黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第二部 ソレーユ編~失くした恋の行方~

9.燻る恋心

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「頑張っているようだな」

そう声を掛けたのは別段悪いことではなかったと思う。

 「有難いお言葉痛み入ります。ミシェル様のお役に立てるよう、これからもより一層精進させていただきたく」

久方ぶりに聞くアルバートの声は低く耳を心地良く擽った。
けれどその返答は自分が望んでいたものとは違っていた。

この返答自体は騎士としては当然の返答と言えるだろう。
けれど……自分が望んでいるのはこんなやりとりではなかったのだ。

こんな儀礼的なやり取りをしたかったわけではない。
期待すべきではないとわかりつつも、昔のように本音で自分の言葉を語ってほしかった。
今ここに居るのは自分たち二人だけ。
恨み言でもなんでもいい。
アルバートの本音を聞いてみたい────そう思ったら自分の気持ちを抑えることができなかった。

「私は…これから先も二度と騎士に頼る気はない」

そうしてわざと彼を怒らせるような言葉を選び口にしてしまう。

「ジャンを失ったあの時から私の決意は何も変わらない」

この言葉で彼の本音をこちらへと向けてもらえると思った。
それなのに────。

気付けば何故か彼の腕の中に居て、唇を奪われている自分がいた。
これは────白昼夢なのだろうか?
アルバートの事を想いすぎて自分は夢でも見ているのだろうかと思った。
けれどその腕の温もりはこれ以上ないほどリアルで、口にされた言葉もまた耳元で甘く響いた。

「ミシェル様……貴方は酷いお方だ」

そう言いながらもアルバートの口づけは自分を求めるかのようにどこまでも激しい。
あまりの激しさに上手く息が吸えなくて、苦しいともがくが彼は離してはくれなかった。
だからやっと離れてくれた時には酸欠で頭がぼんやりとしてしまったほどだ。
一体彼はどういうつもりでこんな暴挙へと出たのだろうか?
そんな自分の耳にその言葉は突如落とされた。

「ずっと……お慕いしておりました」

そう言って自分から離れた彼の顔は酷く儚げで、悲しそうだった。
本来なら喜ぶべき言葉なのに、その表情に何かが自分の中で引っ掛かる。

(慕って…いた?)

どうして過去形なのだろう?
踵を返すその迷いのない背になんだか嫌な予感が増してくるのを感じた。
なんだかここで彼を呼び止めなければいけないような…そんな不安に襲われてしまう。

ここで呼び止めなければ彼とは二度と会えなくなる────。

ジャスティンのように失ってしまうのではないか?そんな気持ちが何故か込み上げてきたのだ。
だから必死になって彼を呼び止めた。

「待て!」

そんな言葉に彼の足がピタリと止まる。
これではまだ弱いだろうか?

「アル…お前のせいで立てなくなった。責任をとって部屋まで運べ」

だからそうして逃げ場を与えることなく言葉を紡いだ。
それはどうやら上手く功を奏したようで、アルバートはそのまま自分を抱き上げ部屋まで運んでくれた。
思いがけず好きな人の腕の中に抱かれて胸が高まってしまうが、それに気づかれてしまうわけにはいかない。

(アル……)

幸せなこの時間がずっと続けばいいと…そう思いはしたがそんな時間ほどあっという間に過ぎてしまうものだ。
部屋に着いたのでそのまま下へと下ろしてもらったのだが、なんだか名残惜しいような気がして…彼に何か言葉をかけなければと思った。
それなのに彼はあっさりと礼を執るとまたしてもそのまま去っていこうとする。
胸にある不安は何故かまだ収まりそうにない。

もしかして亡くなったジャスティンが呼び止めろとでも言ってくれているのかもしれないなとさえ思えるほどの、この込み上げる不安────。

だから気づけばまた彼を呼びとめている自分がいた。

「何をしている。中へ入れ」
「え?」

さすがにそれはできないと戸惑うようにこちらを見遣るアルバートに、構わないからと言って扉を開いてやる。

「私は責任をとれと言ったはずだ」

皇太子である自分にここまで言われたら一騎士であるアルバートに拒否権などはない。
そうして仕方がないとばかりに彼はそっと扉をくぐってくれたのだった。


***


あれはもう…遠い昔のこと────。
いつもの様に皇太子であるミシェルを護衛しにでた兄 ジャスティンが凶刃に倒れ、帰らぬ人となってしまったのが事の始まりだった。

それまでは自分を見る度に優しく声を掛けてくれていたミシェルが、それ以降声を掛けてくれなくなった。
恐らく居た堪れない気持ちでいっぱいだったのだろう。
兄の命を散らせてしまったと…責任を感じているのは明白だったから。
けれどそんなミシェルに自分は素直に自分の気持ちを伝えたつもりだった。

