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第一部 アストラス編~王の落胤~
91.※ロックウェルの気持ち
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「うぅ…ロックウェルの意地悪…」
朝から寝台でフルフル震えながらクレイは自分を貫くロックウェルへと悪態を吐いていた。
「何故だ?お前が眷属を使役しすぎて魔力交流でイきすぎたら可哀想だとアレで可愛がってやっただけだろうに」
昨夜のお仕置きは一味違っていて、口づけで甘く何度も魔力交流をしてくれるのに後ろを可愛がるのは張り型だけという究極の焦らしプレイだった。
散々虐めてくるくせに肝心のロックウェル自身は欲しくても挿れてもらえなくて、しかもそれだとロックウェルが辛いだろうと言うと口淫でいいと言って何度も口に突っ込んでこられた。
正直何度もさせられたから顎が辛くて、咽喉も苦しくて仕方がなかった。
もちろんそんなもので満足が行くはずがない。
それで朝寝起きに悪いとは思ったがこっそり襲ってみようと仕掛けたのが今なのだが……。
「…っ!なんで拘束するんだ…」
抱きつけない様に後ろ手に拘束され、騎乗位なのに腰を手でしっかりと固定されているせいで動くに動けない。
「人の寝こみを襲った悪い奴にはお仕置きだろう?」
「そんなことお前だってしてくるくせに…!」
自分はお仕置きなんてしたことがないぞと言ってやるとそれもそうだなとロックウェルは言ってくるが、やめてくれる気はなさそうだった。
「クレイ…。たとえばこうして物足りなかった時…お前はどうやって発散するんだ?」
「え?」
「たとえば私が傍にいなければ…禁止されていなければ花街へ行くか?」
そう言いながらロックウェルが胸の突起に舌を這わせる。
「それとも…ロイドの所に行って魔力交流をして満足するか?」
そしてカリッと歯を立て甘噛みし、官能を引き出していく。
「んっ…」
「それとも、昨日のように道具で自慰をするのか?」
「はっ…」
そんなことを言われても正直困る。
「私は多分他の女を抱いても、他の男を抱いても、きっとお前と比べて虚しくなると思う」
「…んっ…!」
そんな言葉と共に耳に舌を差し込まれてゾクゾクと身を震わせた。
「だが、お前はきっと私以外でもいいからあんなセリフを言ったんだろう」
「えっ?!ち、違うッ!」
「違わない」
「違う…!俺は他の誰でもない。お前しか好きになれないからあのセリフを言ったんだ!お前だけが好きで、お前じゃないとダメで、お前以外誰も代わりになんてなれないから…ッ!」
もう呆れられて愛してもらえなくなったのかと不安になって、泣きそうな気持ちでそう言うとロックウェルはそっと抱き寄せながら信じていいのかと聞いてきた。
「私の好きとお前の好きには差がありすぎる気がして…たまに辛くなる」
「…そんなこと…」
「お前は捕まえたと思ってもいつもヒラリと飛び立って、あっという間に遠くに行ってしまいそうで…」
「ロックウェル…」
「昨日の魔法も…正直お前が遠くにいるように感じられて怖かった」
「……」
「どんなにお前を犯してもこんな気持ちになるのなら、いっそ違う形でお前を抱いたらどうなるのか…試してみたかった」
だから昨夜はああしてみたのだと言うロックウェルにクレイは益々悲しくなってしまった。
自分の気持ちが全く伝わらないことがどうしようもなく悲しくて仕方がない。
「俺は…昨日あんな変な奴に口づけられて不快だった。いくら媚薬を盛られていたとしても、あのままお前以外に抱かれるのは死んでも嫌だと思った。口づけは確かにいろんな奴としてるから言い訳はできないかもしれないけど…それにだって一応線引きはある。それと同じで、俺を抱いていい条件は相手がお前であると言うただそれだけのものだ。それだけが絶対条件で、それは例え相手がロイドでも覆すことはできない」
それではだめなのかとクレイは真摯な目でロックウェルを見つめた。
「お前には俺がわからないのかもしれないが、俺の眷属達はきっと俺の気持ちを汲んでくれたから、昨日の奴から俺を護ろうとしてくれたんだと思うぞ?」
自分の言葉は伝わらなくても彼らの気持ちならわかってもらえないかと尋ねたクレイに、ロックウェルはそっとクレイを見つめて考え込んだ。
「魔力だって封印していたらそんなに俺達は変わらないし、魔法だってはっきり言って白魔道士と黒魔道士の扱う魔法の違いなだけじゃないか。知っている魔法が多いのだって、ヒュース達が教えてくれたから知っているだけでそんなに特別他の黒魔道士達と変わらないはずだ」
「…………」
「大体お前は昔から変に俺を過剰評価して、勝手に俺を遠い存在に位置づけていないか?!だから…こっちはどこまで踏み込んでいいのかわからなくて、ただ勝手に凄いとヒュース達に語ることしかできなくて…。存在が遠いと言うならお前の方だ!」
実力だけでなく、すぐに誰とでも仲良くなって交流を深めていけるロックウェルがどうして自分を好きでいてくれるのかわからないとクレイは気持ちをぶつけるように口にする。
けれどその言葉を告げた途端、何故かロックウェルが思い切り抱きしめてきて、そのまま深く口づけを交わされた。
「んんっ?!」
(え?)
