片方の紙を受けとると、カウンターに向かいクエストを受けた。

*********

「ここじゃの....」
はぁ、とため息を溢す。
何となく理由はわかるけど.....。

先程のもうひとつの紙には雷鳴の庭のクエストについて書いてあった。

いきたかったみたいだけど、今僕らの実力もわからないんだから高難易度のクエストである雷鳴の庭にはいかないことにした。

一応、雷鳴の庭は
吸血鬼の洞窟(赤)、流星の森(青)、クローバーの湖(緑)、雷鳴の庭(黄)
という4色にまつわる場所のひとつで
周りには黄色い薔薇や、黄色いチューリップ等の黄色い系統の花ばかりなのが特徴。
冒険者は雷鳴の庭等の4ヶ所の主にある証をもらって
どこかにある虹色の教会にいくのを目標にしている人が多い
って、ラルから聞く限りそういうことらしいけど
そういえば、吸血鬼の洞窟の主はハズキなんだよね....。

まぁ、そんなことは今は関係ないか。
適当に僕とラル、クレナとハズキでわかれて行動することになり
僕はなぜか無言のラルを背に歩いている
薄気味悪い場所で、周りをみれば元々は大きな建物があったんだろうなというのがわかる。
数日前、この場所に低級魔物が沢山現れて教会であったこの場所が廃墟されて今のようになっているとか。

「誰もいないね」
とつまんなそうに話していたラルが剣をもって戦闘体勢に入る。
「どうしたの?」
状況が理解出来ていない僕はとりあえず魔剣を持つ。
耳を澄ますと何かがこちらに走って近付いているような音が聞こえる。

「グガアアアアアア!」
現れたのは、犬のような魔物。よだれをだらだらと流して気味が悪い。
僕達を交互にみると魔物はラルを襲いはじめる。
多分、本能的にラルのほうが弱いと見たんだろう。

「きーたーなーっ!」
剣を強く握って一振り。
魔物の腰辺りに切れ込みが深めに入り、血が溢れ出て倒れる
「....うわ」
思わず呟く。
一振りで倒すのも凄いけど、それ以上になんてグロテスクなんだ。でも僕もやらないといけない。

「はぁ....」
ため息を溢す。
気が遠くなるなーなんて思ってしまう自分に呆れちゃった。

この後、出てきた魔物を全てラルが一撃で倒したとこは、まぁ省略でもしておこうかな。

**********

「今回の報酬は銀貨120枚です。」
カウンターの人が僕に袋を渡す。
.....大金だなぁ....
よくそんなお金を出せるよ。

お金は  銅貨100枚 = 銀貨1枚
     銀貨1000枚 = 金貨1枚
って感じ。
ちなみに、お父さんは冒険資金として金貨20枚をくれた。

今考えると、普通の人なら半年位はリッチに暮らせんるんじゃないか....なんて思ったりもする

「今日はご馳走かなー?」
ニコニコ、と袋を見つめながらラルはニコニコとする
「うん。好きなもの食べていいよ」
「わーいっ!」

ラルが喜んでいるので、僕も嬉しくなってくる。

ラルが銀貨100枚以上のものを一人で食べることをしってなかったから...。
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