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36.仕事がひと段落したその後で
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一週間が経ち、あれだけ溜まっていた仕事が概ね片付き、城の中の仕事もだいぶスムーズに回るようになっていた。
流石規格外、常識外れの兄だ。
つくづくやると言ったらやる男だと思う。
こういうところは素直に尊敬できるんだけど、どうして最後まで口は悪いんだろう?
これがなければもっと違った目で見られるのに。
「本当に王宮は頭が悪くて要領の悪い奴ばかりだったな。もっと頭を使わないとどんどん馬鹿になるぞ?ちゃんと自分で考えて動く癖をつけろ!指示待ちなんて馬鹿のすることだ!甘ったれずに自分で何がベストかを判断しろ!俺の弟の足を引っ張るようなことは死んでもするなよ?わかったら見送りなどせずさっさと仕事に戻れ!」
そう怒鳴りつけられ、折角見送りに来てくれていた文官達が慌てたように仕事へと戻っていった。
可哀想に。
「……兄上。流石にあれは酷くないですか?」
「何がだ?仕事がまだ残っているのにサボっている方が悪い。高々一週間一緒に仕事をした程度の仲だ。感傷に浸るほど親しくもないし、見送りなんて必要ないだろう?現に宰相はじめ他の優秀な面々はちゃんと仕事に励んでいる。俺はおかしなことなど何も言っていないぞ?」
「はぁ…兄上。それをサザナードの王宮でもやらないでくださいね?俺はそこが一番心配です」
「ふん。お前に心配されなくても大丈夫だ。だが何かあったら必ず呼べ。わかったな?」
「わかりました」
信用されてないなと思いながら溜息を一つ吐く。
でもまあ今回は本当に助かったから素直にお礼を言っておこう。
「兄上。今回は本当に助かりました。ありがとうございます」
「そうか。珍しく素直だな。もっと素直に敬ってくれてもいいぞ?」
「……あまり言って暴走されてもなんなので、取り敢えずはこのくらいで」
「ふん。お前は本当に可愛げがないな。まあいい。アリスト殿下にちゃんと幸せにしてもらえ」
「はい」
そこはちゃんと素直に頷いて、俺は兄をサザナードへと転移で送り届けた。
するとそこにはクリストファー王子が待ち構えていて、満面の笑みで迎えてくれる。
「ジオ!会いたかったぞ!」
ストレートにそう言ってあっという間に兄を腕の中へと閉じ込めるクリストファー王子。
本当にどれだけ兄が好きなんだろう?
蓼食う虫も好き好きとは言うけど、やっぱりちょっと理解できない。
「向こうで引き止められなかったか?」
「大丈夫だ。下手に希望を持たれないよう、ちゃんと突き放してきたからな」
「そうか。それなら安心だ」
心配するクリストファー王子に兄はなんか良いように言ってるけど、あれは兄の標準仕様だと言ってやりたい。
あそこまで言われて兄を引き止められる豪胆な人物はなかなかいないんじゃないだろうか?
寧ろ居なくなってホッとしたという者の方が多いと思う。
「兄上。頼みますから、本当にこっちでやらかさないでくださいよ?」
兄の性格的に居場所がなくならないか、そちらの方が心配だ。
なのに当の本人は至ってマイペースそのもの。
これだから困る。
「するわけがないだろう?クリスがいるし大丈夫だ」
「…ならいいですけど」
そして一応兄が作った魔法陣と俺が作った魔法陣について使用に問題がないようクリストファー王子に確認をとって、それらの登録などについて話を聞き、手続きを兄に任せて俺はマーヴァインへと戻ることにした。
これで兄とは暫くお別れだ。
一週間に一度来るようにとは言われているけど、今なら仕事で忙しくてと言い訳も立つだろう。
二週間後、一ヶ月後、三ヶ月後、半年後と様子を見ながら段々と間をあけていこう。
うん。それがいい。
「では兄上」
「ああ。ちなみにお前の考えは分かっているから敢えて言うが、次は俺の魔力を探知して転移してこい。もしかしたらここの部屋は引き払っているかもしれないからな」
「…わかりました。そうします」
どうやら俺の考えなんて兄にはまるっとお見通しらしい。
とは言え確かに二週間後ならもう王宮に移っていてもおかしくはない。
心に留めておこう。
「クリストファー王子。兄のこと、宜しくお願いします」
深々と頭を下げてクリストファー王子へと兄を託す。
これから大変だと思うけど、二人で幸せになってほしい。
そう思いながら別れを告げた。
さて。俺も大好きなアリストの元へ帰ろう。
