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第一章
第27話 【SP】とはなんでしょう?
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ルーシーはこれまで、半年から1年ほどでパーティーを替わっていた。
二十以上のパーティーから、クビになったということだが、裏を返せばそれだけの新人を世に送り出したともとれる。
実際ルーシーが所属したパーティーの生存率は、彼女が抜けた後もかなり高いらしい。
「あたしは普通に活動してるつもりなんだけどね。気がつけば育成担当みたいになっちゃって」
その功績を認めたからこそ、ギルドは解放までの期間を5年延長し、さらに3000万円での身請けを提示したのだろう。
もちろん彼女が冒険者として真面目に行動した結果ではあるが、それが正しく評価されることもまた、幸運といえるのではないか。
(やっぱ、『【運】S』はダテじゃないな)
ただ、それを言ってしまうと彼女が運だけでこれまでやってこられたと思われそうなので、口にはしなかったが。
「ねぇ、このSっていうのがAより上なら、もしかしてあたしのランクも……」
「それは、どうだろうな」
「……やっぱ、ダメかな」
「Sランクの意味を証明する方法がないからな。いくら俺が説明したところで、記憶を失った男のたわ言として処理されそうだ」
「だよねぇ……」
それについてはあまり期待していなかったが、それでも精神的なダメージはあったようで、ルーシーは猫耳をペタンと寝かせ、がっくりとうなだれた。
「あ、そうだ」
しばらく肩を落としていたルーシーは、なにかを思い出したように顔を上げた。
「ケントの加護にあった【SP】ってなんなの?」
「そういえば、ルーシーにはなかったよな」
「うん……初めて見――えっ……?」
言いながら加護板をスワイプしたルーシーが、驚いたような声を上げて固まった。
「どうした?」
「こ、これ……」
驚いた拍子に猫耳を立てた彼女は、震える手で加護板を差し出す。
**********
【名前】ルーシー
【レベル】24
【HP】126/126
【MP】63/63
【SP】132
【冒険者】F
【魔術士】G
【治療士】G
**********
【SP】が、あった。
最初に見せてもらったときは、なかったはずだ。
ルーシーも、賢人の加護板で初めて見たと言っていた。
「どういうこと?」
「わからん……」
考えられる要因としては、賢人と関わったことか。
彼の加護板には、最初から【SP】が表示されていた。
その賢人の加護に、何らかの理由でルーシーが影響を受けた?
「俺と、パーティーを組んだからか?」
「え?」
いまのところ考えられるのはその程度だった。
それ以上を判断するには、情報が少なすぎる。
「それより、この【SP】がなんなのか、だよな」
「たしか『超越』とか『特別』って意味があるのよね」
「……そうとも限らない。【HP】には最低ランクを意味するHの字が使われてるけど、そこに関連はないだろ?」
「たしかにそうね……」
「神代文字には、文字そのものに意味はないんだ。どう使われるかで、その意味も変わってくる」
アルファベットがひと文字で使われる場合、単語の頭文字であることが多い。
たとえば【HP】なら『ヒット・ポイント』、【MP】なら『マジック・パワー』と言った具合に。
SランクのSの字が正確になにを意味するかは、賢人もよく知らないが、おそらく『スーパー』や『スペシャル』あたりだと思ったので、ルーシーにはあのように説明していた。
(【SP】か……よくあるのは『スキルポイント』とか『ステータスポイント』なんだけど……。あとは『サービスポイント』とか?)
【SP】がスキルポイントなら、【スキル】の習得やランクアップに使える可能性が高い。
そしてステータスポイントやサービスポイントなら、能力値などに振り分けることができる、というのがゲームなどのキャラクターメイクによくある仕様だ。
(たとえば、この【SP】を使って、ルーシーの【攻撃力】を上げ……えっ!?)
