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第一部 アストラス編~王の落胤~
146.※夜に溺れて
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「んん…」
その日の夜はクレイと一緒に婚約のお祝いということで酒を酌み交わし、酔い覚ましと称してバルコニーへと連れ出していた。
「ロックウェル…酔いざましと言ってなかったか?」
「もちろんそうだが?」
そう答えながらも腰を攫って口づけでクレイを酔わせ、そのまま下衣へと手を入れる。
「んっんんんっ!」
抗議の声は全て口づけで奪い取り、甘い喘ぎだけが口の端に上る。
「ふぁッ!」
こんな所で襲うなと言いたい気持ちもわかるが、久し振りに声を抑えて羞恥に身を染めるクレイが見たくなったのだから仕方がない。
「ほら。そこに手を置いてこちらに尻を突き出してくれないか?」
「嫌に決まっているだろう?!」
誰に聞かれるかわかったものじゃないと小声で抗議してくるクレイに、思わずクスリと笑みがこぼれ落ちる。
「馬鹿だな。そんなもの…聞かれないようにお前が声を抑えればいいだけの話だ」
「……!!それができれば苦労はしない!あっ…ちょっと待てッ!」
「待たない…」
貪るように口づけて、そのまま可愛いクレイの双丘を割り、ゆっくりと指を侵入させる。
「やぁ……ッ!」
両手で口を押さえ切ない声を上げたクレイの表情が羞恥に染まった。
「んっんっ…!ダメッ、ダメッ!」
前立腺をクニクニと押してやるとたまらないとばかりに腰を揺らし、雄々しく前を立ち上がらせてしまう。
「ふっ…お前もやる気満々だな」
「ちが…違うぅ…ッ!」
逃げようと身を捩りふるふると首を振るクレイには構わずそのまま先走りに濡れた亀頭をクリクリと指で嬲ってやると、クレイは目に涙を浮かべて懇願してきた。
「そんなに同時に責められたら、声…我慢できない…ッ」
「口づけていてやるから大丈夫だ」
これ以上は無理だと言ってくるクレイにそう言いながら激しく舌を絡めて時折舌を吸ってやる。
それと共に前後を同時に責めてやると逃げ場をなくしてクレイは身を震わせながら高みへと昇っていった。
「────ッ!!ふぁぁ…」
「ああ…今日も最高に可愛いな…」
腕の中で感極まったクレイに自分にしっかりと掴まるように言って、そのまま両足を広げるように持ち上げ、ゆっくりと猛った自身を挿入していく。
「んっ…んやぁ…」
自分に縋りつき、キュウキュウとこれ以上にない程締め付けながらクレイが甘い声で啼いたので、そのまま軽く突き上げてやった。
「やぁあッ!これは何度でもイっちゃうから嫌だ…ッ!」
クレイはこの体位はやめてほしいと訴えてくる。
自分からすれば意識を飛ばさないぶん存分に楽しめる体位だと思うのだが、ずっと気持ち良い状態が続いて軽くイキっぱなしになるため、長々とされるのを好まないクレイとしては避けたい体位だった。
「良いじゃないか。こうして抱き上げられながら串刺しにされて、何度でも好きなだけイけばいい」
「うぅっ…外でこんな意地悪をしてくるなんて、お前はやっぱり変態だ…。ふっあぁ…!」
「そんな所も好きでいてくれるんだろう?」
「んっんっ…嫌いになれないだけで好きなわけじゃないッ!」
そう答えながらもクレイは気持ちよさそうにしながら身を任せてくれるのだから、好きと言ってくれているも同然だ。
「あっあっ…!」
「ほら。そんな可愛げのないことばかり言っているといつまでも中に注いでやらないぞ?」
「やッ!酷…ッ!」
目を潤ませながらいっぱい欲しいと訴えてくれるクレイに、欲を煽られてつい激しく突き上げてしまう。
「ひぁあッ!」
突然の突き上げに嬌声が一際高く上がって身を反らせるが、体勢を崩しそうになって慌ててクレイがしがみついてくる。
「あっ!嫌ぁッ!それ、気持ちいいッ!」
「はぁッ…クレイ…もっともっとお前を味わいたい…ッ!」
「ふぁッあんッ!ここっ…嫌っだっ!寝台で可愛がって…ぇ…」
「今日はここがいいんだ…っ」
「あっあぅ…も、っと奥、激しくして欲しいのに…」
足りないと甘く訴えてきたクレイが可愛くて、結局体位を変えてやることにした。
「お前は声を我慢できなくなると言う割にはわがままだな」
「は、はぁっ…ッ!お前がこんな所で襲うからだろう?!頼むからせめて中にしてくれ…」
もう寝台とは言わないからせめて部屋の中がいいと言われたが、ここで引き下がるはずもない。
無理やり振り向かせながら口づけて、片足を持ち上げながら横から思い切り挿入してやると、クレイの好きなところに当たってあっという間に溺れていく。
「んあぁッ!あぁんっ!」
身悶えながら声を必死に抑え、それでも快感に抗えず腰を揺らして懇願するクレイに興奮してしまい、ズンズンと奥まで突き上げながら蹂躙してやる。
「あっ…あふっ…も、イク────ッ!!」
「くっ…ッ!」
搾り取られそうなほどギュッと強く締め付けられてたまらず奥まで思い切り吐き出してしまうが、クレイが放つどこまでも匂い立つような色香にまたすぐに立ち上がってしまう。
「あぁん…」
女顔負けのこの色香は本当にどこから出ているのか。