今日なら少しは二人の時間も取れるかもしれないし、ちょっとクリストファー王子と兄みたいにイチャイチャしたいなと思った。
***
「エディアス!」
うん。わかってた。
疲れてるし、しょうがないよな。
執務机で仕事をこなしていたアリストは俺の顔を見てパッと顔を輝かせたけど、そこに抱擁は含まれない。
ちょっと寂しい。
でもここは我慢。
「アリスト。手伝うよ」
「助かる。後で宰相が兄のところへ行ってくるとは言ってたけど、仕事を引き継いでもらえるとは思えないからな」
「確かに」
あの王太子なら丸投げしてくることだろう。
そう思ったから俺はアリストに回復魔法をかけ、そのままアリストと共にサクサク仕事を片付け始めた。
イチャつくのは後回しだ。
仕事仕事。
それから暫く経ち、やっとひと段落したところで久方ぶりにお茶の時間を取ることができた。
軽食も食べてホッと息を吐く俺達。
そしてどちらからともなくやっと終わったなと微笑み合って、ゆっくりと顔を近づけそのまま唇を合わせる。
一回、二回。
回数を重ねる度に徐々に深くなっていく口づけが気持ちいい。
「はぁ…アリスト」
「エディ…」
久方ぶりのキスにうっとりしながらキュッと袖を掴むと、愛おしそうに抱き寄せられてまた唇が重なった。
アリストとの触れ合いが純粋に嬉しくて、もっともっととキスをしたくなる。
ずっとこうしていたい。
そんな気持ちで寄り添い合っていたら、突然怒鳴り声が響き渡った。
「アリスト!!お前!仕事をサボって何をしている?!」
ビクッ!と震えてお互いに唇を離し扉の方へと目をやると、そこには鬼の形相をした王太子と困ったような表情を浮かべた宰相の姿があった。
どうやらこちらがノックの音に気付いていなかった様子。
失敗してしまった。
「兄上。お久しぶりです」
「久しぶりも何もあるか!俺が酷い目に合っている間、お前はずっとそこの男とイチャイチャしていたんだろう?!ふざけるなよ?!」
やっと落ち着いたから一週間ぶりにイチャついてたというのに、酷い誤解だと思う。
でも現場を見られているからここで何を言っても無駄だろう。
黙って暴言に耐えるしかない。
そんな俺達を宰相が慌ててフォローしてくれるけど、それはあっさりと徒労に終わった。
「オーフェン王太子殿下。アリスト殿下はこの一週間仕事を大量にこなしてくださっておりましたよ?貴方とは違います」
「黙れ宰相!お前がアリストが凄腕アドバイザーと共に仕事を片付けたと言うから渋々礼を言いに来てやったというのに、大嘘ではないか!こんな奴にそんな大層な仕事ができたとは到底思えん!イチャついてて仕事ができるなら俺でもできる!嘘で俺を丸め込もうとしても無駄だ!」
激怒している王太子がそんな言葉を聞き入れてくれるはずがないのだ。
「もういい!これからは俺が仕事をする!お前のような無能はさっさとこの部屋から出ていけ!」
その言葉に俺はアリストをチラリと見遣る。
俺達の心境は多分同じだと思う。
(え?いいの?)
出ていってもいいならいつでも出ていくけど。
「グズグズするな!お前の代わりなどいくらでもいるんだからな!」
「……わかりました。これでやっと安心して学園にも復帰できそうです。後のことは全て兄上にお任せしますので、俺はこれで失礼します」
アリストが笑顔でそう言い放つ。
でも俺にはわかる。
これは相当ストレスが溜まっている。
ここはこの部屋からだけじゃなく、城から連れ出してやる方がいい気がした。
「宰相。仕事もひと段落ついたことですし、俺達はこのまま居を公爵領へ移しますね?何か問題があれば後日手紙を送ってください。それでは」
俺は話の通じない王太子は無視して、宰相へとそう告げる。
学園へは転移魔法で通えばいいし、ここは逃げるが勝ちだろう。
当然宰相は行ってほしくはなさそうだったけど、一応仕事の目途は立っているからか強く引き留めようとはしなかった。
こんな王太子に付き合わせるよりはと思ってくれたのかもしれない。
置き去りにして申し訳はないけど、ここは感謝の一言だ。
「お二方の尽力には心の底から感謝いたします。後日心ばかりの御礼をお送りいたしますので、どうぞご笑納ください」
すれ違いざまこそりとそう告げられて素直に頷き部屋を後にする俺とアリスト。
やっと肩の荷が下りて楽にはなったけど、これで全部終わりとはきっとならないだろう。
それでも、束の間の平穏をアリストと満喫したいなと思った俺だった。
流石規格外、常識外れの兄だ。
つくづくやると言ったらやる男だと思う。
こういうところは素直に尊敬できるんだけど、どうして最後まで口は悪いんだろう?
