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むしかご
しおりを挟む翌晩、濡れ縁で寝て起きると、汐の左足が帰ってきていた。
「――だめよ、汐さん。土のついた足で上がったら、よごれちゃう」
再会の喜びの後、やんわりとたしなめて、右手と同じように洗ってあげた。
爪につまった砂を、古い歯ブラシでこすりとってから、どうしようかなと頭を巡らせ、なんとなく除毛クリームを塗ってみた。
何をされているのか、汐には、わからなかっただろう。
5分ほどして洗い流して、つるんとなった脛を撫でながら「帰ってきたら驚くかな」と一人でニヤニヤと笑っていた
また次の夜、汐の右足が帰ってきた。
右手左足と同じく、きれいに洗ってあげて、それから今度は、くすぐってみた。
コンディショナーを指に絡めて、足指の間をぐちゅぐちゅしてあげると面白いくらいに身もだえて――身はないが――いた。
まだ知らぬ夫の弱点を発掘した喜びに笑い転げていると、居間の座椅子の肘掛けで、くつろいでいた右手がやってきて、こちょこちょとやりかえされた。
そうして仲よく戯れているうちに、いつの間にか夜が更けていた。
その次の夜は、まちぼうけ。
濡れ縁に腰かけた――腰はないが――汐の左足を枕に、右手に頭を撫でられ、右足をくすぐったりじゃれあいながら朝陽を見た。
――そういえば、胴体は少し遅れて来てたかも……。
失意の朝寝からの目覚めた後、形代占いの結果を思いだして、「今夜こそは」と期待に震える。
――何を着ようかなぁ。
ウキウキと迷って、結局は、どうせすぐに脱ぐだろうと、いつもとあまり変わらない白のワンピースにした。背中のファスナーを下ろして、肩ひもを滑らせれば、ストンと脱げる。
胸元にリボンレースをあしらっている物を選んだのが、せめてものお洒落だ。
服に凝れなかった分、じっくりと丁寧に化粧をしてから、濡れ縁で汐の左足の膝に寝ころび、目を閉じる。
サンタクロースを待つ子どものような気分だった。
ふわりと何かが唇に触れた。
目蓋を開ければ、待ち望んだ瞳がそこにあった。
海の底のような青みがかった灰色が、ふわりと笑みの形に細まる。
「やぁ、おめざめかな。お姫様」
呆然と見つめる私に、そんなふざけたことを言う待ち人を、押し倒すように抱きついた。
「……泣かないで、灯花。せっかくおめかししてくれたのに、お化粧がとれるよ」
下敷きになった汐の言葉に「バカ」と返そうとして、結局、こぼれたのは泣き声だった。
濡れ縁を下り、這ってきた汐の右手が、私の肘から上がってきて、あやすように背を叩いていた。
どれくらい泣いたか、ようやく気が済んだころには、汐のシャツの襟のあたりが私の涙で湿り、落ちたマスカラで黒く染まっていた。
汗では滲まないはずのその品は、涙の熱さに負けたようだ。
パチパチとまばたきをしながら、身を起こす。
「ごめんね、汐さん」
後で洗うから――と言いかけた言葉を呑みこむ。
「……そのシャツ、お気に入りだったのにね」
汚れを落としても、なくした袖は戻らない。
「本当に、残念だよ」
「……新しいシャツ、買いにいこうね」
「うん」
白い頬をやさしく撫でれば、ざらりと手のひらに砂を感じた。
「……ねぇ、とぉか」
「なぁに、うしおさん」
「今日も洗ってくれる? 他のところみたいに」
「いいよ。抱っこして、洗ってあげるね」
こくり、と頷き、汐の背中に腕を回して、よいしょと彼を抱き起した。
「……汐さんってば、重すぎ……明日は絶対筋肉痛だよ」
