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第一部 アストラス編~王の落胤~
49.※お仕置き
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王に思いがけず追いかけてこられて焦ったものの、クレイは何とか逃げ切ったとホッと息を吐きながら部屋に戻っていた。
どうやら王はやはり自分に対して何やら思うところがあるようだ。
ここは近づかないに越したことはないだろうと改めてそう思った。
そうやって暫くのんびりと寛いでいると、ロイドがライアードと共に戻ってきてお疲れと声を掛けてくれる。
「結局一網打尽にしてしまったな」
「…ただのついでだ」
王の事は気になるが、これで王宮内が少しでも落ち着けばまたロックウェルに会いやすくなるだろうとつい微笑みがこぼれてしまう。
「……そうか」
そんな自分を見てロイドがほんの僅か苦しげな顔をしたが、クレイにはそれが何故なのかまではわからなかった。
(色々あって疲れてるのか?)
「お前も疲れただろう?今夜の就寝時の護衛は眷属に任せたらどうだ?」
だからそう言ってやったのだが、ロイドは就寝時の護衛も自分の仕事だから任せてくれていいと請け負ってくれる。
「お前の方こそ魔力を使いすぎて疲れたんじゃないのか?」
そうやって気遣ってくれるロイドにクレイはそっと笑った。
なんだかんだとロイドは優しいのだ。
「俺は大丈夫だ。たださすがにこの格好はそろそろ遠慮したいな」
「そうだな。じゃあ着替えて休むといい。後は明日の朝の見送りで仕事はおしまいだ」
「わかった。ではそうさせてもらおうか」
クレイはロイドの言葉に甘えさせてもらうことにし、与えられた続き部屋へと戻ると軽くシャワーを浴びて化粧を落とし、かつらも外した。
「はぁ…」
やっといつもの姿に戻ったところで思わずホッと安堵の息を吐く。
これで明日さえ乗り切れば暫くは仕事もない。
少しでもロックウェルと一緒の時間を取れるといいなと一時的に依頼を断っておいたのだ。
(ロックウェル…)
そっと寝台に横になり、自分の好きな恋人へと思いを馳せる。
(早くお前に愛してほしい…)
昼間のような一時的なものではなく、寝台の上でゆっくりと愛を感じさせてほしい。
ただそう思いながら、ほんの少しウトウトと微睡みながら眠りについた。
***
ウトウトとしている中、クレイはサラリと自分の髪を撫で上げる心地いい手を感じ、そっと目を開いた。
そこには自分が待っていた相手がいて…。
「ロックウェル」
思わず満面の笑みで手を伸ばした。
「クレイ…さすがに疲れたか?」
そう言いながら優しく口づけてくれるロックウェルに甘えるように腕を回す。
「ん…大丈夫…」
うっとりしながら口づけに酔う自分をロックウェルはふわりと抱き上げた。
「ここだと邪魔が入るかもしれない。私の部屋で愛させてくれないか?」
そんな言葉が嬉しくて仕方がない。
素直にコクリと頷き、待ちきれなくてそのまま一気に影を渡った。
「ロックウェル…いっぱい愛して…」
そう言いながらまた口づけて甘く誘う。
そんな自分を仕方がないなと言いながらも寝台へと連れて行ってくれた。
「ん…はぁ…っ」
望むだけ口づけを与えてくれるロックウェルにクレイは夢中になった。
「はぁ…ロックウェル…好き…」
早く愛してほしくてそう訴えたのに、ロックウェルは何故か途中で動きを止めてしまう。
一体どうしたと言うのだろうか?