正直どこまでも魅了され、いつまででも愛でたくなる。
けれどここまで来るともう立っているのもやっとだろう。
仕方なく一度中から抜いて、そのまま抱き上げ寝室へと運んでやる。
しどけなく寝台に横たわるクレイの衣を剥いで赤い花を散らしながら更に追い詰めてやろうとすると身を起こそうとしてきたので、今日は好きにさせてくれと伝えた。
「今日は私に溺れるお前をずっと見ていたい」
「あ…ッ!今日は俺もしたかったのに…っ!」
どうやらここ最近ずっと襲われるばかりで自分からしてないから攻めたいと思ったらしい。
けれど今日ばかりは聞いてやれそうにない。
「悪いが今日はお前がプロポーズしてくれた特別な日だからな」
諦めてくれと言いながらどこまでも深く愛してやることにして、嬉々として襲いかかった。
「はぁ…ッ!んんんッ…」
嫌だと潤む目で僅かに抵抗されるが、初めての時に比べればそれくらい可愛いものだ。
「クレイ…今日は朝まで頑張れよ?」
「ひっ…!」
こうして『この絶倫!』と久し振りに睨みつけてきたクレイを堪能しながら、二人で甘く溺れあった。
***
二度クレイが意識を飛ばしたところで、まだ寝るのは早いぞとバックで貫きながら揺らしてやったのだが、かなり激しく達してしまったため意識が戻ってこない。
回復してやるべきかとは思ったがふと思い立って尻を叩いてやるとキュッと締め付けながら甘い声を出し、僅かに意識を浮上させてきた。
「あっ…んッ…」
どうやらこんな刺激でも感じてしまうらしい。
それを見て、痛みでも感じてくれるのならとふと例のアイテムの存在を思い出し、そこからハッと我に返ってふるふると首を振ってしまう。
一体いつの間に自分はそんな考えを抱くようになってしまったのだろうか?
この思考回路は危険極まりない。
そんな自分にヒュースがそっと声を掛けてきた。
【お使いになればよいではないですか。こうして溺れている時なら身構えていない分痛みも少ないでしょうし、その先には新しい気持ち良さがあるそうですよ?】
どうやら眷属達は示し合わせた上でアレをクレイに勧めたようで、特にお仕置きという観点からではなかったらしい。
【開発好きのロックウェル様と快楽好きのクレイ様を思って皆で調べて吟味して選びましたので、しまい込まれるよりもお使いいただけた方が嬉しゅうございます】
「…そうか」
確かにそんな風に言われると新しい扉を開くのもいいかもしれないと思えてくる。
お仕置きなら酷くして嫌われてしまうかもしれないが、こうやって溺れさせたところで少しずつ教え込んでいけば嫌われることもないだろう。
それは調教ではなく言ってみれば恋人達の営みに過ぎないように思えた。
はいどうぞとばかりに気を利かせてそれを隠し場所から持ってきて姿を消したヒュースに思わず苦笑してしまったが、一度クレイから身を離しそっとそれを手に取ってみた。
金属製の細長い棒にはよく見ると微細な凹凸が付いている。
丸い小さな玉が連ったようなソレの先は奥まで入り込みすぎないよう輪っかになっていて、抜き差ししやすいようデザインされていた。
けれど本当にこれを入れても大丈夫なものなのだろうか?
(まあ…物は試しか……)
こういう時自分が白魔道士で本当に良かったと思う。
もし何かあってもすぐに対処ができるからだ。
そしていざとなったら魔法で治してやればいいかと開き直り、クレイの雄を扱いて大きくし先走りが出たところで試しにゆっくりと鈴口から差し込んでみた。
「……?!やっ!何?!痛い……!!」
未だ完全に意識を戻していなかったクレイが突然襲い掛かったあり得ない場所への痛みに驚いて身をよじるが、そっと後ろから抱きしめながらあやしてやる。
「大丈夫だ。ほら。私が抱き締めていてやるから安心して力を抜いていろ」
「んんっ…はっ…ロックウェル…」
自分の言葉にホッと息を吐いて力を抜いたクレイにチュッチュッと口づけ意識を反らせてやりながらそのまま少しずつ奥へと挿入し、全部挿入し終えたところで安心させるように強く抱きしめてやった。
「全部入ったぞ」
「あっ…!ロックウェル…これ怖い…ッ」
痛いし何がどうなってるのかわからないから怖くて動けないとクレイが半泣きで訴えてくる。
けれど自分としてもこれの扱い方を思い出すので精一杯だ。
確かこっち側からも前立腺が刺激できるとかそういうアイテムだったはずだから、つまりはここから動かしてやらないといけない訳で────。
「クレイ…これは私も初めてだからゆっくり二人で覚えような」
「え?」
力加減がわからないが取りあえずゆっくりと少しだけ上下にソレを動かしてやるとクレイが悲鳴を上げながら身悶えた。
「ひっ!痛いのに動かさないで…!」
「そうだな。こっちはバージンだものな」
慣れるまでは痛いのだろうと思い、ゆっくりと慣らすように優しく動かし、深いところを掻き混ぜるように色々探ってやる。
「んやぁっ…!アッ!そこ怖いっ!」
そうしている内に何かに掠めたようで、声に快楽の声が混じったのを確かに感じた。
「ここか?」
「やっ…!何?ゾワゾワするッ!こんなの知らない…!あっ!そこそんなに責められたらッ…!んんっ…!」
どうやら気持ち良くなってきたらしい。
これで前と後ろから同時に前立腺を責めたらどんな嬌態を見せてくれるのだろう?
