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夫婦はやっと同居中!
27.出張依頼
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翌日、俺はひとまず姉とエドワルドに手紙を書いた。
この間までだったら兎も角、今は全く離婚の気配なんてないんだし、ここははっきり意思表示をしておかないと。
『結婚生活は上手くいってるから離婚する気はない!エドワルドにも迷惑かけてゴメンって手紙送っといたから、もう余計なことするなよな!』
『エドワルド。姉さんが心配させるようなことを言ってゴメン。俺は元気にやってるから、気にせず騎士団で頑張れ!そうそう、俺もこっちで冒険者デビューしたんだ。しかももうDランク!凄いだろ?また今度会ったらいっぱい話聞いてくれよな!また会えるのを楽しみにしてる』
姉さんにはガッツリ釘を刺して、エドワルドには謝罪と近況報告。
大体あいつが俺を好きってどう考えても友情的意味に決まってるだろ?全く。
何はともあれこれで問題解決だ。
「シーファス。ちょっと手紙を出したいんだけど」
「ああ、別に構わないぞ?」
今日はシーファスとギルドに顔を出す予定だから、そのついでに手紙も出しておいた。
「誰に出したんだ?」
「ん?姉さんと友達」
「そうか」
「それより今日はレベリング頑張るな」
昨夜は途中から記憶はないけど、絶倫なシーファスに長々抱かれて凄く良かったんだ。
もうちょっとレベルを上げて体力がつけばきっとポーションを飲ませてもらわなくても大丈夫になるはずだし、シーファスも最中に【鑑定】とかしなくてよくなるから頑張りたい。
ドM?違う。俺は虐められるのがちょっと好きなだけだ!
痛いのは絶対お断り!
そんなこんなでギルドへと顔を出したんだけど、ここでギルドの受付嬢にシーファスが泣きつかれてしまった。
なんでもここ数日、Aランクの依頼が溜まっているんだとか。
勿論シーファス以外にもAランク冒険者は何人もいるんだけど、そのうちの何人かが依頼を失敗したらしく、そういうのをできれば捌いて欲しいとのことだった。
ちなみに依頼を三回失敗したら冒険者ランクは下げられるから、今その失敗した冒険者達は必死に他の依頼を頑張ってるらしい。
つまりリトライはしないってことのようだ。
「お願いします!特にこっちのヒュドラは既に三つのパーティーが失敗してて、もうソロとは言えベテランのシーファスさんにお願いするしかないんです!」
切羽詰まった様子の受付嬢が涙目で訴えてきて、シーファス的に放っておけないと思ったらしく、渋々引き受けることに。
「はぁ…。仕方がないな」
「受けていただけるんですか?!」
「受けるけど、その間ハルに絡む奴がいたら対処してもらってもいいか?」
「もちろんです!お任せください!」
「ハル。すまないが、レベリングは帰ってきてからでもいいか?」
物凄く申し訳なさそうに言われ、俺はその依頼が遠方なんだということに気が付いた。
「別にいいけど、何日くらいかかるんだ?」
「往復の旅程と合わせて大体一週間くらいだな」
「一週間か。わかった」
「できれば無理に一人で行動せず、俺がいない間は家にいてほしいけど…ダメか?」
シーファスはそう言うけど、俺だってソロ冒険者の端くれだ。
無茶な依頼さえ受けなければ大丈夫だと胸を叩く。
「ちゃんと依頼は選ぶつもりだし、そんなに心配いらないって!」
「…………変な奴とか、パーティーの勧誘とかが近づいてこないとは限らないし、諸々気を付けてくれよ?」
まさかのそっちの心配もあったらしい。
確かに前に強引にサインさせられそうになってたからそれもあっての事なんだろう。
「わかった。ちゃんと気を付ける」
そうは言ったもののシーファスは心配そうな顔で俺を見つめてきた。
「さっさと片付けて戻ってくるから」
「焦って怪我でもしたら大変だし、俺の事より自分の身の安全を優先させてくれよな」
「……わかった」
そしてシーファスはくれぐれも頼むと再度受付嬢へと頼み、依頼先へと向かった。
「さて。予定が狂ったな」
