上 下
73 / 333
第3幕 凪の公国 序章

第57話 えっ!? 聖域!?

しおりを挟む
 
 俺、なんかした?

 そう思って、当てにならないヒルダとプルシャンには振らず、スピカにいてみたらーー。



 『聖域になってます』だと。



 えっ!? 聖域!? んな阿呆あほな……。



 何でも、街にある神殿とやらには、もっとでかい女神像がまつってあるらしい。

 それぞれの1人、あ、はいはい、1柱ね。1柱に対する神殿なんだと。

 都に行けば9柱の神殿が揃っているらしいが、街や村によっては1つとか、場合によっては無い所もあるとスピカが教えてくれた。まあ、上から見てたんだから知ってるわな。

 で、神殿の中、女神像が鎮座してる礼拝堂は聖なる力に満たされてるらしいんだが、ここは9柱が揃っているからその力が9倍になってるんだとか。



 んな事聞いてねえっ!



 普通は、ここまで力が満たされることが無いらしい。

 ヒルダわく、神殿へ行くと気持ちがふっと軽くなったり、すぅっと爽やかになると力説してくれた。

 ほ、ほほぉ……。

 俺は面倒事を起こすために彫ったんじゃねんだけどな……。面倒事の臭いしかしねえよ。

 んな訳で、赤竜レッド・ドラゴン飛竜ワイバーンみたいな莫迦ばかでけえ生き物が入ってこれねえように、洞窟内と洞窟の入り口に柱を建ててやった。ギリシャの世界遺産になってる、パルテノン神殿みたいな6柱式って言えば分かるか?

 美術とか歴史で習わなかたか? まあいい。

 簡易だが、骨粘土を塗りたくって神殿らしく見せてお仕舞しまいさ。こんな辺鄙へんぴな場所の、しかも慰霊で作った物に華美な装飾は要らんだろう。

 それよりも、それよりもだ。

 丸太小屋ログハウスが我ながら、良い出来なんだぜ?

 材料の木自体が良い物だったからな、長さと太さを合わせて組み上げるだけで済んだよ。素人のくせに我ながら良くやったと思うぜ?



 約2mのテラス付きで、8m四角のログハウスだ!



 屋根はよ、雪が降るって聞いてたからな。尖り屋根にした分、空間があったからロフトを作った。そこが寝室だな。

 なかなか木組みは面白かったぞ。丸太の皮を剥いで、接続部を◇型とか、∧型の形に切り込みを入れて交互に重ねるっていう単純な仕組みだったけど、動かねえんだよな。

 ああ、のりは無えが、重ねる時に骨粘土を置いて隙間潰しはしたから、隙間風は入らねえはずだ。入るのは、扉の無え窓や玄関からだな。

 ははは……。

 無理だって。高度過ぎて、窓も扉も作れるかよ。家具も無理。そこらはプロに任せるのが賢い方法だ。街に出た時にでも大工を捜して作ってもらうに限る。

 暖炉もねえから、結局調理は外だ。まあ雨露あまつゆしのげれば当面は大丈夫だろうさ。

 ん? 釘は使わなかったのかって?

 鉄の釘は持って無えからな。骨で作ったぞ。

 【骨飛礫ほねつぶて】の熟練度を最大まで上げたら、【骨釘ほねくぎ】っていうのが出てな。それを使った。でもまあ、作り出せるのは15㎝程の5寸釘、1種類だけだ。使い勝手が悪いったらありゃしねえ。

 ああ、ついでに見るか? こんな感じだ。

 ◆骨法◆
 Lv1:骨抜き(熟練度10)(↑2)※使用不能
 Lv2:骨飛礫ほねつぶて(熟練度10)(↑5)※使用不能
 Lv3:骨接ぎ(熟練度10)(↑3)
 Lv4:骨形成(熟練度10)(↑2)
 Lv5:骨錬成(熟練度10)(↑2)
 Lv6:骨融合(熟練度10)(↑2)
 Lv7:骨爪こっそう(熟練度10)(↑5)
 Lv8:骨譲渡(熟練度10)(↑9)
 Lv9:骨人形(熟練度10)(↑9)※使用不能
 Lv10:粉骨砕身(熟練度10)(↑2)
 Lv11:骨離ほねばなれ(熟練度10)(↑10)
 Lv12:骨釘ほねくぎ(熟練度10)(↑10)
 Lv13:骨切り(熟練度10)(↑9)
 Lv14:骨細工(熟練度10)(↑9)
 Lv15:骨粗鬆掌(熟練度10)(↑9)
 Lv16:白骨化(熟練度10)(↑9)
 Lv17:骨鎧ほねよろい(熟練度10)(↑10)
 Lv18:骨支配(熟練度10)(↑10)
 Lv19:骸骨騎士(熟練度9)(↑8)
 Lv20:ーーーー(熟練度ー)

