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第二部 ソレーユ編~失くした恋の行方~
19.プロポーズ
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※このお話は第一部『130.燃料投下』『152.必要な一歩』『153.それぞれの新しい関係へ』とリンクしております。
────────────────
アストラスの魔道士交流会にロイドを送り出したのは良かったものの、どうやらそこでロイドは完全にクレイからふられてしまったらしい。
初めての恋をなくしてロイドは随分落ち込んでいたようだったが、一応慰めてくれる相手がいるようだったから然程気にはしていなかった。
ロイドは仕事に支障をきたすような無能者ではないし、こちらが何か文句を言うほどでもない。
一か月後にはまたアストラスに行くと言っていたし、きっとすぐに立ち直ることだろう。
そこまで考えたところで自分もアストラスに行きたいなと思った。
一応前回ソレーユにシリィがやってきた後何度か文を送ったのだが、最初はすぐに返事があったそれもここ最近は音沙汰がなくなってしまったのだ。
繋がりを持っておきたいだけで特に返答を要すものではなかったが、それでも気にはなっていた。
ロイドにシリィはどうしていたと尋ねたら、クレイに失恋したり、交流会準備に追われたり、クレイを癒したりと大変そうだったからその所為ではないかとの事だった。
それを聞いて、シリィはクレイの事が好きだったのかと今更ながら気づいて軽くショックを受けた。
クレイを繋ぎとめたロックウェルや自分に目を向けさせていたロイドには感謝したいところだ。
万が一にでもふらふらとシリィに行かれていたらたまったものではなかった。
そう思ったところでハタと我に返った。
他の女性に目を向け色々行動まで起こしていたはずなのに、結局シリィの方ばかり見ている自分に気付いたからだ。
できるだけ諦めるべきと思いつつ結局諦めきれない自分はどこか兄と似ているのかもしれないなと思わず笑ってしまった。
「そう言えば兄上はアルバートと上手くいっているのか?」
何気なくロイドにそうやって話を振ると、ロイドは少し考えて『ある意味上手くいっているのでは?』と返してきた。
それならそれで問題はないのだろうと判断しとりあえず自分の方の恋を何とかしようと思って、仕事を調整してアストラスに訪問する旨をしたため文を送る。
そしてついでにロイドにクレイとコンタクトを取ってもらうことにした。
最近開発した幻影魔法は他国の者と気軽に話せる便利な魔法だと聞いていたから試してみたい気持ちもあったのだ。
そして実際にその魔法を使ってもらうと、それは確かに実に画期的な魔法だった。
魔法の発動と共に向こう側にクレイの姿が目の前に映し出されたのだ。
これなら広域魔法と連動させて発動させれば国際会議でもなんでも気軽に開けそうだと思った。
後で是非検討しなければと思いながら、本題へと入る。
今回どうしてもクレイ本人にシリィの事を尋ねて見たかったのだ。
恐らくロイドを振ったことからロックウェル一筋だと言うのは変わらないのだろうとは思ったが、念のため確認しておきたかった。
そして実際に話して返ってきた反応はまさに予想通りのものでしかなかった。
「お前は相変わらずロックウェル以外に興味がないんだな。まあいい。実はあれから何人かの女と交流は持ったが、皆今一つでな。原点に返ってシリィともう一度やり直せないかと思い直した」
呆れた気持ちでそう返しながらも自分の心境も吐露してみると、クレイは実にあっさりとこう返してきた。
『ああ。まあ以前の件があるから難しいとは思うが、話してみて好感触だったならそれもありなんじゃないか?』
その口調はとても淡々としていて、これでクレイにシリィへの気持ちが皆無なのがはっきりした。
これなら安心して口説くことができそうだ。
そうして一か月後にそちらに行くと伝えロイドへと代わり、暫くしてロイドの方の楽しげな話もまたまとまったようだった。
「ロイド。決めたぞ。私はシリィを花嫁に選びたい」
魔法を解呪した後、自分の気持ちをはっきりとロイドへと宣言する。
実際にアストラスまで足を運んでシリィと話したい。
結婚を申し込んでその場で断られてもいい。
それでも諦めずに会いに行って接点を持ち続けたい。
そう伝えるとロイドは恭しく一礼し『できる限り力にならせていただきます』と言ってくれた。
***
それから約束のひと月後、アストラスへとやってきたのだが、その隣に控える20才そこそこの綺麗な青年に思わず目を瞠る。
(誰だ?)
その物腰からいずれかの王族だと察しはついたが、今回シリィのドレスまで見立てたと聞き正直気が気でない。
ロイドが言っていたトルテッティの王族なら問題はない。けれどそれ以外だったら…?
