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第1章 深淵の湖

第13話 えっ!? これが骨法!?

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 ピルルルル

 何処かに避難してたスピカが肩に戻ってきた。

 「お前さんが話せたら色々聞けるんだろうにな」

 ついぼやいてしまう。

 ピルルルル

 レベルが上がっても何言ってるのかまだ分からん。

 ピーッ ピッ

 「あたたっ! 悪い悪い、スピカを責めてるんじゃないって。これは勘だが、俺の方がどうにかならんと無理だと思うぞ。まあ、気長に付き合ってくれんかね、スピカさんや」

 ピルルルル

 ザクザクッと頬をくちばしで刺してくるので、早々と両手を挙げて降参ポーズを取る。それで機嫌が治ったのか、肩の上で歌い始めた。うん、可愛いな。

 肉は幾ら有っても困らないから、森鰐の方から無限収納へ放り込む。

 猪蛇いのへびの方は、森鰐が口を付けてないところを切り取れば食べれるはず。

 と言っても内臓を食べてたようだから、背骨や肋周りの肉は大量に取れるはずなんだよな。

 そう思いながら死骸を見るが……。

 「でけえな……」

 そう言いたくもなる。

 頭の先から尾の先まで、20m近くあるんだぞ?

 これをどうさばけと……。

 そう言えば【骨法】のレベルが上がってたことを思い出し、何か役立つものが無いものかと【骨法】に眼を凝らしてみることにした。

 ◆骨法◆
  Lv1:骨抜き(熟練度2)
  Lv2:骨飛礫ほねつぶて(熟練度1)
  Lv3:骨接ぎ(熟練度1)
  Lv4:骨形成(熟練度1)
  Lv5:骨錬成(熟練度1)
  Lv6:骨融合(熟練度1)
  Lv7:骨爪こっそう(熟練度1)
  Lv8:骨譲渡(熟練度1)
  Lv9:骨人形(熟練度1)
  Lv10:粉骨砕身(熟練度1)

 ゴシゴシ

 俺は眼を擦っていた。

 再度確認する。



 「え!? これが骨法!? 嘘だろ!?」



 眩暈めまいがした。

 あり得ん。

 出鱈目でたらめにも程がある。

 【骨法】って言えば古武術だぞ!?

 何だこりゃ!?

 形成!? 錬成!? 融合!? 譲渡!?

 粉骨砕身に至っては四文字熟語だろうが!!

 俺の聞き間違いじゃなければ、【骨法】の名のもとに並んだ項目は魔法だ。どう使えってんだよ……。

 ピルルルルー

 肩を落とす、俺の方の上で元気付けてくれるかのようにスピカがさえずってる。ああ、可愛いなぁ。

 「はあ。落ち込んでもどうにもならん。一個ずつ確認するか。いや、その前にコイツを仕舞うか?」

 画面を出したまま猪蛇の牙を持って少しだけ引っ張ると、急に眼の前に無限収納の口が開き、ズルリと呑み込んでしまった。



 「Oh……。すげえなーー」



 改めて無限収納の凄さに驚く。

 度肝を抜かれる、とはこのことだろう。

 【骨法】とは違った意味で衝撃的だった。

 気を取り直して、血の匂いのない場所に移動することにする。

 このままここに居座って安全な訳がない。

 何かに使えるかもと、抜き取った2個の頭蓋骨も拾って行く。

 レベルアップの恩恵と言うべきか、体が軽い。

 ゲームじゃこんな感覚はないだろうから、やっぱり現実なんだなと改めて思う。

 なんせ異世界ここに来てから丸1日経ってないんだ。

 これでも順応してる方だと思うぞ。

 5分位離れた場所にあった太くてどっしりとた大樹の枝を見付けたので、枝目掛けて飛んだら難なく飛び上がれた・・・・・・ーー。

 「おおっ!? 一飛ひとっとびかよ」

 兎の脚力めてたな。

 ピルルルルー

 スピカも近くの枝に止まって機嫌よく歌い始めてる。こういうBGMも良いもんだ。

 「ふぅ。どれどれ」

 再度ステータス画面を呼び出して、詳しく見てみることにした。

 眼を凝らせば【鑑定眼】が働くらしい。便利なもんだ。

 ◆骨法◆

 骨抜き・・・骨に対象物自身の肉などがこびり付くが抜き取れる(消費魔力1)

 骨飛礫ほねつぶて・・・ゴルフボール大の骨の弾を1つ作り出し、撃つ ※周囲に骨がなければ、自分の骨から飛礫を作り出す(消費魔力10)

 骨接ぎ・・・骨折した箇所正しい位置に戻し接ぐことが出来る(消費魔力20)

 骨形成・・・入手した骨を粘土のようにして任意に加工できる ※生きてるものの骨は加工できない(消費魔力30)

 骨錬成・・・自身や、任意の相手の骨密度を上げれる(消費魔力50)

 骨融合・・・骨を自分の中に取り込んで一体化する ※1:熟練度が上がれば自分が加工した物も骨として取り込めるが、取り込む前の形で排出は出来ない ※2:熟練度が上がれば、任意の相手にも行える(消費魔力80)

 骨爪こっそう・・・両手の指先から骨の爪が伸びる(消費魔力90)

 骨譲渡・・・取り込んだ骨を他人へ譲渡できるが、使用には【骨錬成】と【骨融合】の練度が必要(消費魔力100)

 骨人形・・・操りたい骨に触れば操れる ※1:死霊魔術ネクロマンシーではないので、操る骨はアンデッドではない ※2:操れるのは熟練度1つき1体(消費魔力500)

 粉骨砕身・・・この技を使うと熟練度1につき使用限界時間10分の制限下で、限界以上の力を引き出し動けるものの、効果が切れた直後に全身の骨が砕けて動けなくなる(消費魔力1000)



 「ーーーーなんて言うか、あきれて物が言えねえ……」



 ぐしゃぐしゃっと後頭部を左手で掻き回すと、空を見上げた俺は『ふぅ』と大きく溜息をいたーー。





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