「兄は貴方をとても大切に想っていました。そんな貴方を守れて本望だったと思います。どうぞお気になさいませんよう」

二人は本当に仲の良い親友関係を築いていた。
だから気にしてくれるなと……。
けれどミシェルはそれから暫くして護衛はできる限り魔道士に頼むからと言い置いて、騎士達を遠ざけるようになった。
正直これではお前達はいらないと言われたようなものだ。
主を守ってこその騎士なのにこの扱いはあまりにも酷いと嘆く者が続出して、騎士団の中のミシェルの評価は大いに下がってしまった。
けれど……それだけ彼の中で兄の存在は大きかったのだろうことは容易に想像できてしまった。
それだけ────ミシェルは兄を大切に想ってくれていたのだろう。
それだけ…死を悲しんでくれたのだろうと思う。
だからこそ、それを忘れるためにすぐさま妃を迎えたに違いない。

けれどこれが一人だけだったならどうかお幸せにと願えたかもしれないが、ミシェルが迎えた妃は二人だった。
しかもどちらと一緒にいる時もいつもどこか貼りつけたような笑みを浮かべていることに気づき、とても幸せそうには見えなかった。
やはりミシェルの中で兄の存在は特別で、いつまでも忘れられないのだろうなと思った。
だから────自分がそれをいつの日か忘れさせてあげたいと思ったのだ。

それから剣の腕を磨き、誰にも文句を言わせないほど強くなった。
それこそ、かつての兄にも負けぬほどに。
例えミシェルが騎士団を見限ったのだとしても、いつか役に立てる日がきっと来る。
いつかまた頼ってくれる日が来るはずだ。
そう信じてひたすら剣の腕を磨き続けた。
そして騎士団の中で一番の実力を有すほどにまでなった時、久方ぶりにミシェルと話す機会を与えられた。
回廊を行くミシェルの姿を目にし、スッと脇へと下がり礼を執った自分の前でミシェルが初めてピタリと足を止めてくれたのだ。

「頑張っているようだな」

その言葉が自分に向けられたことが嬉しくて……思わず泣きそうになってしまった。
その言葉をこの8年、どれほど待ち望んできたことだろう?
いつか貴方の役に立ちたいと…そう伝えたい。
そんな溢れる思いが背中を押す。

「有難いお言葉痛み入ります。ミシェル様のお役に立てるよう、これからもより一層精進させていただきたく」

けれどそうして紡いだ言葉に、ミシェルは冷たく一言を発した。

「私は…これから先も二度と騎士に頼る気はない」

その言葉がグサリと胸へと突き刺さり、心が凍りつくのを感じた。

「ジャンを失ったあの時から私の決意は何も変わらない」

だから諦めろ────そう言うのか。それを弟である自分に……。
これまでの自分を全否定するかのようなその言葉は、自分を奈落へと突き落とすには十分すぎるほどの威力で────。
愛しさが遣る瀬無さへと変わり、想いの強さの分だけ行き場を失い暴走していく。

気付けば不敬にもミシェルの腕をとり、そのまま柱の影へと引き込んでいる自分がいた。
幸い周囲に人けはない。
それを分かった上での行動だった。
ずっと焦がれて焦がれて…それでも手の届かなかった相手が今この腕の中にいると言うただそれだけが、自分の中に火をつける。
驚きに目を見開くミシェルを逃がさないとばかりに腕に閉じ込めそのまま無理やり唇を奪った。