驚くクレイをそのまま溶かすかのように深く優しく口づけてくれるロックウェルに、クレイは戸惑うことしかできない。
「はぁ…。ロックウェル?」
やっと唇が解放されたと思ったところで、そっとそうやって声を上げると何故かロックウェルは嬉しそうに笑っていた。
「…嬉しい」
「え?」
「無理やり聞き出さなくてもお前が本音をぶつけてくれたのが嬉しい」
そんなロックウェルの言葉に思わず驚きに目を見開いてしまう。
「お前は以前ファルに私に気持ちをぶつける気は一切ないと言い切っていたな」
「…………」
「あれから随分あの手この手でお前の気持ちを聞き出してきたし、お前の気持ちも…ヒュースが教えてくれたからだいぶわかるようにはなってきた」
「…………」
「でも…こうして何を言わなくてもちゃんと気持ちをぶつけてもらえたことが、私は何よりも嬉しくて仕方がない」
「ロックウェル…」
確かに言われて初めて二人の間にあった壁がなくなっていることに気がついた。
「クレイ…。仲直りをしても…いいか?」
そんな言葉にクレイはコクリと頷いてもちろんだと心から微笑んだ。
それから後ろ手の拘束を解いてくれたロックウェルに抱きついて、互いを求めるように高め合う。
「はぁっ…!ロックウェル…!」
「クレイ…愛してる…」
「あっ…俺も…お前だけを愛してる…」
そうして二人で燃え上がるように登り詰めた後、心満たされながらそっと寄り添いあった。
「そう言えばお前はいつ俺を好きになったんだ?」
ゆったりと幸せに浸っていると、ふとクレイは一度聞いてみたかったのだと口を開いた。
「お前は最初からずっと俺を友人だと思ってただろう?封印を解いた後もそれは変わらなかったんじゃないのか?」
何故あの時いきなり口づけてきたんだと不思議そうに聞いてくるので、ロックウェルは言い難そうに口を開くしかない。
「まあ友人としては最初から好きだったぞ?初めてお前が魔法を使う姿を見た時だったかな?凄い奴だと素直に感心した」
「……」
「だから友達になりたいと思ったし、黒魔道士だけど話すと可愛いところがあったから話しやすいとも思った」
「ふぅん…」
照れたようにするクレイにこれ以上は話していいものかどうか考えたが、ここで隠し事をするのもなんだかフェアではない気がして、素直に思い切って心情を吐露してみた。
「これ以上はあんまり言いたくないんだが…」
「え?」
「いや…段々お前の魔法が鼻に付くようになってきて…」
「…………」
「こっちができないことを軽々やられて、腹が立つことも増えて…」
「…………」
「そのくせ全くこちらの気持ちを察してこないからイライラしていた…」
話せば話すほどにしょんぼりとしていく姿に心が痛むが、ここは正直に話したいからと敢えて言わせてもらった。
「それで…まあ正直お前の力に内心嫉妬していたところで、サシェの件があって…あんな風に封印をしてしまったから…あれは本当に申し訳なかったと…」
「うっ…酷い…。それは嫉妬は嫉妬でも好きと嫌いで大違いだ」
そこまで来てポロリと泣かれてしまったのでやっぱり言うんじゃなかったと改めて謝罪する。
「わ、悪かった…!」
「だって俺の事が一度大嫌いになったってことじゃないか…」
「愛と憎しみは紙一重だと言うだろう?!」
傷つける気はなかったと慌ててギュッと抱きしめると、クレイが不安げに抱きついてくるので可愛すぎて仕方がない。
「まあそれで…あんな感じになったわけなんだが…封印を解いてからお前が去ったあの時の表情がずっと心に引っ掛かっていて…」
「……」
「謝りたかったのに謝らせてもらえなかったから、もういっそそこまで遠い存在なら自分の所まで落としてしまえと…口づけてみたら────箍が外れた」
「何だそれ!酷い!ロックウェル!」
最初そんなつもりで襲ったのかとクレイが怒りだすが、あの時欲情したのは確かだから弁明だけはさせてもらいたい。
「…それでも、予想外だったんだ!まさか男に口づけで欲情するなんて思ってもみなかったし、抱いてみたら思いがけずお前は可愛くて仕方がないし、体の相性も最高だった!」
「~~~~!!」
「それで…もうこれでクレイは自分の物になったと思っていたら何度も逃げられて…気が付いたらお前の事が好きで好きで仕方がなくなっていた」
追いたくて…捕まえたくて仕方がなくなっている自分がいたのだ。