そう思って挨拶をしてみたらあっさりとその素性は明らかになった。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。トルテッティの王弟ミシェルが第一子シュバルツと申します。以後お見知りおきを」
けれど優雅に挨拶をするその姿にシリィがホゥッと息を吐いたのを見逃すはずもない。
シリィとは年も近いし、たとえシュバルツがロイドを好きだとしても見過ごすわけにはいかないと思った。
「そうか。私はライアードだ。トルテッティのシュバルツ殿と言うと私の魔道士を見初めたと言う噂の白魔道士殿だな。ロイド…!」
「はっ…」
「こちらのシュバルツ殿と積もる話もあるだろう。場を離れる許可を与える。好きに庭園なりシュバルツ殿の部屋なり行ってくるがいい」
「…かしこまりました」
さっさとロイドに押し付けてシリィから引き離そうと思いそう口にすると、察しの良いロイドはすぐに応えてくれる。
にこやかにシュバルツへと目を向けて『ではシュバルツ殿、ご一緒に』と言って歩き出した。
それを見送り笑顔でそっとシリィの手を取りそのまま口づけを落とす。
「シリィ。私達もどこかでゆっくりと話がしたい」
「…そうですね。ではあちらにお茶の御用意を致しておりますのでご案内させていただきます」
これで邪魔者は誰もいない。
ゆっくり話をして自分の気持ちを伝えようとほくそ笑んだ。
***
庭園を二人で歩いていると遠くにロックウェルがいるのが見えたが、特にこちらを邪魔する目的ではなくあくまでも護衛と言った様子だった。
これならゆっくりとシリィと話すことができるだろう。
そう思いながら折角の機会なので色々な話題を振ってみることにした。
純粋にシリィがどんな話についてこれて、どんな話に興味を持つのかを知りたかったので幅広く話してみたのだが、これが意外にもとても楽しかった。
シリィはクレイが言っていたように政にも詳しいし、各国の情勢にも精通していた。
アストラスの話以外にソレーユの話を振っても興味深く話を聞き話題を広げてくれるし、中には他の国の話まで盛り込んできてくれる。
趣味の方はあまりないようだったが、仕事の方は好きでやっているだけあって楽しげに話してくれてその仕事ぶりも窺い知ることができた。
「ライアード様はお話上手ですね」
そうやってすっかり打ち解けてくれたシリィの笑顔が見られて思わず笑みがこぼれ落ちてしまう。
「そう言ってもらえたら嬉しい。シリィの事をよく知らなかった頃はどうせ話しても無駄だと思って話さなかっただけなんだが…。さすがに魔道士長と行動を共にし、官吏の姉を持つだけあって国政にも精通しているな。勝手にシリィを決めつけていた自分が恥ずかしい」
「ふふっ…ライアード様に認めていただけて光栄です」
「そう。そうやって素の笑顔が見れる今が何よりも嬉しいんだ。以前はどこか上辺だけの関係だったように思うし…こんなシリィを知る機会をくれたクレイには本当に感謝している」
そこで少しシリィの表情が曇ったのを感じた。
やはり失恋した相手の話を振ったのはまずかっただろうか?
そう思って話題を変えようかと思ったところでシリィの口からその言葉がこぼれ落ちた。
「…クレイはソレーユではどう過ごしていたんですか?」
それは話題を変えてほしくないとも取れたので、無理に話を変えずそのまま答えることにする。
「主にロイドと一緒に仕事をしていたな。ちょうどロックウェルと上手くいっていない時期だったから、ロイドが随分心を砕いて慰めていた気がする」
「ロイドはクレイが大好きですしね」
「そうだな。一緒にいる姿は本当に楽しそうだし、気も合う間柄だから似合いだと思っていたんだが、クレイにはあっさりと躱されてしまった」
「…クレイはロックウェル様しか見ていませんからね」
そうやって切なげに俯いてしまったシリィの姿を見て、シリィがどれだけクレイの事が好きだったのかを思い知ったのだが、正直ここで引きさがったら男が廃ると思った。
それだけ好きだったなら恐らくまだ気持ちを引きずっているはずだし、今の姿を見るにまだまだふっ切るには時間が必要なのだろう。
それならそれで吐き出す場を与えてやるべきだと思った。
気持ちを吐き出すだけ吐き出して少しでもすっきりさせてやることができたなら、こちらに目を向けてくれることもあるだろう。
だから少しでも早く自分を見てくれるようにと思い切って尋ねてみたのだ。
「シリィはクレイのどう言ったところを好きになったんだ?」
「私ですか?そうですね…最初は何を考えているのかわからない人だなって思ってたんですが…不器用だけど優しくて、放っておけない危うさがあって、何と言うかこう…庇護欲を掻き立てられる人なんですよね。ふふっ…。結局知れば知るほど好きになってしまって、気が付けば振り回されていました。ロックウェル様には睨まれましたけど、それでも…気持ちは本物で、私の初恋のようなものでした」
どうも自分の目から見たクレイやロイドの口から聞くクレイ像とはかけ離れているように感じるのだが、シリィにとってはクレイはそれだけ違って見えたと言うことなのだろう。
自分達から見たクレイは、どこまでも優秀な黒魔道士で、あのロイドですら手玉にとれそうな駆け引き上手な男という感じなのだ。
仕事面では不器用とは程遠いし、性格も優しいと言うよりはマイペースな自己中だ。敢えて言うなら『放っておけない危うさ』という点で迂闊な所があるからまあそうかと納得できるくらいだろうか?
