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夫婦はやっと同居中!
25.買い物デート
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まず初めにシーファスと向かったのは武器屋だった。
ランクが上がれば討伐対象もどんどん強くなっていくから、それなりに良いものを持っていないと肝心な時に折れて使えなくなるんだと言われ納得。
Cランクを目指すなら予備も含めて手に馴染む剣を二本は持ってた方がいいって言われたから、アドバイスに従って購入。
次は防具だ。
防具も良い物の方が手入れをしながら長く使えるし、そこそこ値が張ったとしても買って損はないとのこと。
これも店主とシーファスのアドバイスに従って吟味してから購入を決めた。
どっちもなかなか有意義な買い物だったと思う。
次はポーションの類を買いに薬屋へ。
一応ストックはあるけど、これも倒す魔物が強くなればなるほど危険度が増すから充実させておいた方がいいらしい。
初級だけじゃなく、中級と上級ポーション、毒消しポーションも買っておくか。
他には何か必要な物はあったかな?
(エリクサーは流石にまだいらないだろうしな…)
俺が戦う相手はDランクだからそこまで用意する必要はないし、これくらいで大丈夫だよな?
そう思ってシーファスの方を見ると、各種ポーションだけじゃなくエリクサーまでダース買いしていた。
それを見てやっぱりAランクは危ない敵と沢山戦うからそれくらい必要なんだろうなって感心した。
やっぱりパーティーじゃなくソロでやっていこうと思ったらそれくらいの備えは必要ってことなんだろう。
俺もシーファスを見習って念には念を入れるようにしておこうと思い直し、各種ポーションをもう3本ずつ追加で購入することにした。
これできっと大丈夫なはず。
「ハル。買い終わったか?」
「うん。シーファスを見習ってちょっと多めに買っておいたんだ」
「そうか。いざという時の備えは大事だし、いいと思うぞ?」
そんな感じで和気藹々と買い物を済ませ、今度は昼食へ。
シーファスお勧めのボアステーキのお店に連れて行ってもらえたから、そこで美味しく食事を摂る。
「うわっ、肉汁が凄い!」
「美味いか?」
「うん!すっごく!」
「そうか。良かった」
愛おしそうに俺を見つめながら食事をするシーファス。
そんな姿を見て照れる俺。
なんだかこの間までとはまた少し違う雰囲気になったなとチラッと思う。
これまでは恋人同士って感じだったけど、今はなんだか新婚さんって感じだ。
「そうだ、ハル。屋敷での服装を続ける気なら服が足りないんじゃないか?」
ふとそこで、シーファスが思い出したようにそんなことを言い出した。
確かにドレスの類は実家から持たされた三着しか持ってなかったりするけど、別に十分それで事足りているし問題はないはずなんだけど…。
「三着あったら十分だし、大丈夫」
「いや。全然足りてないだろう。買い足そう」
「……え?」
「俺的には『ミシェイラ』用のデイドレスだけじゃなく『ラインハルト』の服も買いたいな」
シーファスはそう言うけど、言われている意味がさっぱり分からなかった。
「流石にそれは散財し過ぎだろう?」
この間までお金がなかったって知ってるからこそそう言ったんだけど、シーファスは譲ろうとしない。
「そんなことはない。慰謝料の支払いも借金の支払いもなくなったし、少しくらいは大丈夫だ。甘えてくれ」
「う~ん…」
「ダメか?」
「そうは言ってもドレスは高いしな」
いらないものにお金はかけたくない。
そう言った俺にじゃあ二着ずつだけでいいからって言われ、渋々頷く羽目に。
いや、頷くなよって話なんだけど、服がダメなら宝飾品の方がとか言い出したから慌てて頷いたんだ!
