28 / 45
夫婦はやっと同居中!
27.出張依頼
しおりを挟む
翌日、俺はひとまず姉とエドワルドに手紙を書いた。
この間までだったら兎も角、今は全く離婚の気配なんてないんだし、ここははっきり意思表示をしておかないと。
『結婚生活は上手くいってるから離婚する気はない!エドワルドにも迷惑かけてゴメンって手紙送っといたから、もう余計なことするなよな!』
『エドワルド。姉さんが心配させるようなことを言ってゴメン。俺は元気にやってるから、気にせず騎士団で頑張れ!そうそう、俺もこっちで冒険者デビューしたんだ。しかももうDランク!凄いだろ?また今度会ったらいっぱい話聞いてくれよな!また会えるのを楽しみにしてる』
姉さんにはガッツリ釘を刺して、エドワルドには謝罪と近況報告。
大体あいつが俺を好きってどう考えても友情的意味に決まってるだろ?全く。
何はともあれこれで問題解決だ。
「シーファス。ちょっと手紙を出したいんだけど」
「ああ、別に構わないぞ?」
今日はシーファスとギルドに顔を出す予定だから、そのついでに手紙も出しておいた。
「誰に出したんだ?」
「ん?姉さんと友達」
「そうか」
「それより今日はレベリング頑張るな」
昨夜は途中から記憶はないけど、絶倫なシーファスに長々抱かれて凄く良かったんだ。
もうちょっとレベルを上げて体力がつけばきっとポーションを飲ませてもらわなくても大丈夫になるはずだし、シーファスも最中に【鑑定】とかしなくてよくなるから頑張りたい。
ドM?違う。俺は虐められるのがちょっと好きなだけだ!
痛いのは絶対お断り!
そんなこんなでギルドへと顔を出したんだけど、ここでギルドの受付嬢にシーファスが泣きつかれてしまった。
なんでもここ数日、Aランクの依頼が溜まっているんだとか。
勿論シーファス以外にもAランク冒険者は何人もいるんだけど、そのうちの何人かが依頼を失敗したらしく、そういうのをできれば捌いて欲しいとのことだった。
ちなみに依頼を三回失敗したら冒険者ランクは下げられるから、今その失敗した冒険者達は必死に他の依頼を頑張ってるらしい。
つまりリトライはしないってことのようだ。
「お願いします!特にこっちのヒュドラは既に三つのパーティーが失敗してて、もうソロとは言えベテランのシーファスさんにお願いするしかないんです!」
切羽詰まった様子の受付嬢が涙目で訴えてきて、シーファス的に放っておけないと思ったらしく、渋々引き受けることに。
「はぁ…。仕方がないな」
「受けていただけるんですか?!」
「受けるけど、その間ハルに絡む奴がいたら対処してもらってもいいか?」
「もちろんです!お任せください!」
「ハル。すまないが、レベリングは帰ってきてからでもいいか?」
物凄く申し訳なさそうに言われ、俺はその依頼が遠方なんだということに気が付いた。
「別にいいけど、何日くらいかかるんだ?」
「往復の旅程と合わせて大体一週間くらいだな」
「一週間か。わかった」
「できれば無理に一人で行動せず、俺がいない間は家にいてほしいけど…ダメか?」
シーファスはそう言うけど、俺だってソロ冒険者の端くれだ。
無茶な依頼さえ受けなければ大丈夫だと胸を叩く。
「ちゃんと依頼は選ぶつもりだし、そんなに心配いらないって!」
「…………変な奴とか、パーティーの勧誘とかが近づいてこないとは限らないし、諸々気を付けてくれよ?」
まさかのそっちの心配もあったらしい。
確かに前に強引にサインさせられそうになってたからそれもあっての事なんだろう。
「わかった。ちゃんと気を付ける」
そうは言ったもののシーファスは心配そうな顔で俺を見つめてきた。
「さっさと片付けて戻ってくるから」
「焦って怪我でもしたら大変だし、俺の事より自分の身の安全を優先させてくれよな」
「……わかった」
そしてシーファスはくれぐれも頼むと再度受付嬢へと頼み、依頼先へと向かった。
「さて。予定が狂ったな」
とは言えこれまでも一人で依頼をこなしたりもしてきたし、特に気負わなくても大丈夫だろう。