とは言えここで気持ちを吐き出すことができてシリィ的には少しすっきりすることができたようだ。
「ライアード様。ありがとうございます」
涙を流してはいたが先程までとは違い幾分表情は明るくなった。
そうやって無理やり涙を拭って礼を言うシリィをそっと抱き寄せて、ゆっくりと慈しむように唇を重ねる。
「泣くなとは言わない。ただ泣きやむまでこうして傍に居させてほしい…」
意外にも気丈なシリィを自分が癒してやれればいいのにと…気づけば自然に体が動いてそんな言葉を紡いでいた。
彼女が振り向いてくれるのならこうして失恋話を聞いて慰めるのも吝かではない。
少しずつでもいいからこんな風に辛い気持ちを吐き出してクレイではなく自分の方を見てほしいと思った。
愚痴だろうとなんだろうと何度でも受け止めてやりたいと思える程、彼女が愛しいと感じた。
そんな心の奥底から込み上げてくる感情に胸がトクトクと弾んでしまう。
もうここで気持ちを伝えてしまおうか?
そう思っていたところで突然その声は割り込んできたのだ。
「シリィを離せ!」
そこに立っていたのはロイドと居るはずのシュバルツだった。
正直そのあまりの剣幕に驚いてしまう。
けれどその口から次いで攻撃魔法を唱えられたのにも驚いてしまった。
まさかそんな行動を起こすほど彼はシリィを想っているのかと思ったからだ。
ロイドが好きだと口にしていたはずなのにと呆然としていると、その魔法にシリィがいち早く行動を起こした。
一瞬の判断で即座に防御魔法を発動させたのはさすがだと思う。
自分にはロイドの魔法攻撃無効と言う名の防御魔法が施されているのだが、これは当然自分だけを守る魔法だ。
魔力の高いシュバルツの攻撃はこのままではシリィを傷つけてしまうだろうと思った。
慌てて庇おうと動きを見せたところでクレイがシリィの魔法を強化してくれたのを感じた。
正直魔道士ではない自分をこれほど歯痒く思ったことはない。
何にせよシリィに怪我がなくて本当に良かった。
そうしてホッと安堵の息を吐いていると、クレイやロイドがやってきてシュバルツを糾弾し始める。
「お前は人の主人にいきなり攻撃するなんて何を考えているんだ」
「そうだぞ?無傷だったから良かったものの、下手をすれば国際問題だ」
「…申し訳ない」
「ライアード様に怪我でも負わせていたら一生こき使ってやるところだ」
「ロイドらしいな。クッ…主人が傷つけられたら魔法の実験台とかにして酷い目に合わせそうだ」
「ああ、それもいいな。嬲ってやるのも楽しそうだ。試してやるのも一興かもな」
かなり怒っているのはわかるがこれではシュバルツが可哀想だろう。
何しろ怪我をしそうだったのは自分ではなくシリィの方なのだ。
国際問題になりようがない。
「そこの二人は本当に人をからかうのが好きだな。もうそれくらいにしてやれ。可哀想だろう?」
だからそう言ったのに、ロイドは納得がいかないようだった。
「…ライアード様。子供には躾けが必要だと考えますが?」
確かにシュバルツは自分に対して攻撃を仕掛けたのだからそこはきちんと教えてやるべきだとは思うが…。
取りあえず気にしていないから下がれと命じた。
「…かしこまりました」
主人の命令に大人しく従ったロイドだったが、やはり思う所があるのかそのままため息を吐いてまたクレイと会話をし始めてしまう。
「クレイ…こいつはやはり私というよりもシリィの方が好きなんじゃないのか?」
それは確かに自分も思った事だから何となくクレイの意見も聞きたくなった。
「それがわからないから俺も困ってるんだ。本人達は違うの一点張りなんだが、こうして見るとそうとしか思えなくてな」
「困った奴だな」
そんな二人にシュバルツは異議ありと声を上げてくる。
「私が好きなのはロイドだ!シリィはアストラスの王宮で少しでも私が過ごしやすいようにと心を砕いて優しく接してくれた相手だ。だからそんなシリィがクレイに傷つけられているのを黙って見ていられなかったから支えてやりたいと思った。ただそれだけの事だ」
「…………」
「さっきのもシリィが泣いているのが見えたから咄嗟に体が動いてしまっただけで、悪意あっての事ではなかった。軽率だったと反省している。申し訳ない!」
本人は一生懸命自分が好きなのはロイドだと主張し弁明しているつもりなのだろうが、言葉の端々にシリィが好きと言う気持ちが見え隠れしている。
本当に本人は全く気付いていないのだろうか?
