黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第一部 アストラス編~王の落胤~

122.※取り戻した時間

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三日ぶりのクレイの身体を前に思わず舌なめずりをしたくなる。
どうしてこんな存在を忘れていられたのか…自分で自分が信じられない。

ロイドにつけられたキスマークを上書きしながら肌へと手を彷徨わせクレイの衣服を剥いでいく。
吸い付くように手に馴染む肌。
自分が教え込んだとおりに反応を返す姿態。
好きだと全力で伝えてくれるその瞳に酔わされる────。
その全てで自分好みに自分を楽しませてくれるのがクレイだというのに……。

「あっ…ロックウェル…」

頬を染めながら可愛い声で囀るクレイを堪能し、クレイが感じる場所に次々と赤い花を散らせていく。
強く吸い上げるとピクピクと身を震わせるクレイが可愛くて仕方がない。

「あ…早く触って……」

後ろも可愛がって欲しいと強請ってくるクレイに微笑みながらまだだとただただ焦らす。

「そこはお前が感じる場所全てに口づけてからだ…」
「や…やだ…。早く…っ!ああッ!」

内腿にも次々口づけを落とし、一際感じる箇所を吸い上げるとクレイが甘い声で啼いた。

「あぁっ…あっ…やぁ…!」

久しぶりの愛撫に余程敏感になっているのか、クレイの雄がピクピクと先走りを溢し始める。
そんな美味しそうなクレイを迷わず口へと含み可愛がり始めた。

「あぁっ!あっあっあっ…!ロックウェル!そんなにしないで…!あ────ッ!!」

ビクビクと身を震わせ溜まっていた欲を吐き出したクレイが、情欲を滲ませながら自分を見つめてくる。
その姿は他の誰よりも扇情的で、今すぐにでも犯したい気持ちでいっぱいになってしまう。

「はッ…はぁっ…」

けれど荒く息を吐くクレイにそっと口づけながら、あやすように今度はうつ伏せへと返してやった。

「ほら。背中がまだだろう?」
「あっあっあっ…。はぁん…ッ!」

敏感になってよりわかりやすくなったクレイにまた花を咲かせていく。

「ああっ!嬉しい…!」

そんな言葉に胸が躍る。

「はぁッ…ロックウェル…ロックウェル…」

そんな切ない声が耳を擽って、もっともっと可愛がりたい気持ちが増していく。

「んぁッ…!」

全ての箇所に赤い花を咲かせ終わった時にはクレイは全身が性感帯になったのではないかと言うほどにピクピクと身を震わせ、早くと言わんばかりに腰を突き出しながら物欲しそうに自分を誘うように見つめていた。

「あ…ロックウェル……」

口に指を入れ耐える姿が何とも色っぽい。

「お前は本当に男を誘うのが上手いな」

こんな風に誘ってくるなんて…断れる男がいたら見てみたいものだ。

「すぐに可愛がってやるからな」

そんな言葉と共に後ろの蕾へと舌を這わせ、ゆっくりと指と舌でそこをほぐしていく。

「やぁ…!も、挿れて…!」
「まだだ」

グチュグチュと淫猥な音を立てながらそこをほぐしていると、クレイが啼きながら達してしまった。

「んああぁっ!」
「クレイ…さっきイかせてやったばかりだろう?」
「ひぁ…ッ!だって…っ!あぁんっ…!」

どこまでも敏感に育てられた体が前立腺を擦る度に跳ね上がる。

「ロ…ロックウェル……早く……」

涙で潤む瞳を向けながら早く欲しいと懇願してくるクレイに欲情が煽られ、我知らずゾクリと背が震えてしまった。

優しくなんてしなくてもいい。
ただ本当に戻ってきてくれたのだと実感したい。
自分を感じたいのだとクレイがその目で訴えてくる。

そんな姿に煽られて、思わずゴクリと喉が鳴る。
早くこの体を味わいたい。
そんな気持ちがわき出てくる。
気がつけばクレイの蕾を割り開き、ゆっくりと身を沈めている自分がいた。

「ん…ッあぁああぁ!」

感極まったように嬌声を上げ、クレイが身を震わせながら懸命に敷き布を握りしめる。
それはまるで全身で喜んでくれているように感じて、思わず胸が詰まった。

「はっ…うぅ…ッ!」
「クレイ…大丈夫か?」
「あ…ロックウェル…ずっと待ってた……」

そんな言葉と共にクレイがポロリと涙をこぼしながら見つめてくる。

「お前だけが欲しくて…ずっと待ってた……ッ!」

そんな言葉を吐かれてどうして喜ばずにいられるだろう?

