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【本編】
48.皇太子殿下の愛を守る会 Side.***
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皇太子殿下がウィルラン辺境伯領に行ったと聞いた。
表向きは勉強のため。
でも実質は愛しのディオン様のためだと誰もが知っている。
そんな皇太子殿下の花嫁探しが行われると聞いて驚いてしまった。
なんでもスタンピードの兆候がある場所に自ら向かったため、今後も似たことがあっては大変だと一部の者達が騒いだとのこと。
まあ気持ちはわからなくはない。
でも皇太子殿下とディオン様の仲を応援している者の中に我こそはと手を上げる者はいないだろう。
いるとしたら極一部の者。それこそ『皇太子殿下と側近を愛でる会』のメンバーくらいだと思う。
(でも…あそこは皇太子殿下の気持ちなど考えず、自分達の嗜好でキャッキャうふふと喜んでいるだけのアンチグループだし、わざわざ手を上げてきたりはしないかもしれないわね)
つまり同世代で手を上げる者はほぼ皆無。
そう思っていたのに────。
「私が候補…ですか?」
あり得ないことに親の意向で妃候補へと選ばれてしまった。
そして他にも同じ年頃の者が数名、それと年下の令嬢達が複数候補として名が上がっている様子。
どこも家の意向が大きいようで、年下の令嬢達は乗り気の者も多いとか。
これはマズイ。
二人の仲がこんなことで引き裂かれては大変だ。
なんとか上手く妨害しなければ。
不肖トランス公爵家長女フィオナ。
『皇太子殿下の愛を守る会』の会長として全力で邪魔者達を排除して差し上げます!
そう心に誓い、花嫁候補達が集う予定のパーティー準備を入念に行い、それと同時に辺境伯領の情報を集めた。
そんなある日のこと。
ディオン様の従者が審議にかけられるため王都に送られたと聞いた。
「審議?ディオン様の従者が?」
「はい。なんでも皇太子殿下とディオン様の仲がちっとも進展しないことに焦れて、酒にバラックを混入したとか」
バラック。それは最近夫婦達の間で流行っている催淫剤だ。
そのままではほんの少し身体が火照る程度の効果しかなく、酒に混ぜることによってその効力を発揮する媚薬。
夫婦仲の改善薬として貴族平民問わず売られている。
だから別に違法な薬物というわけではないのだけど、皇太子殿下に密かに盛ったというのが問題だった。
毒ではなかったとはいえ、審議にかけられても全くおかしくはない案件だ。
とは言え目的は明らか。
皇太子殿下とディオン様の仲を応援しての行動には是非ともエールを送りたい。
そう思ったから『皇太子殿下の愛を守る会』に所属するメンバー達に声を掛け、署名を集めて議会へと提出しておいた。
これで罪はかなり軽減されるはずだ。
なにせ我々の会のメンバーは高位貴族の令息令嬢が軒並み名を連ねている。
その署名嘆願書を無視するなんてこと、あり得るはずがないのだから。
画して彼は高額な罰金刑だけでその身は解放された。
ちなみに立て替えたのはこの私。
ウィルラン辺境伯の元からクビを言い渡されたと聞いたから、公爵家の使用人として雇い入れ、立て替えた分を給与から差し引く形で回収すると言えば四方八方丸く収まった。
勿論お目付役も我が公爵家が兼ねているから勝手なことはできない。
逆に言えば命令には絶対従わせることが可能ということ。
「この度は私の身をお救い下さりありがとうございました。このご恩は生涯忘れません」
「そう。その言葉、覚えておくわ」
それから皇太子殿下とディオン様の話でとても盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができた。
でもそんな楽しい話の中に、なんとも腹立たしい存在が何度も出てくる。
ラスターという平民だ。
人当たりが良く、誰にでも優しいディオン様だからきっと平民の使用人にも優しく接したのだろう。
それを平民が勘違いしてしまったのかもしれない。
彼は身分もわきまえずディオン様の親切心に付け込んで頻繁にディオン様を惑わせてくるのだとか。
「なんて愚かな…」
(見目が多少整っているからいけるとでも思ったのかしら?)
