黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第一部 アストラス編~王の落胤~

26.※仲直り

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「あぁっ!あっあっあっ!」
クレイが腕の中で乱れに乱れ始める。
入れた途端一度イったにもかかわらず、あまりの快感に腰が止まらないようで、半分意識を飛ばしながら貪るように自分を締め付けてきた。
「すごいなクレイ…」
「あぁ…んふっ…はぁんッ…!」
これまで聞いたことがないほどの嬌声がその口から飛び出してロックウェルは夢中になる。
突き上げる度に甘い声が飛び出し、口づければ飲みきれなかった涎が口の端を伝った。
「ふぁッ…あっあっあっ…!!」
最早何も考えられないのか感じるままに乱れまくる。
「たまらないな…」
焦らしに焦らしまくるとこうなるのかとロックウェルは喜悦の混じった笑みを浮かべた。

(本当にお前は淫乱だ…)

普段の冷めた顔と閨での色香を振り撒くこの姿が違いすぎて、そのギャップに萌える。
しかもこの姿は自分以外の誰も見たことがないのだ。
「クレイ…もっともっと感じてくれ」
「ぁあッ…!ああッんっ!あっあっふぁっ…!!」
足を持ち上げ奥の奥まで蹂躙すると身をくねらせ、いいところに当たるようにと腰を揺らした。
「あぁっ!ダメッ…ダメッ…!!そこ…イっちゃ…ッ!」
「ここか?」
「ん────ッ!!」
全身を震わせながら一気に飛んでそのまま気を失ってしまうが、すぐに回復魔法を唱え、少し揺らすとまた気が付いたのでそのまま溺れさせた。

「ああっ…!あ、んっ…!やぁッ…!!気持ちいっ…!」

意識を完全に取り戻してもその口から飛び出す嬌声は変わらない。
敷き布を必死に掴み快楽を貪るように腰を振るクレイに激しくそそられ幾度も中に注いで口づけを落とした。
「はぁッ…んぅッ…!!」
そうやって体位を変えながら何度も何度も絶頂へと追いやっていく。

「あっ…もっ…ダメ…ッ!」

何時間が過ぎた頃だろう?
「クレイ…また回復してやるから安心して身を任せろ」
啼きながらビクビクと身を震わせ必死に自分に縋るクレイが可愛くて、幾度目かのその言葉を告げた時だった。
回復呪文を唱え声を掛けると、もう解放してくれととうとう泣き言を言い出した。
が、もちろん聞いてやるつもりはない。
いつまでも素直に気持ちを話してくれないクレイが悪いのだから…。

「ロ…ロックウェル…。も…死ぬ…ッ、からっ!」
「馬鹿だな。私が回復させてやっているだろう?」

そう簡単に死ぬはずがない。
口にはしないが自分にも回復魔法を使えば三日三晩だって抱いてやれる。
クレイならいくら抱いても飽きないだろうから余裕だろう。

「お前が素直になるまでいつまででも抱いてやるから楽しみにしておけ」

そうやって不敵に微笑んでやると、もう降参だとばかりにやっとクレイが口を割った。

「やっ…!そんなにされたら……も…離れられなくなる…ッ!」

(クレイ…)
泣きながらそんな言葉を吐き出したクレイにロックウェルは腰を止めてそっと尋ねてみた。
「別に離れなければいいだけの話だろう?私のものになってずっと傍にいればいい」
そう言ってやったが、肝心のクレイはただふるふると首を振るばかり。
(何故そこまで頑なになる?)

先程の言葉は最早自分の物だと告白しているようなものだ。
それなのに何故これほど自分を拒むのだろう?
けれどこれはチャンスだとばかりにゆっくりと優しく声を掛けてみた。
上手く言えば本音を少しは話してくれるかもしれない。
「クレイ…今ならお前の話を聞いてやる。このまま抱き続けられてなし崩し的に私のものになるのも、今素直になって落ちるのもお前の自由だ」
どちらにしろクレイはもう自分の手の中なのだ。
その抱えている気持ちをじっくり聞いてみたい気持ちになった。
そうして促すようにゆっくりと腰を揺らすと、甘い声を上げながらやっと気持ちを吐露してくれた。

「もっ…今度お前に裏切られたら…心が壊れて二度と立ち直れない…」

だから嫌だと────クレイが潤む瞳で言ってきた。

(クレイ…)
その姿に、自分がしたことの罪深さを感じると共にどうしようもない愛しさが込み上げてしまう。
それは最早愛の告白そのものの様に甘美な響きで自分を満たしてしまった。

ロックウェルは気が付けばギュ…と強くクレイを抱きしめ、深く深く口づけを交わしていた。

「私が悪かった」

こんなにも傷つけて悪かったと思った。
けれど、それがあったからこそ今の関係に繋がったのだと思うと一概に悪かったとも言えない自分がいた。

「クレイ…お前を二度と裏切らないから、ずっと私の傍にいてくれ」
「……」
クレイは答えてはくれないが、ここで逃がしたくないから更に言葉を重ねる。
「私にはお前だけだ」
「……」
そうやって告白してもクレイは戸惑うように視線を逸らせただけだった。
どうやら失った信頼はなかなか取り戻すことが困難なようだ。

「わかってもらえるまで努力するから…少しは私の言葉を信じてくれないか?」

そう言いながら優しく触れるような口づけを何度も落とすと、やっと顔を上げてくれた。
その目は本当に?と確かめるように揺れていて、普段なら絶対に見られないような切ない眼差しだった。
そんなクレイを改めて抱き締め、そっと言葉を紡ぐ。
「またあの頃みたいに一緒に酒でも飲もう」
その言葉にクレイが素直にコクリと頷き口を開く。
「お前と一緒に笑いあって、また仕事もしたい」
ポツリとそんな言葉を溢しながらそっと手を取り口づけてくる姿が痛々しくて仕方なかった。
「…そうだな。できれば仕事の方はシリィではなく私に声を掛けてくれると助かる」
「…シリィ?あ、そうだシリィは…」
「お前がどうして勘違いをしたのかは知らないが、彼女はお前が好きなんだ。だから嫉妬した」
「嫉…妬?」
「ああ。お前を誰にも渡したくなかったからな」
そう言ってやると、クレイの頬がサッと赤く染まった。
(珍しい…)
まさかこんな表情を見れるとは思っても見なかった。
「……嬉しいのか?」
だからそうやって言ってやったのに、クレイは違うと言わんばかりにフイッと顔を背けてしまう。
「からかうのはやめろ」
その口調は先程までのものとは違って、いつものクレイのもので────。
思わずクスリと苦笑が漏れた。
「じゃああと一回で終わってやるから、またその可愛い啼き声を聞かせてくれ…」
「え?ちょっ…待って…!あっ…やめッ……ッ!!」
ゆらゆらと腰を揺らすとあっという間に可愛い声を溢しだす。
「まだまだいっぱい気持ちいいことを教えてやる」
「もう十分だ!…ッ!あっ…やぁ…!」
そうやってまた可愛く啼き始めた恋人を、ロックウェルはそっと微笑みながら堪能したのだった。


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