思い切り頭を下げているシュバルツには悪いが、これはどうしたものかと思わずため息が出てしまった。
それはロイドも同様だったようで……。
「まさかここまでお子様だとはな」
呆れたように言葉を紡ぐ。
「ロイド。そう言ってやるな」
「ですがライアード様。これはあまりにも…」
「別に構わない。それよりも私はシリィの気持ちを聞かせてほしいものだな」
そう。重要なのはシュバルツの気持ちの方ではない。
シリィの気持ちの方なのだ。
「シリィは今のシュバルツ殿の話を聞いてどう思ったのか聞かせてほしい」
彼女の方はシュバルツをどう思っているのだろうか?
何の恋愛感情も持っていないのなら時間を掛けて口説いても大丈夫だが、もしもそうでないのなら────。
そうやって自分から促されたシリィは、暫し考えてから答えを返した。
「シュバルツ様はお優しいのでいつでも私を元気づけてくれていました。そんなシュバルツ様に今回ご心配をお掛けしてしまって申し訳ないと言う気持ちしかありません。私がもっとしっかりしていたらこんな事にはならなかったのではないでしょうか…」
「シリィ……」
「だから、今回の件についてはシュバルツ様の罪と言うよりはそれをさせてしまった私の罪だと思います。どうかライアード様。シュバルツ様への罰は私へとお与えください」
「つまりは自分が罪を被ってでもシュバルツ殿を守りたいほど好ましく思っていると…?」
これは……シリィも少なからずシュバルツを想っていると言うことなのではないかと嫌な予感に襲われるが、シリィの方は何故そんなことを言われるのかさっぱりわからないと言う表情を見せた。
「…?言われている意味がよくわからないのですが」
どうやらシリィは自分の気持ちに気がついていないようだ。
本人的にまだクレイへの気持ちを引きずっているというのがあって、そちらへ意識がいっていないのかもしれないなと思った。
正直失恋様々だ。
「ああ。これは確かにクレイが言うように、困った二人だな」
二人揃って鈍いようだが、淡い恋心を抱きあっているのはまず間違いなかった。
ここでこれを放置すればそのうちそれに気づき自分の恋は成就できなくなってしまうことだろう。
それだけはどうしても避けたかった。
(今回アストラスにやってきたのはある意味正解だったな)
間に合ってよかったと思ったのはまず間違いない。
チャンスがあるのとないのとは大違いなのだから────。
そして二人の鈍感さを利用してしまうのは申し訳ないが、これを機にここで一気に勝負を決めてしまおうと思った。
ライバルの目の前できちんと自分の意思を表明しておかなければならない。
居住まいを但し、シリィにちゃんと伝わるように真剣に想いを伝える。
「シリィ。やはり改めて今日シリィと話をして、私の相手にはシリィがいいと思った。特に国政についての新しい視点には驚かされたし、非常に興味深い意見も聞けて実に面白かった。できればこれから先、私と共に生涯を共にしてほしいと強く願っている。以前のこともあるし難しいとは思うが、この手を取ってもらえるのなら生涯大切にすると誓おう」
そして大きく息を吸い、その次の言葉を真っ直ぐにシリィへと告げた。
「そこのシュバルツ殿と私のどちらかを選ぶとしたらシリィはどちらを選ぶのか、答えを聞かせてほしい」
そんな自分にシリィは冗談で流さず、真摯に向き合って考えてくれているようだった。
そして『少しお待ちください』と言ってシュバルツの方へと向き直る。
「あの…シュバルツ様とロイドの件はどうなりましたか?」
「え?ああ。それは先程話が終わって、ロイドの傍に居てもいいと言ってもらえたが…?」
もしやシュバルツの方を選ぶのかと成り行きを見守っていると、それを聞いたシリィは本当に嬉しそうに『よかったです』と笑った。
「それなら私も安心してライアード様の手を取ることができます」
その言葉に喜びが広がったのは言うまでもないだろう。
シリィはシュバルツではなく自分を選んでくれた。
それがただ嬉しかった。
こうしてシリィと再度婚約することができ、意気揚々とソレーユへと帰り父王や周囲を説得することもできた。
後はクレイとロックウェルの結婚祝いに顔を出し、シリィを迎えに行ってソレーユに連れ帰るだけだ。
捕まえることに成功したのならあとはゆっくりと口説くだけ…。
もう絶対に二度と手放す気はない。
そうしてライアードはロイドと一緒に最高の喜びの中着々と周囲を固め、一足早く祝杯を挙げたのだった。
