黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第一部 アストラス編~王の落胤~

125.※二人に愛されて…

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「やっ…やっぱりロイドに先に……」

クレイは口淫をしてもらってから可愛がって欲しいと言おうとしたが、ロックウェルはそれに対してつれなく告げる。

「あいつは好きな時に勝手に乱入してくるから気にすることはない。ほら、クレイ?あんな奴の事は気にせずこちらに集中してくれ…」
「んああぁあッ!!」

ゆっくりと挿入されたロックウェルの楔が自分を体だけではなく心まで満たして、歓喜に震えた。
やはりロックウェルと繋がるのはたまらなく気持ちがいい。
先程まで抱いていた不安や焦燥感などがなりを潜め、代わりに幸福感が湧き上がる。

「ふぅっ!やぁッ!動いて…」

けれどいつもならそこからすぐに奥を突いてくれるのに、ロックウェルは何故か動いてはくれない。
だからつい強請るように腰を揺らしてしまった。

「あっあっ…早くちょうだい…」
「こうか?」

その言葉と共にズンッと奥を抉るように突かれて嬌声を上げる。

「あぁっ!イイッ!」

自分の体を知り尽くしたロックウェルが、いいところを何度も突き上げ満足させてくれる。

「はぁ…!あぁんっ!そこ好きぃッ!」
「お前は本当に奥が好きだな。こんなに吸いつくように私を締め付けて…相変わらず淫乱だ。そんなに挿れられるのが好きなのか?」
「はぁッ…ロックウェルが好き…なだけ…」

他の誰でもない。ロックウェルだから好きなのだ。
たった二日抱かれなかっただけなのに、心が飢えてロックウェルだけを強く求めてしまう。
もっともっと満たされたい。
もっともっとロックウェルを全身で感じさせてほしい。

「んんっ…いっぱい激しく愛して……」

潤む瞳でロックウェルを見つめると、満足げに笑みを向けられた。

「上出来だ」
「あぁっ!」

それと同時に、いつものように愛してくれるロックウェルにどんどん溺れていく。
もうロイドに見られているとか、シュバルツを起こしてしまうかもしれないとか、頭によぎらなくなるほど思考が溶かされて…気がつけば何度も熱を注がれ、嬌声しか上げられなくなっていた。

「あ、あぁんッ!そこ、好きッ好きッ!ロックウェル…もっと奥、沢山突き上げて擦って…ッ!」

そんな言葉を受けてロックウェルが喜悦の混じった声を耳元へと落とし、更に腰を振って責め立ててくる。

「見られながら強請るなんて…ドMになってきたな。クレイ?」
「んやぁあああッ!」

違うと言いたいのに、激しく犯されるたびに全身が快感に打ち震えてしまう。
気持ちよすぎて腰が止められない。
ロックウェルからの言葉に煽られてどこまでも頭が真っ白に快楽に染まっていく。

「あっ、あぁんっ!も、イクッイクッ…!」
「まだダメだ」
「やぁッ!ひんっ…くふぅ…ッ!」

前を押さえられて射精できなかったにも関わらず、慣らされた体は勝手にドライでイッてピクピクと身を震わせる。

「勝手にイくな。お仕置きまでされたいのか?」

そう言われ前を拘束魔法で封じられた。

「嫌ッ嫌ぁッ!」

熱くなった体が吐き口を求めて苦しいと叫びを上げる。
けれどロックウェルは構わず後ろを犯してクレイの好きな箇所を突き上げてきた。

「ひっひいぃっ!あはぁああぁっ!し、死んじゃうぅうッ!」

感じすぎて本当に死にそうだと思った。
気持ち良すぎてたまらなくて、逆に生きているのだと実感する始末だ。

「死ぬわけがないだろう?ほら、いくらでも回復してやる」
「うぅッ!ロックウェル…ロックウェルッ!」
「助けて欲しかったら私を満足させるんだな」
「酷いッ!ロックウェルの意地悪…!」