愚かにもほどがある。
「身の程をわからせようと思ったのですが、失敗してしまいました。ディオン様や領主様を上手く味方につけられて…」
「何て小賢しい平民なのでしょう?大丈夫よ、ヴィクター。私が必ず引き離してあげるわ」
肩を落とすヴィクターに安心させるよう優しく声を掛け、元気づける。
「ちょうどいい駒がいるの。以前パーティーで皇太子殿下の不興を買ってしまった令嬢なのだけど、どうにか挽回したいと相談されたのよ。あの令嬢も皇太子殿下とディオン様を応援している一人ですもの。このまま誤解されたままなのは辛いと泣いていたし、彼女を使ってあげましょう」
彼女を使ってその平民を人のいない場所へとおびき寄せ、処分してしまえばいい。
平民など一人くらいいなくなったところで何の問題もないのだから。
「そうね、ヴィクター。貴方、御者はできるかしら?」
「練習さえさせていただけるのであれば恐らくは」
「そう。なら当日、よろしく頼むわね」
私はにこやかにヴィクターへと微笑み、来るべき日に備え計画を立てたのだった。
***
【Side.ラスター】
また懐かしい顔ぶれの夢を見た。
親友とそのツガイの夢だ。
「竜王様!」
「シャーリー。どうした?リューンは今いないぞ?」
「今日はリューンじゃなくて竜王様にお願いがあって」
「お願い?」
「はい。先日獣王国でピンクダイヤモンドが発掘されたと聞いたので、鉱山ごと欲しいなとお願いに参りました。竜王様なら武力行使で獣王国なんて一捻りだとよくリューンが言っていますし、サッと行って奪ってきてもらえたら嬉しいんですけど、ダメですか?」
儚げな雰囲気を纏いながらも屈託のない笑顔を振りまき俺に無茶振りをしてくるシャーリー。
このちょっと常識のないところが箱入りって感じで可愛いとリューンは言うけど、俺にはちょっとわからない。
それは侵略行為だよと言ってもわかってくれないから困るんだ。
さて、どう言ったら引き下がってくれるかな?
前に正論で説得しようとしたら失敗したし、何か彼女が諦めるような事を言わないとな。
「シャーリー。残念だけど、その鉱山にはピンクダイヤモンドに擬態したスライムが沢山いるらしくて、特に竜人が好物で、食べられてしまうらしいんだ。だから、その擬態を見極められないと折角手に入れても大変な目にあうかもしれない。それでもいいかな?」
「え?大変な目?でも竜王様やリューンがいたらスライムくらい平気でしょう?」
「口から入って内臓から食べていくらしいよ?それじゃあいくら強いリューンでもどうしようもないよね?ツガイが死んでもいいなら止めないけど…」
「いいい、いらないです!結構です!やめておきます!今の話は忘れてくださいませ!」
彼女は真っ青になりながら、ふらふらと去って行った。
上手くいって良かった。
「陛下は本当に大らかですね。俺にはあんな説得法は絶対に無理です」
「慣れたら君でもできるよ」
「陛下にしか無理ですよ」
ブツブツ言いながら側近として付き合いの長い男が言う。
「今度からは時間の無駄なので、あんなくだらない件は『無理』とだけ言って追い返しましょうね」
そんな言葉にクスリと笑い、じゃあ次はそうしてみるよと返した。
説得は無駄だったけど今のはなかなか良い線いっていたと思うのに、彼には無駄な時間に思えたようだった。
まあその後突き放し作戦は大失敗に終わって、その後しつこく付き纏われてリューンの嫉妬に見舞われて辟易する羽目になったんだけど。