「ミシェル様……貴方は酷いお方だ」

そう言って、もうどうなってもいいとばかりに唇を貪りつくす。

「んんっ…!」

腕の中で離せと言わんばかりにもがかれようと、離す気などなかった。
どうせもうこれで騎士は続けられなくなってしまうだろう。
けれどそれでも良かった。
ミシェルが必要としてくれないのなら、今の自分に存在価値などないのだから。
ここで想いを遂げることができるのなら────それでもう本望だった。

「ずっと……お慕いしておりました」

だから……口づけで力の抜けたミシェルをしっかりと抱き寄せ、ただ一言そうして本音を囁き身を離す。
そしてズルズルと床へと沈み込んだミシェルを悲しみに暮れながらただ見つめ、どうかお幸せにと口にした。

もうこの足で退団願いを出しに行こう。
そうして兄の後を追おう。
もう何もかもがどうでもよくて────迷うことなく歩を進めた。
けれどそれを呼び止めたのはミシェルだった。

「待て!」

今更自分に何の用なのか……。
騎士である自分はもう不要なのではないのか?

(ああ……そうか)

きっと不敬だと罵りたくなったのだろう。
不敬を責めると言うのならそれも甘んじて受け入れるべきだろう。
この命がなくなれば恨み言さえ聞いてあげられなくなってしまうのだから…。
そう思い、そっと足を止める。
けれどミシェルの口から飛び出したのはそんなセリフではなかった。

「アル…お前のせいで立てなくなった。責任をとって部屋まで運べ」

その言葉に思わず大きく目を瞠る。
ミシェルはどうしてそんなことを言い出したのだろう?
とは言え自分の責任であることには違いがないのだから、そっとミシェルの元へと戻りゆっくりとその身を抱き上げた。

(軽い……)

ミシェルはこんなにも小さかっただろうか?
それとも自分が大きくなっただけなのだろうか?

当時の自分はまだ16、7才の新米騎士だった。
対するミシェルはまだ20才そこそこだったか…。
それでも自分から見たミシェルは兄と並んで堂々としているように映り、とても大人に見えた。
兄から聞くミシェルの話はいつも楽しみで、たまに会って話す際のミシェルとの時間もまた至福の時だった。
あの日々は今でも自分の中でキラキラとした輝きを放っていて…懐かしく心を温めてくれる。
もう決して戻ってこない幸せな思い出────。




「もうここでいい。下ろしてくれ」

ミシェルの言葉で部屋へとたどり着きそっと部屋の前で下ろすと、そのまま礼を執り去ろうと踵を返す。

愛しい人が腕の中にいる幸せな幻の時間は終わったのだ。
最後にいい夢を見させてもらえたと────そう思うべきで、そこに長くいるべきではない。
けれどそれをまたミシェルに呼び止められる。

「何をしている。中へ入れ」

一体どういうつもりなのかミシェルは自分を中へと迎え入れようとしてきた。

「え?」

さすがにそれはと思い声を上げたのだが、ミシェルは早くしろとばかりに自分を促してくる。

「私は責任をとれと言ったはずだ」

そう言われてしまっては返す言葉もなく、ただただその言葉に従うように部屋の扉を閉めるしかなかった。




扉をくぐるとソファに座るようにと言われた。
初めて入るミシェルの自室。
ここはさすがに兄も入ったことがないだろう。
上品ですっきりとしたミシェルらしい部屋だった。

「アルバート……まさかとは思うが死のうなどとは思っていないだろうな?」

そうしてぼんやりと部屋を見回しているところに、そんな直球の言葉が突如投げかけられて思わず動きを止めてしまう。

「え……」

そしてミシェルの方を見遣ると、どこかこちらを厳しい眼差しで見遣りながら再度その言葉を紡いできた。

「だから、不敬を働いた罪を償おうという愚かなことを考えていないかと聞いている」

それは────確かに考えていた。
考えていたことだが……当然ではないだろうか?
皇太子であるミシェルの唇を無理やり奪ったのだ。
だから素直に謝罪を込めてその言葉を口にする。