回復してもらって理性が働き、なけなしの虚勢で悪態を吐くがロックウェルはどこか嬉しそうだ。
けれどそれを見て自分もどこかで喜びを感じてしまう。
ロックウェルが自分を責め立ててくれているのがやはり幸せで仕方がなかった。

「好きなくせに…」
「あっあっ!んんっ!はっはぁうッ!」
「ああ。こっちの体位の方がお前を蹂躙するのに相応しかったな」
「あぁっ!それはダメぇッ!」

捩じるように下半身をひっくり返され、そのまま片足を上げた状態で奥まで突き上げられる。
その体位から最奥まで突かれると意識が飛びそうなほど気持ちが良くて、悲鳴を上げてしまった。

「やぁああぁッ!んぁっ…!イイッ!イイッ!」

ブルブルと体が震えてそのまま高みから下りられなくなる。
ドライでそのまま何度もイき続けているとロックウェルがやっと前を解放して、擦り上げてきた。

「あぁっ!気持ち良すぎて止められない!」

ビュクビュクッと白濁を吐き出し続けるさまが淫らで厭らしい。
感極まってそのままベッドへと身を沈ませ、ただただロックウェルから与えられる快楽に溺れ続ける。

「あっあっ…ロックウェル…」
「クレイ…可愛い」
「あ…」

ドプッと奥に放たれると共に与えられた口づけが気持ち良くて、更にうっとりとロックウェルに堕ちていく。
けれどそこでロイドが面白くなさそうに近づいてきた。


***


「なるほど。クレイを夢中にさせるだけのことはあるな。攻め方も的確だ。これならあの女を落とすなんて簡単だっただろう」

ロイドのその言葉にロックウェルの腕の中でクレイがビクリと身を震わせる。

「クレイ、勘違いするな。私はお前を傷つけたくて言ったわけじゃない。お前がこの男に溺れるのがよくわかると言いたかっただけだ」
「はぁ…ロイド……」
「とは言えあまり見せつけられるのも気に入らないからな。私にもお前を可愛がらせてくれ」

その言葉を口にしたところでクレイが恥ずかしそうにこちらを見つめてきた。
どうやら羞恥心が戻ってきたらしい。

「あ……」
「すぐにもっともっと気持ち良くしてやる」

それと同時に先程出したもので汚れた男根へと舌を這わせ綺麗に舐めとっていくと、クレイはふるりと身を震わせた。

「お前が教えてくれたようにちゃんと可愛がってやるから……」

そう言ってクレイの物を愛撫すると、クレイが聞いたことのないほど甘い声で自分の名を呼んだ。

「あぁ…ッ!ロイド!」

その声に思わず背がゾクリと震えてしまう。

(もっと聞きたい……)

ロックウェルの名よりも自分の名を呼んでほしい。
そんな欲求が込み上げてきて、自分を止めることができなかった。

「クレイ…傷ついたお前をロックウェルと一緒にちゃんと慰めてやるから安心しろ」

罰ゲームなど口実に過ぎない。
こんなに乱れたクレイを前に興奮するなと言う方がおかしい。
ロックウェルの言質を盾に、今日は心ゆくまでクレイを癒しながら堪能してやると昏い笑みを浮かべロイドはバサリと上の服を脱いだ。

「折角許可が下りたことだし、私も本気を見せてやるとしよう」

そんな自分にロックウェルがやれるものならやってみろとばかりに不敵に笑う。

「口淫だけでどこまで満足させてやれるのか…楽しみだな」

そんな言葉にロイドはまあ見ていろと笑いながらそっとクレイのものを口へと含んだ。


***


「あっ!熱いぃ…!身体が溶けるぅ……!」

ロイドの舌が自身を這いまわり、かと思えば吸い上げられてたまらず腰を揺らしてしまう。

「んんっ!ロイドッ…!そんなにされたらまたイッちゃう!気持ちいいッ!」
「はぁ…クレイ…。お前のそんな乱れる姿が見れて嬉しい。空になるまで何度でもイかせてやるからな」

