ライギョマン

松ノ木下

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決戦前夜

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 - 埼玉県某所、マジョーラ本部 -

「上田くん、こちらがBトラストの仲松くんです。」

「はじめまして。上田です。噂は予々。」

「はじめまして。仲松です。」

「そしてこちらが、フルハウスの来栖くんです。」

「はじめまして。来栖です。ライギョマンに変身できるようになったんだってね?」

「はじめまして。ええ。ようやくです…でも、失ったものが大きすぎて…」

「そうだね。」

「それも、今回で最後ですよ。」

「はい。浅井さん。必ずヤツを倒して終わりにしてみせます。」

「挨拶はこれくらいにして、そろそろ本題に入ろう。」 

 この日、僕、仲松さん、来栖さん、浅井さん、船形さん、の五人で天竜湖のビーストを仕留めるべく、作戦会議を行った。仲松さんの口から語られた情報は、どれも鮮烈で、的を射ているように思えた。

「まー、そんな感じで、いい線いけるんじゃないかなと?」

「なるほど、これなら倒せそうな気がしてきました!」

「まだ短絡的になるのは早いけど、後は、フロッグマンと田森さんの仕上がり具合も気になるところだね。」

「あちらには、トガテンも加わっているんで、問題ないかと?」

 そうか、綾野さんはあれから、どうしているんだろう?田森さんが新しい竿を開発しているらしいが、今回間に合うんだろうか?

「あ、そういえば!」

「え?ふなぞーさん、どうしたんですか?」

「天竜湖のビーストの名前はグレイト・ワンて言うらしいですよ!潜入してる仲間からの報告です。」

 グレイト・ワンか?若干、安易な感じがするが、まずまずシックリくる。 

「でわ、僕らマジョーラは打ち合わせ通り後方支援をします。」

「よろしくお願いします。じゃ、僕ら3人は明日の朝、天竜村に移動して準備に入ろう。」

「はい。仲松さん、来栖さん、よろしくお願いします!」

「よろしく!上田くん!僕も仲松さんのアシスト役を頑張るよ!」

そうだった!

「来栖さん、来栖さんの腕を見込んで一つお願いがあるんですけど?」

「なに?」

「ストレングスマイルドを改造して下さい!」

「え?いいけど?どんな風に?」

「僕の体力では、正直、この竿は重すぎて超時間の戦いになったら、最後まで振り続ける自信が、ありません。軽くすることはできませんか?」

「んー。持った感じ、だいぶ先重りしてるから、少しフォアグリップを詰めて、持ち重り感を軽減してもいいかもね?ブランクは装甲を薄くすると、破壊力を奪いかねないから、そのくらいの改造に留めておいた方がいいんじゃないかな?」

「じゃ、それでお願いします!」

「お安いご用だよ!出発前には終わらせておくよ!僕は普段は仕事が遅いけど、やる気になると早いんだ(笑)」

 明日の昼には天竜村だ。いよいよだ、いよいよ最後の戦いが始まる!

 - 翌朝 -

「おはよう上田くん!ストレングスマイルド完成したよ!ジャーン!」





 そう言って手渡されたストレングスマイルドを見て、僕は言葉を失った…

「サービスで色も塗っておいた!」

「はっ、はぁ……」

「ストレングスマイルド改、EVOANGLING -01test type!かっこいいでしょ?」

「は、はい…」

「君がアニメのエヴゥンゲリオンが好きって聞いたんで!そこからインスパイアした!これで思う存分戦えるでしょ!」

 正直…僕には、派手すぎる…元の色に戻して欲しい…

「あ、あのー」

「お礼なんていいって!さっ、天竜村に出発だ!仲松さんはもう車の中だよ!」

 い、言えなかった…

 言える雰囲気は一切なかった…

 フルハウスの来栖さん、この人の天然で、底抜けに明るく、ゴリゴリ貫き通す究極なマイペースさは、いつかポジティブハラスメントとして、訴えられるんじゃないかと、心配になった。

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