そう思うと試してみたくなるのも当然で、気付けば甘く声を掛けながら座位のバックでクレイを犯し、前と後ろを同時に責め立てていた。
「ひっ…!あぁああああぁッ!!イクッイックぅッ!!」
胸も同時に責めながら耳を甘噛みしてやると感極まってまた意識を飛ばしてしまうが、後ろの締め付けは増すばかりでたまらずまた奥へと注いでしまう。
そこからは何度か体位を変えながら色々探るように動かし、意識が浮上するたびに前後を責め立て嬌声を上げさせた。
「嫌…だ…!痛いのに気持ちいいッ!おかしくなっちゃう!」
「後ろより前の方が好きなのか?」
「はっ…はぁうッ!違ッ!ロックウェル…助けて…!腰、止まらないッ!」
荒く息を吐きながら何度も溺れ涙と涎でグチャグチャになりながら身悶えるクレイを思わず堪能してしまう。
「こんなのダメ…ぇ…!先まで全部感じちゃうぅ…!ひんんッ!」
「ダメじゃない。ほら。しっかりと全身で気持ちいいのを味わえ」
「ひゃぁうッ!やぁッ!全部良すぎてダメぇ!好きッ!好きぃッ!」
「可愛すぎるな。もっともっとこっちも極めような?クレイ」
「嫌ぁ…ッ!揺らさないでッ!ひっ…くふぅうう…ッ!」
(本当にたまらないな。もっと虐めてやりたい…)
快楽の海に突き落とされて溺れまくる姿は、ただただ自分の欲情を煽るばかりだ。
「も、限界…。抜いてぇ…ッ」
「大丈夫だ。ほら、回復してやるから安心して身を任せてもっと素直になれ」
「あぁんっ!そんなにしちゃ嫌ぁ!前も後ろもおかしくなっちゃうッ!」
「いくらでも好きなだけやってやるからな…」
「あっあっ…ロックウェル…!もっとぉ…!」
甘い声で強請りながらそっと抱きついてくるクレイが愛しすぎて、ついつい熱が入ってしまったのは仕方がないだろう。
そして明け方近くにやっとソレを抜いてやると止められないと言いながら白濁を吐き出しグッタリとしながらもクレイは腰を揺らしていた。
「あっあっ…ひゃらぁ…きもちい…。こんなの、も、むりぃ…」
奥にこれでもかと大量に注がれドライでイきまくっていたところで射精したのは相当気持ち良かったらしく、まさに昇天とも取れる幸せそうな顔でクレイはそのまま意識を手放してしまった。
どうやらいつもの射精管理とは全然違う良さがあったらしい。
ずるりと身を離すと中からトロリと自分が放った白濁が流れ出てくる。
よくもこれだけ注いだものだ。
けれどいくら注いでも注ぎ足りないほどにクレイに夢中な自分がいた。
時間が許すならもっと抱いていたかったがさすがに少しくらいは眠っておかなければ…。
そうしてクレイを抱きしめながら束の間の眠りへと一緒に落ちていく。
(最高だった…)
さすが優秀な眷属達が厳選したものだけのことはあるなと満足げに浸りながら────。
***
「この馬鹿ッ!いくらなんでも遣り過ぎだ!」
目を覚ましたクレイは開口一番そうやって真っ赤になりながら叫んだ。
「仕方がないだろう?お前が可愛すぎてつい時間を忘れて開発したくなったんだから」
「~~~~~っ!」
途中からうっかり回復魔法を忘れてしまうほど夢中になってしまっていた自分がいて、確かに少し配慮が足りなかったかもしれないと反省してしまう。
どうやらクレイは体が辛くて動けないようだった。
「うぅ…今日から予行練習的にイチャイチャしてみようと思っていたのに台無しだ…。もういい!当日だけにするから!」
涙目ですっかりへそを曲げてしまったクレイにさすがに申し訳ない気持ちになって、少し強めに回復魔法を掛けてやる。
「悪かった。そう怒るな」