とは言えこれまでも一人で依頼をこなしたりもしてきたし、特に気負わなくても大丈夫だろう。
そう思い、その日は無理のない程度に依頼を引き受けてきっちり経験値も積んでから帰途に着いた。
***
「ライ…いえ、ミシェイラ様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
にこやかに侍女ズに迎えられ、俺は先にシャワーへ向かう。
それからシーファスに買ってもらったミシェイラの服に着替え、侍女ズに今日の出来事を話してからダイニングへと移動した。
部屋で食べずそちらに行ったのはシーファスが急遽一週間ほど帰れなくなったと家令に伝えないといけないからだ。
まあ家にいたはずのミシェイラがいきなりそんなことを言い出したらおかしいから、サフランが買い物ついでに伝言を頼まれたことにしておくけど。
これなら怪しまれることもないだろう。
けれどそれを聞いた家令が深々と溜息を吐く。
「はぁ…お二人の仲睦まじい様子に安堵していたのですが、やはりシーファス様は冒険者をやめる気はなさそうですね」
それはまあそうだろう。
シーファスは俺のレベリングもしたいって言ってたし、これからも続ける気満々だ。
なのに家令はどうやらシーファスに冒険者を引退してもらいたいらしい。
「奥様にはお話ししておいた方が良いかと思うので、食べながらで結構ですので少々私の話にお付き合いください」
そして家令はこれまでのシーファスの冒険者活動の経緯などを詳しく話してくれる。
それは半分は知っていた内容ではあったものの、本人から聞いたものと人から聞いた話では少し違って感じられた。
ここリムモンド家の没落から、借金返済のためにシーファスが冒険者ギルドに登録し日々働き出したことなどが主だが、家令は終始シーファスを不憫がっていた。
懸命に稼いできても両親は『すまないな』としか言わず、金策に走ってくれるでもない。
挙句本人の意見も聞かず勝手に婚約を取り付けてきたせいで仲が拗れてしまう結果になってしまったのだと。
「そのせいで結婚式もしないまま嫁ぐことになってしまったミシェイラ様にも大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございませんでした」
なるほど。
これまで部屋にこもってる嫁(実際はそう見せかけて冒険者活動してたけど)だったから、謝罪や事情説明ができなくて心苦しく思ってくれてたってところなのかも。
なんだか悪いことしたな。
そんなに気にしなくていいのに。
(この人にもいつか本当のことを教えてあげられたらいいんだけど…)
そう思いながら俺はそっと息を吐いた。
この間までだったら兎も角、今は全く離婚の気配なんてないんだし、ここははっきり意思表示をしておかないと。
『結婚生活は上手くいってるから離婚する気はない!エドワルドにも迷惑かけてゴメンって手紙送っといたから、もう余計なことするなよな!』
『エドワルド。姉さんが心配させるようなことを言ってゴメン。俺は元気にやってるから、気にせず騎士団で頑張れ!そうそう、俺もこっちで冒険者デビューしたんだ。しかももうDランク!凄いだろ?また今度会ったらいっぱい話聞いてくれよな!また会えるのを楽しみにしてる』
姉さんにはガッツリ釘を刺して、エドワルドには謝罪と近況報告。
大体あいつが俺を好きってどう考えても友情的意味に決まってるだろ?全く。
何はともあれこれで問題解決だ。
「シーファス。ちょっと手紙を出したいんだけど」
「ああ、別に構わないぞ?」
今日はシーファスとギルドに顔を出す予定だから、そのついでに手紙も出しておいた。
「誰に出したんだ?」
「ん?姉さんと友達」
「そうか」
「それより今日はレベリング頑張るな」
昨夜は途中から記憶はないけど、絶倫なシーファスに長々抱かれて凄く良かったんだ。
もうちょっとレベルを上げて体力がつけばきっとポーションを飲ませてもらわなくても大丈夫になるはずだし、シーファスも最中に【鑑定】とかしなくてよくなるから頑張りたい。
ドM?違う。俺は虐められるのがちょっと好きなだけだ!
痛いのは絶対お断り!