「あぁッ!大き…ッ!おっきぃ…!」
「お前が喜ばせるからだろう?」
「あっあっ…!そんなにしちゃダメッ!んふぅ…ッ!あぁあッ!」
「クレイ…クレイ…ッ!」

奥を突き上げるとあっという間に絶頂へと達し身を震わせたが、それでも腰は止まらなくて更にクレイを追い込んでいく。

「あっあぁあぁあッ!」

背をそらし逃げようとする体を抱き起こしながら責め立て、クレイの弱い体位へと変えてやると嬌声を発しながら意識を飛ばしてしまう。
それでも後孔はヒクヒクと収縮し、まるで搾り取ろうとでもするかのように自分を離そうとはしない。

「そんなに欲しいなら好きなだけ注いでやる」

パンパンと勢いよく腰を打ち付け促されるままにクレイの奥へと白濁を注ぎ込む。

「あ、は…ッ!熱いぃいッ!」

激しく揺さぶられてクレイの意識が戻ってくるが、快楽に溺れて腰を激しく揺らし出す。

「あっ…!嫌ッ!嫌ッ!いっぱい欲しくて腰が止まらないッ!」
「ふっ…大丈夫だ。すぐに満足させてやる」
「あ、ひぁああぁっ!ひっ…!ダメッ!あああッ!」

そのまま感極まったクレイを背中から抱きしめまた奥へと注ぐ。

「あ…ロックウェル…ッ」
「なんだ?」
「はぁッ…!キス…して…ッ」

そんな言葉にそっと唇を重ねてやるとクレイが幸せそうに笑ってくれた。

「も、今日死んでもいいくらい幸せ…」
「…それは困るな」

クレイの味わった絶望からの幸福感がその台詞を言わせたのだろうが、そんな言葉は今聞きたくはなかった。

「私はまだまだこれからもずっとお前と一緒に幸せな日々を過ごしたいんだからな。死なれては困る」

そう言って回復魔法を唱えてやりながら体位を変えて、向き合うようにして抱きしめる。

「クレイ…心配させて悪かった……」
「ロックウェル…」

泣きながらギュッと抱きついてきたクレイと暫し幸せの余韻に浸りながら、そのまま口づけを交わし合い謝罪の言葉を紡ぐ。

「不安にさせて悪かった」
「ん……」

「沢山傷つけて悪かった」
「はぁ……ッ」

「ロイドに隙を与えたのも私のせいだ」
「んんっ…。え?」

不思議そうにするクレイにそっと微笑みながら優しく口づけを落とし、あやすように頭を撫でた。

「後は私に任せておけばいい」

苦労をかけた分、後始末は自分の仕事だ。
幸い第一部隊の者達もショーンも事情は把握してくれている。
これならトルテッティ側への対応もロイドへの対応も自分が引き受けて大丈夫だろう。
これ以上クレイの手を煩わせる必要はない。

