誰にでもできる異世界救済 ~【トライ&エラー】と【ステータス】でニートの君も今日から勇者だ!~

平尾正和/ほーち

文字の大きさ
上 下
48 / 100
第三章 ダンジョンへ行こう

3-3 基礎戦闘訓練-型は必要?-

しおりを挟む
 基礎体力の計測がおわり、いよいよレイピアを使った訓練が始まろうかというとき、犬獣人のアルダベルトが手を挙げた。

「なんだ?」
「型っちゅうのは覚えにゃイカンのっすか? オラとしては実践形式でバシバシやってくれたほうが、ありがたいんすけど」
「馬鹿か君は?」

 アルダベルトの言葉に、ダリルが反応する。

「武術は型に始まり型に終わる。型も覚えずなにをもって武術の習得とするんだい?」
「いやぁ、実戦で戦えればそれでいいっしょ?」
「あのねぇ、その実戦でまともに戦うために必要な技術が、型なんだろうに」

 さらに議論は白熱しそうだったが、カーリー教官が片手を上げてふたりを制した。

「ふむ。世の中には型を覚える必要はない、と思っている者は多くいるようで、私もそういった質問をときどき受ける。アルダベルトは、型など不要というわけだな?」
「へい。強い人と闘って感覚をつかめれば、充分だと思うっす」
「では、ダリル。君はなぜ型が必要だと?」
「なぜもなにも、そんなの常識でしょう? むしろなぜ不要と思えるのか、私には理解できない」
「そうか。ジータ、君はどう思う?」
「……よくわかりません。それを学ぶために、ここへ来ているのだと思います」
「なるほど、殊勝な心がけだな。ではショウスケ」

 あー、流れ的に来ると思ったけど、やっぱ来たな、俺の番。
 俺的には、とりあえず型でもなんでも教えてくれたら、真面目にやりますよーって感じなんだけど。
 とりあえず型やっときゃ、スキルも生えそうだし。
 あ、ちなみに、これまで魔物討伐で散々槍を使ったけど、残念ながら〈槍術〉は習得できなかった。
 我流でスキルを習得するには、もっと経験を積むか、才能が必要なんだろう。
 お稲荷さま謹製の身体で、成長補正はかかってるらしいけど、だからってセンスがよくなるわけじゃないかなら。

「どうした? わからんならわからんで、正直に言えばいいぞ」

 そうだな。
 ここでわかりませんと答えるのもいいんだろうけど、せっかくだしヒキニートらしいことを、適当に言っとくか。

「えーっとですね。型ってのは先人の叡智だと思うんですね」
「ほう」
「実戦っつっても、いろんなシチュエーションがあると思うんですよ。で、考えられるいろんなシチュエーションに対応するために、型ってのがあるんじゃないかなぁ、なんて思っています」
「ふむ。なかなかいい答えだ」

 おおっと、褒められたぞ。
 人が勉強したり働いている時間に、ひたすら読みまくったマンガや、垂れ流しで見続けたアニメなんかの知識を、適当にミックスしただけの答えなんだけどさ。
 センスがないなら、人のセンスを借りればいいじゃない、ってね。

「型と聞くと、どうしても自由を奪うようなイメージを持たれるが、実際は逆だ」

 全員の考えを聞いたところで、カーリー教官が自分の考えを述べ始めた。

「型を覚えずに実戦のみで鍛えていると、自分の思考や、体の動きの範囲内で、行動が制限される。しかし型というのはそれこそ数百年という歴史と、それにまつわる膨大な数の先人が残した、知識の宝庫だ。自分からは出てこないような動き、それに伴う思考を身につけることで、より自由に闘うことができるようになる、と私は思っている」

 うん、マンガやアニメに出てきそうなセリフだよね。
 改めてそれっぽい人から聞くと、大いに納得できる話だ。
 ダリル君は我が意を得たりとばかりに、何度も頷いているし、ジータさんも、感心したように頷いていた。

「はぁ……、そんなもんっすかね」

 ただひとり、実戦至上主義っぽいアルダベルトはまだ、納得できてないようだけど。

「まあ、君たちがなにを望んでいるから知らんが、私の元で学ぶ以上、私のやり方に従ってもらう。嫌なら後日、自己流にでも改変してくれたまえ」

 ちょっとした問答はあったが、ようやく型の練習を始められそうだ。
しおりを挟む
新作始めました!
【ハズレ職】【追放】【覚醒】【賢者】【無双】【ダンジョン攻略】に【成り上がり】【ざまぁ】そして【ハーレム】!
【男の欲望】【全部入り】の【本格】【エロティック】【ハイファンタジー】!!
ハズレ赤魔道士は賢者タイムに無双する
よろしくお願いします!!
感想 31

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!

果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。 次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった! しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……? 「ちくしょう! 死んでたまるか!」 カイムは、殺されないために努力することを決める。 そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る! これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。    本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています 他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう
ファンタジー
テーブルに置かれた小さな瓶、それにソファーでくつろぐ飼い猫のクロ。それらを前にして俺は頭を抱えていた。 ある日どこからかクロが咥えて持ってきた瓶……その正体がポーションだったのだ。 瓶の処理はさておいて、俺は瓶の出所を探るため出掛けたクロの跡を追うが……ついた先は自宅の庭にある納屋だった。 やったね、自宅のお庭にダンジョン出来たよ!? どういうことなの。 始めはクロと一緒にダラダラとダンジョンに潜っていた俺だが、ある事を切っ掛けに本気でダンジョンの攻略を決意することに……。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

処理中です...