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第3幕 凪の公国 序章
第57話 えっ!? 聖域!?
しおりを挟む俺、何かした?
そう思って、当てにならないヒルダとプルシャンには振らず、スピカに訊いてみたらーー。
『聖域になってます』だと。
えっ!? 聖域!? んな阿呆な……。
何でも、街にある神殿とやらには、もっとでかい女神像が祀ってあるらしい。
それぞれの1人、あ、はいはい、1柱ね。1柱に対する神殿なんだと。
都に行けば9柱の神殿が揃っているらしいが、街や村によっては1つとか、場合によっては無い所もあるとスピカが教えてくれた。まあ、上から見てたんだから知ってるわな。
で、神殿の中、女神像が鎮座してる礼拝堂は聖なる力に満たされてるらしいんだが、ここは9柱が揃っているからその力が9倍になってるんだとか。
んな事聞いてねえっ!
普通は、ここまで力が満たされることが無いらしい。
ヒルダ謂わく、神殿へ行くと気持ちがふっと軽くなったり、すぅっと爽やかになると力説してくれた。
ほ、ほほぉ……。
俺は面倒事を起こすために彫ったんじゃねんだけどな……。面倒事の臭いしかしねえよ。
んな訳で、赤竜や飛竜みたいな莫迦でけえ生き物が入ってこれねえように、洞窟内と洞窟の入り口に柱を建ててやった。ギリシャの世界遺産になってる、パルテノン神殿みたいな6柱式って言えば分かるか?
美術とか歴史で習わなかたか? まあいい。
簡易だが、骨粘土を塗りたくって神殿らしく見せてお仕舞いさ。こんな辺鄙な場所の、しかも慰霊で作った物に華美な装飾は要らんだろう。
それよりも、それよりもだ。
丸太小屋が我ながら、良い出来なんだぜ?
材料の木自体が良い物だったからな、長さと太さを合わせて組み上げるだけで済んだよ。素人のくせに我ながら良くやったと思うぜ?
約2mのテラス付きで、8m四角のログハウスだ!
屋根はよ、雪が降るって聞いてたからな。尖り屋根にした分、空間があったからロフトを作った。そこが寝室だな。
なかなか木組みは面白かったぞ。丸太の皮を剥いで、接続部を◇型とか、∧型の形に切り込みを入れて交互に重ねるっていう単純な仕組みだったけど、動かねえんだよな。
ああ、糊は無えが、重ねる時に骨粘土を置いて隙間潰しはしたから、隙間風は入らねえはずだ。入るのは、扉の無え窓や玄関からだな。
ははは……。
無理だって。高度過ぎて、窓も扉も作れるかよ。家具も無理。そこらはプロに任せるのが賢い方法だ。街に出た時にでも大工を捜して作ってもらうに限る。
暖炉もねえから、結局調理は外だ。まあ雨露が凌げれば当面は大丈夫だろうさ。
ん? 釘は使わなかったのかって?
鉄の釘は持って無えからな。骨で作ったぞ。
【骨飛礫】の熟練度を最大まで上げたら、【骨釘】っていうのが出てな。それを使った。でもまあ、作り出せるのは15㎝程の5寸釘、1種類だけだ。使い勝手が悪いったらありゃしねえ。
ああ、ついでに見るか? こんな感じだ。
◆骨法◆
Lv1:骨抜き(熟練度10)(↑2)※使用不能
Lv2:骨飛礫(熟練度10)(↑5)※使用不能
Lv3:骨接ぎ(熟練度10)(↑3)
Lv4:骨形成(熟練度10)(↑2)
Lv5:骨錬成(熟練度10)(↑2)
Lv6:骨融合(熟練度10)(↑2)
Lv7:骨爪(熟練度10)(↑5)
Lv8:骨譲渡(熟練度10)(↑9)
Lv9:骨人形(熟練度10)(↑9)※使用不能
Lv10:粉骨砕身(熟練度10)(↑2)
Lv11:骨離れ(熟練度10)(↑10)
Lv12:骨釘(熟練度10)(↑10)
Lv13:骨切り(熟練度10)(↑9)
Lv14:骨細工(熟練度10)(↑9)
Lv15:骨粗鬆掌(熟練度10)(↑9)
Lv16:白骨化(熟練度10)(↑9)
Lv17:骨鎧(熟練度10)(↑10)
Lv18:骨支配(熟練度10)(↑10)
Lv19:骸骨騎士(熟練度9)(↑8)
Lv20:ーーーー(熟練度ー)
ああ、熟練度がいっぱいまで上がったらよ、使えなくなったんだよ。
まあ似たようなもんで、もっと性能が良くなったから上書きされたんだろうな。
【骨鎧】はなかなか良いぜ。
女神様たちの装備品を纏わせるのに調度良かったんだよ。名前の通り材質が骨の鎧だ。鎧の格好は、俺のイメージでどうにかなるって何回か試したら判ったぞ。
それで、ヒルダやプルシャンの鎧のようなものを作ったんだが、結構注文も多くてな。試行錯誤してたらいつの間にか熟練度が上がってたって話だ。
鎧のデザインはそこら中にいっぱい転がってるからな。問題無え。
ヒルダは、死んだ勇者と同じ型の鎧を欲しがったのが意外だった。忘れたいのかと思ってんだがな。分らんもんだ。
まあ、注文通りには出来た気がする。イメージだけで止め金もシッカリついてる鎧が出来るってどんだけお手軽魔法なんだ、と突っ込みたくなったが、便利であることに変わりない。しかも全部骨だぜ?
骨の強度凄えよな!
ザニア姐さんに苦情を申し立てて、『じゃ、要らないなら』という話になっては目も当てられん。ありがたく貰っておくことにした。
ついでに言えば、財宝は勿論のこと、武器云々も一切合財持って行く。ゴミの山をここに放っておくもの野暮だ。
俺の【無限収納】は置き場に困ることはねえ。だったら放り込んどきゃ良いのさ。
ああ、武器で思い出したが、ヒルダとプルシャンに今まで持ってなかったスキルが生えてたらしい。
ヒルダは【剣戯】。
プルシャンは【弓戯】。
そして俺は【爪戯】だ。俺のは理由が何となく分かるが、2人はなぁ。
さっぱり見当がつかん。
てなもんだから、武器を寄越せと宣う訳だ。
さて、どうしたもんかな……。
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