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第四章 パーティーを組もう
4-15 ミノタウロスの斧
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「ほおぉ、こりゃミノタウロスの戦斧じゃな。いいもん拾ったのぉ」
ダンジョンを出た俺は、さっそく買取所を訪れていた。
この日はちょっと陽気な感じのじいさんが買い取り受付だった。
ミノタウロスの落とした長柄の戦斧は2m以上あり、収納庫に入りきらないので、担いで運んだのだが、くっそ重かったわ。
どうやらそこそこのレアアイテムらしく、道行く人からは羨ましそうに見られたよ。
「こいつはウチだと1,000Gで買取になるがよいか?」
おお! すげーな!!
「州都あたりでオークションにかければ数倍か、下手すりゃ10倍の値がつくかもしれんがの」
10倍ってことは……100万円!? ま、まじかー!
……でも、手続きとか面倒くさそうだし、《収納》もできないし、なによりこのままダンジョンの探索を続けてりゃあ、それくらいはすぐに稼げそうだしなぁ……。
「よ、よろしくお願いします」
「そうか、ありがとうな。ここで売りに出せば、しょーもないコレクターじゃのうて、コイツを必要としとる冒険者が適正価格で買えるからの」
「でも、転売目的で買う人も出てくるんじゃ?」
向こうじゃ転売ヤーってのが結構問題になってたしなぁ。
「なぁに、そこはわしがきっちり見極めてやるでな」
お、なら安心かな。
「ではの。お前さんにはきっといいことがあるぞい」
ミノタウロスの魔石が高かったこともあり、合わせて1,800Gほどの儲けになった。
運がよかったとはいえ、1アタックで20万円近く稼げたし、充分充分。
「さて、そろそろデルフィを起こしに行こうかな」
ほくほく気分で宿屋へ向かっている途中、ガラの悪い連中に声をかけられた。
「お前ぇ、いいもん拾ったみたいだな。ここは冒険者同士、お互い儲けは分け合おうや」
そういやこういうテンプレな絡まれ方すんの初めてだな。
相手は6人組の冒険者らしい。
その中のリーダーっぽいのが一歩前に出て俺に話しかけている。
「おい! なにニヤニヤしてんだよ」
「ああ、ごめんごめん。あまりにもテンプレ丸出しだからついおかしくなって」
「なにわけのわかんねぇこと言ってやがる!! とりあえずさっきの斧売った金よこしな!!」
……アホじゃなかろうか。
なんというか、俺もそこそこ剣術の腕が上がったおかげで、立ち振るまいから相手の力量なんかがわかるようになってきたんだが、こいつらどう考えても俺より弱そうなんだよな。
「一応聞くけど、おたくら何階層まで攻略してんの?」
「おいおい、10階層攻略したくらいでいい気になってんなよ? 俺たちゃもう15階層まで攻略済みだぜ?」
「ふーん」
一応俺よりは先に行ってんのね。
「なんだぁ? ビビったか坊や。なんならお仲間に泣きついてもいいんだぜ? つっても俺たちDランクパーティー『風の旋風』にゃ敵いっこないけどなぁ!!」
なんだよその『痛い頭痛』みたいな名前は。
やっぱこいつらアホだな。
「いや、俺ソロだし」
「はあぁ!? 嘘つくんじゃねぇよ!! ソロでミノタウロスに勝てるわきゃねえだろうがよ!!」
「いや、勝ったからあの斧持って帰れたんだけど?」
なんか、俺が当たり前のことを言ったら、急に向こうの余裕がなくなってきた。
「おう! ショウスケェ!!」
そこで背後から声が掛かる。
振り返るとそこにはガンドルフォさんがいた。
「よぉ! 久しぶりだな」
「あ、こりゃどうもガンドルフォさん」
彼の手には、俺がさっき売っぱらったミノタウロスの戦斧があった。
「いやぁ、いいタイミングでいいモノ売りに出してくれたなぁ」
聞けば久々にここを訪れたタイミングで、以前から欲しかったミノタウロスの戦斧が売りに出されるのを見たらしい。
っていうか、俺が売ってるところを見かけたんだと。
「参考までにいくらで買ったんです?」
「おう、2,000Gだったぜ! いやー安く手に入ってありがてぇわ」
「ああ……、だったら直接売ったほうがよかったですかねぇ」
「いやいや、冒険者同士での金や物のやり取りはトラブルの元だからな」
「あー、なるほど」
「ところで、ソイツらはなんだ?」
ガンドルフォさんの視線が6人組にささる。
「えーっと、『痛い痛風』……でしたっけ?」
「か……、『風の旋風』だ!!」
となんとか答えたリーダーだったが、明らかにガンドルフォさんを見てビビってんな。
そういやガンドルフォさんに睨まれたら、普通の人はすげービビるんだったっけ?