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アストラスの魔道士交流会にロイドを送り出したのは良かったものの、どうやらそこでロイドは完全にクレイからふられてしまったらしい。
初めての恋をなくしてロイドは随分落ち込んでいたようだったが、一応慰めてくれる相手がいるようだったから然程気にはしていなかった。
ロイドは仕事に支障をきたすような無能者ではないし、こちらが何か文句を言うほどでもない。
一か月後にはまたアストラスに行くと言っていたし、きっとすぐに立ち直ることだろう。
そこまで考えたところで自分もアストラスに行きたいなと思った。
一応前回ソレーユにシリィがやってきた後何度か文を送ったのだが、最初はすぐに返事があったそれもここ最近は音沙汰がなくなってしまったのだ。
繋がりを持っておきたいだけで特に返答を要すものではなかったが、それでも気にはなっていた。
ロイドにシリィはどうしていたと尋ねたら、クレイに失恋したり、交流会準備に追われたり、クレイを癒したりと大変そうだったからその所為ではないかとの事だった。
それを聞いて、シリィはクレイの事が好きだったのかと今更ながら気づいて軽くショックを受けた。
クレイを繋ぎとめたロックウェルや自分に目を向けさせていたロイドには感謝したいところだ。
万が一にでもふらふらとシリィに行かれていたらたまったものではなかった。
そう思ったところでハタと我に返った。
他の女性に目を向け色々行動まで起こしていたはずなのに、結局シリィの方ばかり見ている自分に気付いたからだ。
できるだけ諦めるべきと思いつつ結局諦めきれない自分はどこか兄と似ているのかもしれないなと思わず笑ってしまった。
「そう言えば兄上はアルバートと上手くいっているのか?」
何気なくロイドにそうやって話を振ると、ロイドは少し考えて『ある意味上手くいっているのでは?』と返してきた。
それならそれで問題はないのだろうと判断しとりあえず自分の方の恋を何とかしようと思って、仕事を調整してアストラスに訪問する旨をしたため文を送る。
そしてついでにロイドにクレイとコンタクトを取ってもらうことにした。
最近開発した幻影魔法は他国の者と気軽に話せる便利な魔法だと聞いていたから試してみたい気持ちもあったのだ。
そして実際にその魔法を使ってもらうと、それは確かに実に画期的な魔法だった。
魔法の発動と共に向こう側にクレイの姿が目の前に映し出されたのだ。
これなら広域魔法と連動させて発動させれば国際会議でもなんでも気軽に開けそうだと思った。
後で是非検討しなければと思いながら、本題へと入る。
今回どうしてもクレイ本人にシリィの事を尋ねて見たかったのだ。
恐らくロイドを振ったことからロックウェル一筋だと言うのは変わらないのだろうとは思ったが、念のため確認しておきたかった。
そして実際に話して返ってきた反応はまさに予想通りのものでしかなかった。
「お前は相変わらずロックウェル以外に興味がないんだな。まあいい。実はあれから何人かの女と交流は持ったが、皆今一つでな。原点に返ってシリィともう一度やり直せないかと思い直した」
呆れた気持ちでそう返しながらも自分の心境も吐露してみると、クレイは実にあっさりとこう返してきた。
『ああ。まあ以前の件があるから難しいとは思うが、話してみて好感触だったならそれもありなんじゃないか?』
その口調はとても淡々としていて、これでクレイにシリィへの気持ちが皆無なのがはっきりした。
これなら安心して口説くことができそうだ。
そうして一か月後にそちらに行くと伝えロイドへと代わり、暫くしてロイドの方の楽しげな話もまたまとまったようだった。
「ロイド。決めたぞ。私はシリィを花嫁に選びたい」
魔法を解呪した後、自分の気持ちをはっきりとロイドへと宣言する。
実際にアストラスまで足を運んでシリィと話したい。
結婚を申し込んでその場で断られてもいい。
それでも諦めずに会いに行って接点を持ち続けたい。
そう伝えるとロイドは恭しく一礼し『できる限り力にならせていただきます』と言ってくれた。
***
それから約束のひと月後、アストラスへとやってきたのだが、その隣に控える20才そこそこの綺麗な青年に思わず目を瞠る。
(誰だ?)
その物腰からいずれかの王族だと察しはついたが、今回シリィのドレスまで見立てたと聞き正直気が気でない。
ロイドが言っていたトルテッティの王族なら問題はない。けれどそれ以外だったら…?