「だから、別に体目当てとかそういうのではなくて…つまり…気が付けばお前に夢中になっていたんだ」
だからセフレとかクレイの口から言われるのは嫌だったんだとロックウェルは素直に白状する。
「お前の身も心も自分の物にしたかった」
「……」
「多少強引だったのは認めるが、今は誰にもお前を渡したくないほどお前だけを愛してる」
「……」
「私を好きになってくれたのはお前の方が先だったのかもしれないが、今は私だって負けないくらいお前の事が好きだと思うぞ?」
「ロックウェル…」
信じてくれないかと言ってやるとやっとホッとしたように笑ってくれた。
けれどそこでクレイがふと気が付いたように首を傾げた。
「あ。でも俺もお前を意識しだしたのはお前と寝てからだぞ?」
ロックウェルが寝た後で自分に夢中になったと言うのなら自分と然程変わらないのではと言い出したクレイに、やっぱり鈍感だなとロックウェルは苦笑してしまう。
「ああ。そこはもういいから」
「え?」
「ヒュースからも色々聞いているし、お前が鈍いのももうとっくに分かっているからそこはこの際もう構わない」
「……?」
「大事なのは『今』だからな」
そうやって微笑んだロックウェルにクレイも少し考え、それもそうだなと微笑みを返した。
そんな二人にそっとヒュースが口を挟んでくる。
【さて…蟠りも解けたところで、そろそろお仕事のご準備を】
「え?」
時間を見ると確かにいい時間に近づこうとしていた。
「そう言えば今日は女装した方がいいのか?それともこのままでもいいのか?」
「別にどちらでも構わないぞ?そもそも私は別に周囲にお前との仲を公表しても構わないとは思っているからな」
単純にそれをすることでクレイが恥ずかしがって王宮に来てくれなくなるのが嫌だからしないだけなのだと言ってやると、クレイは恥ずかしそうに頬を染めて当然だと言い切った。
「一部知っている者がいるのは別に構わないが、噂が広がったらもう二度とここには来ないからな!」
「…会えなくなるのは私も嫌だし、そう言うことなら昨日の連中にも釘は刺しておくとしよう」
「そうしてくれ」
そうして二人で軽くシャワーで汗を流すとサッと準備を済ませて部屋を出る。
【クレイ様。軽く何かお召し上がりにならないのですか?】
レオが心配そうに尋ねてくるが、クレイはいらないと答えた。
「ああ、ヒュース!ロックウェルには後で休憩の時にでも軽食を出してやってくれ」
【かしこまりました。クレイ様もお帰りになったらちゃんと食べてくださいよ?】
「わかっている」
【あまり食事ばかり抜いておられると、他の眷属がロックウェル様に言いつけに来るかもしれませんからね~】
そんな言葉にこれは常習犯だなと確信して、ロックウェルはその言葉をするりと口にしていた。
「ヒュース。その時は私に遠慮なく言ってきてくれ。言うことを聞かないようなら口移しで私が無理やり食べさせてやるから」
「なっ…!」
【ああ。それなら喜んで食べてくださるかもしれませんね。名案でございます】
「……!!た、食べる!ちゃんと帰ってから食べるから…!」
そんな恥ずかしいのは御免だとクレイが慌てて言ってくるが信用性は低い。
「レオ…だったな。クレイが心配だし、その時は教えてくれないか?」
【…かしこまりました】
ロックウェルの言葉にレオがあっさりと頷きを返したのでクレイはまた『裏切者~!』と叫んだ。
***
「大体、俺が食事をちょっとくらい抜いたって別にお前は困らないだろう?!」
「そんなことはない。抱き心地が変わるだろう?」
「なっ!ふ、ふざけるな!俺は抱き枕じゃない!」
そうやってギャイギャイ騒ぎながらやってきた二人に、事情を知る者はそっと頬を染め、事情を知らぬ者は単に仲がいい二人だなと微笑ましい眼差しを向けていた。
「あら、クレイ。今日はどうしたの?」
「何でもない。今日は昨日迷惑を掛けた三人に謝りに来ただけだ」
何か用があって家にまで来てくれたようだったのに申し訳なかったとクレイが昨日の黒魔道士達に声を掛けると、三人は全く気にした様子もなくにこやかに返してくれた。
「いや。勝手に行っただけだったが結果的に助けになってよかった」
「元々飲み会でレノバイン王の魔法の話を聞けなかったのを残念に思って押しかけただけだったんだ」
「そうそう。昨日のあれもその一種なのか?」
