ライギョマン

松ノ木下

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ライギョマン2

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「やれやれ、ようやく尻尾を見せてくれたか(笑)」
「つつみさーん、待って下さいよー。」
「遅いぞ、タマキン!」
「堤さんが歩くの早いんすよ!デブのくせに!」

 ボカッ!! 

「いつっ…、何も殴ることないでしょー?パワハラすよ!パワハラ!」

 ボカッ!!

 - 児玉金太 -
(通称タマキン。多摩新聞記者、堤の後輩) 

「さてと、鬼が出るか蛇が出るか?この洞窟の先で目にするものはいったい?」

「堤さん、そういうカッコイイ台詞似合わないすよ!デブだし」

 ボカッ!!
「おー!いいカバー!ちきしょー!釣り竿持ってくればよかった~!」
 俺達は、彼らの後を追い、洞窟を抜け、天竜湖畔へと辿りついた。
「くだらないこと言ってないで、奴らの後を追うぞ!もう見失うっちゃうじゃないか!」

「堤さーん!」

「いいから早く来い!」

「違うンですよー!堤さーん!足がー!」

「いいから早く!」

 ……… 

そう言いながら、振り返った俺は言葉を失った。

「こ、こ、こっ、こだまぁーーーー!!!」

 児玉が何かに襲われていた。何なんだあれは?魚??いや、恐竜??

「児玉!待ってろ今たっ、助けに行く!」
「堤さん、どうやら、もうダメそうです…堤さんは、早くあの人達の元へ…」 

 足がすくんで動けない。
 児玉は、じわじわと足から食べられていく。あまりの激痛に感覚が麻痺し、痛みを感じないのであろう。児玉は更に続けた。
「きっと、あの人達はこいつを倒すためにここへ来たんですよ…」
 わかった。もうわかったから、これ以上喋るな。
「こっ、」
 声を掛けようにも言葉が見つからない。
「つ、堤さん、い、いい記事書いて下さいね…」
 そう言い残し、児玉は息絶えた。
 あんのやろー。いつもくだらない事ばかり言って、俺を怒らせ、へまばかりして、俺の足をひっぱり。それが、どうだ?その児玉が俺の前で怪物に食べられて死んだ…この虚無感はなんだ?

『堤さんに、虚無感なんて言葉似合わないすよ!デブだし!』

 児玉よ、俺はお前のその言葉をもう一度聞きたかった。
 次の獲物は俺のようだ。児玉をたいらげ、『おかわり』とでも言いたげな顔をしながら、ヤツは近づいてくる。
 ダメだ。もう逃げられない。すまん児玉。どうやら、記事は書けそうにない。
 諦めかけ目を閉じた、その瞬間。
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