これが単に快感を引き出すだけの口淫だったならきっとこんな風にはならなかっただろう。
罰ゲームなんだからさっさと終わって出ていけと言ってやれた。
けれどロイドの口淫はどこまでも慈しむように優しくて、強く激しくしつつも愛情が感じられるものだったのだ。
そこには優しさが感じられてたまらない気持ちになった。

「ロイド…待って…ッ!んんんっ…」

そうやって翻弄されていると、後ろからロックウェルがそっと優しく抱きしめながら嫉妬交じりの言葉を紡いでくる。

「妬けるな、クレイ。後ろでも沢山イこうな」
「ひっ…!ロックウェルッ!そこ、ダメェ!」
「ダメじゃないだろう?ここはお前の大好きなところだ。二人を相手にこんなに喜んで…本当に淫乱だな」
「ちがっ…違うぅ…!」

ロックウェルの突き上げも自分の好きな場所を一番悦ぶ強さで与えてくれて、最高に気持ちが良かった。

「二人から愛されてお前は幸せ者だ」
「ああっ…やぁッ…!」

そんな二人から与えられる甘美に、クレイはただただなすすべなく溺れ続けるしかない。

「はぁあッ!止まらないッ!こんなの知らないィ!あっあっ…前も後ろもそんなに責めないでッ!ひあぁああッ!」
「ふっ…すごい締め付けだな。そんなにいいのか?」
「イイッ!イイッ…!んぁあああぁっ!」




それから何度かロックウェルが回復魔法を掛けたが、クレイはその度に気を遣り続けた。

「クレイ…見事に溺れてるな」

何度も責められ意識を飛ばし、最早喘ぎしか出せないクレイにロイドが妖しく笑う。
一度動きを止めたロックウェルが軽く揺らしてやると、その口からはまた甘い声が上がった。

「あ…あぁん……」
「なるほど。男同士というのもなかなか奥が深いものだ」

まさかあのクレイがここまで溺れるとは思っても見なかったとロイドは口にするが、そんな言葉にロックウェルはクッと笑ってやる。

「実に黒魔道士らしい意見だな。勉強になったならさっさとクレイを諦めて今度そこのシュバルツでも抱いてやったらどうだ?」
「…まあクレイと寝る前の練習台にはいいかもしれないな。心に留めておいてやろう」

そんな言葉にロックウェルはギュッとクレイを抱きしめ 、誰にもやる気はないと主張した。

「こんなに可愛いクレイをお前にやる気はないな。いい加減諦めろ」
「諦めるはずがないだろう?それよりも後学のために最後まで見せてくれないのか?」
「…お前はもういいのか?」
「別に構わない。クレイは私の口淫でさっき散々イかせてやったしな」

クレイの閨はもうわかったと言って満足気に笑うロイドに、ロックウェルはわかってないなと暗く笑ってやる。

「クレイがこんな風にただ溺れるだけなら私がこんなに夢中になるはずがない。スイッチが入った時の攻めるクレイも最高だとお前には教えておいてやろう」
「ほう?」

そう言うことなら賭けないかとロイドが楽し気に笑いながら提案してくる。

「今日このままクレイが沈んだら私の勝ち。スイッチとやらが入ったらお前の勝ちだ」
「……別にいいが、何を賭ける気だ?」
「そうだな。負けたら私が暫くクレイに近づかない…でどうだ?」
「一生近づくなと言ってやりたいが?」
「ふっ…それは断る」