「んんっ!?」
賢人が驚きに目を見開き、ルーシーは声を上げて眉を寄せた。
「あ、あれ? いま、【SP】の数字が……減った?」
**********
【名前】ルーシー
【レベル】24
【HP】126/126
【MP】63/63
【SP】132→122
【冒険者】F
【魔術士】G
【治療士】G
**********
彼女の言うとおり、【SP】が10減っていた。
二十以上のパーティーから、クビになったということだが、裏を返せばそれだけの新人を世に送り出したともとれる。
実際ルーシーが所属したパーティーの生存率は、彼女が抜けた後もかなり高いらしい。
「あたしは普通に活動してるつもりなんだけどね。気がつけば育成担当みたいになっちゃって」
その功績を認めたからこそ、ギルドは解放までの期間を5年延長し、さらに3000万円での身請けを提示したのだろう。
もちろん彼女が冒険者として真面目に行動した結果ではあるが、それが正しく評価されることもまた、幸運といえるのではないか。
(やっぱ、『【運】S』はダテじゃないな)
ただ、それを言ってしまうと彼女が運だけでこれまでやってこられたと思われそうなので、口にはしなかったが。
「ねぇ、このSっていうのがAより上なら、もしかしてあたしのランクも……」
「それは、どうだろうな」
「……やっぱ、ダメかな」
「Sランクの意味を証明する方法がないからな。いくら俺が説明したところで、記憶を失った男のたわ言として処理されそうだ」
「だよねぇ……」
それについてはあまり期待していなかったが、それでも精神的なダメージはあったようで、ルーシーは猫耳をペタンと寝かせ、がっくりとうなだれた。
「あ、そうだ」
しばらく肩を落としていたルーシーは、なにかを思い出したように顔を上げた。
「ケントの加護にあった【SP】ってなんなの?」
「そういえば、ルーシーにはなかったよな」
「うん……初めて見――えっ……?」
言いながら加護板をスワイプしたルーシーが、驚いたような声を上げて固まった。
「どうした?」
「こ、これ……」
驚いた拍子に猫耳を立てた彼女は、震える手で加護板を差し出す。
**********
【名前】ルーシー
【レベル】24
【HP】126/126
【MP】63/63
【SP】132
【冒険者】F
【魔術士】G
【治療士】G
**********
【SP】が、あった。
最初に見せてもらったときは、なかったはずだ。
ルーシーも、賢人の加護板で初めて見たと言っていた。
「どういうこと?」
「わからん……」
考えられる要因としては、賢人と関わったことか。
彼の加護板には、最初から【SP】が表示されていた。
その賢人の加護に、何らかの理由でルーシーが影響を受けた?
「俺と、パーティーを組んだからか?」
「え?」
いまのところ考えられるのはその程度だった。
それ以上を判断するには、情報が少なすぎる。
「それより、この【SP】がなんなのか、だよな」
「たしか『超越』とか『特別』って意味があるのよね」
「……そうとも限らない。【HP】には最低ランクを意味するHの字が使われてるけど、そこに関連はないだろ?」
「たしかにそうね……」
「神代文字には、文字そのものに意味はないんだ。どう使われるかで、その意味も変わってくる」
アルファベットがひと文字で使われる場合、単語の頭文字であることが多い。
たとえば【HP】なら『ヒット・ポイント』、【MP】なら『マジック・パワー』と言った具合に。
SランクのSの字が正確になにを意味するかは、賢人もよく知らないが、おそらく『スーパー』や『スペシャル』あたりだと思ったので、ルーシーにはあのように説明していた。
(【SP】か……よくあるのは『スキルポイント』とか『ステータスポイント』なんだけど……。あとは『サービスポイント』とか?)
【SP】がスキルポイントなら、【スキル】の習得やランクアップに使える可能性が高い。
そしてステータスポイントやサービスポイントなら、能力値などに振り分けることができる、というのがゲームなどのキャラクターメイクによくある仕様だ。
(たとえば、この【SP】を使って、ルーシーの【攻撃力】を上げ……えっ!?)
「んんっ!?」
賢人が驚きに目を見開き、ルーシーは声を上げて眉を寄せた。
「あ、あれ? いま、【SP】の数字が……減った?」
**********
【名前】ルーシー
【レベル】24
【HP】126/126
【MP】63/63
【SP】132→122
【冒険者】F
【魔術士】G
【治療士】G
**********
彼女の言うとおり、【SP】が10減っていた。
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