黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第一部 アストラス編~王の落胤~

108.魔道士交流会開幕

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魔道士交流会当日、クレイは用意された正装を着てハインツの隣へと控えていた。
一緒にいるハインツはとても嬉しそうだ。

「クレイ!今日はどんな話が聞けるかな?」

大広間の方にはすでに大勢の魔道士達が集まっている。
ソレーユからはロイドを始めとする王宮に仕える白黒合わせた魔道士が約50名、トルテッティからは白魔道士70名、アストラスからは各部隊長であるコーネリアとリーネ及び副長、それと第一部隊のほぼ全員が参加していた。
誰と話してもハインツにとっては良い経験になることだろう。

「気になる者がいれば積極的に自分から話しかけてみるといい。トルテッティは白魔道士国家だからアストラスではなかなか見られない珍しい術ももしかしたら教えてもらえるかもしれないし、ソレーユも面白い魔道士がいるかもしれないぞ?どちらの国にも研究を主にしている者や、実戦で技を磨いてきた者がいるだろう。そういった者達と話すと、魔法に対する考え方や関わり方にも色々あるというのがよくわかるはずだ」
そんな言葉にたちまちハインツの目が輝き出す。

「へぇ…すごく色々勉強になりそう」
「そうだな。そうやって自主的に学んでいくのが一番いい。教育係もあと二回くらいでおしまいだ。聞きたいことや知りたいことがあれば早めに言っておけよ?」
「……それなんだけど、本当に?僕…もっともっとクレイには教えてほしいことが沢山あるのに…」
クレイの言葉にハインツは途端にしょんぼりと肩を落としてしまう。
「もう基礎は教えたし、あとは王宮の魔道士に教えてもらったら大丈夫だろう?そもそも俺と一緒でも楽しくはないだろうに…」
「そんな事ない!僕は最初の頃からクレイと話すのが楽しかったし、勉強の時もいつも話を聞くのは大好きで…!」
そうやって一生懸命伝えてくるハインツにクレイは思わず心からの笑みが浮かんでしまう。

「そう言ってもらえて嬉しい」

クシャリと頭を撫でたクレイにハインツはそっと頬を染めて顔を伏せてしまった。
そんな二人の元へロックウェルがやってくる。

「ハインツ王子、本日は最初に各国の代表と別室にてご挨拶をして頂きたく。その後は大広間へ移動して頂き私とクレイが常時付いておりますので、気になる方がいれば仰って下さい。黒魔道士でも白魔道士でもすぐにお話できるよう話を通させて頂きますので」
「ありがとうございます。ロックウェル様」

そして三ヶ国の魔道士交流会はゆっくりと始まりを告げたのだった。


***


「ハインツ王子。お初にお目にかかります。私はトルテッティの皇太子、アベルと申します。こちらが妹姫のフローリア、その隣は従兄弟のシュバルツと申します。以後お見知り置きを」

クレイはハインツの元へ挨拶をしにきた三人に鋭い視線を向けて居た。
目の前に立つのはトルテッティの王族として白い装束に身を包んだ麗しい者達。
けれどその目は自分の知る白魔道士の者とは違い、どこか腹に一物抱えているようにしか見えない。
さすがにこの場でおかしな真似はしてこないとは思うが、アベルにはこれまで色々されているだけに油断はできないと警戒を強める。

「初めまして、アベル王子。こちらはロックウェル魔道士長。そしてこちらが彼と共に私に魔法を教えてくださっているクレイと申します。とても優秀な黒魔道士ですので、是非貴国の魔道士達とも幅広く交流を深めていただければと思います」

ハインツのそんな言葉にアベルがにやりと笑う。

「彼の事はよく存じ上げております。ロックウェル魔道士長からは断られていたので今回はお会いできないと思っていましたが、こうしてお会いできて本当に嬉しく思います。是非、私とも仲良くしていただきたいものです」
「…………」

楽しげにクッと笑った彼の表情に不快感を覚えながら、クレイはそっとアベルの背後へと目線を向けた。
そこには眷属からの報告通り年若い男女が立っている。
共に絹糸のように美しく真っ直ぐな金の髪を輝かせ、ほんの僅か幼さを覗かせた白皙の美貌の持ち主────。
確か年の頃はシュバルツが20才でフローリアが19才になったばかりだと聞いている。
しかも情報によるとこの二人はセフレな間柄なのだとか。

(そういう意味ではロックウェルの方は心配しなくても大丈夫か…?)