これがなければもっと違った目で見られるのに。
「本当に王宮は頭が悪くて要領の悪い奴ばかりだったな。もっと頭を使わないとどんどん馬鹿になるぞ?ちゃんと自分で考えて動く癖をつけろ!指示待ちなんて馬鹿のすることだ!甘ったれずに自分で何がベストかを判断しろ!俺の弟の足を引っ張るようなことは死んでもするなよ?わかったら見送りなどせずさっさと仕事に戻れ!」
そう怒鳴りつけられ、折角見送りに来てくれていた文官達が慌てたように仕事へと戻っていった。
可哀想に。
「……兄上。流石にあれは酷くないですか?」
「何がだ?仕事がまだ残っているのにサボっている方が悪い。高々一週間一緒に仕事をした程度の仲だ。感傷に浸るほど親しくもないし、見送りなんて必要ないだろう?現に宰相はじめ他の優秀な面々はちゃんと仕事に励んでいる。俺はおかしなことなど何も言っていないぞ?」
「はぁ…兄上。それをサザナードの王宮でもやらないでくださいね?俺はそこが一番心配です」
「ふん。お前に心配されなくても大丈夫だ。だが何かあったら必ず呼べ。わかったな?」
「わかりました」
信用されてないなと思いながら溜息を一つ吐く。
でもまあ今回は本当に助かったから素直にお礼を言っておこう。
「兄上。今回は本当に助かりました。ありがとうございます」
「そうか。珍しく素直だな。もっと素直に敬ってくれてもいいぞ?」
「……あまり言って暴走されてもなんなので、取り敢えずはこのくらいで」
「ふん。お前は本当に可愛げがないな。まあいい。アリスト殿下にちゃんと幸せにしてもらえ」
「はい」
そこはちゃんと素直に頷いて、俺は兄をサザナードへと転移で送り届けた。
するとそこにはクリストファー王子が待ち構えていて、満面の笑みで迎えてくれる。
「ジオ!会いたかったぞ!」
ストレートにそう言ってあっという間に兄を腕の中へと閉じ込めるクリストファー王子。
本当にどれだけ兄が好きなんだろう?
蓼食う虫も好き好きとは言うけど、やっぱりちょっと理解できない。
「向こうで引き止められなかったか?」
「大丈夫だ。下手に希望を持たれないよう、ちゃんと突き放してきたからな」
「そうか。それなら安心だ」
心配するクリストファー王子に兄はなんか良いように言ってるけど、あれは兄の標準仕様だと言ってやりたい。
あそこまで言われて兄を引き止められる豪胆な人物はなかなかいないんじゃないだろうか?
寧ろ居なくなってホッとしたという者の方が多いと思う。
「兄上。頼みますから、本当にこっちでやらかさないでくださいよ?」
兄の性格的に居場所がなくならないか、そちらの方が心配だ。
なのに当の本人は至ってマイペースそのもの。
これだから困る。
「するわけがないだろう?クリスがいるし大丈夫だ」
「…ならいいですけど」
そして一応兄が作った魔法陣と俺が作った魔法陣について使用に問題がないようクリストファー王子に確認をとって、それらの登録などについて話を聞き、手続きを兄に任せて俺はマーヴァインへと戻ることにした。
これで兄とは暫くお別れだ。
一週間に一度来るようにとは言われているけど、今なら仕事で忙しくてと言い訳も立つだろう。
二週間後、一ヶ月後、三ヶ月後、半年後と様子を見ながら段々と間をあけていこう。
うん。それがいい。
「では兄上」
「ああ。ちなみにお前の考えは分かっているから敢えて言うが、次は俺の魔力を探知して転移してこい。もしかしたらここの部屋は引き払っているかもしれないからな」
「…わかりました。そうします」
どうやら俺の考えなんて兄にはまるっとお見通しらしい。
とは言え確かに二週間後ならもう王宮に移っていてもおかしくはない。
心に留めておこう。
「クリストファー王子。兄のこと、宜しくお願いします」
深々と頭を下げてクリストファー王子へと兄を託す。
これから大変だと思うけど、二人で幸せになってほしい。
そう思いながら別れを告げた。
さて。俺も大好きなアリストの元へ帰ろう。
今日なら少しは二人の時間も取れるかもしれないし、ちょっとクリストファー王子と兄みたいにイチャイチャしたいなと思った。
***
「エディアス!」
うん。わかってた。
疲れてるし、しょうがないよな。
執務机で仕事をこなしていたアリストは俺の顔を見てパッと顔を輝かせたけど、そこに抱擁は含まれない。
ちょっと寂しい。
でもここは我慢。
「アリスト。手伝うよ」
「助かる。後で宰相が兄のところへ行ってくるとは言ってたけど、仕事を引き継いでもらえるとは思えないからな」
「確かに」
あの王太子なら丸投げしてくることだろう。
そう思ったから俺はアリストに回復魔法をかけ、そのままアリストと共にサクサク仕事を片付け始めた。
イチャつくのは後回しだ。
仕事仕事。
それから暫く経ち、やっとひと段落したところで久方ぶりにお茶の時間を取ることができた。
軽食も食べてホッと息を吐く俺達。
そしてどちらからともなくやっと終わったなと微笑み合って、ゆっくりと顔を近づけそのまま唇を合わせる。
一回、二回。
回数を重ねる度に徐々に深くなっていく口づけが気持ちいい。
「はぁ…アリスト」
「エディ…」
久方ぶりのキスにうっとりしながらキュッと袖を掴むと、愛おしそうに抱き寄せられてまた唇が重なった。
アリストとの触れ合いが純粋に嬉しくて、もっともっととキスをしたくなる。
ずっとこうしていたい。
そんな気持ちで寄り添い合っていたら、突然怒鳴り声が響き渡った。
「アリスト!!お前!仕事をサボって何をしている?!」
ビクッ!と震えてお互いに唇を離し扉の方へと目をやると、そこには鬼の形相をした王太子と困ったような表情を浮かべた宰相の姿があった。
どうやらこちらがノックの音に気付いていなかった様子。
失敗してしまった。
「兄上。お久しぶりです」
「久しぶりも何もあるか!俺が酷い目に合っている間、お前はずっとそこの男とイチャイチャしていたんだろう?!ふざけるなよ?!」
やっと落ち着いたから一週間ぶりにイチャついてたというのに、酷い誤解だと思う。
でも現場を見られているからここで何を言っても無駄だろう。
黙って暴言に耐えるしかない。
そんな俺達を宰相が慌ててフォローしてくれるけど、それはあっさりと徒労に終わった。
「オーフェン王太子殿下。アリスト殿下はこの一週間仕事を大量にこなしてくださっておりましたよ?貴方とは違います」
「黙れ宰相!お前がアリストが凄腕アドバイザーと共に仕事を片付けたと言うから渋々礼を言いに来てやったというのに、大嘘ではないか!こんな奴にそんな大層な仕事ができたとは到底思えん!イチャついてて仕事ができるなら俺でもできる!嘘で俺を丸め込もうとしても無駄だ!」
激怒している王太子がそんな言葉を聞き入れてくれるはずがないのだ。
「もういい!これからは俺が仕事をする!お前のような無能はさっさとこの部屋から出ていけ!」
その言葉に俺はアリストをチラリと見遣る。
俺達の心境は多分同じだと思う。
(え?いいの?)
出ていってもいいならいつでも出ていくけど。
「グズグズするな!お前の代わりなどいくらでもいるんだからな!」
「……わかりました。これでやっと安心して学園にも復帰できそうです。後のことは全て兄上にお任せしますので、俺はこれで失礼します」
アリストが笑顔でそう言い放つ。
でも俺にはわかる。
これは相当ストレスが溜まっている。
ここはこの部屋からだけじゃなく、城から連れ出してやる方がいい気がした。
「宰相。仕事もひと段落ついたことですし、俺達はこのまま居を公爵領へ移しますね?何か問題があれば後日手紙を送ってください。それでは」
俺は話の通じない王太子は無視して、宰相へとそう告げる。
学園へは転移魔法で通えばいいし、ここは逃げるが勝ちだろう。
当然宰相は行ってほしくはなさそうだったけど、一応仕事の目途は立っているからか強く引き留めようとはしなかった。
こんな王太子に付き合わせるよりはと思ってくれたのかもしれない。
置き去りにして申し訳はないけど、ここは感謝の一言だ。
「お二方の尽力には心の底から感謝いたします。後日心ばかりの御礼をお送りいたしますので、どうぞご笑納ください」
すれ違いざまこそりとそう告げられて素直に頷き部屋を後にする俺とアリスト。
やっと肩の荷が下りて楽にはなったけど、これで全部終わりとはきっとならないだろう。
それでも、束の間の平穏をアリストと満喫したいなと思った俺だった。
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