これなら寝不足も解消できて動けるだろうと言ってやると、そっと身を起こして不服げにしながらもチュッと口づけてくれた。
どうやら許してくれるらしい。
「…仕事に支障をきたすようなことをするな」
「わかったわかった。私が悪かった」
とは言え婚約者の予行練習なら別に抱き上げてイチャイチャしてもいいとは思うのだが…。
「俺は女じゃないからそんなのは絶対にお断りだ」
それにそんな溺愛されるようにただ身を任せる黒魔道士がいたら見てみたい。絶対にあり得ないとまで言われ、それは確かにと思わず頷いてしまう。
相手を誘惑するのが基本的に黒魔道士なのだ。
さもありなん。
「言っておくが本当に俺が使うのはお前を元にしたものばかりだからな。絶対に笑うなよ?」
「笑うはずがないだろう?寧ろわかりやすくていい」
クレイの行動が読めればそれに合わせてこちらもイチャイチャしやすいというものだ。
いつもの様に翻弄される心配はないし、いっそやりやすいだろう。
「そう言えば当日お前が使う魔法がある程度分かっていた方がやりやすいとも思うんだが……」
答えてもらえるかどうかはわからないが、少しでも知っておきたいなと思いそう尋ねてみると、クレイはなんということもない様に答えてくれた。
「ああ。その日は例の開発した魔法を使おうと思って」
クレイ曰く、一応極薄の完璧な防御魔法を完成させることができたらしい。
「瞳の封印も解いて不備がないかも確認したら一部綻びがあったんだが、すぐに調整して完璧に仕上げておいた」
だから何の心配もないと自信をもってクレイは満足げに笑う。
「今回はこれと俺の魔力を込めた黒曜石を使って一時的にその日限定で王宮内にいる全員を守る形をとりたいと思っている」
その言葉には驚きしかない。
王宮内にいる全員とはまた大がかりだ。
「それは瞳の封印を解いて…ということか?」
相当の魔力を消耗するのではと思ってそう尋ねてみたが、あらかじめ封印を解いた状態の魔力を黒曜石に圧縮して挑むため、魔法の発動自体は封印した状態で十分可能ということだった。
「一日それを維持できるだけの魔力を封じるべきと考えると、ざっと石の数は20個程…。さすがに疲れるだろうがこれで何とかなるはずだ」
当日までにそれだけ用意しておくと言ったクレイだが、本当に大丈夫なのかと心配になってしまう。
「無理だけはするなよ?」
だからそう言ったのに、クレイは珍しくそっと甘えながらその言葉を紡いできた。
「多少無理をしてもお前がいれば大丈夫だろう?」
圧縮魔法を使うのに魔力が多少すり減っても回復してくれたら問題ないだろうと言ってくれるクレイに、つい面映ゆい気持ちが込み上げる。
これまでならこういう場合自分なら大丈夫だと突き放すように言っていたクレイが、まさか自分を頼ってくれるなんて思っても見なかった。
「俺はお前に負担を掛けたくないと思っていたが…お前は恋人に頼られるのが嬉しいみたいだしな。少しくらい歩み寄ってもいいかと思って…」
でもダメな時はダメだとちゃんとわかるように言ってほしいと言われ、そんなクレイに嬉しくて仕方がなくなってしまう。
「お前に頼られて嫌な事なんて何もない。寧ろどんどん頼ってほしい」
「……そう言うものか?」
「ああ」
自分の事も少しずつでいいからこうして理解してほしいと伝えてやると、考えておくと言ってそっと頬を染めた。
どうやら自分の事でいっぱいいっぱいだった気持ちが少し変わってきたようだ。
これもレイン家の問題が落ち着き、婚約に繋がった効果と呼べるのだろうか?
