【完結】お役御免?なら好きにしてやる!

オレンジペコ

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番外編

閑話② ※祝宴とお仕置きと Side.兵長ミラン

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※ちょっとした後日談を書いてみました。
ラウルは実は隠れMなんじゃないかと思ってる方はどうぞお付き合いください。
宜しくお願いしますm(_ _)m

****************

エヴァンジェリンと第二兵長のリオネスが結婚した。
今日はその祝宴が開かれているのだが、俺の隣にはラウルがいて、ガナッシュ様の隣には同じくラウルとエヴァンジェリンの父親がいて、それぞれ俺達に酌をしてくれていた。

ちなみに俺は彼のことを勝手に義父君と呼んでいる。
ラウルの恋人になってちゃんと挨拶だってしたし、ラウルも俺と一緒に暮らし始めてから色々家事を覚えたいと思ったらしく、彼にわざわざ教わりに行ったりしていたから感謝しているのだ。

とは言え二人とも花嫁の身内なのにずっと俺達の隣に居ていいんだろうか?
そう思ったからさり気なく話を振ったら、どうやら二人揃って娘(妹)の晴れ姿を間近で見たら泣きそうだから行けないということらしい。
お祝いはもう昨日のうちに伝えておいたからと頑なに行こうとしない。
元貴族だからかプライドが勝って変に泣き顔を見られたくないのかもしれない。
こう言うところは親子でそっくりだ。

「ラウル。泣いたら俺が隠してやるからちゃんと祝ってきてやれ」
「ラヴィアンも、祝いの席なんだ。少しくらい泣いたって誰も何も言わないし、エヴァンジェリンのところに行ってこい」

二人で何度も後押ししたらやっと行ったけど、二人とも凄いしかめっ面だな。
意地でも泣くかって耐えてるからその顔なんだろうけど、祝いの席でそれはダメだろう。

「ガナッシュ様。ちょっとフォローに行ってきます」
「私も行こう」

エヴァンジェリンが『二人とも祝う気がないなら来ないでちょうだい!』とかなんとか言い出したのを見て俺達は二人で席を立ち、二人を回収しに行った。




「エヴァンジェリン。今日の主役がそんなに怒るなよ」
「だって、リオネス!酷いと思わない?昨日はおめでとう、幸せになれよって言ってくれてたのに、今日のお祝いの席でこんな不満げな顔をされたら実は不満でもあるのかって思うでしょう?!それとも何?ドレスが簡素過ぎて似合ってないとかかしら?それならそれではっきり言って欲しいわ!」
「まあまあ。二人とも緊張してるだけだって。ほら、代弁者が来たから落ち着いて座れって」

リオネスがなんとか宥めたところで介入に成功する。
ちなみにガナッシュ様は義父の腰を抱いてるけど俺はそこまではしないぞ。

でも励ますようにラウルの手をしっかりと握ってやる。
俺に縋るようにキュッと握り返してくるのが可愛い。
帰ったらいっぱい慰めてやろう。

「エヴァンジェリン。おめでとう。二人が誤解させたようですまなかった。娘の晴れ姿を近くで見て来いと言ったのは私なんだ。本人は感動して声が出なくなるから離れたところで見ると言っていたんだが、気を悪くさせたなら申し訳なかった」
「ガナッシュ様…」
「ほら。ラヴィアン。しっかり目に焼き付けたか?」
「は…い……。エヴァンジェリン。結婚おめでとう。リオネス…娘をこれからよろしく頼む」

目に涙を溜めながらなんとかそう言った義父はそう言って、その顔を見られる前にと思ったのかそのままガナッシュ様に向き直ってその胸に顔を埋めていた。
きっとこう言うところがガナッシュ様的に可愛いんだろうな。
エヴァンジェリンはそんな父親に呆れ顔だが。

「エ、エヴァ。おめでとう。その…えっと……」

ラウルも父親に続いて頑張って言葉を紡ごうとしてるけど、上手く言葉が出てこないようで俺の手をぎゅうぎゅう握ってくる。
とっても可愛いが、続く言葉が大失敗に終わってしまった。

「リ、リオネス兵長に迷惑かけないように、家事はしっかり頑張れよ!マズイ飯なんて間違っても出したらダメだからな!」
「お兄様?!それは私に対する挑戦と取りますわよ?!」
「こらこらこら?!エヴァ!花嫁が男の胸倉を掴み上げるな!」
「離してよ、リオネス!私だって料理の一つや二つ作れるって言ってやらないと気が済まないわ!」