それから何やら考えた後、徐にその言葉を告げてきた。
「クレイ……愛し合う前に今日の反省会だ」
「え?」
「私に何か言っておくことはないか?」
そんな言葉に首を傾げざるを得ない。
そう聞かれても特に何もなかったように思うのだが…。
ロイドとの圧縮魔法の時もロックウェルの勧めでシリィを同席させたし、ダンスももしかして一緒に踊りたかったのかと思いサイナスを利用させてもらって一緒に踊る時間を設けた。
警護に関しても邪魔はしなかったし、互いに職務を全うし、怪しい者達は全て捕獲済みだ。
何一つ問題はなかったと思うのだが…。
だから正直に特にないと答えたのに、ロックウェルはその答えに不満でもあったのか、恐ろしいほど冷たい笑みを浮かべた。
「ロ、ロックウェル?」
不思議に思って声を掛けるが、突如うつぶせにした状態で腰だけを高く上げさせられた。
「え…?!やっ…!」
この体勢は正直恥ずかしくてあまり好きではない。
それをロックウェルも知っているからいつも散々溺れさせられてからその体勢にされるのだが、何故か今日に限ってはいきなりその体勢へとさせられてしまった。
「ロックウェル?!」
やめてほしいと訴えようと身を起こして振り返ろうとしたら、ロックウェルが後孔に舌を這わせてきたので衝撃で身が震えた。
「やっ!やぁっ!」
ロックウェルの舌がそこを舐め上げる度にぞわぞわとした快感が背を這いあがっていく。
「や、やめてくれ…!そんなことされたら…!ひっ…!」
立ち上がってしまった自分の雄をくちゅくちゅと握りこまれ、たまらない気持ちになってしまう。
「いや…いやだ…ッ!」
恥ずかしすぎておかしくなりそうだった。
「うっ…ぅふ…はぁ…ッ!」
舐めながら後ろに指を入れられて更に唾液を奥へと送り込むように舐め上げられる。
それにはさすがに敷き布を握りしめながら喘ぐことしかできない。
「やっ…はぁ…んぅ…やだッ…!」
快感に涙がにじむ。
グチュグチュと中をそのまま解され、前立腺を擦りあげられる度に腰が揺れた。
「うっ…ロックウェル…。も、やめて…ッ」
いつもの様に抱いてほしくてそう言ったのに、ロックウェルはその手を止めてそっと自分を覗き込んできた。
「クレイ?もう一度だけ聞く。私がなぜ怒っているか…わかるか?」
そうやって真っ直ぐに自分を見つめてくるロックウェルの問いに必死に頭を巡らせるが、答えは全く出てこなくてただ首を横に振って答えることしかできない。
そんな自分にロックウェルは冷たくその言葉を言い放った。
「クレイ……悪いが今日は気持ち良くなれると思うな?」
「……?」
自分は今日、それほど怒らせてしまう何かをやってしまっただろうか?
けれどこれまでも何度も怒らせ朝まで蹂躙されてきたし、そのどれもが気持ち良かった。
気持ち良くなれると思うなとは一体どういうことなのだろう?
そう思って首を傾げているとロックウェルが途端にSっぽく笑った。
「今日はお仕置き決定だ」
「え?」
そう思ったところでロックウェルの指が一気に後孔へと差し込まれた。
「やぁ────ッ!!」
完全に油断していたところで中へと入れられて体がビクビクと震えてしまう。
「お前はそのまま感じていろ」
そんな言葉と共に後ろを激しく責め立てられた。
「あっあっあっ!やぁ…!!」
グチュグチュとかき回すようにほぐされて泣きそうになる。
中を擦られる度に体が快感を求めて腰が揺れるのだ。
けれどイけるほどの快感とは程遠い。
「やっ…ロックウェル…!早く来て…!」
そんな風に虐めないで早く入れてほしいと訴えるとロックウェルはそのまま指を引き抜き、ゆっくりと自身を挿入した。
「はッ…はぁああぁん!!」
待ち望んだそれが気持ち良くて、思わず甘い声が口から飛び出してしまう。
けれどロックウェルの指が自分の付け根をしっかりと押さえていてイクことは許されない。
ビクビクと快感に侵されながらもイケないことほど辛い事はない。
「あぁッ…!どうして…?!」
思わず涙目で訴えるがロックウェルは何も言ってくれなかった。
そのままの体勢で後ろからパンパンと腰を打ち付けてくる。
「はッ…はぁうッ…!!やっ…やだぁ…!!」
気持ちいいのにイキたくてもイケない。
体の内側にどんどん熱が溜まっていく。
けれどこのままドライでイかされるのだけは嫌だった。
(あ、頭がおかしくなる…!!)