そう思って挨拶をしてみたらあっさりとその素性は明らかになった。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ございません。トルテッティの王弟ミシェルが第一子シュバルツと申します。以後お見知りおきを」
けれど優雅に挨拶をするその姿にシリィがホゥッと息を吐いたのを見逃すはずもない。
シリィとは年も近いし、たとえシュバルツがロイドを好きだとしても見過ごすわけにはいかないと思った。
「そうか。私はライアードだ。トルテッティのシュバルツ殿と言うと私の魔道士を見初めたと言う噂の白魔道士殿だな。ロイド…!」
「はっ…」
「こちらのシュバルツ殿と積もる話もあるだろう。場を離れる許可を与える。好きに庭園なりシュバルツ殿の部屋なり行ってくるがいい」
「…かしこまりました」
さっさとロイドに押し付けてシリィから引き離そうと思いそう口にすると、察しの良いロイドはすぐに応えてくれる。
にこやかにシュバルツへと目を向けて『ではシュバルツ殿、ご一緒に』と言って歩き出した。
それを見送り笑顔でそっとシリィの手を取りそのまま口づけを落とす。
「シリィ。私達もどこかでゆっくりと話がしたい」
「…そうですね。ではあちらにお茶の御用意を致しておりますのでご案内させていただきます」
これで邪魔者は誰もいない。
ゆっくり話をして自分の気持ちを伝えようとほくそ笑んだ。
***
庭園を二人で歩いていると遠くにロックウェルがいるのが見えたが、特にこちらを邪魔する目的ではなくあくまでも護衛と言った様子だった。
これならゆっくりとシリィと話すことができるだろう。
そう思いながら折角の機会なので色々な話題を振ってみることにした。
純粋にシリィがどんな話についてこれて、どんな話に興味を持つのかを知りたかったので幅広く話してみたのだが、これが意外にもとても楽しかった。
シリィはクレイが言っていたように政にも詳しいし、各国の情勢にも精通していた。
アストラスの話以外にソレーユの話を振っても興味深く話を聞き話題を広げてくれるし、中には他の国の話まで盛り込んできてくれる。
趣味の方はあまりないようだったが、仕事の方は好きでやっているだけあって楽しげに話してくれてその仕事ぶりも窺い知ることができた。
「ライアード様はお話上手ですね」
そうやってすっかり打ち解けてくれたシリィの笑顔が見られて思わず笑みがこぼれ落ちてしまう。
「そう言ってもらえたら嬉しい。シリィの事をよく知らなかった頃はどうせ話しても無駄だと思って話さなかっただけなんだが…。さすがに魔道士長と行動を共にし、官吏の姉を持つだけあって国政にも精通しているな。勝手にシリィを決めつけていた自分が恥ずかしい」
「ふふっ…ライアード様に認めていただけて光栄です」
「そう。そうやって素の笑顔が見れる今が何よりも嬉しいんだ。以前はどこか上辺だけの関係だったように思うし…こんなシリィを知る機会をくれたクレイには本当に感謝している」
そこで少しシリィの表情が曇ったのを感じた。
やはり失恋した相手の話を振ったのはまずかっただろうか?
そう思って話題を変えようかと思ったところでシリィの口からその言葉がこぼれ落ちた。
「…クレイはソレーユではどう過ごしていたんですか?」
それは話題を変えてほしくないとも取れたので、無理に話を変えずそのまま答えることにする。
「主にロイドと一緒に仕事をしていたな。ちょうどロックウェルと上手くいっていない時期だったから、ロイドが随分心を砕いて慰めていた気がする」
「ロイドはクレイが大好きですしね」
「そうだな。一緒にいる姿は本当に楽しそうだし、気も合う間柄だから似合いだと思っていたんだが、クレイにはあっさりと躱されてしまった」
「…クレイはロックウェル様しか見ていませんからね」
そうやって切なげに俯いてしまったシリィの姿を見て、シリィがどれだけクレイの事が好きだったのかを思い知ったのだが、正直ここで引きさがったら男が廃ると思った。
それだけ好きだったなら恐らくまだ気持ちを引きずっているはずだし、今の姿を見るにまだまだふっ切るには時間が必要なのだろう。
それならそれで吐き出す場を与えてやるべきだと思った。
気持ちを吐き出すだけ吐き出して少しでもすっきりさせてやることができたなら、こちらに目を向けてくれることもあるだろう。
だから少しでも早く自分を見てくれるようにと思い切って尋ねてみたのだ。
「シリィはクレイのどう言ったところを好きになったんだ?」
「私ですか?そうですね…最初は何を考えているのかわからない人だなって思ってたんですが…不器用だけど優しくて、放っておけない危うさがあって、何と言うかこう…庇護欲を掻き立てられる人なんですよね。ふふっ…。結局知れば知るほど好きになってしまって、気が付けば振り回されていました。ロックウェル様には睨まれましたけど、それでも…気持ちは本物で、私の初恋のようなものでした」
どうも自分の目から見たクレイやロイドの口から聞くクレイ像とはかけ離れているように感じるのだが、シリィにとってはクレイはそれだけ違って見えたと言うことなのだろう。
自分達から見たクレイは、どこまでも優秀な黒魔道士で、あのロイドですら手玉にとれそうな駆け引き上手な男という感じなのだ。
仕事面では不器用とは程遠いし、性格も優しいと言うよりはマイペースな自己中だ。敢えて言うなら『放っておけない危うさ』という点で迂闊な所があるからまあそうかと納得できるくらいだろうか?