遊び程度の感覚ならもし姫に狙われたとしてもしつこくはされないはずだ。
ロイドはシュバルツが自分狙いだと言っていたが、見る限りはアベル以上に警戒するほどではないだろうと踏んでいた。
見る限り、体目当てというよりも魔力目当てと言ったところか。
警戒するのが口づけだけでいいのなら楽なものだ。
となると一番の問題はアベルただ一人────。
そう考えていたところでシュバルツの方が楽しげに一歩進みでてクレイへと声を掛けてくる。
「アベルに聞きましたがクレイ様はアメジスト・アイの持ち主だとか…。是非そのままの姿を見せていただきたいものですね」
「え?」
「ハインツ王子もお人が悪い。兄君を一介の黒魔道士と同列になさるとは……」

けれどそんな言葉をクレイはすかさず差し止める。
これ以上この話題を引きずられるのは御免だ。

「…シュバルツ殿?そこの白魔道士から何を聞いたのかは知らないが、俺はただの黒魔道士────それでいいとハインツにも言っている」
「おやおや。そう睨まれては口を噤まざるを得ないようだ」
クスリと笑ってそのままシュバルツは引き下がるかのように見えたが、ホッとしたのも束の間。グイッとクレイの手首を引っ張りそのまま自分の方へと引き寄せると、驚くクレイの唇をあっという間に塞ぎ勝手に魔力交流を試みてきた。
「クレイ!!」
ロックウェルが慌てて声を上げるが相手は王族。突き飛ばすわけにもいかない。
「~~~~っ!!」
自分の眷属が動こうとするのをなんとか止めるが、正直いきなりの暴挙にクレイは驚きを隠せなかった。
後頭部をがっしりと逃げないようにと押さえつけられ勝手に魔力交流した後、シュバルツはそっと唇を離してにこやかに微笑んだ。

「いかがでしたか?」
「い、いかがも何もあるものか!」

失礼にも程がある。
何が悲しくて無理やりよく知りもしない男に唇を奪われなければならないのかとクレイは怒り心頭だった。
相手が正式にやってきた他国の王族でなければ我慢などせず眷属を消しかけていたところだ。

「なんだ、残念。ここでアベルにやったという魔力剥奪魔法を見せてもらえるかと思ったのに…」

(こいつ…!)

どうやらこちらを怒らせてその魔法を見せてもらおうと企んでいたらしい。
何とも大胆且つ子供っぽいことだ。

「シュバルツ。だめよ?クレイ様を困らせては。アベル兄様、お口直しでもして差し上げてはいかがでしょう?」

クスクスと楽しげに笑うフローリアにアベルがそれはいいなとクレイへと近づいてきて、クレイはゾワッと鳥肌を立てた。

(絶対にごめんだ!)

そうやってギッと睨み付けたところで、ハインツが声を上げる。

「あ、あの!申し訳ありませんがクレイは私やロックウェル様の大切な人なので、そのようなことをなさるのはおやめください」
「…ハインツ」
「今回は三カ国の魔道士交流会です。王族は皆の手本となるべきだと考えておりますので、どうぞ我が国にご滞在中はお心に留めておかれますように」
「……これは失礼。戯れが過ぎましたね」
「わかっていただけたのなら良かったです。ロックウェル様。案内の者をすぐに…」
「…かしこまりました」