「ほら。皆に礼を言いに行く前にもう一度お前を愛させてくれ」

ピタリと寄り添うクレイの耳元にそっと囁きを落として、幸せそうに乱れていくクレイを堪能しながら安心させるように何度も愛してると甘く囁いた────。


***


ドロドロに溶けきったクレイをシャワーへと連れて行き中まで綺麗に洗ってやると、自分も洗いたいと言ってきたのでそのまままた回復魔法をかけてやった。

「ロックウェル…」
「どうした?」
「夢じゃ…ないよな?」

まだ不安そうなクレイに、夢じゃないと言いながら安心させるように包み込む。

「お前はあんなに激しく愛してやったのに、信じられないのか?」
「いや…幸せすぎるから…これが夢だったら、目が覚めた途端心が壊れそうな気がして…」

そう言ってまた涙を滲ませたクレイに申し訳なさばかりが込み上げて、たまらない気持ちになった。
本当にトルテッティの連中には憤りしか感じない。

「大丈夫だ。お前が落ち着くまでいくらでも傍に居るから…」

そしてそっとまた心が安定するよう呪文を唱えた。

「好きなだけ甘えてくれ…」
「ん……」

不安に揺れるクレイを癒してやるのも自分の役割だ。
もう誰にも譲る気はない。



それから服を着て、ゆっくりと二人でお茶を飲みながら現在の状況を共有しあった。
それによると、アベルもフローリアも茫然自失状態だという。

「王には二人の魔力を剥奪したと既に伝えておいた」
「そうか」

そう言うことなら恐らくそちらは国王同士の話し合いで決着がつくことだろう。
クレイは正式な王子ではないとは言え王の実子だ。
言うなれば双方の王子同士の争い。
トルテッティ側も自分達から仕掛けた手前大きくは出られないだろう。
何らかの誠意と共に魔力を戻してもらおうと動くはずだ。
後はロイドの方だが……。

「そう言えば、今夜は祝勝会だとロイドが言っていたから、後で皆俺の部屋に集まるはずだ」
思い出したと言って、礼ならそこでまとめて伝えようとクレイが提案してくる。

「ショーンも多分呼んだら来てくれると思うし、第一部隊の連中も良かったら一緒に…」
「ああ、それはいいかもしれないな」
その方がロイドも下手に動けなくていいかもしれない。

「じゃあこの後皆に伝えてくるから、お前はここで……」
休んでいろと言おうとしたところで思い切り袖を掴まれた。

「あ、いやっ!なんでもない!」
すぐにパッと手を離して来たが、クレイのその表情は暗く沈んでしまっていた。
そんなクレイにはぁ…と息を吐き、そのままヒョイッと抱き上げる。

「ちょっ…!ロックウェル?!」

けれど驚いて降ろせと騒ぐクレイに思わず顔を顰めてしまった。
どう考えても軽くなっている。

「クレイ…またちゃんと食べなかっただろう?」
「え?」
「軽すぎるぞ?」
「…そんなことは」
「ないとでも?」
「う…っ」

どうやら心労から食事も喉を通らなかったようだ。
流石にこれには責任を感じてしまう。

「まあいい。今日からは毎食私が監視するから覚悟しておけ」
「ええっ?!」
「食べなかったら口移しだ」
「ま、待て!食べる!ちゃんと食べるから!取り敢えず降ろしてくれ!」
「いいからお前は黙って私に抱かれていればいい」
「~~~~ッ!恥ずかしい言い方をするな!」
「ロイドにはそんなセリフの数々を散々許していたくせに私には許さない気か?」
「なっ…!そんなことはッ!」
「いいから行くぞ」

真っ赤になって一気に大人しくなったクレイに満足気に微笑んでそのまま広間の方へと足を向けた。
時間を見ると後小一時間ほどで交流会も終わりそうだから丁度いい時間帯だろう。




広間へとたどり着くとちょうどそこには第一部隊の面々が顔を揃えていた。

「あ、ロックウェル様!」

すぐにこちらへと気づいたシリィが声を上げるが、抱き上げられて真っ赤になっているクレイと自分を見比べて、すぐに降ろしてやれと言われてしまう。

「もうっ!恥ずかしがっているじゃありませんか!」
「そんなことはない。離れたくないと言うからこうしてくっついていただけだ」
「言ってない!言ってないぞ?!」
「ほら。こう言っているじゃありませんか。クレイはお昼もどうせ食べていないんでしょう?食べやすいのをこっちのテーブルに用意しておいたからちゃんとロックウェル様と一緒に食べてね?」
「シリィ…」
優しく微笑むシリィにクレイが感動したとばかりに視線を向ける。
「ありがとう」
「どういたしまして」
そしてさっさとクレイを降ろしてやれと再度促され、クレイと共にテーブルに着かされた。
とは言え折角の好意だ。無駄にすることもないだろう。
「では有難くいただくとしようか」
「ああ…」
そして暫く様子を見ているとゆっくりと食べ始めたのでホッと安堵し自分も一緒に食事を摂った。