 ああ、熟練度がいっぱいまで上がったらよ、使えなくなったんだよ。

 まあ似たようなもんで、もっと性能が良くなったから上書きされたんだろうな。

 【骨鎧】はなかなか良いぜ。

 女神様たちの装備品をまとわせるのに調度良かったんだよ。名前の通り材質が骨の鎧だ。鎧の格好は、俺のイメージでどうにかなるって何回か試したら判ったぞ。

 それで、ヒルダやプルシャンの鎧のようなものを作ったんだが、結構注文も多くてな。試行錯誤してたらいつの間にか熟練度が上がってたって話だ。

 鎧のデザインはそこら中にいっぱい転がってるからな。問題無え。

 ヒルダは、死んだ勇者と同じ型の鎧を欲しがったのが意外だった。忘れたいのかと思ってんだがな。分らんもんだ。

 まあ、注文通りには出来た気がする。イメージだけで止め金もシッカリついてる鎧が出来るってどんだけお手軽魔法なんだ、と突っ込みたくなったが、便利であることに変わりない。しかも全部骨だぜ?

 骨の強度凄えよな!

 ザニア姐さんに苦情を申し立てて、『じゃ、要らないなら』という話になっては目も当てられん。ありがたく貰っておくことにした。

 ついでに言えば、財宝は勿論のこと、武器云々うんぬん一切合財いっさいがっさい持って行く。ゴミの山をここに放っておくもの野暮やぼだ。

 俺の【無限収納】は置き場に困ることはねえ。だったら放り込んどきゃ良いのさ。

 ああ、武器で思い出したが、ヒルダとプルシャンに今まで持ってなかったスキルが生えてたらしい。

 ヒルダは【剣戯けんぎ】。

 プルシャンは【弓戯きゅうぎ】。

 そして俺は【爪戯そうぎ】だ。俺のは理由が何となく分かるが、2人はなぁ。

 さっぱり見当がつかん。

 てなもんだから、武器を寄越よこせとのたまう訳だ。

 さて、どうしたもんかな……。





しおりを挟む
感想 138

あなたにおすすめの小説

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界で俺はチーター

田中 歩
ファンタジー
とある高校に通う普通の高校生だが、クラスメイトからはバイトなどもせずゲームやアニメばかり見て学校以外ではあまり家から出ないため「ヒキニート」呼ばわりされている。 そんな彼が子供のころ入ったことがあるはずなのに思い出せない祖父の家の蔵に友達に話したのを機にもう一度入ってみることを決意する。 蔵に入って気がつくとそこは異世界だった?! しかも、おじさんや爺ちゃんも異世界に行ったことがあるらしい?

主人公を助ける実力者を目指して、

漆黒 光(ダークネス ライト)
ファンタジー
主人公でもなく、ラスボスでもなく、影に潜み実力を見せつけるものでもない、表に出でて、主人公を助ける実力者を目指すものの物語の異世界転生です。舞台は中世の世界観で主人公がブランド王国の第三王子に転生する、転生した世界では魔力があり理不尽で殺されることがなくなる、自分自身の考えで自分自身のエゴで正義を語る、僕は主人公を助ける実力者を目指してーー!

聖なる幼女のお仕事、それは…

咲狛洋々
ファンタジー
とある聖皇国の聖女が、第二皇子と姿を消した。国王と皇太子達が国中を探したが見つからないまま、五年の歳月が過ぎた。魔人が現れ村を襲ったという報告を受けた王宮は、聖騎士団を差し向けるが、すでにその村は魔人に襲われ廃墟と化していた。  村の状況を調べていた聖騎士達はそこである亡骸を見つける事となる。それこそが皇子と聖女であった。長年探していた2人を連れ戻す事は叶わなかったが、そこである者を見つける。  それは皇子と聖女、二人の子供であった。聖女の力を受け継ぎ、高い魔力を持つその子供は、二人を襲った魔人の魔力に当てられ半魔になりかけている。聖魔力の高い師団長アルバートと副団長のハリィは2人で内密に魔力浄化をする事に。しかし、救出したその子の中には別の世界の人間の魂が宿りその肉体を生かしていた。  この世界とは全く異なる考え方に、常識に振り回される聖騎士達。そして次第に広がる魔神の脅威に国は脅かされて行く。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...