そんな事もいい思い出だ。
ちなみにその側近は俺が悪魔に憑依されるより少し前に病気で亡くなってしまった。
もしかしたらそれで気が弱っていたから憑依病なんかに冒されてしまったのかもしれない。
「バルバトス…」
何気なく彼の名を口にしたら、急に息苦しさを覚えて目を覚ました。
「ンッんぅっ…?!」
苦しいと思って目を開けたら何故かディオンに濃厚なキスをされていたから驚いた。
「ディ、オンっ…!」
「ラスター…。バルバトスって誰?」
「え?」
「俺が知らない男の名前だったから」
ちょっと拗ねたようにそう言ってくる姿に思わず笑ってしまう。
「ディオン。バルバトスは前世で俺の側で仕事をしていた側近だから」
「前世で?………あ、もしかしてバルバトス=クルスラー?」
「そう。知り合い?」
「……知らないです」
プイッとそっぽを向くディオン。
これは何かバツが悪い時の彼の癖だ。
「ディオン。教えて?」
「知りません」
言葉が戻ってるから前世で情報収集でもしてたのかも。
ツガイとわかってる俺の事を気にかけてくれていたようだしあながち間違ってはいない気がする。
憑依病になった俺を助けに来てくれたのもそのお蔭だから、別に怒るつもりもないんだけど…。
「ふふっ」
「どうして笑うんですか?」
「可愛いなと思って」
「またそういうことを…」
ディオン的には不本意らしいけど、可愛いものは可愛いんだからしょうがないと思う。
でもツガイのご機嫌取りはちゃんとしておかないと。
「ディオン」
そっとその手を取って指先へと口づけ、そのまま頬に当ててスリッと甘えてみた。
「機嫌を直してほしいな?」
「ぐぅっ…!天然ですか?!それとも誰かの仕込みですか?!俺をあんまり翻弄しないでください!!」
そう言いながら押し倒される。
おかしいな。周囲から聞いたツガイとのコミュニケーション法だったのに。
(まあいいか)
どうせ行為が始まれば言葉は改められるし、すぐにいつものディオンに戻るはず。
そう思いつつ俺は幸せいっぱいに腕を伸ばし、ディオンを優しく引き寄せた。
表向きは勉強のため。
でも実質は愛しのディオン様のためだと誰もが知っている。
そんな皇太子殿下の花嫁探しが行われると聞いて驚いてしまった。
なんでもスタンピードの兆候がある場所に自ら向かったため、今後も似たことがあっては大変だと一部の者達が騒いだとのこと。
まあ気持ちはわからなくはない。
でも皇太子殿下とディオン様の仲を応援している者の中に我こそはと手を上げる者はいないだろう。
いるとしたら極一部の者。それこそ『皇太子殿下と側近を愛でる会』のメンバーくらいだと思う。
(でも…あそこは皇太子殿下の気持ちなど考えず、自分達の嗜好でキャッキャうふふと喜んでいるだけのアンチグループだし、わざわざ手を上げてきたりはしないかもしれないわね)
つまり同世代で手を上げる者はほぼ皆無。
そう思っていたのに────。
「私が候補…ですか?」
あり得ないことに親の意向で妃候補へと選ばれてしまった。
そして他にも同じ年頃の者が数名、それと年下の令嬢達が複数候補として名が上がっている様子。
どこも家の意向が大きいようで、年下の令嬢達は乗り気の者も多いとか。
これはマズイ。
二人の仲がこんなことで引き裂かれては大変だ。
なんとか上手く妨害しなければ。
不肖トランス公爵家長女フィオナ。
『皇太子殿下の愛を守る会』の会長として全力で邪魔者達を排除して差し上げます!