そんなこんなでギルドへと顔を出したんだけど、ここでギルドの受付嬢にシーファスが泣きつかれてしまった。
なんでもここ数日、Aランクの依頼が溜まっているんだとか。
勿論シーファス以外にもAランク冒険者は何人もいるんだけど、そのうちの何人かが依頼を失敗したらしく、そういうのをできれば捌いて欲しいとのことだった。
ちなみに依頼を三回失敗したら冒険者ランクは下げられるから、今その失敗した冒険者達は必死に他の依頼を頑張ってるらしい。
つまりリトライはしないってことのようだ。
「お願いします!特にこっちのヒュドラは既に三つのパーティーが失敗してて、もうソロとは言えベテランのシーファスさんにお願いするしかないんです!」
切羽詰まった様子の受付嬢が涙目で訴えてきて、シーファス的に放っておけないと思ったらしく、渋々引き受けることに。
「はぁ…。仕方がないな」
「受けていただけるんですか?!」
「受けるけど、その間ハルに絡む奴がいたら対処してもらってもいいか?」
「もちろんです!お任せください!」
「ハル。すまないが、レベリングは帰ってきてからでもいいか?」
物凄く申し訳なさそうに言われ、俺はその依頼が遠方なんだということに気が付いた。
「別にいいけど、何日くらいかかるんだ?」
「往復の旅程と合わせて大体一週間くらいだな」
「一週間か。わかった」
「できれば無理に一人で行動せず、俺がいない間は家にいてほしいけど…ダメか?」
シーファスはそう言うけど、俺だってソロ冒険者の端くれだ。
無茶な依頼さえ受けなければ大丈夫だと胸を叩く。
「ちゃんと依頼は選ぶつもりだし、そんなに心配いらないって!」
「…………変な奴とか、パーティーの勧誘とかが近づいてこないとは限らないし、諸々気を付けてくれよ?」
まさかのそっちの心配もあったらしい。
確かに前に強引にサインさせられそうになってたからそれもあっての事なんだろう。
「わかった。ちゃんと気を付ける」
そうは言ったもののシーファスは心配そうな顔で俺を見つめてきた。
「さっさと片付けて戻ってくるから」
「焦って怪我でもしたら大変だし、俺の事より自分の身の安全を優先させてくれよな」
「……わかった」
そしてシーファスはくれぐれも頼むと再度受付嬢へと頼み、依頼先へと向かった。
「さて。予定が狂ったな」
とは言えこれまでも一人で依頼をこなしたりもしてきたし、特に気負わなくても大丈夫だろう。
そう思い、その日は無理のない程度に依頼を引き受けてきっちり経験値も積んでから帰途に着いた。
***
「ライ…いえ、ミシェイラ様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
にこやかに侍女ズに迎えられ、俺は先にシャワーへ向かう。
それからシーファスに買ってもらったミシェイラの服に着替え、侍女ズに今日の出来事を話してからダイニングへと移動した。
部屋で食べずそちらに行ったのはシーファスが急遽一週間ほど帰れなくなったと家令に伝えないといけないからだ。
まあ家にいたはずのミシェイラがいきなりそんなことを言い出したらおかしいから、サフランが買い物ついでに伝言を頼まれたことにしておくけど。
これなら怪しまれることもないだろう。
けれどそれを聞いた家令が深々と溜息を吐く。
「はぁ…お二人の仲睦まじい様子に安堵していたのですが、やはりシーファス様は冒険者をやめる気はなさそうですね」
それはまあそうだろう。
シーファスは俺のレベリングもしたいって言ってたし、これからも続ける気満々だ。
なのに家令はどうやらシーファスに冒険者を引退してもらいたいらしい。
「奥様にはお話ししておいた方が良いかと思うので、食べながらで結構ですので少々私の話にお付き合いください」
そして家令はこれまでのシーファスの冒険者活動の経緯などを詳しく話してくれる。
それは半分は知っていた内容ではあったものの、本人から聞いたものと人から聞いた話では少し違って感じられた。
ここリムモンド家の没落から、借金返済のためにシーファスが冒険者ギルドに登録し日々働き出したことなどが主だが、家令は終始シーファスを不憫がっていた。
懸命に稼いできても両親は『すまないな』としか言わず、金策に走ってくれるでもない。
挙句本人の意見も聞かず勝手に婚約を取り付けてきたせいで仲が拗れてしまう結果になってしまったのだと。
「そのせいで結婚式もしないまま嫁ぐことになってしまったミシェイラ様にも大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございませんでした」
なるほど。
これまで部屋にこもってる嫁(実際はそう見せかけて冒険者活動してたけど)だったから、謝罪や事情説明ができなくて心苦しく思ってくれてたってところなのかも。
なんだか悪いことしたな。
そんなに気にしなくていいのに。
(この人にもいつか本当のことを教えてあげられたらいいんだけど…)
そう思いながら俺はそっと息を吐いた。
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