誰にでもできる異世界救済 ~【トライ&エラー】と【ステータス】でニートの君も今日から勇者だ!~

平尾正和/ほーち

文字の大きさ
上 下
68 / 100
第三章 ダンジョンへ行こう

3-23 初めてのダンジョン探索を終えて

しおりを挟む
 砦を出た俺は、まずギルドの買い取り所に向かう。
 ここは魔術師ギルドと冒険者ギルドが共同で出している所で、魔石とドロップアイテムの両方を買い取ってくれる。
 まだギリギリ営業中だったので、7割ほどが魔石で埋まっている箱を収納庫から取り出して、受付台に載せた。

「買い取りお願いします」
「はいよ」

 買い取り所には、ローブを着崩した無精髭のくたびれたオッサンが座っていた。

「ああー、10kgないねぇ」

 オッサンはブツブツ言いながら計量機能付きの箱に魔石を移し替える。

「6.8……68Gね」

 ってことは1kg10Gか。
 2階層あたりで魔石集めするんなら、薬草採取のほうが断然効率はいいな。

 その他にいくつかドロップアイテムもあったので、合わせて買い取ってもらう。
 合計147Gになったので、現金でもらっておいた。
 この集落、カード払い出来るところが意外と少ないんでね。

 ドロップアイテムを含めると、半日の稼ぎとしては悪くないか。
 ただ、ドロップアイテムは運だからなぁ。
 それに今回の目的はあくまで魔石だし。
 それも明日には目標達成できそうだけどな。

**********

 買い取りを済ませた俺は、屋台を適当に回って、よくわからん肉や野菜が混じった串焼きを3本平らげた。
 この世界には転移魔術があるので、どこにいても新鮮な食材が手に入るんだよね。
 なので、ちょっとした塩やタレで味付けされただけのものでも、素材がいいから結構美味いんだわ。

 食事を終えた俺は宿屋へ向かう。
 集落とはいえ、泊まりこみで探索する冒険者なんかゴロゴロいるわけだし、そうなると宿屋も必須となる。
 結構立派な建物が何棟もあった。
 ガイドブックを頼りに、浄化施設と個室寝台のあるところを選んだ。
 個室といってもピンきりで、俺が選んだのは広い部屋に寝台を並べてカーテンで区切っただけのところ。
 これを個室と言い張るのはどうかと思うけど、仕切りのカーテンに遮光と遮音の魔術がかけられているので、結構快適だったりする。

 浄化施設使用1回と朝食がセットで50G。
 ベッドブレックファストってヤツだな、うん。
 今日の儲けの3分の1がなくなったけど、しょうがない。
 浄化施設なしだと20G安くなるんだが、森の中を走り回って汗まみれの泥だらけになっているので、それは考えられない。
 仕切りなしの雑魚寝スペースだともっと安いみたいだが、流石にそれは無理だわ。
 ってことで宿屋の浄化施設をさっそく使う。

「ふぅ、すっきりしたぜぇ」

 キレイになった武器防具類を《収納》し、寝台へ。
 寝台は簀子すのこみたいなのがぽつんと置いてあるだけ。
 受付でシーツとフェイスタオル1枚だけは無料で貸してくれる。
 布団と枕は別料金。
 うーん、B&Bっつーよりすのこブレックファストだな、こりゃ。
 ま、ギルドの寝台に慣れている俺からすりゃ、体伸ばせるだけで充分だわ。
 
 とりあえず寝台に腰掛け、今日の戦いを振り返る。
 ダンジョンっつっても、思ってたより大したことなかったな。
 なんやかんやで野生の魔物と戦った経験や、カーリー教官の訓練が生きてるって感じか。
 あと、ダンジョンモンスターってのは経験値やSPが高めだね。
 あんな雑魚ばっかだったのに、レベルは2上がったし、SPに至っては3,000近く稼げたわ。
 とくに階層ボスが美味しいんだよな。

 ついこないだまでニートやってた俺だが、随分と成長したもんだよ。
 しかし俺はソロだから問題ないけど、これ3~4人パーティーだとこの程度の収入じゃあやってられんだろうなぁ。
 聞けばダンジョンを訪れる探索者の半数以上が1~3階層をメインに探索してるらしい。
 大体1日の稼ぎが300~400Gくらいでそれを3~4人で割るとひとり100G前後。
 それだけならまぁ問題ないかもしれんが、宿代やらメシ代やら武器防具のメンテ代を差っ引いたら厳しいだろうなぁ。

 俺の場合はお稲荷さんの加護やら成長補正やらがあるからいいんだけど、普通の人は強くなるためにもっと苦労するんだろうね。
 ほんとありがたいことだよ。

 最近お供えしてなかったけど、また今度油揚げお供えしとこ。
しおりを挟む
新作始めました!
【ハズレ職】【追放】【覚醒】【賢者】【無双】【ダンジョン攻略】に【成り上がり】【ざまぁ】そして【ハーレム】!
【男の欲望】【全部入り】の【本格】【エロティック】【ハイファンタジー】!!
ハズレ赤魔道士は賢者タイムに無双する
よろしくお願いします!!
感想 31

あなたにおすすめの小説

世界樹を巡る旅

ゴロヒロ
ファンタジー
偶然にも事故に巻き込まれたハルトはその事故で勇者として転生をする者たちと共に異世界に向かう事になった そこで会った女神から頼まれ世界樹の迷宮を攻略する事にするのだった カクヨムでも投稿してます

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました

遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。 追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。 やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

食うために軍人になりました。

KBT
ファンタジー
 ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。  しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。  このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。  そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。  父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。    それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。  両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。  軍と言っても、のどかな田舎の軍。  リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。  おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。  その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。  生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。    剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

処理中です...