必死に快感を逃そうと腰を揺らすが、それさえもロックウェルに抑えられてたまらない気持ちになる。
「嫌ッ…嫌ぁ…!はっ…ふぅうっ…!!」
耐えきれずそのまま体を激しく震わせながらイかされてしまうが、ロックウェルは腰を止めてはくれなかった。
「ひっ…やッ…!イッてる…イッてるからぁ…!!んあぁッ…!!」
泣きながら訴えてもロックウェルは全く聞いてはくれない。
まさに生き地獄のようにロックウェルは自分を責め立ててくる。
精を吐き出すことは許してくれず、腰を揺らすことも許してくれず、ただただドライでイカされ続けた。
いつもなら回復魔法を使ってくれるのに、それさえもしてはくれない。
「やっ…!ロックウェル…!お願いっ…、も…許して…ッ!」
正直途中からは意識が飛びすぎて何を口にしたのかすら覚えてはいない。
助けてほしいと、許してほしいと訴えたのだけは覚えているが、ロックウェルはそれでも許してはくれず、クレイはそのまま快楽の淵へと追い込まれていった。
***
「ひっあぁっ…!はぁあ…ッんん…!!」
ぐったりと寝台に突っ伏し意識を半ば飛ばしながら力なく喘ぎ声だけを発するクレイの中に、もう何度目かわからなくなった精を吐き出し自分にだけ回復魔法を掛ける。
正直酷いことをしているのは重々承知だった。
けれどロイドと仲良くしていたことも、無自覚にシリィを虜にしていたのも、サイナスや他の者達を魅了していたのも、全てが腹立たしかった。
そのくせ、あんな魔法で完璧に素早く仕事をやり終えて、どこまでも自分の心まで捉えてしまうのだから性質が悪い。
正直あの姿には思わず見惚れてしまい、同時に嫉妬さえ覚えた。
自分にない力をあれほどまでに目の前で見せつけられて、嫉妬するなと言う方がおかしいだろう。
それほど鮮やかな捕り物だった。
「クレイ…お前は本当にずるい男だ」
もう聞こえてはいないだろうが、今日はどこまでも犯し尽くしてしまいたかった。
せめて少しでも自分が何を怒っているのかを察してくれればよかったのに…。
ロイドの件でもシリィの件でもサイナスの件でもなんでもよかった。
その答えが聞けたなら、同じように蹂躙したとしても回復魔法くらいは唱えてやる気になったかもしれない。
けれどクレイは全くその辺りすらわかってはくれないのだ。
正直あんな風に皆を魅了し、あっという間に手の届かない所に行ってしまいそうなこの存在を、こうして自分の物なのだと確認しなければ気が済まない自分を少しでもわかって欲しかった。
(クレイ…)
ギュッと抱き締めながらまた激しく揺さぶり何度も奥を犯した。
「あぁっ!あっあっ…」
そろそろ限界かと、そっと押さえていた根元の手を離してやり、そのまま体位を変えてやる。
座った状態で背後からクレイの身体を支え、大きく開脚させながら激しく突き上げると嬌声を上げながら身を震わせた。
「ひっ…やぁあっ…!!」
扱いてやらなくてもそのままクレイが気持ちよさそうに精を吐き出しあっという間に達してしまう。
「んっんぁ…あぁ…ひぅ…ん…」
やっと許されたとばかりに、びゅくびゅくと吐き出される精が一向に止まらない。
既に半ば意識がない状態でそうやって身を震わせる様は何とも言えず淫猥だった。
そんな姿に溜飲を下げる自分がどこまでも卑小に感じられて仕方がない。
「クレイ…それでも私はお前が好きで仕方がないんだ…」
どこまでも好きで好きで仕方がなくて、どうしても嫌いになれない。
独り占めして誰にも渡したくない。
「お前をここに閉じ込めて、私以外の誰にも触れさせないようにしてやりたい…」
そうだ。明日のひと時でもいい。
目の前でロイドと仲良く並ぶ姿をもう見たくなかった。
だからどうか許してほしい。
このまま犯し尽くすことを────。
ロックウェルはぐったりするクレイを抱き締めながらただただ貪るように犯し続けた。
どうやら王はやはり自分に対して何やら思うところがあるようだ。
ここは近づかないに越したことはないだろうと改めてそう思った。
そうやって暫くのんびりと寛いでいると、ロイドがライアードと共に戻ってきてお疲れと声を掛けてくれる。
「結局一網打尽にしてしまったな」
「…ただのついでだ」
王の事は気になるが、これで王宮内が少しでも落ち着けばまたロックウェルに会いやすくなるだろうとつい微笑みがこぼれてしまう。
「……そうか」
そんな自分を見てロイドがほんの僅か苦しげな顔をしたが、クレイにはそれが何故なのかまではわからなかった。
(色々あって疲れてるのか?)