それこそ怖いことになりそうだったから。
『結婚式も結婚指輪も何もしてやれてないから、俺の愛情をこれでもかと込めた逸品を用意しようと思ったのに』とか言いながらちょっと拗ねられたけど、貰っても困りそうだし、そっちは丁重に断っておいた。
「そうだ。改めてになるけど、婚約者だった姉さんじゃなく俺が嫁いじゃってゴメン。シーファスばっかり責める形になってたから気になってたんだ」
あの時は説明する暇がなかったけど、姉さんが運営する商会を優先したせいで俺を代理で送り込んだ話はちゃんとしておいた。
やっぱり騙して嫁いできたことに変わりはないし、謝罪は必要だろうって思ったから。
「いや。寧ろよくやってくれたと礼を言いたいくらいだ。感謝してる」
「そう言ってもらえたら嬉しいけど、俺、実は嫁いできた日に枕元にあったシーファスからの置手紙を見て、やっぱり姉さんが嫁いできた方が良かったんじゃないかなって思ったんだ」
「……え?」
「だってあの手紙、実家に帰ってもいいって書かれてあっただろ?姉さんだったらそのまま嬉々として実家に戻ってそのまま商会の運営続けられそうだったから」
「…………ハル。もしかして…」
「いや!勘違いしないでくれよ?今はシーファスと偶然出会ってこうしてちゃんとした夫婦になれたのは嬉しいと思ってるから」
不穏な空気を感じて慌ててフォローを入れるけど、ちゃんと納得してくれたかな?
そう思いながら食事を終え、服(節約を兼ねて既製品で俺がゴリ押しした)を買いに行ってから屋敷に帰ったのだけど、部屋に着いて早々『ご実家からお手紙が届いていますよ』とサフランから言われ、中身を確認し、俺は固まってしまった。
『ラインハルト。元気にしてる?
女装生活にもそろそろ嫌気が差してきた頃じゃないかしら?
相手のシーファス様もきっと離婚に前向きでしょうし、さっさと離婚して帰ってきなさいよ!
有難いことに貴方の離婚後の嫁ぎ先も決まったわ。
お相手はエドワルド=ウォーカー様。
貴方もよく知っているあなたの友人よ!
なんと彼、貴方のことがずっと好きだったんですって。
今回の代理婚を知って胸を痛めていてね、話をしたら即『離婚後は自分が引き受けます』って言ってくれたのよ。
有難いわよね。
だから安心して帰ってきなさい。
貴方も気心が知れた相手との結婚の方が気楽でいいでしょう?
これで結婚を押し付けちゃった件は許して頂戴ね。
貴方のお姉様より』
どうして姉はすぐに俺を面倒事に巻き込むのだろう?
(大きなお世話だ────!!)
そして俺は声なき叫びを上げたのだった。
ランクが上がれば討伐対象もどんどん強くなっていくから、それなりに良いものを持っていないと肝心な時に折れて使えなくなるんだと言われ納得。
Cランクを目指すなら予備も含めて手に馴染む剣を二本は持ってた方がいいって言われたから、アドバイスに従って購入。
次は防具だ。
防具も良い物の方が手入れをしながら長く使えるし、そこそこ値が張ったとしても買って損はないとのこと。
これも店主とシーファスのアドバイスに従って吟味してから購入を決めた。
どっちもなかなか有意義な買い物だったと思う。
次はポーションの類を買いに薬屋へ。
一応ストックはあるけど、これも倒す魔物が強くなればなるほど危険度が増すから充実させておいた方がいいらしい。
初級だけじゃなく、中級と上級ポーション、毒消しポーションも買っておくか。
他には何か必要な物はあったかな?
(エリクサーは流石にまだいらないだろうしな…)
俺が戦う相手はDランクだからそこまで用意する必要はないし、これくらいで大丈夫だよな?