多分この人〈威圧〉とかのスキル持ってんだろーな。
「ほう、その『風のそよ風』さんが俺の知り合いになんの用だ?」
「う……うるせぇ! おめーにゃ関係ねーんだよ!!」
「おい、やめとけ!」
なんとかガンドルフォさんに言い返したリーダーを、他のメンバーが止める。
「こいつはCランクのガンドルフォだ」
「し、Cランク?」
「おおっと、残念。つい最近Bランクに昇格したぜ」
「び……Bっ!?」
「あ、おめでとうございます」
それを聞いて6人組はゆっくりと後ずさり。
「し、失礼しましたぁー!!」
と、文字通り旋風を巻き起こすかのような勢いで逃げ出した。
ダンジョンを出た俺は、さっそく買取所を訪れていた。
この日はちょっと陽気な感じのじいさんが買い取り受付だった。
ミノタウロスの落とした長柄の戦斧は2m以上あり、収納庫に入りきらないので、担いで運んだのだが、くっそ重かったわ。
どうやらそこそこのレアアイテムらしく、道行く人からは羨ましそうに見られたよ。
「こいつはウチだと1,000Gで買取になるがよいか?」
おお! すげーな!!
「州都あたりでオークションにかければ数倍か、下手すりゃ10倍の値がつくかもしれんがの」
10倍ってことは……100万円!? ま、まじかー!
……でも、手続きとか面倒くさそうだし、《収納》もできないし、なによりこのままダンジョンの探索を続けてりゃあ、それくらいはすぐに稼げそうだしなぁ……。
「よ、よろしくお願いします」
「そうか、ありがとうな。ここで売りに出せば、しょーもないコレクターじゃのうて、コイツを必要としとる冒険者が適正価格で買えるからの」
「でも、転売目的で買う人も出てくるんじゃ?」
向こうじゃ転売ヤーってのが結構問題になってたしなぁ。
「なぁに、そこはわしがきっちり見極めてやるでな」
お、なら安心かな。
「ではの。お前さんにはきっといいことがあるぞい」
ミノタウロスの魔石が高かったこともあり、合わせて1,800Gほどの儲けになった。
運がよかったとはいえ、1アタックで20万円近く稼げたし、充分充分。
「さて、そろそろデルフィを起こしに行こうかな」
ほくほく気分で宿屋へ向かっている途中、ガラの悪い連中に声をかけられた。
「お前ぇ、いいもん拾ったみたいだな。ここは冒険者同士、お互い儲けは分け合おうや」
そういやこういうテンプレな絡まれ方すんの初めてだな。
相手は6人組の冒険者らしい。
その中のリーダーっぽいのが一歩前に出て俺に話しかけている。
「おい! なにニヤニヤしてんだよ」
「ああ、ごめんごめん。あまりにもテンプレ丸出しだからついおかしくなって」
「なにわけのわかんねぇこと言ってやがる!! とりあえずさっきの斧売った金よこしな!!」
……アホじゃなかろうか。
なんというか、俺もそこそこ剣術の腕が上がったおかげで、立ち振るまいから相手の力量なんかがわかるようになってきたんだが、こいつらどう考えても俺より弱そうなんだよな。
「一応聞くけど、おたくら何階層まで攻略してんの?」
「おいおい、10階層攻略したくらいでいい気になってんなよ? 俺たちゃもう15階層まで攻略済みだぜ?」
「ふーん」
一応俺よりは先に行ってんのね。
「なんだぁ? ビビったか坊や。なんならお仲間に泣きついてもいいんだぜ? つっても俺たちDランクパーティー『風の旋風』にゃ敵いっこないけどなぁ!!」
なんだよその『痛い頭痛』みたいな名前は。
やっぱこいつらアホだな。
「いや、俺ソロだし」
「はあぁ!? 嘘つくんじゃねぇよ!! ソロでミノタウロスに勝てるわきゃねえだろうがよ!!」
「いや、勝ったからあの斧持って帰れたんだけど?」
なんか、俺が当たり前のことを言ったら、急に向こうの余裕がなくなってきた。
「おう! ショウスケェ!!」
そこで背後から声が掛かる。
振り返るとそこにはガンドルフォさんがいた。
「よぉ! 久しぶりだな」
「あ、こりゃどうもガンドルフォさん」
彼の手には、俺がさっき売っぱらったミノタウロスの戦斧があった。
「いやぁ、いいタイミングでいいモノ売りに出してくれたなぁ」
聞けば久々にここを訪れたタイミングで、以前から欲しかったミノタウロスの戦斧が売りに出されるのを見たらしい。
っていうか、俺が売ってるところを見かけたんだと。
「参考までにいくらで買ったんです?」
「おう、2,000Gだったぜ! いやー安く手に入ってありがてぇわ」
「ああ……、だったら直接売ったほうがよかったですかねぇ」
「いやいや、冒険者同士での金や物のやり取りはトラブルの元だからな」
「あー、なるほど」
「ところで、ソイツらはなんだ?」
ガンドルフォさんの視線が6人組にささる。
「えーっと、『痛い痛風』……でしたっけ?」
「か……、『風の旋風』だ!!」
となんとか答えたリーダーだったが、明らかにガンドルフォさんを見てビビってんな。
そういやガンドルフォさんに睨まれたら、普通の人はすげービビるんだったっけ?
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「おおっと、残念。つい最近Bランクに昇格したぜ」
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新作始めました!
【ハズレ職】【追放】【覚醒】【賢者】【無双】【ダンジョン攻略】に【成り上がり】【ざまぁ】そして【ハーレム】!
【男の欲望】【全部入り】の【本格】【エロティック】【ハイファンタジー】!!
ハズレ赤魔道士は賢者タイムに無双する
よろしくお願いします!!
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