「お前も疲れただろう?今夜の就寝時の護衛は眷属に任せたらどうだ?」
だからそう言ってやったのだが、ロイドは就寝時の護衛も自分の仕事だから任せてくれていいと請け負ってくれる。
「お前の方こそ魔力を使いすぎて疲れたんじゃないのか?」
そうやって気遣ってくれるロイドにクレイはそっと笑った。
なんだかんだとロイドは優しいのだ。
「俺は大丈夫だ。たださすがにこの格好はそろそろ遠慮したいな」
「そうだな。じゃあ着替えて休むといい。後は明日の朝の見送りで仕事はおしまいだ」
「わかった。ではそうさせてもらおうか」
クレイはロイドの言葉に甘えさせてもらうことにし、与えられた続き部屋へと戻ると軽くシャワーを浴びて化粧を落とし、かつらも外した。
「はぁ…」
やっといつもの姿に戻ったところで思わずホッと安堵の息を吐く。
これで明日さえ乗り切れば暫くは仕事もない。
少しでもロックウェルと一緒の時間を取れるといいなと一時的に依頼を断っておいたのだ。
(ロックウェル…)
そっと寝台に横になり、自分の好きな恋人へと思いを馳せる。
(早くお前に愛してほしい…)
昼間のような一時的なものではなく、寝台の上でゆっくりと愛を感じさせてほしい。
ただそう思いながら、ほんの少しウトウトと微睡みながら眠りについた。
***
ウトウトとしている中、クレイはサラリと自分の髪を撫で上げる心地いい手を感じ、そっと目を開いた。
そこには自分が待っていた相手がいて…。
「ロックウェル」
思わず満面の笑みで手を伸ばした。
「クレイ…さすがに疲れたか?」
そう言いながら優しく口づけてくれるロックウェルに甘えるように腕を回す。
「ん…大丈夫…」
うっとりしながら口づけに酔う自分をロックウェルはふわりと抱き上げた。
「ここだと邪魔が入るかもしれない。私の部屋で愛させてくれないか?」
そんな言葉が嬉しくて仕方がない。
素直にコクリと頷き、待ちきれなくてそのまま一気に影を渡った。
「ロックウェル…いっぱい愛して…」
そう言いながらまた口づけて甘く誘う。
そんな自分を仕方がないなと言いながらも寝台へと連れて行ってくれた。
「ん…はぁ…っ」
望むだけ口づけを与えてくれるロックウェルにクレイは夢中になった。
「はぁ…ロックウェル…好き…」
早く愛してほしくてそう訴えたのに、ロックウェルは何故か途中で動きを止めてしまう。
一体どうしたと言うのだろうか?