そうやって興味津々に話しかけてくるのでこれは別の場所で話させた方がいいかと、ロックウェルが奥の応接室へと四人を連れていく。
「あ、じゃあ私がお茶を持っていくわね」
そしてシリィがいそいそとお茶の用意をするのを白魔道士達が温かい眼差しで見守った。
「へぇっ…。じゃああれはやっぱり刑罰に使われてた魔法なんだ」
「ああ。素行の悪い魔道士の魔力を根こそぎ奪って改心させると言うものだったようだな」
昔、レノバイン王はあの手この手でこの国を平和へと導いたと言われているが、どれも伝説のような口伝が多いため、詳細まではよくは知られていない。
だからこそクレイの口から語られる内容は興味深くて三人は夢中になって尋ねた。
「それは改心したら戻せるものなのか?」
「ああ。普通に戻せるぞ?単にこちらが勝手に預かっているようなものだしな」
「へ~…。あれ?でもその場合、例えば魔法を掛けた相手が高齢だった場合その犯人より先に亡くなったとしたら、その時点でそれはどうなるんだ?」
「ああ、それはそのままその者が死ぬと同時に預かっている魔力も一緒に消えるから、元の持ち主には戻らなくなるらしい」
可哀想だがそれもまた運命だとばっさり言い切ったクレイにそれは怖いなと三人は冷や汗を垂らす。
「まあ心配しなくても大丈夫だ。この魔法はちょっと特殊でその辺の者が軽々扱える類の物じゃないから」
「え?それって…王族限定くらいの凄い類の魔法ってことなのか?」
「まあ似たような物かな。精霊魔法らしくて、使用者に自分を使う資格があるのか確認してくるんだ。資格がない者が迂闊に唱えても発動しないし、見込みがある者には発動はするくせに魔力消費を激しくしてくる。資格ありと判断したら負担はゼロだ。面倒臭いから本気で誰にも推奨したくない」
そんな言葉にロックウェルはふと不安になった。
失われつつある精霊魔法を使った代償は大丈夫なのだろうか?
「お前は大丈夫なのか?」
「ああ、そう言えば負担はなかったな」
そんな返答にホッと息を吐く。
「そうか。よかった…」
「お前はなんでもかんでも心配しすぎだ」
「そんなことはない。お前はいつも迂闊だから心配するに越したことはないだろう」
「迂闊とか言うな!大体……」
そうやって言い合いを始めたところでシリィがお茶を出してくれる。
「クスクス…本当に二人は仲がいいわね。でもロックウェル様が心配するのもわかるわ。クレイって確かにちょっと抜けているところがあるもの」
「え?」
「ほら見ろ。シリィにまでばれているぞ?」
「~~~~っ!!もういい!今度はリーネに昨日の件を謝ってくるから…!」
「…間違っても人前でお詫びと言って魔力交流しないように」
「俺はそこまで迂闊じゃない!後で覚えていろ…!」
そうやって怒りながら行ってしまったクレイを見て、あららとシリィが申し訳なさそうに謝罪してきた。
「申し訳ありません…私ったら怒らせてしまったみたいで…」
話が途中だったのではないかと心配そうに言うシリィに大丈夫だと皆は返す。
「でもクレイ…随分怒っていましたよ?」
「いいんだ。あの分ならきっと可愛い仕返しでも考えてくるだろうから…それはそれで楽しみだ」
「そうですか?折角友情が戻ったのに仲違いとかやめてくださいよ?」
「わかっている。これ以上ないほどクレイの事はもう把握しているから心配するな」
そうして応接室から出て行った二人を、残された三人は笑顔で見送りながら改めて思った。
これは昨日の件がなかったら全く二人の会話で気づかなかった…と。
そして気付いた上で聞いたら恥ずかしいことこの上のない内容で、甘くて仕方がない。
(知らない内にこれまでも惚気のセリフが色々混じっていたんだろうな…)
知らない方が幸せだったかもと思いながらパタパタと顔を仰いで、三人は自分達の仕事へと戻っていったのだった。
朝から寝台でフルフル震えながらクレイは自分を貫くロックウェルへと悪態を吐いていた。
「何故だ?お前が眷属を使役しすぎて魔力交流でイきすぎたら可哀想だとアレで可愛がってやっただけだろうに」
昨夜のお仕置きは一味違っていて、口づけで甘く何度も魔力交流をしてくれるのに後ろを可愛がるのは張り型だけという究極の焦らしプレイだった。
散々虐めてくるくせに肝心のロックウェル自身は欲しくても挿れてもらえなくて、しかもそれだとロックウェルが辛いだろうと言うと口淫でいいと言って何度も口に突っ込んでこられた。