とは言えここで気持ちを吐き出すことができてシリィ的には少しすっきりすることができたようだ。
「ライアード様。ありがとうございます」
涙を流してはいたが先程までとは違い幾分表情は明るくなった。
そうやって無理やり涙を拭って礼を言うシリィをそっと抱き寄せて、ゆっくりと慈しむように唇を重ねる。
「泣くなとは言わない。ただ泣きやむまでこうして傍に居させてほしい…」
意外にも気丈なシリィを自分が癒してやれればいいのにと…気づけば自然に体が動いてそんな言葉を紡いでいた。
彼女が振り向いてくれるのならこうして失恋話を聞いて慰めるのも吝かではない。
少しずつでもいいからこんな風に辛い気持ちを吐き出してクレイではなく自分の方を見てほしいと思った。
愚痴だろうとなんだろうと何度でも受け止めてやりたいと思える程、彼女が愛しいと感じた。
そんな心の奥底から込み上げてくる感情に胸がトクトクと弾んでしまう。
もうここで気持ちを伝えてしまおうか?
そう思っていたところで突然その声は割り込んできたのだ。
「シリィを離せ!」
そこに立っていたのはロイドと居るはずのシュバルツだった。
正直そのあまりの剣幕に驚いてしまう。
けれどその口から次いで攻撃魔法を唱えられたのにも驚いてしまった。
まさかそんな行動を起こすほど彼はシリィを想っているのかと思ったからだ。
ロイドが好きだと口にしていたはずなのにと呆然としていると、その魔法にシリィがいち早く行動を起こした。
一瞬の判断で即座に防御魔法を発動させたのはさすがだと思う。
自分にはロイドの魔法攻撃無効と言う名の防御魔法が施されているのだが、これは当然自分だけを守る魔法だ。
魔力の高いシュバルツの攻撃はこのままではシリィを傷つけてしまうだろうと思った。
慌てて庇おうと動きを見せたところでクレイがシリィの魔法を強化してくれたのを感じた。
正直魔道士ではない自分をこれほど歯痒く思ったことはない。
何にせよシリィに怪我がなくて本当に良かった。
そうしてホッと安堵の息を吐いていると、クレイやロイドがやってきてシュバルツを糾弾し始める。
「お前は人の主人にいきなり攻撃するなんて何を考えているんだ」
「そうだぞ?無傷だったから良かったものの、下手をすれば国際問題だ」
「…申し訳ない」
「ライアード様に怪我でも負わせていたら一生こき使ってやるところだ」
「ロイドらしいな。クッ…主人が傷つけられたら魔法の実験台とかにして酷い目に合わせそうだ」
「ああ、それもいいな。嬲ってやるのも楽しそうだ。試してやるのも一興かもな」
かなり怒っているのはわかるがこれではシュバルツが可哀想だろう。
何しろ怪我をしそうだったのは自分ではなくシリィの方なのだ。
国際問題になりようがない。
「そこの二人は本当に人をからかうのが好きだな。もうそれくらいにしてやれ。可哀想だろう?」
だからそう言ったのに、ロイドは納得がいかないようだった。
「…ライアード様。子供には躾けが必要だと考えますが?」
確かにシュバルツは自分に対して攻撃を仕掛けたのだからそこはきちんと教えてやるべきだとは思うが…。
取りあえず気にしていないから下がれと命じた。
「…かしこまりました」
主人の命令に大人しく従ったロイドだったが、やはり思う所があるのかそのままため息を吐いてまたクレイと会話をし始めてしまう。
「クレイ…こいつはやはり私というよりもシリィの方が好きなんじゃないのか?」
それは確かに自分も思った事だから何となくクレイの意見も聞きたくなった。
「それがわからないから俺も困ってるんだ。本人達は違うの一点張りなんだが、こうして見るとそうとしか思えなくてな」
「困った奴だな」
そんな二人にシュバルツは異議ありと声を上げてくる。
「私が好きなのはロイドだ!シリィはアストラスの王宮で少しでも私が過ごしやすいようにと心を砕いて優しく接してくれた相手だ。だからそんなシリィがクレイに傷つけられているのを黙って見ていられなかったから支えてやりたいと思った。ただそれだけの事だ」
「…………」
「さっきのもシリィが泣いているのが見えたから咄嗟に体が動いてしまっただけで、悪意あっての事ではなかった。軽率だったと反省している。申し訳ない!」
本人は一生懸命自分が好きなのはロイドだと主張し弁明しているつもりなのだろうが、言葉の端々にシリィが好きと言う気持ちが見え隠れしている。
本当に本人は全く気付いていないのだろうか?