ギャイギャイと騒がしくなる中、ラウルは半泣きになっている。

「あ~…エヴァンジェリン。すまないが許してやってくれないか?ラウルも妹の結婚に感動して今にも泣きそうだったんだ。泣かないようにと選んだ言葉が悪かった。本当にすまない。後でしっかり叱っておくし、俺に免じて許してやってくれ」
「ミラン兵長!」
「ミラン兵長はお兄様を甘やかし過ぎですわ。泣きたいなら素直に泣けばいいのに!お父様もお父様ですし、二人とも変に貴族っぽいところを捨てきれないんですから!」

ふんっ!とそっぽを向くエヴァンジェリン。
でもそんなエヴァンジェリンをリオネスが抱き寄せて『エヴァ。可愛い顔が台無しだぞ?』って言ったら途端に真っ赤になり必死にもがきながら『やめてよ!リオネスの馬鹿!』と照れ隠しに悪態を吐いてるのを見て、ラブラブだなと場が和んだ。
なんだかんだエヴァンジェリンはリオネスには弱いし、上手く宥めてもらえるだろう。

さて。じゃあそろそろ余興の時間だな。

俺は予め頼んでおいた部下達にそっと指示を出し、ガナッシュ様が用意しておいてくれた色とりどりの花々を所定の位置へと準備させ、風魔法でふわりと会場内へと花吹雪のように舞い上がらせる。
そこにラウルがハッと我に返って水魔法を操り上手に部屋の中へと虹を作り出した。

「エヴァンジェリン。リオネス。結婚おめでとう。皆を代表して俺とラウルで用意した余興を気に入ってもらえたら嬉しい。二人の幸せがずっと続くよう願いを込めて」

その言葉と同時に皆から一斉に拍手が巻き起こり、口々に『おめでとう!幸せにな!』と二人へと声が掛けられる。

それを受けて今度はエヴァンジェリンがポロポロと泣きだして、すぐさまリオネスの胸に飛び込んで『私はこんなことくらいで嬉し泣きなんてしないんだから!』とかなんとか涙声で言い訳していた。

意地っ張りでどこか不器用なその姿はさっきまでのラウルや父親そっくりで笑いを誘い、更に場は和んでその後は和気藹々とした雰囲気のまま宴会は続いたのだけど────。




「うぅ…ミラン」

会場を抜け出し、ラウルをこっそり持ち帰った俺はただ今絶賛可愛がり中だ。
ちなみにガナッシュ様達も姿が見えなかったからきっともう帰ったんだろう。
あっちはお仕置きなんてしなさそうだけど、きっと慰めてる内に寝るのは寝てるんだろうなと予想はできた。
なんとなく義父を諭しながら好きなだけ泣かせてあげている気がする。
ガナッシュ様はそういう人だ。

「ちゃんと反省したか?ラウル。あの場であの言葉は良くなかった。そうだな?」

ただ…こちらは可愛がってるとは言っても、お仕置きも兼ねた反省会だ。
だからラブラブとは言えないかもしれない。

ベッドの淵に腰掛けた俺の膝の上にラウルが乗ってる、所謂背面座位的な体位で足を大開きにして焦らしている状況だった。
ラウル的には目の前に置かれた姿見にそんな姿が映ってるせいですごく恥ずかしいらしく、さっきから恥じらって真っ赤になってるし、半泣きで締めつけもすごい。
何故姿見がそんなところにあるかというと、単純に俺がこの体位だと可愛いラウルの顔が見れないから持ってきただけだったりする。
結果的にちょっと羞恥プレイ的になってしまったのは一応反省している。
お詫びとしてちゃんと反省後は沢山可愛がってやろう。

「あ…っ、明日ちゃんとエヴァに謝りますっ、ごめ、ごめんなさいぃっ…!」
「よし。いい子だ」

ズンッと下から突き上げてやると鏡の中のラウルの表情があからさまに変わった。

「は、あぅっ!あ…あぁっ!ンッンッ!ミランッ!」
「ふっ…気持ち良さそうだな?」

欲しかったものがやっともらえたとばかりに蕩け切った表情になるラウルが可愛い。
思えば初めての夜も俺とするのが嬉しくて仕方がないと言わんばかりだったと思い出す。
あの時は散々煽られて、閨指導の未亡人とやらに嫉妬させられたものだ。
まあもう俺一色になったから気にしないが。

「イイッ!気持ちいいっ!」

貪欲に俺を求めて締めつけてくるラウルが可愛い過ぎて、そのまま無理矢理顔を自分の方へと向けさせて唇を貪ってしまう。
俺が好きだと目で語るラウルが艶っぽくて、凄くそそられる。
ついでに胸も可愛がってやろうか。
毎日可愛いがってるからすっかり先端は敏感になってて、ちょっと弄ってやるだけでフルフル身を震わせるからたまらない。
俺が教えた分だけ素直に覚えこんでいくから、俺の表情はどこまでも悦びに満たされて緩みっぱなしだった。