正直何度もさせられたから顎が辛くて、咽喉も苦しくて仕方がなかった。
もちろんそんなもので満足が行くはずがない。
それで朝寝起きに悪いとは思ったがこっそり襲ってみようと仕掛けたのが今なのだが……。
「…っ!なんで拘束するんだ…」
抱きつけない様に後ろ手に拘束され、騎乗位なのに腰を手でしっかりと固定されているせいで動くに動けない。
「人の寝こみを襲った悪い奴にはお仕置きだろう?」
「そんなことお前だってしてくるくせに…!」
自分はお仕置きなんてしたことがないぞと言ってやるとそれもそうだなとロックウェルは言ってくるが、やめてくれる気はなさそうだった。
「クレイ…。たとえばこうして物足りなかった時…お前はどうやって発散するんだ?」
「え?」
「たとえば私が傍にいなければ…禁止されていなければ花街へ行くか?」
そう言いながらロックウェルが胸の突起に舌を這わせる。
「それとも…ロイドの所に行って魔力交流をして満足するか?」
そしてカリッと歯を立て甘噛みし、官能を引き出していく。
「んっ…」
「それとも、昨日のように道具で自慰をするのか?」
「はっ…」
そんなことを言われても正直困る。
「私は多分他の女を抱いても、他の男を抱いても、きっとお前と比べて虚しくなると思う」
「…んっ…!」
そんな言葉と共に耳に舌を差し込まれてゾクゾクと身を震わせた。
「だが、お前はきっと私以外でもいいからあんなセリフを言ったんだろう」
「えっ?!ち、違うッ!」
「違わない」
「違う…!俺は他の誰でもない。お前しか好きになれないからあのセリフを言ったんだ!お前だけが好きで、お前じゃないとダメで、お前以外誰も代わりになんてなれないから…ッ!」
もう呆れられて愛してもらえなくなったのかと不安になって、泣きそうな気持ちでそう言うとロックウェルはそっと抱き寄せながら信じていいのかと聞いてきた。
「私の好きとお前の好きには差がありすぎる気がして…たまに辛くなる」
「…そんなこと…」
「お前は捕まえたと思ってもいつもヒラリと飛び立って、あっという間に遠くに行ってしまいそうで…」
「ロックウェル…」
「昨日の魔法も…正直お前が遠くにいるように感じられて怖かった」
「……」
「どんなにお前を犯してもこんな気持ちになるのなら、いっそ違う形でお前を抱いたらどうなるのか…試してみたかった」
だから昨夜はああしてみたのだと言うロックウェルにクレイは益々悲しくなってしまった。
自分の気持ちが全く伝わらないことがどうしようもなく悲しくて仕方がない。
「俺は…昨日あんな変な奴に口づけられて不快だった。いくら媚薬を盛られていたとしても、あのままお前以外に抱かれるのは死んでも嫌だと思った。口づけは確かにいろんな奴としてるから言い訳はできないかもしれないけど…それにだって一応線引きはある。それと同じで、俺を抱いていい条件は相手がお前であると言うただそれだけのものだ。それだけが絶対条件で、それは例え相手がロイドでも覆すことはできない」
それではだめなのかとクレイは真摯な目でロックウェルを見つめた。
「お前には俺がわからないのかもしれないが、俺の眷属達はきっと俺の気持ちを汲んでくれたから、昨日の奴から俺を護ろうとしてくれたんだと思うぞ?」
自分の言葉は伝わらなくても彼らの気持ちならわかってもらえないかと尋ねたクレイに、ロックウェルはそっとクレイを見つめて考え込んだ。
「魔力だって封印していたらそんなに俺達は変わらないし、魔法だってはっきり言って白魔道士と黒魔道士の扱う魔法の違いなだけじゃないか。知っている魔法が多いのだって、ヒュース達が教えてくれたから知っているだけでそんなに特別他の黒魔道士達と変わらないはずだ」
「…………」
「大体お前は昔から変に俺を過剰評価して、勝手に俺を遠い存在に位置づけていないか?!だから…こっちはどこまで踏み込んでいいのかわからなくて、ただ勝手に凄いとヒュース達に語ることしかできなくて…。存在が遠いと言うならお前の方だ!」
実力だけでなく、すぐに誰とでも仲良くなって交流を深めていけるロックウェルがどうして自分を好きでいてくれるのかわからないとクレイは気持ちをぶつけるように口にする。
けれどその言葉を告げた途端、何故かロックウェルが思い切り抱きしめてきて、そのまま深く口づけを交わされた。
「んんっ?!」
(え?)