そう言ってすぐさま案内役の魔道士を用意させたハインツに三人はやや鼻白みながらも従わざるを得ない。

「主催国の王子には敬意を払うべきでしょうね」

こうして案内役の者に促されトルテッティの面々は名残惜しげに大広間へと移動していった。


***


「クレイ…」
トルテッティの者が立ち去った後、そっとロックウェルが口直しに口づけをしてくれてクレイはホッと息を吐く。

「…やっぱり最悪な奴らだった」

そう言ってハインツに騒がせて悪かったと事情を話そうとしたら、ハインツからは思いがけない言葉が返ってきた。

「クレイ…ゴメンなさい。さっきは咄嗟だったから上手く助けてあげられなくて…」

事情は簡単にロイドから聞いていたのに上手く対処できず申し訳なかったと言われてしまう。
そんな言葉に思わず目を丸くしてしまうが、結果的に助かったのでそっと心の中でロイドへ感謝しつつ笑顔でハインツに礼を言った。

「今回の場合俺の立場だと王族に意見するのは難しいからな。凄く助かった。ありがとう」

そんな言葉にハインツが嬉しそうに顔を綻ばせる。

「良かった…。それにしても魔力交流って初めて見た…」
「俺も実は初めてはロックウェルだったんだが、相性がいいと気持ちがいいものだぞ?」
「へぇ…」
「魔力を高めるのにも効果的だ。ロイドなんかは顕著だな。封印を解いた俺としているせいか出会った当初より魔力値は上がっている」
「…そうなんだ。そう言えばクレイはロイドとは友達なんだよね?」
「ああ。後で挨拶に来るとは思うが、あいつと話すのはお勧めだな。新しい視点が得られるし、何より話してて楽しい」
「そうなんだ…」

そんな風に話しているところにちょうどソレーユの一団がハインツへと挨拶にやってきた。




「ハインツ王子。お目に掛かれて光栄でございます。ソレーユの代表のアンドレと申します」
「初めまして。ハインツです。今回ソレーユからも多数の魔道士の方がいらっしゃっているとか」
「はい。そう言えばこちらのロイドは以前ハインツ王子と面識があるとか」

そう言いながらアンドレに促され前に進み出たロイドにハインツは満面の笑みを向けた。

「ロイド殿!」
「ハインツ王子。お久しぶりでございます」

優雅に礼を執るロイドにそう言えばこう言う奴だったとロックウェルは改めて感心してしまう。
仕事とプライベートでしっかり態度を変えてくるのがロイドだった。
とは言えクレイのロイドに向けられる好意的な眼差しはやはり気に入らない。
結果的にハインツへの根回しもロイドのポイントを上げるものでしかなかった。

「ロイド」
「クレイ。これを。ライアード様からハインツ王子へ」

そう言いながら見事な黒曜石が入った宝石箱を差し出してくる。

「凄い!」

クレイが目を輝かせたところを見るに相当質のいい黒曜石なのだろう。

「ハインツ!後で…いや、次の教育日にこれに魔力を圧縮する方法を教えてやる」
「え?」
「色々応用もできるからその応用方法もついでに色々教えてやろうか?」
「ほ、本当に?!」
「ああ。ロイドが教えてくれた魔法だが、凄く色々使えて面白いんだ」
「嬉しい!絶対だよ?!」
「ああ。勿論だ」

ザッと横目に石を確認すると結構な数が入っている。
あれならクレイをハインツの教育係として暫く引き留めるのに一役買うことだろう。

(本当に抜け目のない奴だな)

クレイだけではなくハインツを喜ばせるのにも抜け目がない。
これで更にハインツの中でロイドの株は上がったはずだ。

「ロイド殿。ライアード王子に心よりのお礼を。後程感謝の言葉を綴らせていただきますのでお帰りの際にお渡しいただけますか?」
「はい。我が主も喜ばれることでしょう」
「では宜しくお願い致します」