「お前とこんな風にいい関係が築けるなんて夢のようだ」
恋人同士としても、仕事仲間としても、パートナーとしてもっともっと分かり合える間柄になっていきたい。
「元々封印までは友人としていい関係だっただろう?」
けれどクレイはその辺りはよくわからないのかただそうやって口にしてくる。
「お前が一方的に俺に劣等感を抱いていただけで、俺はずっとお前に好意的だったんだから」
そう言いたくなる気持ちもわからないでもないが、あの頃と今は全く違うのだとどうしてわかってくれないのか…。
(まあいい)
時間はこれからいくらでもあるのだから、それこそいくらでも時間を掛けて少しずつ教えていってやればいい。
「お前と分かり合えて幸せだと言っているんだから、素直に喜んでくれればいいだろうに…」
「んっ…。それは…まぁそうかもしれないが…」
「アイリスには絶対に隙は見せるなよ?」
「はぁ…ッ。ファルも気をつけろと言っていたし、ちゃんと気をつけておく…。んんっ…」
合間合間に優しく口づけを落とすと素直に応えてくれるクレイが愛おしい。
「は…ぁ…。もう行くぞ…」
そう促されて、二人でさっとシャワーを浴びると仲良く執務室へと向かった。
その日の夜はクレイと一緒に婚約のお祝いということで酒を酌み交わし、酔い覚ましと称してバルコニーへと連れ出していた。
「ロックウェル…酔いざましと言ってなかったか?」
「もちろんそうだが?」
そう答えながらも腰を攫って口づけでクレイを酔わせ、そのまま下衣へと手を入れる。
「んっんんんっ!」
抗議の声は全て口づけで奪い取り、甘い喘ぎだけが口の端に上る。
「ふぁッ!」
こんな所で襲うなと言いたい気持ちもわかるが、久し振りに声を抑えて羞恥に身を染めるクレイが見たくなったのだから仕方がない。
「ほら。そこに手を置いてこちらに尻を突き出してくれないか?」
「嫌に決まっているだろう?!」
誰に聞かれるかわかったものじゃないと小声で抗議してくるクレイに、思わずクスリと笑みがこぼれ落ちる。
「馬鹿だな。そんなもの…聞かれないようにお前が声を抑えればいいだけの話だ」
「……!!それができれば苦労はしない!あっ…ちょっと待てッ!」
「待たない…」
貪るように口づけて、そのまま可愛いクレイの双丘を割り、ゆっくりと指を侵入させる。
「やぁ……ッ!」
両手で口を押さえ切ない声を上げたクレイの表情が羞恥に染まった。
「んっんっ…!ダメッ、ダメッ!」
前立腺をクニクニと押してやるとたまらないとばかりに腰を揺らし、雄々しく前を立ち上がらせてしまう。
「ふっ…お前もやる気満々だな」
「ちが…違うぅ…ッ!」
逃げようと身を捩りふるふると首を振るクレイには構わずそのまま先走りに濡れた亀頭をクリクリと指で嬲ってやると、クレイは目に涙を浮かべて懇願してきた。
「そんなに同時に責められたら、声…我慢できない…ッ」
「口づけていてやるから大丈夫だ」
これ以上は無理だと言ってくるクレイにそう言いながら激しく舌を絡めて時折舌を吸ってやる。
それと共に前後を同時に責めてやると逃げ場をなくしてクレイは身を震わせながら高みへと昇っていった。
「────ッ!!ふぁぁ…」
「ああ…今日も最高に可愛いな…」
腕の中で感極まったクレイに自分にしっかりと掴まるように言って、そのまま両足を広げるように持ち上げ、ゆっくりと猛った自身を挿入していく。
「んっ…んやぁ…」
自分に縋りつき、キュウキュウとこれ以上にない程締め付けながらクレイが甘い声で啼いたので、そのまま軽く突き上げてやった。
「やぁあッ!これは何度でもイっちゃうから嫌だ…ッ!」
クレイはこの体位はやめてほしいと訴えてくる。
自分からすれば意識を飛ばさないぶん存分に楽しめる体位だと思うのだが、ずっと気持ち良い状態が続いて軽くイキっぱなしになるため、長々とされるのを好まないクレイとしては避けたい体位だった。
「良いじゃないか。こうして抱き上げられながら串刺しにされて、何度でも好きなだけイけばいい」
「うぅっ…外でこんな意地悪をしてくるなんて、お前はやっぱり変態だ…。ふっあぁ…!」
「そんな所も好きでいてくれるんだろう?」
「んっんっ…嫌いになれないだけで好きなわけじゃないッ!」
そう答えながらもクレイは気持ちよさそうにしながら身を任せてくれるのだから、好きと言ってくれているも同然だ。
「あっあっ…!」
「ほら。そんな可愛げのないことばかり言っているといつまでも中に注いでやらないぞ?」
「やッ!酷…ッ!」
目を潤ませながらいっぱい欲しいと訴えてくれるクレイに、欲を煽られてつい激しく突き上げてしまう。
「ひぁあッ!」
突然の突き上げに嬌声が一際高く上がって身を反らせるが、体勢を崩しそうになって慌ててクレイがしがみついてくる。
「あっ!嫌ぁッ!それ、気持ちいいッ!」
「はぁッ…クレイ…もっともっとお前を味わいたい…ッ!」
「ふぁッあんッ!ここっ…嫌っだっ!寝台で可愛がって…ぇ…」
「今日はここがいいんだ…っ」
「あっあぅ…も、っと奥、激しくして欲しいのに…」
足りないと甘く訴えてきたクレイが可愛くて、結局体位を変えてやることにした。
「お前は声を我慢できなくなると言う割にはわがままだな」
「は、はぁっ…ッ!お前がこんな所で襲うからだろう?!頼むからせめて中にしてくれ…」
もう寝台とは言わないからせめて部屋の中がいいと言われたが、ここで引き下がるはずもない。
無理やり振り向かせながら口づけて、片足を持ち上げながら横から思い切り挿入してやると、クレイの好きなところに当たってあっという間に溺れていく。
「んあぁッ!あぁんっ!」
身悶えながら声を必死に抑え、それでも快感に抗えず腰を揺らして懇願するクレイに興奮してしまい、ズンズンと奥まで突き上げながら蹂躙してやる。