そう思ってシーファスの方を見ると、各種ポーションだけじゃなくエリクサーまでダース買いしていた。
それを見てやっぱりAランクは危ない敵と沢山戦うからそれくらい必要なんだろうなって感心した。
やっぱりパーティーじゃなくソロでやっていこうと思ったらそれくらいの備えは必要ってことなんだろう。
俺もシーファスを見習って念には念を入れるようにしておこうと思い直し、各種ポーションをもう3本ずつ追加で購入することにした。
これできっと大丈夫なはず。
「ハル。買い終わったか?」
「うん。シーファスを見習ってちょっと多めに買っておいたんだ」
「そうか。いざという時の備えは大事だし、いいと思うぞ?」
そんな感じで和気藹々と買い物を済ませ、今度は昼食へ。
シーファスお勧めのボアステーキのお店に連れて行ってもらえたから、そこで美味しく食事を摂る。
「うわっ、肉汁が凄い!」
「美味いか?」
「うん!すっごく!」
「そうか。良かった」
愛おしそうに俺を見つめながら食事をするシーファス。
そんな姿を見て照れる俺。
なんだかこの間までとはまた少し違う雰囲気になったなとチラッと思う。
これまでは恋人同士って感じだったけど、今はなんだか新婚さんって感じだ。
「そうだ、ハル。屋敷での服装を続ける気なら服が足りないんじゃないか?」
ふとそこで、シーファスが思い出したようにそんなことを言い出した。
確かにドレスの類は実家から持たされた三着しか持ってなかったりするけど、別に十分それで事足りているし問題はないはずなんだけど…。
「三着あったら十分だし、大丈夫」
「いや。全然足りてないだろう。買い足そう」
「……え?」
「俺的には『ミシェイラ』用のデイドレスだけじゃなく『ラインハルト』の服も買いたいな」
シーファスはそう言うけど、言われている意味がさっぱり分からなかった。
「流石にそれは散財し過ぎだろう?」
この間までお金がなかったって知ってるからこそそう言ったんだけど、シーファスは譲ろうとしない。
「そんなことはない。慰謝料の支払いも借金の支払いもなくなったし、少しくらいは大丈夫だ。甘えてくれ」
「う~ん…」
「ダメか?」
「そうは言ってもドレスは高いしな」
いらないものにお金はかけたくない。
そう言った俺にじゃあ二着ずつだけでいいからって言われ、渋々頷く羽目に。
いや、頷くなよって話なんだけど、服がダメなら宝飾品の方がとか言い出したから慌てて頷いたんだ!
それこそ怖いことになりそうだったから。
『結婚式も結婚指輪も何もしてやれてないから、俺の愛情をこれでもかと込めた逸品を用意しようと思ったのに』とか言いながらちょっと拗ねられたけど、貰っても困りそうだし、そっちは丁重に断っておいた。
「そうだ。改めてになるけど、婚約者だった姉さんじゃなく俺が嫁いじゃってゴメン。シーファスばっかり責める形になってたから気になってたんだ」
あの時は説明する暇がなかったけど、姉さんが運営する商会を優先したせいで俺を代理で送り込んだ話はちゃんとしておいた。
やっぱり騙して嫁いできたことに変わりはないし、謝罪は必要だろうって思ったから。
「いや。寧ろよくやってくれたと礼を言いたいくらいだ。感謝してる」
「そう言ってもらえたら嬉しいけど、俺、実は嫁いできた日に枕元にあったシーファスからの置手紙を見て、やっぱり姉さんが嫁いできた方が良かったんじゃないかなって思ったんだ」
「……え?」
「だってあの手紙、実家に帰ってもいいって書かれてあっただろ?姉さんだったらそのまま嬉々として実家に戻ってそのまま商会の運営続けられそうだったから」
「…………ハル。もしかして…」
「いや!勘違いしないでくれよ?今はシーファスと偶然出会ってこうしてちゃんとした夫婦になれたのは嬉しいと思ってるから」
不穏な空気を感じて慌ててフォローを入れるけど、ちゃんと納得してくれたかな?
そう思いながら食事を終え、服(節約を兼ねて既製品で俺がゴリ押しした)を買いに行ってから屋敷に帰ったのだけど、部屋に着いて早々『ご実家からお手紙が届いていますよ』とサフランから言われ、中身を確認し、俺は固まってしまった。
『ラインハルト。元気にしてる?
女装生活にもそろそろ嫌気が差してきた頃じゃないかしら?
相手のシーファス様もきっと離婚に前向きでしょうし、さっさと離婚して帰ってきなさいよ!
有難いことに貴方の離婚後の嫁ぎ先も決まったわ。
お相手はエドワルド=ウォーカー様。
貴方もよく知っているあなたの友人よ!
なんと彼、貴方のことがずっと好きだったんですって。
今回の代理婚を知って胸を痛めていてね、話をしたら即『離婚後は自分が引き受けます』って言ってくれたのよ。
有難いわよね。
だから安心して帰ってきなさい。
貴方も気心が知れた相手との結婚の方が気楽でいいでしょう?
これで結婚を押し付けちゃった件は許して頂戴ね。
貴方のお姉様より』
どうして姉はすぐに俺を面倒事に巻き込むのだろう?
(大きなお世話だ────!!)
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