驚くクレイをそのまま溶かすかのように深く優しく口づけてくれるロックウェルに、クレイは戸惑うことしかできない。
「はぁ…。ロックウェル?」
やっと唇が解放されたと思ったところで、そっとそうやって声を上げると何故かロックウェルは嬉しそうに笑っていた。
「…嬉しい」
「え?」
「無理やり聞き出さなくてもお前が本音をぶつけてくれたのが嬉しい」
そんなロックウェルの言葉に思わず驚きに目を見開いてしまう。
「お前は以前ファルに私に気持ちをぶつける気は一切ないと言い切っていたな」
「…………」
「あれから随分あの手この手でお前の気持ちを聞き出してきたし、お前の気持ちも…ヒュースが教えてくれたからだいぶわかるようにはなってきた」
「…………」
「でも…こうして何を言わなくてもちゃんと気持ちをぶつけてもらえたことが、私は何よりも嬉しくて仕方がない」
「ロックウェル…」
確かに言われて初めて二人の間にあった壁がなくなっていることに気がついた。
「クレイ…。仲直りをしても…いいか?」
そんな言葉にクレイはコクリと頷いてもちろんだと心から微笑んだ。
それから後ろ手の拘束を解いてくれたロックウェルに抱きついて、互いを求めるように高め合う。
「はぁっ…!ロックウェル…!」
「クレイ…愛してる…」
「あっ…俺も…お前だけを愛してる…」
そうして二人で燃え上がるように登り詰めた後、心満たされながらそっと寄り添いあった。
「そう言えばお前はいつ俺を好きになったんだ?」
ゆったりと幸せに浸っていると、ふとクレイは一度聞いてみたかったのだと口を開いた。
「お前は最初からずっと俺を友人だと思ってただろう?封印を解いた後もそれは変わらなかったんじゃないのか?」
何故あの時いきなり口づけてきたんだと不思議そうに聞いてくるので、ロックウェルは言い難そうに口を開くしかない。
「まあ友人としては最初から好きだったぞ?初めてお前が魔法を使う姿を見た時だったかな?凄い奴だと素直に感心した」
「……」
「だから友達になりたいと思ったし、黒魔道士だけど話すと可愛いところがあったから話しやすいとも思った」
「ふぅん…」
照れたようにするクレイにこれ以上は話していいものかどうか考えたが、ここで隠し事をするのもなんだかフェアではない気がして、素直に思い切って心情を吐露してみた。
「これ以上はあんまり言いたくないんだが…」
「え?」
「いや…段々お前の魔法が鼻に付くようになってきて…」
「…………」
「こっちができないことを軽々やられて、腹が立つことも増えて…」
「…………」
「そのくせ全くこちらの気持ちを察してこないからイライラしていた…」
話せば話すほどにしょんぼりとしていく姿に心が痛むが、ここは正直に話したいからと敢えて言わせてもらった。
「それで…まあ正直お前の力に内心嫉妬していたところで、サシェの件があって…あんな風に封印をしてしまったから…あれは本当に申し訳なかったと…」
「うっ…酷い…。それは嫉妬は嫉妬でも好きと嫌いで大違いだ」
そこまで来てポロリと泣かれてしまったのでやっぱり言うんじゃなかったと改めて謝罪する。
「わ、悪かった…!」
「だって俺の事が一度大嫌いになったってことじゃないか…」
「愛と憎しみは紙一重だと言うだろう?!」
傷つける気はなかったと慌ててギュッと抱きしめると、クレイが不安げに抱きついてくるので可愛すぎて仕方がない。
「まあそれで…あんな感じになったわけなんだが…封印を解いてからお前が去ったあの時の表情がずっと心に引っ掛かっていて…」
「……」
「謝りたかったのに謝らせてもらえなかったから、もういっそそこまで遠い存在なら自分の所まで落としてしまえと…口づけてみたら────箍が外れた」
「何だそれ!酷い!ロックウェル!」
最初そんなつもりで襲ったのかとクレイが怒りだすが、あの時欲情したのは確かだから弁明だけはさせてもらいたい。
「…それでも、予想外だったんだ!まさか男に口づけで欲情するなんて思ってもみなかったし、抱いてみたら思いがけずお前は可愛くて仕方がないし、体の相性も最高だった!」
「~~~~!!」
「それで…もうこれでクレイは自分の物になったと思っていたら何度も逃げられて…気が付いたらお前の事が好きで好きで仕方がなくなっていた」