「あっ…あふっ…も、イク────ッ!!」
「くっ…ッ!」
搾り取られそうなほどギュッと強く締め付けられてたまらず奥まで思い切り吐き出してしまうが、クレイが放つどこまでも匂い立つような色香にまたすぐに立ち上がってしまう。
「あぁん…」
女顔負けのこの色香は本当にどこから出ているのか。
正直どこまでも魅了され、いつまででも愛でたくなる。
けれどここまで来るともう立っているのもやっとだろう。
仕方なく一度中から抜いて、そのまま抱き上げ寝室へと運んでやる。
しどけなく寝台に横たわるクレイの衣を剥いで赤い花を散らしながら更に追い詰めてやろうとすると身を起こそうとしてきたので、今日は好きにさせてくれと伝えた。
「今日は私に溺れるお前をずっと見ていたい」
「あ…ッ!今日は俺もしたかったのに…っ!」
どうやらここ最近ずっと襲われるばかりで自分からしてないから攻めたいと思ったらしい。
けれど今日ばかりは聞いてやれそうにない。
「悪いが今日はお前がプロポーズしてくれた特別な日だからな」
諦めてくれと言いながらどこまでも深く愛してやることにして、嬉々として襲いかかった。
「はぁ…ッ!んんんッ…」
嫌だと潤む目で僅かに抵抗されるが、初めての時に比べればそれくらい可愛いものだ。
「クレイ…今日は朝まで頑張れよ?」
「ひっ…!」
こうして『この絶倫!』と久し振りに睨みつけてきたクレイを堪能しながら、二人で甘く溺れあった。
***
二度クレイが意識を飛ばしたところで、まだ寝るのは早いぞとバックで貫きながら揺らしてやったのだが、かなり激しく達してしまったため意識が戻ってこない。
回復してやるべきかとは思ったがふと思い立って尻を叩いてやるとキュッと締め付けながら甘い声を出し、僅かに意識を浮上させてきた。
「あっ…んッ…」
どうやらこんな刺激でも感じてしまうらしい。
それを見て、痛みでも感じてくれるのならとふと例のアイテムの存在を思い出し、そこからハッと我に返ってふるふると首を振ってしまう。
一体いつの間に自分はそんな考えを抱くようになってしまったのだろうか?
この思考回路は危険極まりない。
そんな自分にヒュースがそっと声を掛けてきた。
【お使いになればよいではないですか。こうして溺れている時なら身構えていない分痛みも少ないでしょうし、その先には新しい気持ち良さがあるそうですよ?】
どうやら眷属達は示し合わせた上でアレをクレイに勧めたようで、特にお仕置きという観点からではなかったらしい。
【開発好きのロックウェル様と快楽好きのクレイ様を思って皆で調べて吟味して選びましたので、しまい込まれるよりもお使いいただけた方が嬉しゅうございます】
「…そうか」
確かにそんな風に言われると新しい扉を開くのもいいかもしれないと思えてくる。
お仕置きなら酷くして嫌われてしまうかもしれないが、こうやって溺れさせたところで少しずつ教え込んでいけば嫌われることもないだろう。
それは調教ではなく言ってみれば恋人達の営みに過ぎないように思えた。
はいどうぞとばかりに気を利かせてそれを隠し場所から持ってきて姿を消したヒュースに思わず苦笑してしまったが、一度クレイから身を離しそっとそれを手に取ってみた。
金属製の細長い棒にはよく見ると微細な凹凸が付いている。
丸い小さな玉が連ったようなソレの先は奥まで入り込みすぎないよう輪っかになっていて、抜き差ししやすいようデザインされていた。
けれど本当にこれを入れても大丈夫なものなのだろうか?
(まあ…物は試しか……)
こういう時自分が白魔道士で本当に良かったと思う。
もし何かあってもすぐに対処ができるからだ。
そしていざとなったら魔法で治してやればいいかと開き直り、クレイの雄を扱いて大きくし先走りが出たところで試しにゆっくりと鈴口から差し込んでみた。
「……?!やっ!何?!痛い……!!」
未だ完全に意識を戻していなかったクレイが突然襲い掛かったあり得ない場所への痛みに驚いて身をよじるが、そっと後ろから抱きしめながらあやしてやる。
「大丈夫だ。ほら。私が抱き締めていてやるから安心して力を抜いていろ」
「んんっ…はっ…ロックウェル…」
自分の言葉にホッと息を吐いて力を抜いたクレイにチュッチュッと口づけ意識を反らせてやりながらそのまま少しずつ奥へと挿入し、全部挿入し終えたところで安心させるように強く抱きしめてやった。
「全部入ったぞ」
「あっ…!ロックウェル…これ怖い…ッ」
痛いし何がどうなってるのかわからないから怖くて動けないとクレイが半泣きで訴えてくる。
けれど自分としてもこれの扱い方を思い出すので精一杯だ。
確かこっち側からも前立腺が刺激できるとかそういうアイテムだったはずだから、つまりはここから動かしてやらないといけない訳で────。
「クレイ…これは私も初めてだからゆっくり二人で覚えような」
「え?」
力加減がわからないが取りあえずゆっくりと少しだけ上下にソレを動かしてやるとクレイが悲鳴を上げながら身悶えた。
「ひっ!痛いのに動かさないで…!」
「そうだな。こっちはバージンだものな」
慣れるまでは痛いのだろうと思い、ゆっくりと慣らすように優しく動かし、深いところを掻き混ぜるように色々探ってやる。
「んやぁっ…!アッ!そこ怖いっ!」
そうしている内に何かに掠めたようで、声に快楽の声が混じったのを確かに感じた。
「ここか?」
「やっ…!何?ゾワゾワするッ!こんなの知らない…!あっ!そこそんなに責められたらッ…!んんっ…!」
どうやら気持ち良くなってきたらしい。
これで前と後ろから同時に前立腺を責めたらどんな嬌態を見せてくれるのだろう?