ちゃぷり、と指先で湯を弾いて呟く。
「明日? 明後日じゃなくて?」
私の背もたれになった汐が耳元で笑う。
「それは汐さんでしょう。私より七つも年寄りのくせに。私は、まだまだ若いです!」
軽口を叩きながら、くるりと身体をひねって汐に向き直る。
広い肩を手のひらで撫で、首筋をたどって、指先で頬をなぞり、変わりはないかと愛でていく。
明るい灯りの下であらためて、彼を確かめたかった。
汐は、されるがまま、ただ黙って微笑んでいた。
淡く金色を帯びた白い髪を額から払い、耳にかけ、ふと、小さな異変に気がついた。
穴が、増えていた。
耳の付け根、こめかみ近くに――キリで刺したような穴が四つ、左右合わせて八つある。
――そういえば、言ってたな。
生まれつきだというその穴は、先天性耳瘻孔というもので、胎児のころの名残りであり、魚のエラの名残りでもあるのだと、昔、汐は教えてくれていた。
「……くすぐったいよ、灯花」
小さな穴を指先でなぞっていると、やんわり汐に拒まれた。
エラだというなら人の肺だ。
肺を触られるのは嫌だろう。
「ごめんね、汐さん」
やんわり謝って、耳から離した手を汐の首に回す。
「お詫びにキスしてあげる」
「謹んで頂戴いたします」
「どうもどうも」
くすくすと笑い合って唇を重ねた。
「汐さん、おなかすいてない?」
「今は、大丈夫」
「今は?」
「うん」
「いつなら空くの?」
「全部、そろったらかな?」
「……そうなんだ、一緒に、お夜食、食べたかったなぁ。胡瓜の古漬けの熱々ほうじ茶漬けとか」
「んー? 愛しい奥様のために、幾千の波をこえて帰ってきた旦那様に、最初に出すのがお茶漬けなの?」
「お茶漬けが一番手軽で美味しいって言ってたくせに、汐さんの贅沢者」
「美味しいよ。でも、せっかく灯花と感動の再会が叶ったんだから、御祝いしたいな」
「御祝いね。尾頭付きの鯛とか?」
「そう、新鮮なのをお刺身にして、出汁を引いて、海苔とあられと三つ葉をそえて、ご飯に乗せたら――」
「あっつあつの出汁をかけて、鯛のだし茶漬けの出来上がり? 結局、お茶漬けじゃない!」
「あれ? おかしいなぁ」
「汐さんってば、いい加減なんだから」
そう決めつけてやると、汐は眉を上げて心外そうな顔を返す。
「灯花だって、細かいところは気にしないボンヤリさんだし、ゆるめとゆるめで、お似合いじゃないか」
「そうね。私達って、すっごくお似合い。ベストカップルかもね?」
きゃっきゃうふふと笑い合いながら、内心で呟く。
――気にしないわけ、ないじゃない。
聞きたいことは、たくさんある。
ただ、真実を知るより、汐と一緒にいたいだけ。
夢のような安心の中に、いたいだけ。
夢なら、どんなことが起こっても「そういうものだ」で片が付く。
だから、別にいいのだ。
死ぬまで見れる夢だと思えば。汐がどんな姿でも、存在でも。
「……大好き。汐さんが、世界で一番好き。愛してる」
「僕もだよ、灯花」
「だめ。横着しないで、ちゃんと言って」
「ええ~恥ずかしいな」
「ずるい」
「こういう何でもないときに言うのは照れるんだよ。まぁ、布団の中なら別だけど?」
「そっちは、全部そろうまで待たなくていいの?」
「今までだって、してただろう?」
「……何をしてるか、わかってたの?」
「そりゃあ、わかるよ。自分の手だから」
「……そう。そうよね」
ほんのり頬に熱が集まる。
別に変なことはしていない。
それでも、大元の汐が帰る前に待ちきれず、彼の手と遊んでいたことが筒抜けだったのかと思うと恥ずかしかった。