精々ひと月が限度だと言ってくるロイドにロックウェルは暫し考えてOKを出した。

「いいだろう。ひと月だな?」
「ああ」

そうやって話をつけたところでロックウェルはクレイへと少し強めに回復魔法を掛けてやる。

「クレイ…大丈夫か?」
「ん…あ…ロックウェル?」
「ああ」
「んんっ…も、疲れた。頼むから終わってくれ……」

流石にしんどいと言うクレイにロイドがそっと笑みをこぼす。
どうやら自分の勝ちだと確信してしまったようだ。
けれど────。

「そうか…私はロイドに取られた分まだ満足できてなかったんだが…そう言うことならまた明日に持ち越しだな」

ロックウェルのそんな言葉にクレイが驚きに目を見開いた。

「え?」
「気にするな。今日はもう寝よう」

そう言ったロックウェルにクレイの表情が一変する。

「ロックウェル…そう言うことならちゃんと言ってくれないとダメだ!」
「…お前は疲れているんだろう?無理はしなくていいぞ?」
「お前が回復魔法を掛けてくれたから後一回くらい大丈夫だ。俺がちゃんと満足させてやる」
「それは楽しみだな」
「ロイド、お前は先に向こうで寝ていろ。俺はロックウェルを満足させてから寝るから」

そんな言葉と共にクレイが上に乗り艶やかに笑う。
これだからクレイは面白い。
ただただ溺れるクレイも可愛くて大好きだが、攻めるクレイを可愛がるのも大好きなのだ。

「ああ…そんな顔もそそられるな」
「お前のドSな表情には負ける……」

そう言いながらもクレイは嬉しそうに笑い、ゆっくりと腰を落としてキュッと絶妙な締め上げ方で自身を可愛がり始めた。
蠱惑的に笑いながら腰をくねらせ、リズミカルに腰を落としてくる姿は本当に目の保養だ。

「うっ…クレイ…」
「はぁっ…お前のその顔も好きだ……」

そう言いながらクレイが甘く口づけ、魔力を送ってくる。

「んっんっ…。ロックウェル…そろそろ激しくしてもいいか?」

クレイがたまらないと言わんばかりに情欲の滲んだ眼差しを向けて許可を求めてきたので、もちろんだと許可してやった。

「ああ。一緒に気持ち良くなろう」

その言葉を合図にクレイが激しく乱れ始める。

「はっあぁっ…!あっあっ、気持ちいいッ!」

ロックウェルも下から思い切り突き上げクレイを激しく揺さぶりながらロイドへと見せつけてやった。

「クレイ…最高だな」
「あっあっ…ロックウェル…!んっんんっ!奥気持ちいいッ!」

そんな二人にずっと見ていたロイドがそっと一言口を挟んできた。

「ロックウェル…そのまま前立腺も触ってやったらどうだ?どうせならもっとクレイを喜ばせてやればいい」

男はそこが感じると聞いたとロイドが言い、それを受けてクレイが「えっ?」と目を瞠ったが、ロックウェルは暫し考えて短く答えた。

「ああ…言いたいことはわかるが、今回はパスだな。ローションがないと無理だ」

ぎっしりと入った自身との間に指を入れるのはさすがに難しい。
潤滑剤がないとクレイを傷つけてしまうだろう。
そう思って言ったのだが、ロイドは思いがけない言葉を口にした。

「媚薬入りローションだが、使うか?」
「ちょっと待てロイド!どうしてそんなもの…!」

クレイが我に返って思わず声を上げたが、眷属が勝手に持ってきたんだとロイドはこれっぽっちも悪気無く言い切った。

「他意はないし、使うも使わないもそこのロックウェル次第だ」

そんな風に微笑を浮かべるロイドにロックウェルは暫し考える。
ロイドがクレイと一緒に楽しもうと思っていたのは明白だが、媚薬をクレイに試してみたい好奇心があるのも確かだったからだ。
新しいクレイの顔を見られるかもしれないし、この際ロイドの口車に乗ってもいいような気がして思わず頷いてしまった。