追いたくて…捕まえたくて仕方がなくなっている自分がいたのだ。
「だから、別に体目当てとかそういうのではなくて…つまり…気が付けばお前に夢中になっていたんだ」
だからセフレとかクレイの口から言われるのは嫌だったんだとロックウェルは素直に白状する。
「お前の身も心も自分の物にしたかった」
「……」
「多少強引だったのは認めるが、今は誰にもお前を渡したくないほどお前だけを愛してる」
「……」
「私を好きになってくれたのはお前の方が先だったのかもしれないが、今は私だって負けないくらいお前の事が好きだと思うぞ?」
「ロックウェル…」
信じてくれないかと言ってやるとやっとホッとしたように笑ってくれた。
けれどそこでクレイがふと気が付いたように首を傾げた。
「あ。でも俺もお前を意識しだしたのはお前と寝てからだぞ?」
ロックウェルが寝た後で自分に夢中になったと言うのなら自分と然程変わらないのではと言い出したクレイに、やっぱり鈍感だなとロックウェルは苦笑してしまう。
「ああ。そこはもういいから」
「え?」
「ヒュースからも色々聞いているし、お前が鈍いのももうとっくに分かっているからそこはこの際もう構わない」
「……?」
「大事なのは『今』だからな」
そうやって微笑んだロックウェルにクレイも少し考え、それもそうだなと微笑みを返した。
そんな二人にそっとヒュースが口を挟んでくる。
【さて…蟠りも解けたところで、そろそろお仕事のご準備を】
「え?」
時間を見ると確かにいい時間に近づこうとしていた。
「そう言えば今日は女装した方がいいのか?それともこのままでもいいのか?」
「別にどちらでも構わないぞ?そもそも私は別に周囲にお前との仲を公表しても構わないとは思っているからな」
単純にそれをすることでクレイが恥ずかしがって王宮に来てくれなくなるのが嫌だからしないだけなのだと言ってやると、クレイは恥ずかしそうに頬を染めて当然だと言い切った。
「一部知っている者がいるのは別に構わないが、噂が広がったらもう二度とここには来ないからな!」
「…会えなくなるのは私も嫌だし、そう言うことなら昨日の連中にも釘は刺しておくとしよう」
「そうしてくれ」
そうして二人で軽くシャワーで汗を流すとサッと準備を済ませて部屋を出る。
【クレイ様。軽く何かお召し上がりにならないのですか?】
レオが心配そうに尋ねてくるが、クレイはいらないと答えた。
「ああ、ヒュース!ロックウェルには後で休憩の時にでも軽食を出してやってくれ」
【かしこまりました。クレイ様もお帰りになったらちゃんと食べてくださいよ?】
「わかっている」
【あまり食事ばかり抜いておられると、他の眷属がロックウェル様に言いつけに来るかもしれませんからね~】
そんな言葉にこれは常習犯だなと確信して、ロックウェルはその言葉をするりと口にしていた。
「ヒュース。その時は私に遠慮なく言ってきてくれ。言うことを聞かないようなら口移しで私が無理やり食べさせてやるから」
「なっ…!」
【ああ。それなら喜んで食べてくださるかもしれませんね。名案でございます】
「……!!た、食べる!ちゃんと帰ってから食べるから…!」
そんな恥ずかしいのは御免だとクレイが慌てて言ってくるが信用性は低い。
「レオ…だったな。クレイが心配だし、その時は教えてくれないか?」
【…かしこまりました】
ロックウェルの言葉にレオがあっさりと頷きを返したのでクレイはまた『裏切者~!』と叫んだ。
***
「大体、俺が食事をちょっとくらい抜いたって別にお前は困らないだろう?!」
「そんなことはない。抱き心地が変わるだろう?」
「なっ!ふ、ふざけるな!俺は抱き枕じゃない!」
そうやってギャイギャイ騒ぎながらやってきた二人に、事情を知る者はそっと頬を染め、事情を知らぬ者は単に仲がいい二人だなと微笑ましい眼差しを向けていた。
「あら、クレイ。今日はどうしたの?」
「何でもない。今日は昨日迷惑を掛けた三人に謝りに来ただけだ」
何か用があって家にまで来てくれたようだったのに申し訳なかったとクレイが昨日の黒魔道士達に声を掛けると、三人は全く気にした様子もなくにこやかに返してくれた。