「ロックウェル」
「ショーン。どうした?」

食事を半ば片づけたところでショーンが書類を手にやってきて、トルテッティの代表がクレイに話があるのだと言ってきた。
断ってもいいが無碍にはできないからどうすると尋ねられ、暫し思案する。
けれどそんな自分にクレイが別に構わないと告げた。

「あちらにも物申したいことは当然あるだろう。連れてこい」

文句くらいは聞いてやると言ったクレイにショーンが事情だけは話しておいたからと言って、件の相手を呼びに行く。
そこに現れたのは初日にクレイと話をしていたグスターと言う年嵩の男だった。




グスターがこちらへと深々と頭を下げ、重々しく口を開く。

「クレイ様。この度は王族とは言え我が国の者が大変ご無礼を致しまして申し訳ございません。初日のシュバルツ様の発言で察しておくべきところを見過ごしていた私の不手際でございます」

その言葉にクレイがどういうことかと思考を巡らせるが、相手の説明の方が早かった。

「シュバルツ様は瞳の封印を解いた貴方と魔力交流がしたいと仰っておられたでしょう?それは即ち貴公が事情があって魔力を封印していると言うことにございます。それを知った上でのあの挑発行為。その後何か起こると私が察してしかるべきだったと反省いたしております」

「ああ…なるほど」

その言葉にクレイもグスターの言いたかったことを察する。
こちらが隠された王の子だと察してしかるべきだった。それ故に責任は全て自分が取ると言うことなのだろう。
けれど悪いのはグスターではなくアベル達なのだ。
例え王族とは言えやっていいことと悪いことがある。
今回の件は言ってみれば彼らの自業自得。なんら同情の余地はない。

「申し訳ないが責任は貴殿ではなくアベル達にある。俺は謝られても今回の件に関しては一切許す気はない」
「アベル様達の魔力をお返しいただくことはどうあってもできないと?」
「言っておくが俺がアベルにこんな仕打ちをされたのはこれで二度目だ。前回は無理やり媚薬を盛られた上で襲われそうになったし、今回は恋人の記憶を奪われた上に寝取られて傷つけられた。これ以上俺にどう妥協しろと?」

そんな言葉にグスターは蒼白になりブルブルと震え始めた。
そしてこれは交渉の余地なしと思ったのだろう。
次の瞬間土下座し地に額を擦りつける。

「申し訳ございません!!」
「…………」
「お怒りはごもっともでございます!!」
「…………」
「なにとぞ…なにとぞお許しください!」

そんな姿にクレイは冷めた目を向けるだけだ。
かつてこれほど冷たいクレイを見たことはないとその場にいる誰もが思った。
いつもならこの辺でため息を吐いて妥協案を口にするだろうところだが、クレイは一切許さないの一点張りだ。

「アベル達は暫くここに滞在すると最初に王に申し出ていたが、交流会が終わったらすぐに連れ帰るんだな」

滞在しようとどうしようと自分の気が変わることはないと冷たく言い放ったクレイにグスターは慌てて顔を上げる。

「クレイ様!それはあんまりでございます!」

魔力を失った二人を連れ帰ってもどうしようもない。
あれでは将来王位を継ぐことができないではないかとグスターが言うが、クレイはフッと笑ってシュバルツがいるだろう?とつれなく言った。

「シュバルツも王族だと聞いている。今回の件で魔力はかなり上げてやった。王位を継いでも何の問題もないだろう」

そんな言葉にグスターは大きく目を見開く。

「魔力を…?」
「ああ。俺とロイドであいつの魔力をフローリアよりも上げてやった。シュバルツはまだまだ若いし、これからもっともっと伸びるだろう。お前達がサポートすれば性格の悪いアベルよりも良い王になること間違いなしだ」
「そ…それは…」
「俺の意見は変わらない。大人しく国に帰るんだな」

話は以上だと言って背を向けたクレイにグスターは力なく項垂れ、暫く考えさせてほしいと言って下がっていった。



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