「癪だが…少し借りてやるとしよう」
「ロックウェル?!」

驚くクレイを無視してその半透明の液体を少し指に取り、ゆっくりと中へと押し込んでいく。




「あっ!ひあぁッ!」

クレイは繋がっているところに指を入れられるのも初めてなら、前立腺をこんな風に押されたのも初めてだった。
そのままグリグリと媚薬を塗り込まれ体が徐々に火照り出す。

「ひっ…ひぅ…」

ギュギュッとロックウェル自身を締め上げ、自然と腰が揺らめき止まらなくなる。

「やっ…やはぁッ!グリグリだめッ!」
「ああ…また零れ出したな」
「ひっ…ひやぁあああッ!」

奥を突かれ前立腺も押されるとたまらなく気持ち良くて、前後不覚になるほど腰を振りまくってしまう。
そんなクレイを堪能し、ロイドが迷わずまた口淫を施し始めた。




「何だ結局お前も参加するのか?」

ロックウェルが不満げにそう尋ねると、ロイドはそのつもりでローションを渡したに決まっていると言い出した。

「可愛いクレイをお前にばかり独り占めさせる気はない」

勝負はロックウェルの勝ちだが、その分クレイを可愛がらせてほしいとロイドはジュルジュルと音を立てながら口でクレイを飲みこんでいく。

「嫌だぁあッ!体が熱いッ!感じちゃうぅ…!ひっ…イク────ッ!!」

ドプッと出したクレイの精液を飲みこみまたロイドが責め立てる。

「あぁっあぁっ…!助けてッ前も後ろもそんなに責められたらダメッ!ダメッ!ん────ッ!!」
「またグチャグチャだなクレイ…」
「あっあっ!熱い…ロックウェル、助けてッ!」
「好きに犯していいのか?」
「うぅ…ドS…。違ッ……、解毒魔法掛けて欲し……。あぁッ!ひっ、はぁう…!」
「できればもう少しお前を可愛がってからにしたいんだが?」
「んんんッ!はぁっ…それなら一番感じる体位で奥をメチャクチャにされたいッ!」
「そうか。だがお前が感じつつ口淫も出来る体位は限られるぞ?」

どこまでも意地悪く言ってやると、ギッと涙目で睨まれもういいと怒ったように口にした。

「はぁ…ロイド…うっ…ちょっと離れて…くれ……」

ズルッと身を離しつつロイドにも離れるように言って、クレイは二人から距離を取ると荒い息を整えてベッドの縁へと腰かける。

「ロックウェル…も、あれがいい……」
「それだと口淫がしてもらえないぞ?」
「ロイドは散々したしもういいだろう?俺は今あれがいい!」

疲れているし、解毒してもらえないなら一息に互いに満足して寝たいのだとクレイは叫ぶように言い切った。
そんなクレイにロイドが「ふはっ!」と珍しく吹き出し、次いでククッと意地悪く笑う。

「元気が出てきたな。クレイ」
「お前達が二人掛かりで好き勝手に襲うからだろう?大人しくしてたら感じすぎて死ぬ!」
「愛されすぎて溺れるの間違いじゃないのか?」
「煩い!お前のせいで体が熱いんだ…!ロックウェルじゃないと鎮められないんだから下がっていろ!」

ただでさえもう体が辛くてふらふらなんだからと言ったクレイにそれはそうだなとロイドは大人しく引き下がった。

「じゃあ後は添い寝だけしてくれるなら引いてやろう」
「…わかった」

そんな風に折り合いをつけた二人を見て、ロックウェルはため息を吐く。
この辺りのロイドの心境は今一よくわからない。
クレイを好きなくせに最後の最後にちゃんと自分に譲ってくれるのだ。
聞き分けが良すぎる。

そんな自分に気づき、ロイドがクスリと笑った。

「何だロックウェル。不思議そうだな?」
「いや…」
「私がクレイに嫌われるようなことをここでするはずがないだろう?」

そんな風に笑ったロイドに、クレイがそうだぞと言ってくる。

「こいつはこういう奴だ」

そんな二人の間にある信頼感にまたジワリと嫉妬心が煽られてしまった。

「随分仲が良いな?」
「別に黒魔道士の引き際をわかりあっているだけで、他意はない」
「そうだぞ?黒魔道士は白魔道士と違ってあっさりしてるからな。そもそも長々としつこい閨は好まないし、今日はこのくらいで十分だ」