「いや。勝手に行っただけだったが結果的に助けになってよかった」
「元々飲み会でレノバイン王の魔法の話を聞けなかったのを残念に思って押しかけただけだったんだ」
「そうそう。昨日のあれもその一種なのか?」
そうやって興味津々に話しかけてくるのでこれは別の場所で話させた方がいいかと、ロックウェルが奥の応接室へと四人を連れていく。
「あ、じゃあ私がお茶を持っていくわね」
そしてシリィがいそいそとお茶の用意をするのを白魔道士達が温かい眼差しで見守った。
「へぇっ…。じゃああれはやっぱり刑罰に使われてた魔法なんだ」
「ああ。素行の悪い魔道士の魔力を根こそぎ奪って改心させると言うものだったようだな」
昔、レノバイン王はあの手この手でこの国を平和へと導いたと言われているが、どれも伝説のような口伝が多いため、詳細まではよくは知られていない。
だからこそクレイの口から語られる内容は興味深くて三人は夢中になって尋ねた。
「それは改心したら戻せるものなのか?」
「ああ。普通に戻せるぞ?単にこちらが勝手に預かっているようなものだしな」
「へ~…。あれ?でもその場合、例えば魔法を掛けた相手が高齢だった場合その犯人より先に亡くなったとしたら、その時点でそれはどうなるんだ?」
「ああ、それはそのままその者が死ぬと同時に預かっている魔力も一緒に消えるから、元の持ち主には戻らなくなるらしい」
可哀想だがそれもまた運命だとばっさり言い切ったクレイにそれは怖いなと三人は冷や汗を垂らす。
「まあ心配しなくても大丈夫だ。この魔法はちょっと特殊でその辺の者が軽々扱える類の物じゃないから」
「え?それって…王族限定くらいの凄い類の魔法ってことなのか?」
「まあ似たような物かな。精霊魔法らしくて、使用者に自分を使う資格があるのか確認してくるんだ。資格がない者が迂闊に唱えても発動しないし、見込みがある者には発動はするくせに魔力消費を激しくしてくる。資格ありと判断したら負担はゼロだ。面倒臭いから本気で誰にも推奨したくない」
そんな言葉にロックウェルはふと不安になった。
失われつつある精霊魔法を使った代償は大丈夫なのだろうか?
「お前は大丈夫なのか?」
「ああ、そう言えば負担はなかったな」
そんな返答にホッと息を吐く。
「そうか。よかった…」
「お前はなんでもかんでも心配しすぎだ」
「そんなことはない。お前はいつも迂闊だから心配するに越したことはないだろう」
「迂闊とか言うな!大体……」
そうやって言い合いを始めたところでシリィがお茶を出してくれる。
「クスクス…本当に二人は仲がいいわね。でもロックウェル様が心配するのもわかるわ。クレイって確かにちょっと抜けているところがあるもの」
「え?」
「ほら見ろ。シリィにまでばれているぞ?」
「~~~~っ!!もういい!今度はリーネに昨日の件を謝ってくるから…!」
「…間違っても人前でお詫びと言って魔力交流しないように」
「俺はそこまで迂闊じゃない!後で覚えていろ…!」
そうやって怒りながら行ってしまったクレイを見て、あららとシリィが申し訳なさそうに謝罪してきた。
「申し訳ありません…私ったら怒らせてしまったみたいで…」
話が途中だったのではないかと心配そうに言うシリィに大丈夫だと皆は返す。
「でもクレイ…随分怒っていましたよ?」
「いいんだ。あの分ならきっと可愛い仕返しでも考えてくるだろうから…それはそれで楽しみだ」
「そうですか?折角友情が戻ったのに仲違いとかやめてくださいよ?」
「わかっている。これ以上ないほどクレイの事はもう把握しているから心配するな」
そうして応接室から出て行った二人を、残された三人は笑顔で見送りながら改めて思った。
これは昨日の件がなかったら全く二人の会話で気づかなかった…と。
そして気付いた上で聞いたら恥ずかしいことこの上のない内容で、甘くて仕方がない。
(知らない内にこれまでも惚気のセリフが色々混じっていたんだろうな…)
知らない方が幸せだったかもと思いながらパタパタと顔を仰いで、三人は自分達の仕事へと戻っていったのだった。
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