そんなやり取りと共にロイドはスッと後ろへと下がり、代表のアンドレが再度ハインツの前で口上を述べた。

「ハインツ王子。他にもあちらへと我が国から貴国への贈り物を御用意させていただきました。どうぞお納めくださいませ」
「アンドレ殿。過分なご配慮心より感謝いたします。お帰りの際は我が国からも贈り物をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞ陛下によろしくお伝えください」
「はっ。お心遣い感謝申し上げます」
「少しでも実りある交流会となるよう願っております」
こうしてソレーユとの挨拶も終え、三人はソレーユの一団を見送ると、別ルートで大広間へと向かったのだった。


***


「ハインツ王子は白と黒の魔法の両方を学ばれていらっしゃるとか」

目の前で年嵩の男がにこやかにハインツと話す姿を見てクレイはホッと息を吐いていた。
最初はクレイもトルテッティの魔道士全てを警戒していたが、幸いこの男始めトルテッティの魔道士達は白魔道士ばかりとは言え交流を深めにきただけあって黒魔道士に寛容な者が多いようだった。

「いやあ、我が国はどうしても白魔道士ばかりなので、こうしてクレイ殿や他の優秀な黒魔道士の方々と話せるのは新鮮で楽しいのですよ」

その男────グスターが実に楽しげにクレイへも話しかけてくる。

「ここ最近王宮内の白魔道士の質も下がってきているように思っていたので、こういった交流を通して若い者達にももっとしっかり頑張ってもらいたいと願ってまして」

それ故に今回は若い新人魔道士を中心に連れてきたのだと口にした。

「あの…トルテッティは白魔道士が多いと聞きましたが、やはりこちらでは見られない珍しい魔法などもあるのでしょうか?」

ハインツが目を輝かせながら尋ねるとグスターが温かな目で答えてくる。

「そうですね。白魔法の研究も進められておりまして、通常の使い方以外にも様々な応用法が編み出されております」
「たとえばどのような?」
「そうですね。一番わかりやすい物ですと…」

そうして話を弾ませる二人にクレイが安堵しながら視線を巡らせると、ロイドがリーネと話をしている姿が遠目に見えた。
こうして見るとなんともお似合いな二人だ。

(ロイドも俺で遊んでばかりいないで他の誰かと付き合ってみたらいいのに)

友人として付き合うのはいいのだが、フリーだからこそロックウェルから嫉妬の目を向けられるのではないかとクレイは考えていた。
恐らく彼女の一人でもできればロックウェルもそれほど心配せずロイドとの付き合いを認めてくれることだろう。
そんな風に考えていると二人がその視線に気が付いたのかこちらへと振り向き、笑顔で足を向けてきた。



「クレイ!」
「ロイド。リーネ。交流はいいのか?」
クレイがそう尋ねるとちょうどロイドから魔力を遠方に飛ばす魔法について聞いていたところなのだとリーネが微笑んだ。
「私は使えないと思っていたんだが、クレイが面白い応用法を考えてくれてな」
「ああ。リーネにも使えると思うぞ。影渡りの応用でできるし、広域魔法と同時に発動させて…」
そうやって話していると、傍にいたハインツとグスターも興味津々に話へと加わってきた。
「新魔法の話ですか?」
「ああ、ええ。こちらのソレーユの黒魔道士の魔法を応用して考えたんですが…」
「それは凄い!詳しく教えていただけますか?」
「…それなら今の話の魔法ではなく圧縮魔法の方が白魔法で応用ができるかもしれませんが?」
「他にもあるのですか?!そう言うことなら是非ゆっくりと色々語り合いたいものです」

そうして圧縮魔法の応用法などを色々話してみると、グスターは目を輝かせて自分の意見も交えて更に『こういう応用は可能か?』やら『他にもこういった事はできないだろうか』等々沢山の意見を出してくれて、なかなか有意義な時間を過ごすことができた。

「さすが長く白魔法に携わっている方ですね。非常に勉強になりました」
「いやいや。貴方方も若いのに知識も深く幅広い。それに非常に稀有な素晴らしい発想と応用力を持っていて驚きました。我が国の魔道士達にも見習わせたいほどです。是非機会があれば我が国へと遊びに来ていただけませんか?私の親戚が白魔法の研究をしているのですが色々行き詰ってまして、きっとお二人と話したらいい刺激を受けて研究に生かせるのではと…」

そんな風に楽しく盛り上がっているとそこへシュバルツが笑顔でやってくる。
「グスター…。随分楽しそうだな?」
「シュ、シュバルツ様!」
彼の登場にグスターの表情が戸惑いと共に凍りついてしまった。
一体どうしたというのだろう?