「アッ、アッ!ミランッ!もうダメッ!ダメッ!」

ダメと言いつつ欲しがるように中がうねって絡みついてくるのがラウルらしくて、もっと激しくしてやりたくなる。

「本当にお前はエロ過ぎだ」
「ミランがそう育てたっ、のに…っ!あっあっ!それダメッ!気持ちいっ!」
「お前は最初からエロかった」

俺が育てた?
どの口が言うんだと中を掻き回すように腰を動かし、ちょっとだけ虐めてやる。
俺が天然の煽りにどれだけ翻弄されたと思ってるんだか。

「お前は最初から俺好みの可愛い恋人だ」
「はぁあっ!嬉しいっ…!」

腰をくねらせ俺が与える刺激を全身で受け止めて悦ぶラウルが愛おしい。

「明日は手土産持って昼から謝罪だ。わかったな?」
「ンッンッ!あ、朝一で…はぁっ、行って、きますっ」
「聞こえなかったか?行くのは昼からだ。新婚初夜の翌朝に行こうとするな。そんな迷惑行為ができないように、今からちゃんと躾けてやらないとな」
「あぁっ!ミランッ!前っ、手離してっ!イキたい!イキたいぃっ!」
「ちゃんと反省したら離して扱いてやる」
「やぁあぁあっ!」

ビクビクッと中イキしながら恍惚とした表情を浮かべるラウルを見て、実はお仕置きを悦んでないか?とチラリと思う。

(こいつは本当に…。わかっててやらかしてるんじゃないだろうな?)

まあいい。
夜はまだまだ始まったばかりだ。

俺は年下の可愛い恋人を組み敷いて、鏡越しではないその表情を堪能する。

「ラウル。勝手にイクな。反省が足りないぞ?ちゃんと反省するように」
「ミラン…反省する、から。もっと…」

もっと突き上げて虐めて欲しいのか、それとも単純に俺に叱って欲しいのか、どっちが正解だろう?

(ま、両方やればいいか)

そんな事を考えつつ、『ちゃんと反省できるまでお仕置きだ』と言いながら、期待の眼差しを向けてくるラウルの首筋へと顔を埋め、甘く歯を立てた。

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感想 135

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みんなの感想(135件)

冷奴
2024.12.22 冷奴

(21話まで読んだ感想です!)
産まれた時から頭のおかしい両親に育てられれば当然それを手本に育っていくので、大抵の人間はエヴァちゃんのようになると思います🧐(産まれた瞬間から性格が良いとは言えない人もいますが…)21話の内容からして、エヴァちゃんはちゃんとした両親に育てられてさえいれば、もっと素敵な令嬢になっていただろうと思い…悲しいです🥲
これから兄と一緒にダメダメな両親に鞭を打って、少しずつでも良識ある女性に変わっていって欲しいです🫶
最後に…ランスロットはとても優しい子なので、周りをハラハラさせつつもエヴァちゃんの手紙にはちゃんと返事をしてそうだなと思いました🤭
(もしかしてこの先のお話であったりしますかね…!?)

解除
sakura
2024.04.04 sakura

とってもよかったです。

本編の、ランスロットが幸せになったのも、
虐げてきた生家がきっちりざまぁされたのも、
シリウスの好きすぎての可愛らしい浮かれっぷり(笑)もよかったです。

番外編の、それぞれの再生と愛のお話もよかったです。
ミランもリオネスも頼もしくてかっこいいですが、
ガナッシュ様の理路整然っぷりに惚れてしまいそうでした。

ランスロットはとても良い子なのに、どうして酷い扱いだったのか不思議でしたが、
なるほどとすっきりしました。
メリーナの精神誘導スキル、恐いっす。。もはや魅了魔法??

魅力的な人物描写、ぐいぐいひっぱるストーリー構成などなど、素敵な作品でした。
ありがとうございました。

オレンジペコ
2024.04.08 オレンジペコ

感想ありがとうございます♪
素敵な作品と言っていただけて嬉しいです。
この作品はどのキャラも生き生きと動いてくれたので、とても書きやすかったんですよね(´∀`*)

解除
Madame gray-01
2023.08.26 Madame gray-01
ネタバレ含む
オレンジペコ
2023.08.27 オレンジペコ

こちらこそありがとうございます♪
番外編も楽しんでいただけて嬉しいです(^^)

解除

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