そう心に誓い、花嫁候補達が集う予定のパーティー準備を入念に行い、それと同時に辺境伯領の情報を集めた。
そんなある日のこと。
ディオン様の従者が審議にかけられるため王都に送られたと聞いた。
「審議?ディオン様の従者が?」
「はい。なんでも皇太子殿下とディオン様の仲がちっとも進展しないことに焦れて、酒にバラックを混入したとか」
バラック。それは最近夫婦達の間で流行っている催淫剤だ。
そのままではほんの少し身体が火照る程度の効果しかなく、酒に混ぜることによってその効力を発揮する媚薬。
夫婦仲の改善薬として貴族平民問わず売られている。
だから別に違法な薬物というわけではないのだけど、皇太子殿下に密かに盛ったというのが問題だった。
毒ではなかったとはいえ、審議にかけられても全くおかしくはない案件だ。
とは言え目的は明らか。
皇太子殿下とディオン様の仲を応援しての行動には是非ともエールを送りたい。
そう思ったから『皇太子殿下の愛を守る会』に所属するメンバー達に声を掛け、署名を集めて議会へと提出しておいた。
これで罪はかなり軽減されるはずだ。
なにせ我々の会のメンバーは高位貴族の令息令嬢が軒並み名を連ねている。
その署名嘆願書を無視するなんてこと、あり得るはずがないのだから。
画して彼は高額な罰金刑だけでその身は解放された。
ちなみに立て替えたのはこの私。
ウィルラン辺境伯の元からクビを言い渡されたと聞いたから、公爵家の使用人として雇い入れ、立て替えた分を給与から差し引く形で回収すると言えば四方八方丸く収まった。
勿論お目付役も我が公爵家が兼ねているから勝手なことはできない。
逆に言えば命令には絶対従わせることが可能ということ。
「この度は私の身をお救い下さりありがとうございました。このご恩は生涯忘れません」
「そう。その言葉、覚えておくわ」
それから皇太子殿下とディオン様の話でとても盛り上がり、楽しい時間を過ごすことができた。
でもそんな楽しい話の中に、なんとも腹立たしい存在が何度も出てくる。
ラスターという平民だ。
人当たりが良く、誰にでも優しいディオン様だからきっと平民の使用人にも優しく接したのだろう。
それを平民が勘違いしてしまったのかもしれない。
彼は身分もわきまえずディオン様の親切心に付け込んで頻繁にディオン様を惑わせてくるのだとか。
「なんて愚かな…」
(見目が多少整っているからいけるとでも思ったのかしら?)
愚かにもほどがある。
「身の程をわからせようと思ったのですが、失敗してしまいました。ディオン様や領主様を上手く味方につけられて…」
「何て小賢しい平民なのでしょう?大丈夫よ、ヴィクター。私が必ず引き離してあげるわ」
肩を落とすヴィクターに安心させるよう優しく声を掛け、元気づける。
「ちょうどいい駒がいるの。以前パーティーで皇太子殿下の不興を買ってしまった令嬢なのだけど、どうにか挽回したいと相談されたのよ。あの令嬢も皇太子殿下とディオン様を応援している一人ですもの。このまま誤解されたままなのは辛いと泣いていたし、彼女を使ってあげましょう」
彼女を使ってその平民を人のいない場所へとおびき寄せ、処分してしまえばいい。
平民など一人くらいいなくなったところで何の問題もないのだから。
「そうね、ヴィクター。貴方、御者はできるかしら?」
「練習さえさせていただけるのであれば恐らくは」
「そう。なら当日、よろしく頼むわね」
私はにこやかにヴィクターへと微笑み、来るべき日に備え計画を立てたのだった。
***
【Side.ラスター】
また懐かしい顔ぶれの夢を見た。
親友とそのツガイの夢だ。
「竜王様!」
「シャーリー。どうした?リューンは今いないぞ?」
「今日はリューンじゃなくて竜王様にお願いがあって」
「お願い?」
「はい。先日獣王国でピンクダイヤモンドが発掘されたと聞いたので、鉱山ごと欲しいなとお願いに参りました。竜王様なら武力行使で獣王国なんて一捻りだとよくリューンが言っていますし、サッと行って奪ってきてもらえたら嬉しいんですけど、ダメですか?」
儚げな雰囲気を纏いながらも屈託のない笑顔を振りまき俺に無茶振りをしてくるシャーリー。
このちょっと常識のないところが箱入りって感じで可愛いとリューンは言うけど、俺にはちょっとわからない。
それは侵略行為だよと言ってもわかってくれないから困るんだ。
さて、どう言ったら引き下がってくれるかな?