そう思うと試してみたくなるのも当然で、気付けば甘く声を掛けながら座位のバックでクレイを犯し、前と後ろを同時に責め立てていた。
「ひっ…!あぁああああぁッ!!イクッイックぅッ!!」
胸も同時に責めながら耳を甘噛みしてやると感極まってまた意識を飛ばしてしまうが、後ろの締め付けは増すばかりでたまらずまた奥へと注いでしまう。
そこからは何度か体位を変えながら色々探るように動かし、意識が浮上するたびに前後を責め立て嬌声を上げさせた。
「嫌…だ…!痛いのに気持ちいいッ!おかしくなっちゃう!」
「後ろより前の方が好きなのか?」
「はっ…はぁうッ!違ッ!ロックウェル…助けて…!腰、止まらないッ!」
荒く息を吐きながら何度も溺れ涙と涎でグチャグチャになりながら身悶えるクレイを思わず堪能してしまう。
「こんなのダメ…ぇ…!先まで全部感じちゃうぅ…!ひんんッ!」
「ダメじゃない。ほら。しっかりと全身で気持ちいいのを味わえ」
「ひゃぁうッ!やぁッ!全部良すぎてダメぇ!好きッ!好きぃッ!」
「可愛すぎるな。もっともっとこっちも極めような?クレイ」
「嫌ぁ…ッ!揺らさないでッ!ひっ…くふぅうう…ッ!」
(本当にたまらないな。もっと虐めてやりたい…)
快楽の海に突き落とされて溺れまくる姿は、ただただ自分の欲情を煽るばかりだ。
「も、限界…。抜いてぇ…ッ」
「大丈夫だ。ほら、回復してやるから安心して身を任せてもっと素直になれ」
「あぁんっ!そんなにしちゃ嫌ぁ!前も後ろもおかしくなっちゃうッ!」
「いくらでも好きなだけやってやるからな…」
「あっあっ…ロックウェル…!もっとぉ…!」
甘い声で強請りながらそっと抱きついてくるクレイが愛しすぎて、ついつい熱が入ってしまったのは仕方がないだろう。
そして明け方近くにやっとソレを抜いてやると止められないと言いながら白濁を吐き出しグッタリとしながらもクレイは腰を揺らしていた。
「あっあっ…ひゃらぁ…きもちい…。こんなの、も、むりぃ…」
奥にこれでもかと大量に注がれドライでイきまくっていたところで射精したのは相当気持ち良かったらしく、まさに昇天とも取れる幸せそうな顔でクレイはそのまま意識を手放してしまった。
どうやらいつもの射精管理とは全然違う良さがあったらしい。
ずるりと身を離すと中からトロリと自分が放った白濁が流れ出てくる。
よくもこれだけ注いだものだ。
けれどいくら注いでも注ぎ足りないほどにクレイに夢中な自分がいた。
時間が許すならもっと抱いていたかったがさすがに少しくらいは眠っておかなければ…。
そうしてクレイを抱きしめながら束の間の眠りへと一緒に落ちていく。
(最高だった…)
さすが優秀な眷属達が厳選したものだけのことはあるなと満足げに浸りながら────。
***
「この馬鹿ッ!いくらなんでも遣り過ぎだ!」
目を覚ましたクレイは開口一番そうやって真っ赤になりながら叫んだ。
「仕方がないだろう?お前が可愛すぎてつい時間を忘れて開発したくなったんだから」
「~~~~~っ!」
途中からうっかり回復魔法を忘れてしまうほど夢中になってしまっていた自分がいて、確かに少し配慮が足りなかったかもしれないと反省してしまう。
どうやらクレイは体が辛くて動けないようだった。
「うぅ…今日から予行練習的にイチャイチャしてみようと思っていたのに台無しだ…。もういい!当日だけにするから!」
涙目ですっかりへそを曲げてしまったクレイにさすがに申し訳ない気持ちになって、少し強めに回復魔法を掛けてやる。
「悪かった。そう怒るな」
これなら寝不足も解消できて動けるだろうと言ってやると、そっと身を起こして不服げにしながらもチュッと口づけてくれた。
どうやら許してくれるらしい。
「…仕事に支障をきたすようなことをするな」
「わかったわかった。私が悪かった」
とは言え婚約者の予行練習なら別に抱き上げてイチャイチャしてもいいとは思うのだが…。
「俺は女じゃないからそんなのは絶対にお断りだ」
それにそんな溺愛されるようにただ身を任せる黒魔道士がいたら見てみたい。絶対にあり得ないとまで言われ、それは確かにと思わず頷いてしまう。
相手を誘惑するのが基本的に黒魔道士なのだ。
さもありなん。