「私のしたことはとても許されることではありませんので…この命で償うべきと考えます」

けれどその言葉を口にした途端、ミシェルからバシッと思い切り叩かれてしまった。

「お前はたかがそれくらいの事で職務を放棄するのか?お前は王族を守るべき騎士だろう!軽々しく命を散らそうとするなど言語道断だ!」

それは……確かにそうかもしれないが、それでもミシェルに必要とされないのなら自分など何の意味もないと思ったのだから仕方がないではないか。

「私はミシェル様をずっとお支えしたいと考えていました。それをあのように否定されてまで騎士を続ける気は毛頭ございません」

だから素直に心情を吐露したのだが、それに対してまた平手が飛んできた。

「ふざけるな!お前はそれでもジャスティンの弟か!ジャスティンは誰よりも命の大切さを知っていた!騎士道というものを理解していた!己で己の命を散らすのは愚の骨頂だと言っていた!弟のお前がそれを知らぬはずがないだろう!」

そんな言葉にハッと我に返る。
確かに兄は『主を守り、仲間の命を守り、自分の命を守るのが騎士としての重要な役割だ』と言っていた。
優先順位はあれど、命は大切なものだ。決して安易に犠牲になるべきではないと……そう言っていたはずなのに────。
だからこそ、その命を散らせた時はどうしようもないほど切羽詰まった状況だったのだろうと納得がいったのだ。
そんな大事なそれを────長い年月と共に忘れそうになっていた自分が酷く愚かしく思えた。

「申し訳…ございません」

やはりミシェルは誰よりも兄の事をわかっていた。
それを思うと胸がひどく傷む。
自分はいつまで経っても兄には敵わない。
兄に敬愛の念はあれど、もういない人に一生敵わないのだと言うこの打ちのめされるような気持ちを…一体どう消化すればいいのか。
そうして辛い気持ちに打ちひしがれながら俯いた自分に、ミシェルがそっと声を掛けてくる。

「叩いたことに関しては謝る気は無いが、辛いことを思い出させるようなことを言ってしまってすまなかった。お前に……そう辛い顔をされるのは私も辛い。どうか許してほしい」

そんな言葉に彼が勘違いをしていることを察し慌てて訂正しようとするが、彼はそれに気づかぬまま次の言葉を口にした。

「お前の兄の命を奪った償いになるかはわからないが…先程のようにお前が私に口づけたいと思ってくれるのなら、いつでも口づけてくれていい。贖罪になると言うのならその先も許そう。だから……お前まで私の傍から消えないでくれ」

それはあまりにも切ない────苦しく絞り出すような声だった。

ああ…自分はどれほど酷いことを口にしてしまっていたのだろう?
親友である兄を失った悲しみを…自分の死でまた繰り返してしまうところだった。
ミシェルは恐らく二度と自分のせいで誰かの命を失うことに耐えられないのだ。
だからこそ騎士達を自分から遠ざけ、生き残る可能性の高い魔道士の方を傍に置くことにしたのだろう。
それを────わかっているようで全く分かっていなかった。
傷は自分が思っていたものよりもずっと深かったのだ……。

(ミシェル様は優しすぎる……)

恐らくこれが弟王子であるライアードであったなら、それはそれこれはこれと割り切って、騎士と魔道士の混合編成にし魔法防御も付与して上手くバランスをとることだろう。
けれどミシェルはそんな方向に思考がいかなかったようだ。
どうしてミシェルはこれほど不器用なのか……。

勝手に皇太子だし自分よりも年上だから深い考えもあるのだろうと、自分よりも優秀なのだと決めつけていたように思う。
本当のミシェルは決してそれほどできた人物ではなく、必死にその立場に見合う自分になりたいと頑張っている人だったのだ。
それがわかった今、愛しさはいや増して自分の中を満たしていく。
憧れは失望に変わることなく、ただただ恋心を増長させるだけだった。

ミシェルは今回の件は不問にしていいと言ってくれた。
それならばこれから自分にもできることを模索すべきではないだろうか?
ミシェルの足りないところを補佐してあげられれば…力になれるのではないか?
それと共に彼の傷ついた心も一緒に癒してあげられれば────。
純粋にそう思った。

傍に居て支えてあげたいと言う強い思いは間違いではなかったのだ。
そう思ったところで、そっとまたミシェルと口づけを交わしている自分がいた。

「ミシェル様。これからは私が兄に代わり貴方をお支えし、お慰めいたします」

兄の死で傷ついたその心を…自分が癒してあげたい。
そしていつか────あの時の兄以上に自分を必要としてもらいたい。
そう思った。


そのはずだったのに────。



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