「ずるい。最初に教えてくれれば、きちんと今日まで我慢したのに……」
「僕のせい?」
「そう、汐さんのせい。何にも教えてくれないで、あんなことするからいけないのよ」
「そう、ごめんね。ちょっとからかうつもりだったのに『してくれるの?』なんて、可愛くおねだりされちゃったら、するしかないかなって思っちゃって。本当に、ごめん」
「全然、悪いと思ってないでしょ」
「うん、ごめんね」
口先だけで謝りながら、嬉しそうに笑う汐の頬を撫でて、つねって、はなす。
「罰として、今日は、私がしてあげる」
ニコリと笑っての私の宣言に「罰というより、ご褒美だね」と笑い交じりの声が返ってきた。
大きな口をきいておきながら、汐を抱いて蚊帳をくぐったところで、ひよわな私の腕やら背筋やらは限界だった。
「もう、むり!」
抱き合ったまま布団に倒れこみ、畳のような緑の四角い天井をながめて、そっと白い浴衣の袖で額を拭う。背にも首筋にも、うっすらと汗をかいていた。
同じ浴衣を着ている汐は、涼しい顔だ。
「おつかれ、灯花。途中で落とさないでくれてありがとう」
汐の労いに「どういたしまして」と、ころり、と転がり、汐の腰をまたいで胸に手を置き、ぺたりと身を伏せる。
「……ねぇ、汐さん。覚えてる? 虫かごの話」
「うん、覚えてるよ」
「今日こそ、汐さんが鳴く番だから」
「そう? こわいなぁ。お手柔らかにで、お願いします」
「その余裕がいつまでもつかなぁ」
ふふ、と笑い交わして、口付ける。
ちゅ、ちゅ、と重ねる淡いものから、はぁ、と深い息継ぎの後、唇を舌で割りあって中で絡める濃いめのものへ。
気がつけば夢中になっていた。
もぞり、と脇腹に汐の右腕が触れて、離れ、左の腕が背に回される。
「……今頃、肘掛けを一生懸命撫でているだろうね」
「汐さんの右手が?」
「うん」
他の汐の一部は、文字通り蚊帳の外。
右手は座椅子の肘掛け、右足と左足は座布団の上で仲良く寛いでいることだろう。
「ふうん、かわいそう」
口付けをといて、くすり、と笑う。
ぺたりと上半身はくっついたまま、浴衣の裾をつまんで、ばさりと左右に引っぱる。
くっと手に伝わる抵抗。膝裏に挟みこまれていた布が抜けて、大きく肌蹴た裾が蝶の翅のように広がる。
隔てる布が一枚消えて、残った布一枚を通して感じる、汐の熱と硬さが心地よい。
ずっと欲しかったものを、早く与えて欲しかった。
ゆるく腰を揺らして擦りつければ、じわりと布が湿って貼りつく。
――だめ、よごれちゃう。
いつもはパジャマだが、今日は脱ぎ着のしやすさを一番に考えて、これを準備した。
朝、大慌てで洗って干して、はためく風と夏の日射しで無事に乾いて、畳みながらホッとした。
白地に藍で流水文様とヤマメが染められた浴衣は、何年か前、珍しく二人で旅行をした時に宿で貰ったものだ。
新婚旅行にはだいぶ遅い、結婚して一年半が過ぎたころに行った温泉旅行は、お土産がやたらと多いプランだった。
「ねぇ、汐さん、覚えてる?」
「何を?」
「新婚じゃない旅行」
「あぁ、この浴衣?」
「そう。お土産、たくさんだったね」
「うん。銘水に木の葉の人形焼きと天狗サブレと、あと、何だっけ? ヤマメの甘露煮?」
「それと、泥付き朝採りタケノコ、まるまる一本」
「あぁ、そうだった。新婚さんならサービスしておきますって、やたらと大きいのくれたよね」
帰り際に「トランクが閉まらない」と慌てたのも今では楽しい思い出だ。