思い切り頭を下げているシュバルツには悪いが、これはどうしたものかと思わずため息が出てしまった。
それはロイドも同様だったようで……。
「まさかここまでお子様だとはな」
呆れたように言葉を紡ぐ。
「ロイド。そう言ってやるな」
「ですがライアード様。これはあまりにも…」
「別に構わない。それよりも私はシリィの気持ちを聞かせてほしいものだな」
そう。重要なのはシュバルツの気持ちの方ではない。
シリィの気持ちの方なのだ。
「シリィは今のシュバルツ殿の話を聞いてどう思ったのか聞かせてほしい」
彼女の方はシュバルツをどう思っているのだろうか?
何の恋愛感情も持っていないのなら時間を掛けて口説いても大丈夫だが、もしもそうでないのなら────。
そうやって自分から促されたシリィは、暫し考えてから答えを返した。
「シュバルツ様はお優しいのでいつでも私を元気づけてくれていました。そんなシュバルツ様に今回ご心配をお掛けしてしまって申し訳ないと言う気持ちしかありません。私がもっとしっかりしていたらこんな事にはならなかったのではないでしょうか…」
「シリィ……」
「だから、今回の件についてはシュバルツ様の罪と言うよりはそれをさせてしまった私の罪だと思います。どうかライアード様。シュバルツ様への罰は私へとお与えください」
「つまりは自分が罪を被ってでもシュバルツ殿を守りたいほど好ましく思っていると…?」
これは……シリィも少なからずシュバルツを想っていると言うことなのではないかと嫌な予感に襲われるが、シリィの方は何故そんなことを言われるのかさっぱりわからないと言う表情を見せた。
「…?言われている意味がよくわからないのですが」
どうやらシリィは自分の気持ちに気がついていないようだ。
本人的にまだクレイへの気持ちを引きずっているというのがあって、そちらへ意識がいっていないのかもしれないなと思った。
正直失恋様々だ。
「ああ。これは確かにクレイが言うように、困った二人だな」
二人揃って鈍いようだが、淡い恋心を抱きあっているのはまず間違いなかった。
ここでこれを放置すればそのうちそれに気づき自分の恋は成就できなくなってしまうことだろう。
それだけはどうしても避けたかった。
(今回アストラスにやってきたのはある意味正解だったな)
間に合ってよかったと思ったのはまず間違いない。
チャンスがあるのとないのとは大違いなのだから────。
そして二人の鈍感さを利用してしまうのは申し訳ないが、これを機にここで一気に勝負を決めてしまおうと思った。
ライバルの目の前できちんと自分の意思を表明しておかなければならない。
居住まいを但し、シリィにちゃんと伝わるように真剣に想いを伝える。
「シリィ。やはり改めて今日シリィと話をして、私の相手にはシリィがいいと思った。特に国政についての新しい視点には驚かされたし、非常に興味深い意見も聞けて実に面白かった。できればこれから先、私と共に生涯を共にしてほしいと強く願っている。以前のこともあるし難しいとは思うが、この手を取ってもらえるのなら生涯大切にすると誓おう」
そして大きく息を吸い、その次の言葉を真っ直ぐにシリィへと告げた。
「そこのシュバルツ殿と私のどちらかを選ぶとしたらシリィはどちらを選ぶのか、答えを聞かせてほしい」
そんな自分にシリィは冗談で流さず、真摯に向き合って考えてくれているようだった。
そして『少しお待ちください』と言ってシュバルツの方へと向き直る。
「あの…シュバルツ様とロイドの件はどうなりましたか?」
「え?ああ。それは先程話が終わって、ロイドの傍に居てもいいと言ってもらえたが…?」
もしやシュバルツの方を選ぶのかと成り行きを見守っていると、それを聞いたシリィは本当に嬉しそうに『よかったです』と笑った。
「それなら私も安心してライアード様の手を取ることができます」
その言葉に喜びが広がったのは言うまでもないだろう。
シリィはシュバルツではなく自分を選んでくれた。
それがただ嬉しかった。
こうしてシリィと再度婚約することができ、意気揚々とソレーユへと帰り父王や周囲を説得することもできた。
後はクレイとロックウェルの結婚祝いに顔を出し、シリィを迎えに行ってソレーユに連れ帰るだけだ。
捕まえることに成功したのならあとはゆっくりと口説くだけ…。
もう絶対に二度と手放す気はない。
そうしてライアードはロイドと一緒に最高の喜びの中着々と周囲を固め、一足早く祝杯を挙げたのだった。
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