それから何やら考えた後、徐にその言葉を告げてきた。
「クレイ……愛し合う前に今日の反省会だ」
「え?」
「私に何か言っておくことはないか?」
そんな言葉に首を傾げざるを得ない。
そう聞かれても特に何もなかったように思うのだが…。
ロイドとの圧縮魔法の時もロックウェルの勧めでシリィを同席させたし、ダンスももしかして一緒に踊りたかったのかと思いサイナスを利用させてもらって一緒に踊る時間を設けた。
警護に関しても邪魔はしなかったし、互いに職務を全うし、怪しい者達は全て捕獲済みだ。
何一つ問題はなかったと思うのだが…。
だから正直に特にないと答えたのに、ロックウェルはその答えに不満でもあったのか、恐ろしいほど冷たい笑みを浮かべた。
「ロ、ロックウェル?」
不思議に思って声を掛けるが、突如うつぶせにした状態で腰だけを高く上げさせられた。
「え…?!やっ…!」
この体勢は正直恥ずかしくてあまり好きではない。
それをロックウェルも知っているからいつも散々溺れさせられてからその体勢にされるのだが、何故か今日に限ってはいきなりその体勢へとさせられてしまった。
「ロックウェル?!」
やめてほしいと訴えようと身を起こして振り返ろうとしたら、ロックウェルが後孔に舌を這わせてきたので衝撃で身が震えた。
「やっ!やぁっ!」
ロックウェルの舌がそこを舐め上げる度にぞわぞわとした快感が背を這いあがっていく。
「や、やめてくれ…!そんなことされたら…!ひっ…!」
立ち上がってしまった自分の雄をくちゅくちゅと握りこまれ、たまらない気持ちになってしまう。
「いや…いやだ…ッ!」
恥ずかしすぎておかしくなりそうだった。
「うっ…ぅふ…はぁ…ッ!」
舐めながら後ろに指を入れられて更に唾液を奥へと送り込むように舐め上げられる。
それにはさすがに敷き布を握りしめながら喘ぐことしかできない。
「やっ…はぁ…んぅ…やだッ…!」
快感に涙がにじむ。
グチュグチュと中をそのまま解され、前立腺を擦りあげられる度に腰が揺れた。
「うっ…ロックウェル…。も、やめて…ッ」
いつもの様に抱いてほしくてそう言ったのに、ロックウェルはその手を止めてそっと自分を覗き込んできた。
「クレイ?もう一度だけ聞く。私がなぜ怒っているか…わかるか?」
そうやって真っ直ぐに自分を見つめてくるロックウェルの問いに必死に頭を巡らせるが、答えは全く出てこなくてただ首を横に振って答えることしかできない。
そんな自分にロックウェルは冷たくその言葉を言い放った。
「クレイ……悪いが今日は気持ち良くなれると思うな?」
「……?」
自分は今日、それほど怒らせてしまう何かをやってしまっただろうか?
けれどこれまでも何度も怒らせ朝まで蹂躙されてきたし、そのどれもが気持ち良かった。
気持ち良くなれると思うなとは一体どういうことなのだろう?
そう思って首を傾げているとロックウェルが途端にSっぽく笑った。
「今日はお仕置き決定だ」
「え?」
そう思ったところでロックウェルの指が一気に後孔へと差し込まれた。
「やぁ────ッ!!」
完全に油断していたところで中へと入れられて体がビクビクと震えてしまう。
「お前はそのまま感じていろ」
そんな言葉と共に後ろを激しく責め立てられた。
「あっあっあっ!やぁ…!!」
グチュグチュとかき回すようにほぐされて泣きそうになる。
中を擦られる度に体が快感を求めて腰が揺れるのだ。
けれどイけるほどの快感とは程遠い。
「やっ…ロックウェル…!早く来て…!」
そんな風に虐めないで早く入れてほしいと訴えるとロックウェルはそのまま指を引き抜き、ゆっくりと自身を挿入した。
「はッ…はぁああぁん!!」
待ち望んだそれが気持ち良くて、思わず甘い声が口から飛び出してしまう。
けれどロックウェルの指が自分の付け根をしっかりと押さえていてイクことは許されない。
ビクビクと快感に侵されながらもイケないことほど辛い事はない。
「あぁッ…!どうして…?!」
思わず涙目で訴えるがロックウェルは何も言ってくれなかった。
そのままの体勢で後ろからパンパンと腰を打ち付けてくる。
「はッ…はぁうッ…!!やっ…やだぁ…!!」
気持ちいいのにイキたくてもイケない。
体の内側にどんどん熱が溜まっていく。
けれどこのままドライでイかされるのだけは嫌だった。
(あ、頭がおかしくなる…!!)