「それで、結局、竹の子だけ手提げ付きの紙袋に入れて持って帰ったのよね」
「どれも美味しかったね」
「うん。タケノコが一番、おいしかったなぁ。また、食べたい」
竹林のないこの島ではタケノコは採れない。残念だ。
「ねぇ、灯花。そんなに食べたいなら、新鮮なタケノコが、今、灯花のお尻の下にありますけど?」
「やだ、汐さん。そういうの、オヤジっぽい」
「あはは、傷付くなぁ」
「ふふ、ごめんね。お年寄りは敬わなくっちゃね」
汐の鼻の頭にキスをして謝ると「もっと傷ついたよ」と、わざとらしく悲し気な顔をするので、ご要望通りにタケノコ採集をすることにした。
汐の浴衣のすそをつまんで、左右に引っぱって、すくすくと成長中の一本をやさしく手で撫でさすって、じっくり焦らしてあげようと思ったのに、気がついたら下の口に運んでいた。
自分で開いて、自分であてがって、ゆっくり腰を下ろして、久しぶりだからか苦しくて、少し腰を上げて、落として。
「灯花、きついなら、手を呼ぼうか?」
「……いい、大丈夫」
「じゃあ、足を呼んでおくよ」
「足を呼んでどうするのよ……大丈夫だから」
余裕のない結合部から、浅い出入りのたびにぬちゅ、くちゅと水音が響く。
ダラダラとあふれたものが指や汐のモノを伝わり、したたる。
それを潤滑油がわりに指で扱いて絡めれば、汐の心地よさそうな溜め息が鼓膜をくすぐり、子宮の辺りがキュンと震える。
――おくまで、したい。
どちらのものかわからなくなってきたトロみを自分の入り口にもぬりこんで、グッと腰を落とした。
柔い肉をゴリゴリと押し広げられていく微かな痛みと息苦しさ。その奥には、火種のようにくすぶる期待と疼きがある。
やがて、すべてが収まるべきところに収まって、安堵と満足感に息を吐く。
「……ん、きもちいい」
汐と結ばれる前、自分で慰めていたころにも外側で快感を得る術は知っていたが、身体の中、深いところを使って得る快感を知ってからは、もっとこれが好きになった。
一人では得られない悦びを、汐が手間暇をかけて私から引き出し、教えこんだ。
だから、私を女にしたのは汐だ。嬉しいことに。
そして、汐を男にしたのは私だ。とても嬉しいことに。
選り好みが激しく、人付き合いも嫌いな彼は、好奇心や欲望をすくすくと育てながら、私が大人になるのを待ちかまえていた。
そんな執念深く紳士的で愛情深いところが好きだ。
私しかいらないのだと思わせてくれるところが。
「すごく、すき」
汐の頬に手をそえて、深い灰色の瞳を覗きこみ囁く。
「ありがとう。僕も好きだよ。だから、焦らさないで、早く動いて?」
「だって、久しぶりだから、うまく動けない」
「灯花が動いてくれないと。今の僕は手も足も出ない、芋虫かマグロみたいなものだしさ……ねぇ、とぉか、おねがい」
「ん、マグロだったら、跳ねてみせてよ」
「陸に上がったマグロだから、跳ねる元気はありませんねぇ」
「もう、ばか」
笑い交じりに罵って、脚に力を入れ、腰を上げていく。
抜け落ちる寸前まできたら、ゆっくりと腰を下ろしていって、くりかえす。
うろ覚えの知識を確認して、思いだすように、躾けられた性感が目覚めていく。
ぞくぞくと背骨を抜ける快感に、肌が粟立ち、崩れそうになる膝を必死に立てて、汐に問いかける。
「ぁ、汐さん、きもちいい?」
「うん、灯花の身体は、どこも気持ちいいよ」
うっとりと返しながらも、私ほど汐は乱れていない。
ここ数日、私は汐の手で何度か慰めてもらっていたが、逆はなかった。
汐にとっては、ひとつきちょっとぶりのふれあいのはずなのに。
くやしい。もっと飢えていて欲しかった。
――飢えさせてやりたい。
そんな気持ちで腰を上げ、雁首のあたりを狙って、ぬるぬると浅い出し入れをしてみる。
私の意図に気がついたのか汐が楽しそうに目を細める。
「……灯花、意地悪してるの?」
「そう、んっ、無断外泊のお仕置き」
「そう、つらいなぁ。許してください、灯花さん」
「許してほしかったら、ちゃんと謝って、愛してるって言って?」
「ちゃんと?」
「そう、ちゃんと言わなきゃ許さない」
少しの間、きょろりと視線を巡らせて、汐はニコリと微笑んだ。
「不安にさせて、心配かけてゴメン。また、受け入れてくれて嬉しい。この世で一番愛しているよ、とぉか」
「……私もよ、汐さん」
汐の頬を撫で、口付け、首に手を回し、ギュッと頭を抱えこむようにしがみつく。
掃きだし窓から風でも吹きこんだのか、はたりと蚊帳が揺れる音がした。
夢中で唇を重ね、貪りながら、もぞりと汐が身じろぎ、ぐちりと中を掻きまわされる感覚に喉の奥で喘ぐ。
「……灯花、だめだよ。横着しないでちゃんと言ってくれないと」
口付けがほどけるなり、汐が悪戯っぽく咎める。
「いいの。汐さんのはお仕置きだもの」
「そう、なら仕方ないね。……じゃあ、動いてくれる?」
「……うん」
「僕が動いてもいいけど」
「え? でも、汐さん、さっき動けないって……」
「うん。さっきはね。ちょうどいま、マグロから、足の生えたマグロに進化したから」
「え?」
はっ、と振り向こうとしたところで、ばちん、と突き上げられた。
あっ、と情けない声を上げて、汐の上にくずおれる。
「はは、やっぱり、脚だけでも在ると違うね! 動きやすいよ!」
汐の楽し気な笑い声が響いて、追い打ちがかかる。
ばちん、ばちん、と景気よく肌が打ち合い、跳ねさせられたかと思えば、突き刺し、持ち上げるように腰を押しつけられて、散々汐に耕され、こなれて、気持ちいいことを覚えこんだ胎の入り口を責められる。
「ひ、っ、ぁあ、やぁ……っ」
しがみついているだけで、ずんずん高みに押し上げられていく。
そうだった。いつも、こんな感じだった。
汐は、こういう男だった。
右手で私を一方的に慰めたように、惜しみなく私を心地よくさせるのを楽しむ男だった。
私だって気持ちよくしたいのに、結局、いつも最後は私が責められ、乱される。
征服欲が強いのだろう。私にも、彼しかいらないと、彼が一番だと思わせたいのだ。きっと。何て子供っぽい、独占欲。
「でも、すき……っ」
喘ぎ混じりに囁けば、さらりと汐の左腕が肩をなぞり、うなじに回される。
首筋に感じる、千切れた手首の皮膚がくすぐったかった。
「僕も、好きだよ、とぉか。誰よりも。大切な人は、君だけだ」
囁きの後、促されるままに顔を上げ、引き寄せられて、口付けて。
果てを目指して叩きこまれる快感に、喉の奥から溢れる嬌声は、すべて呑みこまれた。
やがて、頭が白く弾けて、電気を流されたカエルのように身体が跳ねる。びくん、びくん、とわざとらしいほどに勝手に。
合わせて締め付けたのが効いたのか、それとも私が達して、もう出してもいいだろうと思ったのか。
汐の動きが止まり、ふるり、と小さな震えが合わせた肌を伝わった。
「……ぅ、……ん、……っ、ふ」
くぐもった呻きを交わしながら、私は、重ねた汐の唇が満足げに微笑むのを感じていた。
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