32 / 333
第2章 骨の谷
第27話 えっ!? 今、何があった!?
しおりを挟む「ーーーーえっ!? おい……嘘だろ!?」
何が起きたのか理解できなかった。
グルルルルルル
眼の前にあるのは、緋色の鱗に覆われた巨大な鰐を思わせるような生き物の顔だ。鼻の頭に犀を思わせる緋色の角が突き出てる。先程から聞こえるのは喉が鳴ってる音だろう。
『હું સ્વાદિષ્ટ ખોરાક ખાધો આભાર કહેવું』
は?
何だ?
「何か、言ったのか……?」
ギロリと緋色の鱗に覆われた顔の中で光る金色の眼に睨まれた俺は、足が竦んでしまい動けないでいた。
眼と鼻の先に、緋色の鱗に覆われた巨大で凶悪な顔があるんだ。でかい角が左右に1本ずつ後頭部から後ろに伸びてるのが見える。
今までは【鑑定眼】が勝手に仕事してくれたけど、ピクリとも動かない。
これは想像だが、レベル差があり過ぎて発動しないということなのか?
けどコイツは……。
色々な情報が頭の中を駆け巡るが、俺の頭ん中にあるファンタジー小辞典の導き出した答えが竜、それも赤竜であると告げていた。
『神族を連れておるならばと思うたが、竜語を解せぬとは、所詮獣は獣か。美味いものが喰えた。礼を言う、と申したのだ』
「 な に?」
耳を疑った。
さっきの言葉は竜語って事だが、それよりも聞き捨てならねえことを言いやがった。
眼の前の生物が、生物界の頂点に立つ竜だろうが、何だろうが知らねえ、今なんて言いやがった!?
『貴様の連れの神族は余が喰らうてやった。感謝するが良い。久しく喰らうてない馳走を献じた事に免じて、貴様の命は取らないでおいてやろう。早う去ね』
「 ん だ と?」
『ほう。獣は力の差を見せつければ去るはずだが、貴様はそれに当て嵌まらぬようだな』
ガラッ
ぐっ、レッドドラゴンの両目が細められたと思ったら、急に息苦しくなってきやがった。
肩の上に何か載せられたみたいに重てえ。
何とか1歩足を前に動かすと、足下の骨が道を塞ぐように俺の前に転がった。
頭に血が上って、怖さよりも先にスピカの事を思った俺の口が、啖呵を切る。
「言葉が通じるようだから言ってやる。ドラゴンだが、莫迦デケえトカゲだか知らねえが、俺の嫁に何してくれとんじゃあっ!! 吐き出せっ! ごらあぁっ!! 【骨爪】!」
ダンッと足を踏み込んで右手を薙いだ――。
『ふん、つまらぬ』
手応えがあったのとレッドドラゴンの声が聞こえたのがほぼ同時だったが、俺の意識はそこでブツリと切れてしまったーー。
◆◇◆
気が付いた時、俺は背中で骨を掻き分け、吹き飛ばしながら骨の谷の入り口に向かって吹き飛ばされている最中だった。
「ーーーーあぐっ!! えっ!? 今、何があった!? がががっ!?」
意識が混濁してたが、右腕と背中から来る激しい痛みでどうやら競り負けただけでなく、力負けして吹き飛ばされたのだと現状を認識できた。
この勢いを殺そうにもどうにも出来ない。
クソッ、どんだけの勢いで吹き飛ばされたってんだよ!
暫く身動きが出来そうにないが、右腕と背中の痛みが中々消えそうにない。
それもその筈だ。
右腕は関節が増えてあらぬ方向に曲がってる。
けど、痛みが消えないって事は常時ダメージが蓄積されてるってことだぞ!?
「ステータス!」
慌てて状態を確認するためにステータスを開いて、俺は眼を瞠った。
◆ハクト◆
【種族】兎人族:雪毛種
【性別】♂
【職業】骨法使い
【レベル】Lv516
【状態】打撲 / 骨折 / 恐慌
【生命力】3842 / 19842
【魔力】19920 / 19920
【力】19772
【体力】19930
【敏捷】23083
【器用】19769
【知性】20006
【ユニークスキル】
無限収納
骨法 Lv10
【アクティブスキル】
鑑定眼 Lv3
【パッシブスキル】
回復強化 Lv5
耐痛 Lv10
耐魅了Lv1
【称号】
【装備】
ベルト
ポーチ×2
ナイフ×2
手斧×1(破損)
解体用骨刀×1(破損)
森躄蟹の草摺(破損)
森躄蟹の籠手(破損)
森躄蟹の脛当て(破損)
森躄蟹の胸当て(破損)
【所持金】
0
恐ろしい勢いで、【生命力】が減っていってるんだ。
【生命力】2914 / 19842(ピッ)
ルーレットを回すくらいの勢いでドンドン減ってく。
【生命力】2307 / 19842(ピッ)
んな悠長な事を言ってる場合かよっ!
【生命力】1853 / 19842(ピッ)
何か手を打たねえと、行き着く先は打撲死。ここの骨の仲間入りなんて死んでも御免だ!
【生命力】1261 / 19842(ピッ)
ステータス画面を出したままだから、嫌でも気持ちが焦る。
【生命力】879 / 19842(ピッ)
でも、見ない訳にはいかねえだろうがよ。
【生命力】315 / 19842(ピッ)
何かねえのかよーー。そうだっ!?
【生命力】87 / 19842(ピッ)
「【骨融合】ぉぉぉぉぉっ!!!」
【生命力】1 / 19842(ピーーーーーー)
0
お気に入りに追加
574
あなたにおすすめの小説
虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~
すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》
猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。
不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。
何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。
ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。
人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。
そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。
男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。
そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。
(
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
異世界で俺はチーター
田中 歩
ファンタジー
とある高校に通う普通の高校生だが、クラスメイトからはバイトなどもせずゲームやアニメばかり見て学校以外ではあまり家から出ないため「ヒキニート」呼ばわりされている。
そんな彼が子供のころ入ったことがあるはずなのに思い出せない祖父の家の蔵に友達に話したのを機にもう一度入ってみることを決意する。
蔵に入って気がつくとそこは異世界だった?!
しかも、おじさんや爺ちゃんも異世界に行ったことがあるらしい?
主人公を助ける実力者を目指して、
漆黒 光(ダークネス ライト)
ファンタジー
主人公でもなく、ラスボスでもなく、影に潜み実力を見せつけるものでもない、表に出でて、主人公を助ける実力者を目指すものの物語の異世界転生です。舞台は中世の世界観で主人公がブランド王国の第三王子に転生する、転生した世界では魔力があり理不尽で殺されることがなくなる、自分自身の考えで自分自身のエゴで正義を語る、僕は主人公を助ける実力者を目指してーー!
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる