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1章
カー二バー刑務所
しおりを挟む白を基調とした廊下を黒い制服で歩く2人の警察官。
「シバさん!今日、問題の囚人たちが移送されてくるらしいですよ!」
「知ってるに決まってるだろ。俺の担当だ。」
「そうでしたね。カーニバー刑務所最初の囚人達ですね。」
「あぁそうだな。」
「いい人達ならいいですね!」
「いや。囚人にいいやつも悪いやつもないだろ。」
「それもそうですね。」
ここはカーニバー刑務所である。
世界最新の刑務所であり、最先端技術が使われている。
まだ使われていなかった刑務所に新たに5人の囚人が移送された。
マタタビ団である。
移送の車から降りた5人はカーニバー刑務所の入口にあるゲートをくぐった。
このゲートは金属探知機とサーモグラフィーが搭載されている。
危険物を持っていないか、体温は正常か、など囚人を管理するためである。
ゲートは入口だけでなく、刑務所の至る所にある。
もちろん5人は持ち物全て回収されているため音はならなかった。
そして各牢屋に1人づつ入れられ、ロッカーにある作業服に着替えた。
「お前たち全員を担当するシバだ。お前達と馴れ合う気はサラサラないがよろしく。」
「副看守のアキです。とりあえず皆さん目の前にある腕輪をつけてください。」
「右腕左腕どっちにつければいいですか?」
こんなアホな質問をするのはトラである。
呆れたようにシバが返事をした。
「どっちでもいい。腕輪の説明はその都度行う。」
全員つけたことを確認したシバは、5人を連れて刑務所内の案内をする。
まずは各牢屋の設備の説明。
ざっと4畳ぐらいの広さにトイレとロッカーと机、そしてベットがある。
トイレはもちろん水洗式で洋式であり、各自掃除するように掃除道具まで置いてある。
ロッカーの中には1週間分の着替えがあり、全部同じ青色の作業服で貴重品をしまうための金庫もある。
「その金庫は各自刑務作業で得た、報酬を入れるところだ。報酬については刑務作業所に着いた時に言う。」
とのことである。
あとはみんなお馴染み学校で使うような机と椅子、引き出しの中には紙と鉛筆が入っている。
「牢屋は以上だ。なにか質問あるか?」
リーダーであるミケが答える。
「特にないです。」
「じゃ次刑務作業する場所に案内する着いてこい。」
牢屋へ繋がる扉の鍵をシバはしっかり締め、マタタビ団の前を歩く。
鍵はカードキーである。
もちろんシバが先頭にいるが、最後尾には副看守であるアキが見守っている。
黙々と歩く看守たちに耐えきれなかったハクが口を開く。
「アキさんってどっちなんですか?」
「どっちとは?」
「性別。」
シバが笑いながら答える。
「こんな顔して口調優しいけどコイツ、男子総合格闘技の元世界チャンピオンだぞ?」
「「マジで!?」」
息ぴったりな双子である。
「そんな驚きますか。脱いだらちゃんと男ですよ。脱ぎますか?」
「「結構です。」」
男だと知った双子はげんなりしながら歩く。
刑務所に入る時にくぐったのと同じゲートをくぐる。
「ここが刑務作業所だ」
そう言ったシバはカードキーを壁にあて扉を開ける。
扉の向こう側には無機質な部屋が広がっていた。
「ここでは、家具を組み立てたり内職のような袋に詰める作業をしたりする場所です。」
アキが丁寧に説明をする。
刑務作業の日は、基本的に奇数の日に行われる。
報酬は10日ごとに手渡しで現金が渡され、購買などで使える。
渡される金額は働き次第でボーナスがもらえるためサボらず働くようにとのことだった。
「説明は以上です。金額が知りたい場合は、腕輪のメニューから見てください。」
「刑務作業は3日目からスタートだ。しっかり働くように。」
シバはカードキーを取りだし部屋からでる。
そのあとにマタタビ団が続き、全員でたことを確認し、しっかり鍵を閉めた。白を基調とした廊下を何度か曲がりながら歩いていく。
すると鼻をくすぐるいい臭いがしてきた。
シバが歩くのを止め振り向く。
「そろそろお腹がすいてきただろう。飯の時間だ。」
双子のお腹の音が盛大に鳴った。
食堂についたマタタビ団は席についた。
出てきた料理はお店で出されるのと変わりのない立派なものだった。
食堂は、各自お皿を片付けるのだがトラは目を丸くした。
「おばちゃんなんでここにいるの?」
トラはどうやら食堂のおばちゃんと顔見知りらしい。
その事を知ったシバはトラを食堂で刑務作業させるように手配した。
トラは料理が得意なので適任である。
マタタビ団は昼食をとり、お腹が満たされた状態でまた刑務所の案内を聞く。
共同のトイレや、購買、お風呂など各施設を回り、夕御飯を食堂で食べ、牢屋に戻ってきた。
「とりあえず、お前達に関係のある場所はすべて案内した、道に迷ったら近くの看守に聞くか、腕輪のマップ機能を使うように。」
そう告げたシバは最後に笑顔で言った。
「100日間有意義な刑務所生活を過ごすように。」
正確には1日施設案内でなくなったため99日である。
マタタビ団は各自牢屋に戻り話始めた。
ミケがトラにずっと疑問に思っていたことを聞いた。
「トラお前どこであのおばちゃんとであったんだ?」
「話すと長くなるので、手短に言うと料理の勉強のために行ったところで出会って色々お世話になったんですよ。」
「なるほどな、だからお前の作る飯は旨いんだな。」
そんな話をしながら各自眠りについた。
処刑までのこり99日
【活動報告書】
本日問題のマタタビ団が入所する。
施設内の案内を行い、刑務作業の説明などをし、1日が終わった。
まだ問題行動はないが少しばかり緊張感に欠けている。
双子のハクとクロがとくに看守によく絡んでいるように思う。
コミュニケーション能力が高いのであろう。
しかし、食べる量が多い、食品を多めに発注しとかねば、食料がつきるであろう。
食品と言えば、トラも気になることがあった。
どうやら食堂の職員と顔見知りらしい。
注意して観察しておくべきか。
マタタビ団の中核の二人のミケとサビの言葉数が少ないのも気にかかるが、要観察でいいだろう。
残り99日だ。何事もなく過ぎるよう警戒しよう。
シバ
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