そう思い、その日は無理のない程度に依頼を引き受けてきっちり経験値も積んでから帰途に着いた。
***
「ライ…いえ、ミシェイラ様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
にこやかに侍女ズに迎えられ、俺は先にシャワーへ向かう。
それからシーファスに買ってもらったミシェイラの服に着替え、侍女ズに今日の出来事を話してからダイニングへと移動した。
部屋で食べずそちらに行ったのはシーファスが急遽一週間ほど帰れなくなったと家令に伝えないといけないからだ。
まあ家にいたはずのミシェイラがいきなりそんなことを言い出したらおかしいから、サフランが買い物ついでに伝言を頼まれたことにしておくけど。
これなら怪しまれることもないだろう。
けれどそれを聞いた家令が深々と溜息を吐く。
「はぁ…お二人の仲睦まじい様子に安堵していたのですが、やはりシーファス様は冒険者をやめる気はなさそうですね」
それはまあそうだろう。
シーファスは俺のレベリングもしたいって言ってたし、これからも続ける気満々だ。
なのに家令はどうやらシーファスに冒険者を引退してもらいたいらしい。
「奥様にはお話ししておいた方が良いかと思うので、食べながらで結構ですので少々私の話にお付き合いください」
そして家令はこれまでのシーファスの冒険者活動の経緯などを詳しく話してくれる。
それは半分は知っていた内容ではあったものの、本人から聞いたものと人から聞いた話では少し違って感じられた。
ここリムモンド家の没落から、借金返済のためにシーファスが冒険者ギルドに登録し日々働き出したことなどが主だが、家令は終始シーファスを不憫がっていた。
懸命に稼いできても両親は『すまないな』としか言わず、金策に走ってくれるでもない。
挙句本人の意見も聞かず勝手に婚約を取り付けてきたせいで仲が拗れてしまう結果になってしまったのだと。
「そのせいで結婚式もしないまま嫁ぐことになってしまったミシェイラ様にも大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございませんでした」
なるほど。
これまで部屋にこもってる嫁(実際はそう見せかけて冒険者活動してたけど)だったから、謝罪や事情説明ができなくて心苦しく思ってくれてたってところなのかも。
なんだか悪いことしたな。
そんなに気にしなくていいのに。
(この人にもいつか本当のことを教えてあげられたらいいんだけど…)
そう思いながら俺はそっと息を吐いた。
この間までだったら兎も角、今は全く離婚の気配なんてないんだし、ここははっきり意思表示をしておかないと。
『結婚生活は上手くいってるから離婚する気はない!エドワルドにも迷惑かけてゴメンって手紙送っといたから、もう余計なことするなよな!』
『エドワルド。姉さんが心配させるようなことを言ってゴメン。俺は元気にやってるから、気にせず騎士団で頑張れ!そうそう、俺もこっちで冒険者デビューしたんだ。しかももうDランク!凄いだろ?また今度会ったらいっぱい話聞いてくれよな!また会えるのを楽しみにしてる』
姉さんにはガッツリ釘を刺して、エドワルドには謝罪と近況報告。
大体あいつが俺を好きってどう考えても友情的意味に決まってるだろ?全く。
何はともあれこれで問題解決だ。
「シーファス。ちょっと手紙を出したいんだけど」
「ああ、別に構わないぞ?」
今日はシーファスとギルドに顔を出す予定だから、そのついでに手紙も出しておいた。
「誰に出したんだ?」
「ん?姉さんと友達」
「そうか」
「それより今日はレベリング頑張るな」
昨夜は途中から記憶はないけど、絶倫なシーファスに長々抱かれて凄く良かったんだ。
もうちょっとレベルを上げて体力がつけばきっとポーションを飲ませてもらわなくても大丈夫になるはずだし、シーファスも最中に【鑑定】とかしなくてよくなるから頑張りたい。
ドM?違う。俺は虐められるのがちょっと好きなだけだ!
痛いのは絶対お断り!
そんなこんなでギルドへと顔を出したんだけど、ここでギルドの受付嬢にシーファスが泣きつかれてしまった。
なんでもここ数日、Aランクの依頼が溜まっているんだとか。
勿論シーファス以外にもAランク冒険者は何人もいるんだけど、そのうちの何人かが依頼を失敗したらしく、そういうのをできれば捌いて欲しいとのことだった。
ちなみに依頼を三回失敗したら冒険者ランクは下げられるから、今その失敗した冒険者達は必死に他の依頼を頑張ってるらしい。
つまりリトライはしないってことのようだ。
「お願いします!特にこっちのヒュドラは既に三つのパーティーが失敗してて、もうソロとは言えベテランのシーファスさんにお願いするしかないんです!」
切羽詰まった様子の受付嬢が涙目で訴えてきて、シーファス的に放っておけないと思ったらしく、渋々引き受けることに。
「はぁ…。仕方がないな」
「受けていただけるんですか?!」
「受けるけど、その間ハルに絡む奴がいたら対処してもらってもいいか?」
「もちろんです!お任せください!」
「ハル。すまないが、レベリングは帰ってきてからでもいいか?」
物凄く申し訳なさそうに言われ、俺はその依頼が遠方なんだということに気が付いた。
「別にいいけど、何日くらいかかるんだ?」
「往復の旅程と合わせて大体一週間くらいだな」
「一週間か。わかった」
「できれば無理に一人で行動せず、俺がいない間は家にいてほしいけど…ダメか?」
シーファスはそう言うけど、俺だってソロ冒険者の端くれだ。
無茶な依頼さえ受けなければ大丈夫だと胸を叩く。
「ちゃんと依頼は選ぶつもりだし、そんなに心配いらないって!」
「…………変な奴とか、パーティーの勧誘とかが近づいてこないとは限らないし、諸々気を付けてくれよ?」
まさかのそっちの心配もあったらしい。
確かに前に強引にサインさせられそうになってたからそれもあっての事なんだろう。
「わかった。ちゃんと気を付ける」
そうは言ったもののシーファスは心配そうな顔で俺を見つめてきた。
「さっさと片付けて戻ってくるから」
「焦って怪我でもしたら大変だし、俺の事より自分の身の安全を優先させてくれよな」
「……わかった」
そしてシーファスはくれぐれも頼むと再度受付嬢へと頼み、依頼先へと向かった。
「さて。予定が狂ったな」
とは言えこれまでも一人で依頼をこなしたりもしてきたし、特に気負わなくても大丈夫だろう。
そう思い、その日は無理のない程度に依頼を引き受けてきっちり経験値も積んでから帰途に着いた。
***
「ライ…いえ、ミシェイラ様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
にこやかに侍女ズに迎えられ、俺は先にシャワーへ向かう。
それからシーファスに買ってもらったミシェイラの服に着替え、侍女ズに今日の出来事を話してからダイニングへと移動した。
部屋で食べずそちらに行ったのはシーファスが急遽一週間ほど帰れなくなったと家令に伝えないといけないからだ。
まあ家にいたはずのミシェイラがいきなりそんなことを言い出したらおかしいから、サフランが買い物ついでに伝言を頼まれたことにしておくけど。
これなら怪しまれることもないだろう。
けれどそれを聞いた家令が深々と溜息を吐く。
「はぁ…お二人の仲睦まじい様子に安堵していたのですが、やはりシーファス様は冒険者をやめる気はなさそうですね」
それはまあそうだろう。
シーファスは俺のレベリングもしたいって言ってたし、これからも続ける気満々だ。
なのに家令はどうやらシーファスに冒険者を引退してもらいたいらしい。
「奥様にはお話ししておいた方が良いかと思うので、食べながらで結構ですので少々私の話にお付き合いください」
そして家令はこれまでのシーファスの冒険者活動の経緯などを詳しく話してくれる。
それは半分は知っていた内容ではあったものの、本人から聞いたものと人から聞いた話では少し違って感じられた。
ここリムモンド家の没落から、借金返済のためにシーファスが冒険者ギルドに登録し日々働き出したことなどが主だが、家令は終始シーファスを不憫がっていた。
懸命に稼いできても両親は『すまないな』としか言わず、金策に走ってくれるでもない。
挙句本人の意見も聞かず勝手に婚約を取り付けてきたせいで仲が拗れてしまう結果になってしまったのだと。
「そのせいで結婚式もしないまま嫁ぐことになってしまったミシェイラ様にも大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございませんでした」
なるほど。
これまで部屋にこもってる嫁(実際はそう見せかけて冒険者活動してたけど)だったから、謝罪や事情説明ができなくて心苦しく思ってくれてたってところなのかも。
なんだか悪いことしたな。
そんなに気にしなくていいのに。
(この人にもいつか本当のことを教えてあげられたらいいんだけど…)
そう思いながら俺はそっと息を吐いた。
31
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる