黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第二部番外編 シュバルツ×ロイドの恋模様

20.※狐と狸⑥

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シュバルツはライアードから専属魔道士についての詳細を教えてもらい、陛下やミシェルにも礼を伝えるため挨拶等を行っていたのだが、合間合間の空き時間に気にかかるのはロイドの事ばかり。

どうしても…いくら考えても何故ロイドが怒っているのかがわからなかったからだ。
だからやるべき仕事を一通り終えた後、自室へと戻る道すがらダートへと尋ねてみることにした。

「ダート…ロイドがどうして怒ってるか教えてくれないか?」

そんな自分に対してダートは呆れたように溜息を吐いた。

【本当にお前は馬鹿だな。ロイド様はプライドを傷つけられてお怒りなんだ。ご機嫌取りは早めにした方がいいぞ】
「え?」

それはあまりにも意外な言葉で、一体いつそんな事を言ってしまったのだろうと首を捻る。
けれどそんな自分にダートはあっさりと答えを教えてくれた。

【トルテッティで珍しく素直に感情を吐露なさっていたのに、お前は薬のせいだと思い込んで解毒魔法まで試みただろう?ロイド様的にはお前の父親の罠に嵌って薬を盛られる三流黒魔道士と決め付けられたような気がしてかなり腹立たしかったようだ。元々中途半端にお前に抱かれて欲求不満だったようだからお怒りはかなりのご様子。できれば強引にでも閨に持ち込んだ方が上手くいくかもな】

その言葉に驚いて、思わず言われた内容を反芻してしまう。
プライドを傷つけてしまったというのはよくわかった。
でも…ロイドがあの時正気だったというのを聞いて思わずカァッと頰が熱くなる。

(ロイドが素でデレた…ってこと?!)

あの最後の言葉が薬のせいでなかったのだと言われても俄かには信じ難い。
けれど他のその前に言ってくれていた言葉の数々といい、ソレーユでの自分の居場所を用意してくれた事といい、トルテッティでの事を一人で片付けようとしたことといい、全部自分のために動いてくれていることを今更ながらに実感して、実は物凄く愛されているんじゃないかと思い至った。

(いや…でも単に子供扱いっていうオチも考えられるし、ロイドは実は優しいところがあるからそれだけのことかもしれないし…!期待しちゃダメだッ!)

そうは思っても頬が緩むのを止められない。
何故ならロイドは言葉はいつだってつれないけれど、たまに素直にポツリと零してくる本音がどうしようもなく自分を虜にしてしまうのは今に始まったことではないからだ。

(くぅ!行動がカッコいい上にあのツンデレが可愛すぎる!どれだけ惚れさせたら気がすむんだ!)

とは言えいつまでも喜んでばかりはいられない。

「あ~……うん。これは確かに怒るな」

ダートの言葉通りだとしたら、さっさと手を打った方がよさそうだということくらい嫌でもわかる。
そしてわかってしまえば実にロイドらしい理由だった。
あのプライドの塊がプライドを傷つけられて怒らないわけがないではないか。
そこまでわかれば後は簡単だ。
素直に謝罪すればいいだけの話だ。
そして怒れる恋人をこの腕の中に捕まえて、不満なんて感じさせないほどたっぷり愛せばいい。

「ダート、ありがとう。とりあえず、ロイドの居場所を教えてくれないか?」

こうして弾む足取りで幸せな気持ちを抱えながらロイドの元へと向かった。


***


「あ…んんっ……」

腕の中でロイドが熱い眼差しを自分へと向けながら甘い声を上げる。
腰を引き寄せながら持ち上げ奥まで入れてやると、いやいやと頭を振るがその表情は気持ちよくてたまらないと言わんばかりだ。



最初は思った通り物凄く怒っていて思い切り無視されたけど、部屋に連れ込んで謝りながら愛撫を開始すると少しだけおとなしくなったのでそのまま口づけて魔力を交流させた。

「ロイド…別に侮っているわけじゃなかったんだ。ただ私のせいで薬が回った可能性を考えると、気が気じゃなくて…」
「はぁ…うっ……」
「ロイドが優秀なことくらい嫌っていうほどわかってる。ただ、自分のミスを挽回したかっただけなんだ。ね?許して?ここ、好きなだけ犯してあげるから…」

そしてしっかり慣らして立ったまま奥まであげたら素直になってくれた。
どうやら怒りより奥を可愛がって欲しい気持ちが勝ったようだ。
ダートが言っていた『欲求不満』という言葉も確かにあったらしい。

「あぁ…シュバルツッ!そこッ!」
「うん。いっぱいあげる」
「はぁ…ッはぁ…」

そうしてロイドが嬉しそうに腰を揺らして、まるでもっとと言わんばかりに甘く誘ってくるので、そこで一度二人で高みまで上った。
それからベッドに移動して可愛がろうとしたら、グイッと引き寄せられて口づけられた。
どうやらこれで今回の事は許してくれるらしい。
謝り倒すだけじゃロイドの機嫌は直らなかっただろうから、ダートの言葉に大人しく従って正解だったようだ。
そこからは丁寧に、でもロイドが求めてくるほど激しく愛を注いだ。



「ロイドは本当にこの奥が一番好きだね。そんなに欲しかったの?」

両足を肩に掛け、大好きな奥まで犯したところでロイドは背をそらして絶頂へと飛んだのだが、その表情はまさに至福と言わんばかりに蕩けきっていた。
勿論自分も負けず劣らずここは大好きなのだが、こんなロイドを見るとそれ以上に興奮させられて仕方がない。

飲み込みきれない滴る唾液。
ずちゅずちゅと突き上げる度により刺激を求めるようにくねる腰。
耐えきれず漏れる嬌声。
赤く上気し染め上がる頰。
ヒクつきながら自分を求めてくる内部。
こんな風に最早理性など残らないほど蕩けた表情で抱かれるロイドに夢中になる。

「はぁ…はぁ…」

とは言え感極まって虚ろな目で呼吸を整えるロイドを見て、ここで少し休ませてあげないとと別な場所を攻めることにした。
連続してのやりすぎも良くないともうわかっているからだ。
緩急をしっかりつけて上手くやらなければ、また眷属達が小姑クレイの所へ駆け込んでしまうかもしれない。
はっきり言ってクレイにこれ以上二人の仲に口出しされたくはなかった。

「んっんっ…ここも沢山可愛がってあげる」

そうして胸を擦るように可愛がると一際締め付けが強くなった。

「ひぁあっ…!」
「こっちは舐められるのが弱いよね?」

耳も首筋も全部舌先で擽るようにしてやると敏感に反応してくれるので、余すことなく順に可愛がる。

「あ…ふぁ、あっ……!」
「ん…ちゃんと息吐いててね?」

そうして中休みを挟んで、奥を念入りに可愛がるため徐々に動きを加速させると、ロイドが涙を滲ませながら縋り付いてきた。

「あ、あぁっぁっ!やっや…だッ!」
「うん、奥、気持ちいいんだもんね。感じすぎてもちゃんとフォローはするから安心して?」

ゴリゴリと前立腺を擦り上げコツコツと奥を何度も突いていると、そこが徐々に綻んでいくのが感じられた。
ここも激しくこじ開けなければ意識を飛ばさなくなってきたので、随分慣れてきたと思う。

「はぁぅ…!気持ちいいッ!」

ちゅぽちゅぽと入り口が吸い付いていた感覚が徐々に変化して、次第に奥まで引き込もうとするような感覚へと変わっていく。

「ひっ…イイッ!イイッ!」
「ロイド。中が凄い。吸いついてくるみたいで気持ちいい」

ここでより深く犯せるように少し体勢を変える。
以前の様に嵌まり込む形に持って行くにはこのままではできそうになかったからだ。

「シュバルツ!あっあっ、やっ、離れる、なッ!」
「うッ、わかってるからそんなに締めないで。ちょっと体勢変えただけだよ?ちゃんと満足いくくらいあげるから」

そうして最奥をこじ開けズボズボと可愛がっていると、やがて以前と同じようにツポッと完全にはまり込んだ。

「んぁあ────ッ!」

(くっ…!本当に凄い…!気持ちよすぎて滅茶苦茶にしたくなる…!)

ピッタリと収まるロイドの中が気持ち良すぎてまたイキそうになるが、この間の二の舞はゴメンだと懸命に耐えてすぐさまロイドの呼吸を確認した。
今日は気絶しただけのようで、呼吸は大丈夫そうだったのでホッとする。
完全に意識が飛んでいるのでまた少し休ませるため気付けだけを行い、自分も快楽の波を受け流すように荒い息を整えながら緩々と腰を振るにとどめた。
そしてロイドの様子を見ながら、完全に落ち着かせるべくここで一度動きを止める。

「ロイド。奥の大好きなところに入ったよ?ここ、わかる?」

そして下腹をそっと撫でてやるとロイドが快感に耐えるように顔を歪めた。

「うっ…!あぅ…ぅ」
「大丈夫。落ち着いてから動くから、しっかり呼吸を整えて?」

それでも身体を震わせて辛そうにしていたので、ここで再度回復魔法を唱えておく。
すると理性が戻ってきたのか、ギュッと顔を隠すように強く抱きついてきた。

「はぁ、うっ…シュバルツ…これ、凄いぃ…。いつも…以上に、奥…が気持ちよすぎて…たまらない……」

この状態でこうして理性がある状態が初めてだからか、ロイドは身を震わせながらも感嘆の声で呟いた。
どうやらここを犯されるのはお気に召したらしい。

「うん」
「んんっ…早、くッ…」
「うん」
「動いて、奥…までいっぱい欲し…」
「うん!」

こんなにも素直になられたら嬉しすぎて更に大きくなるのは仕方がないではないか。

(本当にロイドは快楽に忠実だな)

「ひあぁっ!そこ、奥まで届いてッるぅ!…あぁあああッ!」

そのままグリグリと奥をかき混ぜるとガクガクと身を震わせてあっという間にまた絶頂へと飛ぶが、ここで終わらせたくなくて少し強めに回復魔法を唱えて無理矢理意識を戻して更に責め立てた。

「あっ!あ────っ!あぁああっ!あぁっあぁっ!」

ズッポリと嵌っているので逃げられなくて、ロイドは必死に身を捩る。

「ひぃっ!」
「ん…ここからだよ?」

この結腸の入り口は自分も物凄く気持ちがいいから果てないように十分気をつけないといけない。
けれど折角なのでここをもっと開発してみたいと思った。
二人で快楽を極めるのも最高だと思うから…。
そして腰が逃げないようにしっかりと押さえ、少しだけスライドさせながら奥までズッポリと何度も咥えさせた。
抉るように奥を何度も犯すとロイドが必死にしがみついてくる。

「うぁっ!ぃやっ!これ、死ぬぅうううッ!」

そこからはロイドは文字通り乱れ狂った。

「あぁあああっ!あんっあんっ!ひっ!ふぁあああッ!嫌、らぁあッ!」

まさにこれがメスイキと言うのかと思うほどに何度も達して喘ぎまくる。

「イクッイクぅうッ!嫌ッ!こんな、のダメッ…溺れッる!ふぁあッ!あぁっあぁんッ!」
「ああもう、こんなに夢中になって…」

意識を戻すたびに口では嫌だと言いつつも、腰を擦り付けるように振りながら過ぎた快感に涙をこぼし、先走りをトロトロと流しながらどこか恍惚とした表情を浮かべているのだからまるで説得力はない。

「ひうぅ…ッ!あぁんんッ!あっあっ!」
「イキッぱなしだね、ロイド。はぁ…もっといっぱい感じて?」
「あッ!ひやぁああッ!」

ビクビクと何度も気絶させては起こして夢現状態に持っていってやると、どこか安堵するように表情を緩ませた。

「シュバルツ、もっとぉ!」

最早快楽に堕ちたと言っても過言ではないだろう。
与えれば与えるだけ嬉しそうにするこんな姿を見ると、本当に黒魔道士は快楽が大好きなのだと実感してしまう。
ロイドが現実より夢の中の自分に夢中になったのが物凄く分かる気がした。

(本当に淫乱なんだな)

ロイドが逆の立場ならまた違ったのだろうが、好きなだけ与えればどこまでも懐いてくるなんて…可愛すぎてもっともっと愛さずにはいられないではないか。
こんな姿を父の用意した者達に見せずに済んで本当に良かったと思う。
見た奴がいたらきっと殺したくなってしまうだろう。
そしてロックウェルが以前ドSな顔で言っていたのはこういうことだったのかと妙に腑に落ちた。

『黒魔道士の愛し方…ですか。そうですね。黒魔道士は快楽が好きでしょう?だから…遠慮なく抱いてやることです。口では嫌だと言ってても、乗せることさえできればなし崩し的に溺れるので、夢中にさせられればこちらの勝ちですよ。あとは疲れ切って眠るまで好きなだけ愛で倒せばいいだけです』

逆に焦らし目的で淡白に終わらせてばかりだと余所見し始めるので、出来るだけ避けた方がいいと教えられた。
とは言え当時はそんな領域絶対に無理だと思ったものだが、今なら簡単にそこまでいける。
それがなんとも嬉しかった。
それもこれもロイドが育ててくれたお陰だ。

「あぁあっ!シュバルツぅ…もっと欲しぃ!これ、変…んんッ!奥ッ…奥がぁッ!疼いてるッ」
「うん。凄い懐いてるね。ここ責められるの好き?」
「はっ…好、き…!もっといっぱい欲し…いぃ…!」

そんな素直な言葉に喜びが込み上げる。

「うん。今日は好きなだけ付き合ってあげるから、たっぷり味わって?」

(ちゃんと回復魔法を使って明日の仕事に支障さえ出さなければいいんだよね?)

「あんん…ッ!あっあっ!頭がおかしくなるぅ…!」
「可愛い。もっと溺れて?」

そしてより反応が良いところを探りながら犯していく。

「ひあぅ…ッ!あっ、シュバルツ、待って!ひうぅッ!そこ、いやだぁああっ!」
「大丈夫だよ。ほら、もっと気持ちよくなって?疲れたらいくらでも魔法を駆使してあげるから」
「あっあぁあああッ!気持ちいッ!それ、やぁあッ!いやらぁああッ!」

どうやらここを攻める時は少し強めに回復しつつ犯した方が良さそうだと判断する。
理性が戻っていても凄く気持ち良さそうだ。

「んんん…!あ、も、イク────ッ!」

そして何度もイキまくりふるふる震えるロイドを思う存分堪能したところで、優しく口づけを落として落ち着かせる。

「あ…シュバルツ……」
「ロイド。気持ちいい?」

少し動きを緩めて微笑みかけると、ロイドが蕩けそうなほど気持ち良さげに笑みを浮かべた。

「はぁ…、も…今までで一番だ。最高過ぎて…死ぬ……」

力なく身体をビクビクと震わせながら嬉しそうにそんな風に称賛されて、燃えないわけがない。

「あっ!はぁうッ!」
「あんまり煽らないでね、ロイド?これでもいっぱいいっぱいなんだから」

そしてまた絶頂へと駆け上がらせる。
ロイドの理性を飛ばすのは今の自分なら簡単にできるのだ。
こうして自分の手でどこまでも快楽に堕ちていけばいいと思う。

(媚薬漬けになんてしなくてもロイドはこうしたらいくらでも喜んで堕ちてくれる…)

ロイドは自分だけのものだ。
二度と父がロイドに手を出さないよう手回しも考えておかなければならない。
たとえ国のためと言われても譲る気はないし、手放すつもりもない。

「ロイド…頑張って満足させるから、私以外に夢中にならないでくれ」
「はぁッ…んんッ…!」
「ロイドのためならいくらでも魔法を使ってあげる」
「シュバル……ツ?あんッ!」
「ロイド…。ロイドが教えてくれたことを全部使って可愛がるから、もっともっといっぱい感じて?」
「やぁあッ!も、じゅ、ぶん…だ!はぁッ!そんなに奥ばっかり突かれたら辛いぃ…ッ!うぅうッ!」
「大丈夫。ほらここ、何度も回復魔法使ったからかもうすっかり懐ききって蕩けてる。ロイドも気持ちいいでしょ?」

そして遠慮なく熱くなって震える最奥をかき混ぜるように犯してやると、瞬く間にロイドはまた絶頂へと飛んだ。

「んひッ!ひやぁああッ!あぁっあぁっ、あぁあああッ!」
「ん…しょうがないな。ロイドは」

そうしてぎゅうぎゅうと締め上げながら意識を飛ばしたロイドを再度揺り起こしながら愉悦に浸る。
正直このまま快楽に落ちたままにする気はない。
流石にこちらとしてもそろそろ我慢の限界だ。
できれば意識のある状態で自分と一緒に果ててほしいので、再度回復魔法を口にした。

「ね、ロイド。もうイッてもいい?」
「あっぁあっ!気持ちいいッ!シュバ…ルツッ!イッてるのにそんなにする、なッ!あッ、これ以上は怖いッ!溶けるッ…!」
「ふふッ。中凄く熱いもんね。一緒に溶け合おう?」
「はぁ…。シュバルツッ!そこッ好きッ好きッ!やッやッ!漏れるッ!あ────ッ!」

そして煽られるように奥を突き上げると吐精を促すように思い切り締め付けられ、潮を吹きながら素直に縋り甘えてくるロイドに堪えていた欲を全て吐き出しそっとほくそ笑んだ。

(気持ちいいしロイドは可愛いし、本当にたまらない!)

我慢していた分、勢いよくビュルルッと奥へと注がれロイドがビクンビクンと震える。

「やぁあ…。ん…んんんん…ッ。シュバ、ルツ…はぁ…も、や…」

蕩けきった顔で寝台に沈み、力なくクタリと横になる姿を見下ろしながら荒い息を整える。
嫌だと口にしてはいるが、その姿はどこまでも淫靡で自分を誘っているようにしか見えない。

「腰揺れてるよ?奥もすごい…ヒクヒク美味しそうに飲んでる。こんなに奥に思い切り注がれるのが好き?もっと注ごうか?」
「あんんんッ!」

いくらなんでももう限界だとはわかっているけれど、少し腰を動かしてやるだけで甘く啼き、キュッと締めつけてくる姿にまだまだイケるのではないかと錯覚してしまう。
自分を育てたのはロイドだけど、こんな風にロイドを育てたのもまた自分なのだとついつい満足感でいっぱいになった。
だから余計に愛しくて、色っぽい声で啼くロイドを腕の中に閉じ込めて、互いの息が整うまでそっと優しく包み込む。
大人しく身を委ねてくれるロイドの存在が本当に愛おしい。
以前ほど頑なではなく、プライドを捨ててでも激しく抱かれていいと…そう思ってくれているロイド。
そう思わせられるほどに成長できた自分が誇らしいとさえ感じられる。
やっとここまできたのに、誰かに横取りされてたまるものか。

(今のところ夢中になってくれているようだから大丈夫だろうけど…他の誰かじゃ満足できないようにしておかないと、おちおち仕事にも送り出せないしな)

これだけ自分とのセックスで快楽を覚えさせれば、ロイドがそうそう他の誰かに溺れることなどないはずだ。
あとはロイドに夢中になる相手をどう増やさないかだが……。
トルテッティで見たロイドに夢中なメイド達の姿がふと思い出されて、ついついいつも以上に熱が入ってしまった感は否めない。

(そもそも嫉妬するなって言う方がおかしいよな。本当にロイドはどこまでも黒魔道士なんだから…!)

あの女達が追いかけてくるとは思わないが、ああいうことはこれからも無きにしも非ずだろう。
だからこそ、ロイドにはここは自分だけの場所だとしっかりと覚えこませておきたいと思った。

「ロイド。ここ、他の誰にも犯させないでね?」

以前の黒魔道士の件もあることだし仕事で男と寝ることもあるだろうが、ここの一番奥だけは自分のものだけにしておきたいと思った。
だからそう言ったのに……。

「んん…そんな奥…お前以外受け入れたくない。絶対に無理……」

折角終わらせようと思ったけど、こんな言葉を口にされたら後一回襲われても文句は言えないと思う。
自分だけとわざわざ言ってくれたという事は、それだけ自分が特別だということなのだから、喜ぶなという方がおかしい。

「…………くっ!!ロイド…ゴメンね?」
「ひっ…!」
「本当にゴメン!ここはもう今日はやめておいてあげるけど、もう一回だけ付き合ってね、ロイド」
「あッやぁッ!ひうぅッ!シュバルツッ!も、やめッ…!無理ッ、無理ッ!」
「大丈夫。しっかり回復してあげるから」
「あぁッ!そこッ、嫌だ!ひぁああああッ!」

ゴリゴリと弱いところを擦り上げ、一気に駆け上がらせる。

「あふ…ぅう…」

そこから緩やかに加速していき、今度は最奥ではなく前立腺を中心に執拗に責め立てる。

「ほら、大好きな体位で可愛がってあげる」
「ひぁんッ!やぁっ!シュバルツ…!あ、もぅ、溺れッる…!」
「うん。もっともっとして溶かしてあげる」
「あっ、そこ好きぃいッ!」

自ら足を開き好きなところに当たるよう動くロイドにほくそ笑む。
パンパンと腰を打ち付ける度に乱れるロイドをそのまま蹂躙した。
そうしてどこまでも敏感になった身体をとことん溺れさせていったのだった。



「ん……シュバルツ…。気持ちい…けど、…これ以上は無理…だ…。お前の気持ちは十分…伝わった、から……も、終わってくれ…」

そうして疲れきって甘えるように身を寄せそのまま眠りについたロイドを抱きしめて、しっかり回復魔法をかけ、満たされた気持ちで眠りについた。


***


「んんん……」
翌朝すりすりと甘えられる感覚にそっと目を開けると、そこには寝ぼけながら自分に擦り寄るロイドの姿があった。
そんなロイドに頬を緩めながらそっと手を伸ばして優しく頭を撫でる。
まさかこんなに甘えてくれるようになるなんて…嬉し過ぎてどうしてくれようかという気にさせられた。
日増しに甘えてくれるようになって、最高に幸せで仕方がない。
そうして襲おうか我慢しようか幸せ一杯な気持ちで悩みながら撫で続けていると、ロイドが珍しく幸せそうに微笑んだ。
「ん…気持ちいい……」
けれどそんな姿に頬を染め喜びに打ち震えながら、ふとあることが気になった。
ライアードは昨日確か『年相応に子供っぽい』などと言っていなかっただろうか?
それと共にどことなく今のこの姿がいつもより少しだけあどけなく目に映り思わずジッと見つめてしまう。
(そう言えばロイドって幾つなんだろう?)
甘えてもらえるのは嬉しいが、なんだか気になりだすと止められなくてそっと近くにいるはずの眷属へと声を掛けてしまった。
「ねぇダート。ロイドって年上だよね?」
【ああ】
それは思った通りの返答で、わかりきった答えだったのだが…。
「幾つ上か知ってる?クレイと同じくらい?」
ここまで気にしたことがなかった疑問をぶつけてみる。
【…?クレイ様より二歳下だから、お前とは1、2才ほどしか違わなかったはずだが?】
その言葉に驚きすぎて一瞬目が丸くなってしまった。
「えぇえええっ?!」
ダートの返事があまりにも予想外すぎて思わず大きな声を上げてしまい、気付いた時にはロイドがバチッと目を覚まして胡乱な目を向けてきていた。
「うるさいぞ?」
折角微睡んでいたのに、朝から大声で起こすなと叱られた。
その姿はいつも通りのロイドだけれど、けれどまさかそんなに年が近いなんて思ってもみなかったのだから許してほしい。
(ほぼ同い年じゃないか…!)
てっきりクレイやロックウェルと同じくらいだと思っていたのに…。
「ふん。本当にお前はいつまで経ってもお子様だな」
そして呆れたような眼差しを送って、ロイドはすぐさま身支度へと向かってしまう。
どうやらこのお子様発言は、単純に年が近いのに精神年齢が低いと言っていたのだと初めて気がついた。
ロイドがクレイと対等に会話している姿から見るに、ロイドの中で2歳差は誤差範囲と見ていいだろう。
そう考えると早く大人になれと言っていたのも納得だ。
ロイドをよく知る今の自分ならわかるのだが、つまりそれは早く自分に釣り合う男になれと言ってくれていたわけで……。

「わかりにくい!」

でもその気持ちが嬉しい。
遠慮なんて本当に最初から必要なかったのだということがよくわかった。
本当にロイドは捻くれてはいるけど、惚れ惚れするほどいい男だ。
だからこそもっと釣り合う男になりたいと思う。

「ロイド!私ももっといい男になる!だから、その時は笑顔でこの手を取ってほしい!」

以前は少し余裕がなく、場の流れを利用して勢いで言ったプロポーズだったけど、今度は気持ちを新たにロイドへとそう告げる。
もうお子様なんて言われないようちゃんと男らしく堂々とロイドの横に立って、さすがロイドの恋人だとみんなに言ってもらえるようになろう。

そうして笑顔を向けた自分に、ロイドは少し目を丸くした後、どこか誇らしげな顔で笑った。


***


シュバルツとのハードなセックスは予想以上に身も心も満たしてくれていた。
あれだけされたら怒りなど何処かに飛んで行くというものだ。
何やらヤキモチを焼いていたようだし、その分昨夜は一層激しくなったのだろう。

(本当に最高に気持ちよかったが…毎回は無理だな)

頭が真っ白になるほど愛されたい気持ちと、やっぱり優位に立ちたい気持ちがあるのが何とも痛いところだ。
それにあそこまでしつこく何度も犯されるのは流石に月一でいい。
白魔道士は回復魔法が使える分どこまでも精力旺盛で付き合うのが大変だと心底思った。
それを考えるとやはりこちらが上手く手綱を握って、気分次第で主導権を渡すなど考えながらやっていくべきだろう。
いくらでもやりようはあるのだから、自分たちなりに上手くやっていけたらと思う。

そんな自分に眷属が珍しく声を掛けてきた。

【ロイド様。あのお子様の無茶をお止めするタイミングはいかがいたしましょう?】
「心配してくれているのか?」

確かに腹上死させられそうになった時には驚いたが、クレイの忠告もあったせいかシュバルツもそれなりに気遣ってくれるようになった。
何度も激しく抱かれて身体も慣れてきたし、そう問題視しなくてもいいだろう。

「そう言うことは自分でやる。お前達は私の呼吸が止まった時にだけ動いてくれればいい」
【かしこまりました。けれど…今回は正直いつ止めに入るべきかお悩みしましたよ?】

いくらなんでもあれはやり過ぎではないかと眷属が文句を言ってくる。
確かにこれでもかというほどガッついていたとは思うが……。

「ふっ…あれはあれで最高に気持ち良かったから別に構わない」

そうだ。その一言に尽きる。
クレイがロックウェルとの閨に文句を言いながらも拒まないのと同じだ。
黒魔道士にとって気持ちいいのは正義だ。
邪魔してくれるなと言ってやると、思い切り溜息を吐かれてしまった。

【ロイド様がそう仰られるなら我慢しますが……どうにも我々は白魔道士の抱き方は好きになれません】

回復魔法が使えるからと言って無茶苦茶過ぎると皆かなり不満げだ。
相手がクレイだったらよかったのにとブツブツ言う眷属達だが、自分ではシュバルツが気に入っているのでそこまで言わなくてもいいのにと思わず苦笑してしまった。
長い付き合いだが、こんなに彼らが文句を言ってくるのは初めてのことだ。

(まあ心配してのことだろうから仕方がないか)

主の安全は眷属にとっての最重要事項。
それが分かるだけにこれ以上何も言うことができなかった。

「そう心配するな」

シュバルツだって日々成長しているし、これ以上文句のつけようがないほどの快楽を与えてくれるのだからと笑いながら、今日も快適な体調で仕事へと向かった。


***


「シュバルツ!」
「ああアベル。ロックウェル経由での情報提供どうもありがとう」

そしてその日、ロイドから父の詳細はアベルからの情報提供からわかったのだと教えられた。
ロックウェルからクレイへ、そこから更にロイドへと伝わるというなんとも回りくどい情報提供だ。
とは言えアベルはクレイに嫌われているため直接は言いにくかったのだろうし、ロックウェルの方もロイドが大嫌いなのでクレイを介すしか手がなかったのだろう。
けれどそんな回りくどい事をしなくても、できれば自分に直接言って欲しかった気持ちはある。

「悪いが今度からはこう言ったことは私に直接伝えてもらえないか?」

だからそう言ったのに、アベルはロイドを害す事でクレイが出てくるのを恐れて情報提供したまでだと言い切った。

「何それ。クレイが絡まなければ情報を提供しなかったって事?」
「ああ。私に害が及ばなければ知ったことではないからな」

そんな言葉にむかっ腹が立つ。
そう言えばアベルは昔からこういう奴だった。
あまりにも冷たい。

「……そんなことを言っていいのか?」

だからほんの少し、意地悪を言いたくなった。

「私の婚約者はクレイの親友だぞ?接点だって多い。お前を陥れようと思えばいくらでも悪口を吹き込めるんだが?」
「……!脅す気か?!」
「さあ?心がけ次第じゃないかな?」

にっこりと笑いながらしっかりと釘を刺す。

「……くっ!お前、この一年で性格が悪くなったな」

幻影魔法の向こうでアベルが悔しそうにするが、自分以上に性格の悪い男に言われても何も心は痛まない。

「言っておくが、今の私の優先順位はトルテッティよりロイドの方が上だ。それだけは忘れるな」

そして言うだけ言うと、返事も待たずに魔法を解呪した。
これ以上は話しても意味がないからだ。

「はぁ…ロイドとの幸せを満喫したいのに、本当最悪。早く結婚したいなぁ……」

折角専属魔道士になれたのだから今後は邪魔されることなく幸せな日々を満喫したいなと改めて思った。
けれど、そうしてホッとしたのも束の間。
本当の刺客がやってくるのはこの後だった。

思いがけない嵐がやってくるのはもう────すぐそこ……。




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