「クレイ様。先ほどは失礼しました」
「……」
「本音を言えば今の貴方ではなく、封印を解いた貴方と是非魔力交流をしたいと思いまして…」

そうしてにっこりと微笑んだシュバルツにグスターが慌てて間に入る。
「シュバルツ様!おやめください!ここはトルテッティではないのですよ?!」
「そんなことは百も承知だ。だからこうしてわざわざ『お願い』をしているんだろう?先程彼に口づけたらそこのハインツ王子に忠告をされてしまったことだし…?」
そう言いながらクスリと楽しげにハインツへと視線を向けた。

これは明らかな挑発だ。

「…申し訳ないが、魔力交流を貴殿とするつもりはない」
クレイはつれなくそう答えたがシュバルツは諦める気はないようで、更に言葉を重ねてきた。
「クレイ様。まあそう言わずに。きっとロックウェル様より私の方が魔力値も高いと思いますし、満足させてあげられると思いますよ?」

その自信は一体どこからやってくるのか…。
そうやって呆れているところで不意にロイドが楽しそうに笑い始めた。

「まさかロックウェルに簡単に勝てると思っている奴がいるとは驚きだ。クレイ…お前がこんなお子様にわざわざ応えてやる必要などないぞ?魔力交流なら後で私とだけやってくれ」
「あら、それなら私ともしてほしいわ。勿論ロイドだけとは言わないわよね?」
「まあお前達なら別に構わないが…そいつは嫌だ」

バッサリ言い切ったクレイに、二人がクレイを守るように両側から肩へと手を置きそっと身を寄せる。
「悪いがクレイは私達の方がいいそうだ」
「諦めて他に行ってくださらないかしら?」
黒魔道士しかお呼びじゃないぞと二人でクッと笑いながらシュバルツを牽制すると、シュバルツはあからさまに不快そうに顔を歪めた。

「王族である私の願いを断るとでも?」

そんなシュバルツにロイドがスッと進み出ていきなり胸ぐらをつかむと断りを入れることなく唇を塞ぎにかかる。

「……?!」

その行動には居合わせた面々も思わずギョッと目を見開いてしまった。
これは一体どうしたものかとオロオロしている内にロイドは勝手に魔力交流を試みて、余裕の表情で満足げに唇を離す。

「クッ…ほら。私との魔力交流くらいで腰を抜かしているじゃないか。その程度の魔力でクレイのあの魔力を味わおうなど…身の程知らずもいいところだ」

ましてや口づけのテクニック一つとってもクレイを満足させてやることなどできやしないとロイドはズバリと言い切った。
そしてその場で腰を抜かしたシュバルツを見下ろしながら嘲笑うように目の前でクレイへとそっと口づける。

「クレイはお前ごときが好きにしていい相手ではない。よく覚えておくんだな」
「んっ…」
「ほら…私との方がずっと気持ちよさそうだろう?」

甘く溶け合うように魔力を交えながら交流してくるロイドにクレイは真っ赤になって怒るが、ロイドの狙いはあくまでもシュバルツだからかちっとも聞いてはくれない。

「ロイド!こんなところで勝手に口づけるな!」
「すまないな。この馬鹿に知らしめてやりたくて…。シュバルツと言ったか?キスの練習でもして十年後にでも出直してくるんだな」

そう言ってロイドはそのままクレイの手を引きその場から連れ去っていく。

「ちょっとロイド!待ってよ!」

どうせ魔力交流するつもりだろうとリーネも後を追う。
そんな三人の姿をシュバルツは悔しそうに見送っていた────。





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