「言っておくが本当に俺が使うのはお前を元にしたものばかりだからな。絶対に笑うなよ?」
「笑うはずがないだろう?寧ろわかりやすくていい」
クレイの行動が読めればそれに合わせてこちらもイチャイチャしやすいというものだ。
いつもの様に翻弄される心配はないし、いっそやりやすいだろう。
「そう言えば当日お前が使う魔法がある程度分かっていた方がやりやすいとも思うんだが……」
答えてもらえるかどうかはわからないが、少しでも知っておきたいなと思いそう尋ねてみると、クレイはなんということもない様に答えてくれた。
「ああ。その日は例の開発した魔法を使おうと思って」
クレイ曰く、一応極薄の完璧な防御魔法を完成させることができたらしい。
「瞳の封印も解いて不備がないかも確認したら一部綻びがあったんだが、すぐに調整して完璧に仕上げておいた」
だから何の心配もないと自信をもってクレイは満足げに笑う。
「今回はこれと俺の魔力を込めた黒曜石を使って一時的にその日限定で王宮内にいる全員を守る形をとりたいと思っている」
その言葉には驚きしかない。
王宮内にいる全員とはまた大がかりだ。
「それは瞳の封印を解いて…ということか?」
相当の魔力を消耗するのではと思ってそう尋ねてみたが、あらかじめ封印を解いた状態の魔力を黒曜石に圧縮して挑むため、魔法の発動自体は封印した状態で十分可能ということだった。
「一日それを維持できるだけの魔力を封じるべきと考えると、ざっと石の数は20個程…。さすがに疲れるだろうがこれで何とかなるはずだ」
当日までにそれだけ用意しておくと言ったクレイだが、本当に大丈夫なのかと心配になってしまう。
「無理だけはするなよ?」
だからそう言ったのに、クレイは珍しくそっと甘えながらその言葉を紡いできた。
「多少無理をしてもお前がいれば大丈夫だろう?」
圧縮魔法を使うのに魔力が多少すり減っても回復してくれたら問題ないだろうと言ってくれるクレイに、つい面映ゆい気持ちが込み上げる。
これまでならこういう場合自分なら大丈夫だと突き放すように言っていたクレイが、まさか自分を頼ってくれるなんて思っても見なかった。
「俺はお前に負担を掛けたくないと思っていたが…お前は恋人に頼られるのが嬉しいみたいだしな。少しくらい歩み寄ってもいいかと思って…」
でもダメな時はダメだとちゃんとわかるように言ってほしいと言われ、そんなクレイに嬉しくて仕方がなくなってしまう。
「お前に頼られて嫌な事なんて何もない。寧ろどんどん頼ってほしい」
「……そう言うものか?」
「ああ」
自分の事も少しずつでいいからこうして理解してほしいと伝えてやると、考えておくと言ってそっと頬を染めた。
どうやら自分の事でいっぱいいっぱいだった気持ちが少し変わってきたようだ。
これもレイン家の問題が落ち着き、婚約に繋がった効果と呼べるのだろうか?
「お前とこんな風にいい関係が築けるなんて夢のようだ」
恋人同士としても、仕事仲間としても、パートナーとしてもっともっと分かり合える間柄になっていきたい。
「元々封印までは友人としていい関係だっただろう?」
けれどクレイはその辺りはよくわからないのかただそうやって口にしてくる。
「お前が一方的に俺に劣等感を抱いていただけで、俺はずっとお前に好意的だったんだから」
そう言いたくなる気持ちもわからないでもないが、あの頃と今は全く違うのだとどうしてわかってくれないのか…。
(まあいい)
時間はこれからいくらでもあるのだから、それこそいくらでも時間を掛けて少しずつ教えていってやればいい。
「お前と分かり合えて幸せだと言っているんだから、素直に喜んでくれればいいだろうに…」
「んっ…。それは…まぁそうかもしれないが…」
「アイリスには絶対に隙は見せるなよ?」
「はぁ…ッ。ファルも気をつけろと言っていたし、ちゃんと気をつけておく…。んんっ…」
合間合間に優しく口づけを落とすと素直に応えてくれるクレイが愛おしい。
「は…ぁ…。もう行くぞ…」
そう促されて、二人でさっとシャワーを浴びると仲良く執務室へと向かった。
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