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招かれざる
人生は奇なり
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「……似合ってるよ」
「うるさい」
前髪を切られてからずっと部屋の隅で体育座りをして顔を俯かせている。
「お前はなんなんだ、前髪位で泣きやがって」押してだめなら引けと言うように煽りに変えた。
「なんだと!呪詛してやろうか!」前髪が無い綺麗な顔をキッと向けて言う
「なんだ元気あるじゃないか」
「……あれでも私にとってはかなり傷付いたんだ、好きな仕事だったし………」遠くを見る目でそう呟きはじめる。
「まぁ自分の力量が足りなかっただけで仕方なかったんだ」此方に笑顔を向けたがそれがとても下手クソだった。
「……Tシャツ?って言うのかこれは?」白装束姿じゃこの先、生きずらいので自分のクローゼットから服を選ばせているのだが……(Tシャツしかねぇ)オシャレに無頓着な自分のクローゼットの中は時期が夏であることも重なり服の九割がTシャツだった。
「そうだよこれはTシャツだ、とりあえず上の服を仮で決めるぞ下はそれからだ」
「分かったわ」
「ところでお前の事はなんて呼べばいい?」服を選びながら聞く。
「なんでもいいよ、リングでもサダコでもなんでもいいよ」
「じゃあリンって呼ぶよ」名前の候補にツッコミたいのを抑えて質問を返す。
「分かったわじゃあ貴方の事はなんて呼べばいい?」
「ん?あぁそう言えば自己紹介してなかったな、俺は大貫涼だ涼でいい、ほらこれでも着てろ」無印要品で買った真っ白のTシャツを渡した。
「向こう向いてるからちょっと着てみろ」
「分かったわ涼」
「ねぇ涼、上だけだと下ががら空きなんですが……」
「!?、え?あぁすまないうっかりしてた…」
狼狽を隠してクローゼットの下の引き出しを開けて適当にズボンを選び向こうを見ずにリンのもとへ投げ捨てた。
「あっすいませんお借りします」
「どっ……どうぞどうぞ……そっ……そう言えばお前は向こうで、どんな生活を送っていたんだ?」羞恥心を必死に押さえ込み、気になっていたことを聞いてみた。
「貴女方人間と変わりませんよ、起きて仕事して、帰って寝てたまに奮発のご褒美でも自分にしている至って普通の生活です」楽しそうな口調で話すがどことなく寂しさが滲んでいた。
「でっ、その仕事ってのがテレビから出てきて人を呪詛するってことか?」
「結論から言えばそうなりますね……あっでも貴方の事は呪詛はしないので、と言うより今は貴方しか頼る人がいないのですよ」
それは誉めてるのか?
「とにかく、俺はお前に呪詛される事はないし、お前は俺に頼るしかないって事か」
「はい、なにぶん此方に残るなんて予定もしてませんでしたから」
「そうか、でお前は何処に住むつもりだ」
「あっここに住み着こうと思います」
間を開ける事なく即答したリンにちょっと呆れた。
「お前はここに住むのか?まぁ行く宛がないのは分かるが……」
「お願いします!涼さん!ここしかないのです、お願いします!家事もしますのでここに住まわしてください!」
「べっ……別にいいけどよ」
あんな目にあったんだ………俺も同情ぐらいする
「ありがとうございます!家の家事はお任せください!」
「おっ………おう」笑顔を向けるリンにとりあえず返事をした。
今日から元幽霊との共同生活、変な話だ。
「うるさい」
前髪を切られてからずっと部屋の隅で体育座りをして顔を俯かせている。
「お前はなんなんだ、前髪位で泣きやがって」押してだめなら引けと言うように煽りに変えた。
「なんだと!呪詛してやろうか!」前髪が無い綺麗な顔をキッと向けて言う
「なんだ元気あるじゃないか」
「……あれでも私にとってはかなり傷付いたんだ、好きな仕事だったし………」遠くを見る目でそう呟きはじめる。
「まぁ自分の力量が足りなかっただけで仕方なかったんだ」此方に笑顔を向けたがそれがとても下手クソだった。
「……Tシャツ?って言うのかこれは?」白装束姿じゃこの先、生きずらいので自分のクローゼットから服を選ばせているのだが……(Tシャツしかねぇ)オシャレに無頓着な自分のクローゼットの中は時期が夏であることも重なり服の九割がTシャツだった。
「そうだよこれはTシャツだ、とりあえず上の服を仮で決めるぞ下はそれからだ」
「分かったわ」
「ところでお前の事はなんて呼べばいい?」服を選びながら聞く。
「なんでもいいよ、リングでもサダコでもなんでもいいよ」
「じゃあリンって呼ぶよ」名前の候補にツッコミたいのを抑えて質問を返す。
「分かったわじゃあ貴方の事はなんて呼べばいい?」
「ん?あぁそう言えば自己紹介してなかったな、俺は大貫涼だ涼でいい、ほらこれでも着てろ」無印要品で買った真っ白のTシャツを渡した。
「向こう向いてるからちょっと着てみろ」
「分かったわ涼」
「ねぇ涼、上だけだと下ががら空きなんですが……」
「!?、え?あぁすまないうっかりしてた…」
狼狽を隠してクローゼットの下の引き出しを開けて適当にズボンを選び向こうを見ずにリンのもとへ投げ捨てた。
「あっすいませんお借りします」
「どっ……どうぞどうぞ……そっ……そう言えばお前は向こうで、どんな生活を送っていたんだ?」羞恥心を必死に押さえ込み、気になっていたことを聞いてみた。
「貴女方人間と変わりませんよ、起きて仕事して、帰って寝てたまに奮発のご褒美でも自分にしている至って普通の生活です」楽しそうな口調で話すがどことなく寂しさが滲んでいた。
「でっ、その仕事ってのがテレビから出てきて人を呪詛するってことか?」
「結論から言えばそうなりますね……あっでも貴方の事は呪詛はしないので、と言うより今は貴方しか頼る人がいないのですよ」
それは誉めてるのか?
「とにかく、俺はお前に呪詛される事はないし、お前は俺に頼るしかないって事か」
「はい、なにぶん此方に残るなんて予定もしてませんでしたから」
「そうか、でお前は何処に住むつもりだ」
「あっここに住み着こうと思います」
間を開ける事なく即答したリンにちょっと呆れた。
「お前はここに住むのか?まぁ行く宛がないのは分かるが……」
「お願いします!涼さん!ここしかないのです、お願いします!家事もしますのでここに住まわしてください!」
「べっ……別にいいけどよ」
あんな目にあったんだ………俺も同情ぐらいする
「ありがとうございます!家の家事はお任せください!」
「おっ………おう」笑顔を向けるリンにとりあえず返事をした。
今日から元幽霊との共同生活、変な話だ。
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