すでに長々としてしまったからタイミング的には悪くないと二人はなんでもないことのように口にする。

「それよりロックウェル…早くッ…。も、待てない…から…。ちょうだい…っ」

クレイが早く満足させてほしいと言ってくるが、ロイドが楽しげに一言挟んだせいでまた嫉妬が煽られてしまった。

「クッ…。クレイ、強請るのが上手いな。ロックウェルがこのまま焦らしてしてくれないなら私が代わりに挿れてやるから遠慮なく言ってこい」
「お前には抱かれてやらないと言っているだろう?」
「勿論だ。それならお前が抱く側でいいとも言っただろう?」
「うぅ…もうこの際何でもいい…身体が熱いから早く鎮めたい……」

熱に浮かされたように色香を纏った眼差しでロイドを見ながらそんな言葉を紡いだクレイに、ロックウェルの我慢も限界に達した。
こんな視線で誘われて心揺れない男などいないだろう。
ロイドなどに譲る気は一切ない。

「クレイ…覚悟しろ…!」
「え?んあぁあああっ!!」

一息に貫かれてクレイが一気に半分意識を飛ばすがそんなことはもうどうでもよかった。

「お前は本当に私の嫉妬を煽るのが上手いな?大人しくロイドと寝かせてやるはずがないだろう?」
「んやぁッ!あぅ!…嵌ってる…のにっ!そこはそんなにしちゃダメッ!!ひっ…!ひゃあぁああっ!!」
「今すぐ体の熱を鎮めてやる…っ!好きなだけ乱れてしまえ」
「あっ…あはぁああぁっ!!」

身体をガクガクと震わせ快楽の境地で敷き布を握りしめるクレイをそのまま蹂躙してやると、そのまま潮を吹きながら完全に落ちてしまった。
そんなクレイの奥へと嫉妬のこもった欲をドクドクと吐き出し荒く息を吐く。
そんな自分達にロイドが本当にあっという間だったなと驚きに目を瞠った。

「…クレイはこの体位が一番弱いんだ」

媚薬の効果と合わせてすぐに落ちたのだろう。
そう言ってすぐさま解毒魔法と回復魔法を唱えてそっとそのまま抱き上げた。

「もうこのままシャワーに行ってくるからお前はあちらのシャワーを勝手に浴びて先に寝ろ」
「ふっ。まあシャワーは借りるが、今日はクレイと添い寝の約束もしたしな。寝るのはクレイの隣だ」
「~~~~~っ!!覚えていろ!」

どこまでも腹立たしいロイドに背を向けてそのままシャワーへと向かう。
本当に油断も隙もないとはこのことだ。

そんな自分達をロイドが切なく見つめていることには気づかぬまま、ロックウェルはバスルームの扉を閉めた。


***


「はぁ…」

すっかり汚れたシーツを使い魔に替えさせて一息つきながら、ロイドはゆっくりとシャワーへと向かう。

(クレイは…やっぱり諦めきれないな……)

可愛い声で自分の名を呼ぶクレイが愛しくて仕方がなかった。
ロックウェルに愛されているクレイを見て、自分がこうして今すぐ抱いてやりたいと強く思った。
肌と肌が重なったところから喜びが湧き上がって、できるなら自分がこの肌に赤い花を散らせたいと願った。
ただただ溺れるクレイも、後からロックウェルを攻めるクレイもどんなクレイも好きで好きでたまらない自分がいた。

どうしてクレイの相手は自分ではないのだろう?
諦めろと何度言われようとどうしても諦められない。

「クレイ……」

ロックウェルの前では虚勢を張るが、胸は切ないと訴えてくる。
クレイの隙を狙っていくら攻めてもクレイの心は動かない。
それがわかっているから悔しくて、ロックウェルの嫉妬を煽るような行動ばかりしてしまう。

「ロックウェルは馬鹿だな…」

クレイがあんなに愛してくれているのにちっともそのことをわかっていない。
だからこそ奪ってやりたい────そう思うのだ。
恐らくこの想いはクレイと寝たとしても消えることはない。
例え自分と寝たとしても、クレイの気持ちはロックウェルから動くことはないのだから────。

「クレイ…」

切ない想いは募るばかりで…ロイドはシャワーを浴びながらそっとクレイを想ったのだった。



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