必死に快感を逃そうと腰を揺らすが、それさえもロックウェルに抑えられてたまらない気持ちになる。
「嫌ッ…嫌ぁ…!はっ…ふぅうっ…!!」
耐えきれずそのまま体を激しく震わせながらイかされてしまうが、ロックウェルは腰を止めてはくれなかった。
「ひっ…やッ…!イッてる…イッてるからぁ…!!んあぁッ…!!」
泣きながら訴えてもロックウェルは全く聞いてはくれない。
まさに生き地獄のようにロックウェルは自分を責め立ててくる。
精を吐き出すことは許してくれず、腰を揺らすことも許してくれず、ただただドライでイカされ続けた。
いつもなら回復魔法を使ってくれるのに、それさえもしてはくれない。
「やっ…!ロックウェル…!お願いっ…、も…許して…ッ!」
正直途中からは意識が飛びすぎて何を口にしたのかすら覚えてはいない。
助けてほしいと、許してほしいと訴えたのだけは覚えているが、ロックウェルはそれでも許してはくれず、クレイはそのまま快楽の淵へと追い込まれていった。
***
「ひっあぁっ…!はぁあ…ッんん…!!」
ぐったりと寝台に突っ伏し意識を半ば飛ばしながら力なく喘ぎ声だけを発するクレイの中に、もう何度目かわからなくなった精を吐き出し自分にだけ回復魔法を掛ける。
正直酷いことをしているのは重々承知だった。
けれどロイドと仲良くしていたことも、無自覚にシリィを虜にしていたのも、サイナスや他の者達を魅了していたのも、全てが腹立たしかった。
そのくせ、あんな魔法で完璧に素早く仕事をやり終えて、どこまでも自分の心まで捉えてしまうのだから性質が悪い。
正直あの姿には思わず見惚れてしまい、同時に嫉妬さえ覚えた。
自分にない力をあれほどまでに目の前で見せつけられて、嫉妬するなと言う方がおかしいだろう。
それほど鮮やかな捕り物だった。
「クレイ…お前は本当にずるい男だ」
もう聞こえてはいないだろうが、今日はどこまでも犯し尽くしてしまいたかった。
せめて少しでも自分が何を怒っているのかを察してくれればよかったのに…。
ロイドの件でもシリィの件でもサイナスの件でもなんでもよかった。
その答えが聞けたなら、同じように蹂躙したとしても回復魔法くらいは唱えてやる気になったかもしれない。
けれどクレイは全くその辺りすらわかってはくれないのだ。
正直あんな風に皆を魅了し、あっという間に手の届かない所に行ってしまいそうなこの存在を、こうして自分の物なのだと確認しなければ気が済まない自分を少しでもわかって欲しかった。
(クレイ…)
ギュッと抱き締めながらまた激しく揺さぶり何度も奥を犯した。
「あぁっ!あっあっ…」
そろそろ限界かと、そっと押さえていた根元の手を離してやり、そのまま体位を変えてやる。
座った状態で背後からクレイの身体を支え、大きく開脚させながら激しく突き上げると嬌声を上げながら身を震わせた。
「ひっ…やぁあっ…!!」
扱いてやらなくてもそのままクレイが気持ちよさそうに精を吐き出しあっという間に達してしまう。
「んっんぁ…あぁ…ひぅ…ん…」
やっと許されたとばかりに、びゅくびゅくと吐き出される精が一向に止まらない。
既に半ば意識がない状態でそうやって身を震わせる様は何とも言えず淫猥だった。
そんな姿に溜飲を下げる自分がどこまでも卑小に感じられて仕方がない。
「クレイ…それでも私はお前が好きで仕方がないんだ…」
どこまでも好きで好きで仕方がなくて、どうしても嫌いになれない。
独り占めして誰にも渡したくない。
「お前をここに閉じ込めて、私以外の誰にも触れさせないようにしてやりたい…」
そうだ。明日のひと時でもいい。
目の前でロイドと仲良く並ぶ姿をもう見たくなかった。
だからどうか許してほしい。
このまま犯し尽くすことを────。
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