前に正論で説得しようとしたら失敗したし、何か彼女が諦めるような事を言わないとな。
「シャーリー。残念だけど、その鉱山にはピンクダイヤモンドに擬態したスライムが沢山いるらしくて、特に竜人が好物で、食べられてしまうらしいんだ。だから、その擬態を見極められないと折角手に入れても大変な目にあうかもしれない。それでもいいかな?」
「え?大変な目?でも竜王様やリューンがいたらスライムくらい平気でしょう?」
「口から入って内臓から食べていくらしいよ?それじゃあいくら強いリューンでもどうしようもないよね?ツガイが死んでもいいなら止めないけど…」
「いいい、いらないです!結構です!やめておきます!今の話は忘れてくださいませ!」
彼女は真っ青になりながら、ふらふらと去って行った。
上手くいって良かった。
「陛下は本当に大らかですね。俺にはあんな説得法は絶対に無理です」
「慣れたら君でもできるよ」
「陛下にしか無理ですよ」
ブツブツ言いながら側近として付き合いの長い男が言う。
「今度からは時間の無駄なので、あんなくだらない件は『無理』とだけ言って追い返しましょうね」
そんな言葉にクスリと笑い、じゃあ次はそうしてみるよと返した。
説得は無駄だったけど今のはなかなか良い線いっていたと思うのに、彼には無駄な時間に思えたようだった。
まあその後突き放し作戦は大失敗に終わって、その後しつこく付き纏われてリューンの嫉妬に見舞われて辟易する羽目になったんだけど。
そんな事もいい思い出だ。
ちなみにその側近は俺が悪魔に憑依されるより少し前に病気で亡くなってしまった。
もしかしたらそれで気が弱っていたから憑依病なんかに冒されてしまったのかもしれない。
「バルバトス…」
何気なく彼の名を口にしたら、急に息苦しさを覚えて目を覚ました。
「ンッんぅっ…?!」
苦しいと思って目を開けたら何故かディオンに濃厚なキスをされていたから驚いた。
「ディ、オンっ…!」
「ラスター…。バルバトスって誰?」
「え?」
「俺が知らない男の名前だったから」
ちょっと拗ねたようにそう言ってくる姿に思わず笑ってしまう。
「ディオン。バルバトスは前世で俺の側で仕事をしていた側近だから」
「前世で?………あ、もしかしてバルバトス=クルスラー?」
「そう。知り合い?」
「……知らないです」
プイッとそっぽを向くディオン。
これは何かバツが悪い時の彼の癖だ。
「ディオン。教えて?」
「知りません」
言葉が戻ってるから前世で情報収集でもしてたのかも。
ツガイとわかってる俺の事を気にかけてくれていたようだしあながち間違ってはいない気がする。
憑依病になった俺を助けに来てくれたのもそのお蔭だから、別に怒るつもりもないんだけど…。
「ふふっ」
「どうして笑うんですか?」
「可愛いなと思って」
「またそういうことを…」
ディオン的には不本意らしいけど、可愛いものは可愛いんだからしょうがないと思う。
でもツガイのご機嫌取りはちゃんとしておかないと。
「ディオン」
そっとその手を取って指先へと口づけ、そのまま頬に当ててスリッと甘えてみた。
「機嫌を直してほしいな?」
「ぐぅっ…!天然ですか?!それとも誰かの仕込みですか?!俺をあんまり翻弄しないでください!!」
そう言いながら押し倒される。
おかしいな。周囲から聞いたツガイとのコミュニケーション法だったのに。
(まあいいか)
どうせ行為が始まれば言葉は改められるし、すぐにいつものディオンに戻るはず。
そう思いつつ俺は幸せいっぱいに腕を伸ばし、ディオンを優しく引き寄せた。
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これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
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